虐待と感情操作のテーマを含みます。
サイト-17管理官事務局へのメモ
From: イエセニア博士、SCP-4051担当サイトセラピスト
グラハム
あなたからSCP-4051に関する公式最新情報を受領してからしばらく経ちましたね。エドワーズ博士が彼にしている作業に関するあらゆる資料を入手しようとして、私は大変な努力を重ねて来ましたが、私の全ての努力は無為に終わりました。
私はより高いクリアランスレベルを求めません。私はあなたに幾つか助言をしようとしています。プロジェクト350-ヤヌスの性質とあなたが何を成し遂げようとしているのかについて私は疑問を抱いていますが、それが何であれ、あなたの上司にとって重要であることは明らかです。プロジェクト開発に掛けた時間からすると、あなたは途轍も無い抵抗を受けているという風にしか私は想像できません。私はプロジェクト開発を手助けできないのですが、あなたに提案したい事があります。
SCP-4051は人並み外れた人助けの欲求を持ちます。サイトメンテナンスへの彼の手助けは疑いなしにあなたの財政的懸念のいくらかを和らげたことでしょうし、また彼は自身の要領の良さと同時に財団を助ける能力と熱意を示してきました。
もしあなたが上司からの口出しを止めたいのであれば、彼らにこれらの性質を示すことをお勧めします。彼らに理解できるような方法でライナーを説明するのです。低脅威度アノマリーの回収に彼を従事させることで彼がサイト-17にとって価値のある資産であることを証明するのです。ライナーの能力は人間の有さない多能性を彼に与えています。もしあなたが彼を水中に投じたなら、彼は自在に呼吸装置を創造できます。もし彼のチームのメンバーが怪我をしたならば、彼は即座に医療支援を提供できます。
ここではっきりさせておきたいのですが、彼と繋がりのある人物として、私にはある種のバイアスがかかっています。私は彼にはもっと自由であり、幸せであって欲しいのです。ですが彼に財団をよりアクティブな役割でサポートさせることを許すというアイデアを考えてみると、これはあなたにとっても、財団全体にとっても、エドワーズ博士が実験を続けるのに必要なお金を与えてくれる人々にとっても利益があるのです。
合同機動部隊救助録(P7-S3)_2013.07.18:1500
任務前報告: 機動部隊プサイ-7 ("リフォーム屋")より4名、機動部隊シグマ-3 ("書誌学者")より1名、そしてSCP-4051の合計6名からなるチームが異常活動の確認された現場であるイリノイ州シカゴに位置するビルを調査します。ビルには地階が2階あり、次元間旅行の放棄された集結点ではないかと疑われています。クラス-S "スロウ・バーン"記憶処理1がSCP-4051に施されています。SCP-4051は標準探索装置とゴム弾を装填された銃を与えられています。SCP-4051は文書化の容易さのため機動部隊プサイ-7の限定的メンバーシップを与えられ、"P-7 ライナー"として言及されます。
<ログ開始>
P-7 チャーリー: マイクチェック。全員応答せよ。
P-7 ジェイラ: 聞こえるよ。
P-7 リコ: こちらも同じく。
P-7 トレバー: 無線良好。
P-7 ライナー: こちらもヨシ。
S-3 モーガン: こちら諜報員タイプ・ブルー。今から出発するか?
サイト司令部: アファーマティブ。
(チームは構造物にバックドアから家具のないコンクリートの部屋に入る。)
P-7 チャーリー: 司令部、ここの壁にいくつかグラフィティが見える。
サイト司令部: 記録した。フィルターは何もミームを補足していないから大丈夫なはずだ。
S-3 モーガン: いくつか奇跡術的記号がここにあるな。見た感じバリエーションとしては…… ええと、何かからミスディレクションして隠しているな。
P-7 ライナー: じゃあ部屋の中に俺たちが見えない何かあるかもしれないのか?
S-3 モーガン: 司令部、あんたら何かそういうのは補足してるか?
サイト司令部: ネガティブ、モーガン。
S-3 モーガン: OK、じゃあ記号は多分通りでビルの横を通り過ぎる人たち用だろう。彼らはそれを視界から隠しているわけじゃなくて、もっと…… 目立たないようにしているんだな。
P-7 チャーリー: 司令部、この部屋はクリアだ。次の部屋に入る。
サイト司令部: 了解。
(チームは隣接する部屋に入室する。この部屋は前の部屋に比べより多くのゴミが床に落ちている。)
P-7 ジェイラ: モーガン、ここのグラフィティに何か違いはある?
S-3 モーガン: 見た限りない。疑いを持たないものに対してミスディレクションするルーンが増えた。
(チームは2分間床の物品を調査する。)
P-7 チャーリー: この部屋はクリアなようだ。アノマリーは別の階にあるはずだ。
P-7 ライナー: ヘイ、報告書は読んだけどさ。正確には何を探すことになってるんだ?
P-7 リコ: 受け取った報告書によればこの場所には何か異次元の異常があるんだとさ。壁の記号が変化し始めたなら近付いているってことだろうよ。
P-7 チャーリー: オーライチーム、今から移動する。モーガン、何か見えたら知らせてくれ。
(チームは階段に進み下の階へと動き始める。モーガンは止まる。)
S-3 モーガン: 新しい記号だ。この先のあれにあるセリフ2には、危害を加える力が付与されている。
P-7 ジェイラ: つまり?
S-3 モーガン: このビルを使っていた連中は招かれざる客に入って欲しくない。だから非魔法使いを止める防衛機構を壁に用意したんだな。どれどれ、前提条件がなんかあるはずだ…… よしきた、前のあれの意味は「ポテンシャル」か。
P-7 ライナー: それは手が魔法力と呼ぶもので合ってるか?
S-3 モーガン: ああ、だが…… 彼らはお前に俺たちと同じ任務前資料を与えたのか?
P-7 ライナー: そうだと思う。彼らは俺に記憶処理したし、2時間したら読んだもの全部を覚えていられないだろうって言ってた。
P-7 チャーリー: モーガン、どう進めばいい?
S-3 モーガン: 前に進んでルーンのある壁の一角を吹きとばせ。あれらは多分ただホームレスとティーンエイジャーをこっから追っ払い続けるだけのもんだ。
P-7 チャーリー: よし、ジェイラ、取り
サイト司令部: チャーリー、聞こえるか?
P-7 チャーリー: 聞こえる。発破の使用に反対する助言でも?
サイト司令部: ライナーに爆破を手伝わせるように。我々はこの任務をある種のトライアル・ランとして利用している。
P-7 チャーリー: 了解。ライナー、爆薬2本を顕現しろ。取り付けて爆破する。
(P-7 ライナーが従い、チームは爆薬を爆破する。)
P-7 トレバー: ヘイ、ジェイラ。このボウズがこのまま行ったらお前はクビになっちまうぜ。
S-3 モーガン: 今なら全員進めるはずだ。
(チームは地下1階に入る。彼らの入った部屋の壁にグラフィティは少なくなっているがより多くの奇跡術的記号がある。)
P-7 チャーリー: モーガン、我々が見ているこれは何だ?
S-3 モーガン: 沢山の増強ルーンだ。その中の1つは材質を壊れにくくしてるな、他のは知覚を強化しているし、また別のは早く動けるようにしている。誰かあれらの影響を感じてるか?
P-7 リコ: ネガティブ。
P-7 ライナー: 俺は違う。
P-7 チャーリー: いんや。
P-7 ジェイラ: ノー。
P-7 トレバー: 俺は感じられないな。
S-3 モーガン: ルーンの上のセリフが意味しているのは、特定の実体かあるいは実体の種類を対象に取っているようだな。
P-7 トレバー: 報告書には外から見える記号と別次元に行くことについて話していたホームレス以外に何かこの場所について書いてたか?
P-7 チャーリー: いや、書いてないな。司令部、ビルのサーマルスキャンで何か判読しちゃいないか?
サイト司令部: ネガティブ。
P-7 チャーリー: ジェイラ、この部屋をクリアリングしろ。こっちは隣の部屋を偵察して他の実体がここにいるかどうかを判断するからな。
P-7 ジェイラ: 青二才は私と一緒にいるのか?
P-7 チャーリー: 彼は我々と一緒に行く。グラハムは多分彼がプレッシャーの掛かる状況でどう振る舞うのかを我々にテストしてもらいたいんだろう。
(P-7 ジェイラは部屋に残り、チームの残りは当該階の残りの部屋をクリアリングする。無関係な10分間の会話は転写から除去されている。P-7 リコが最後の部屋に入室する。この部屋には背後の壁に寄り掛かったフレームレスミラーがある。)
P-7 リコ: ヘイ、何かここにあるぜ、ボス。
P-7 チャーリー: 司令部、リコが見たところほぼ無傷の鏡を発見した。
サイト司令部: 君たちはエンゲージしてそれが異常であるかを判断する許可を与えられている。
P-7 チャーリー: 了解。
(P-7 チャーリーはガラスに手を押し付ける。彼の反射像は彼を真っ直ぐに見つめているようであるが、P-7 チャーリーは接触している表面を直接観察している。P-7 チャーリーは不意に鏡に圧力を掛け、彼の反射像は驚いた表情をして腕を曲げてから視界から歩いて出ていく様が見られる。)
P-7 トレバー: さて、あれだなぁ。
P-7 チャーリー: 司令部、我々は異常な物品を確認した。これが我々の探しているポータルなのか?
サイト司令部: それではなさそうだ。地下2階に続いて行きなさい。
P-7 チャーリー: 了解。ジェイラ、お前の所に戻ってから次の階に入る。
P-7 ジェイラ: 了解。
(チームは再編成し階段に入る。地下2階から不明な実体の脚を引き摺る音が階段まで聞こえてくる。チームは停止する。)
P-7 チャーリー: 司令部、助言を。
サイト司令部: 進みなさい。
P-7 チャーリー: 皆、武器を用意しろ。ライナー、背後につけ。
(P-7 チャーリーが階段から地下2階に入り、部屋の視覚スキャンを行う。暗闇のため検出は難しくなっているが、実体は確認されない。床と壁にグラフィティとゴミはない。)
(P-7 チャーリーはチームの残りに合図して進行し、肩にマウントされた明かりを起動する。チームは唯一の扉に近付く。そして大きな金切り声が聞こえてから超高速で隣接した廊下から怪物が戸口を通過してくる。怪物はおよそ全高1m、全長2mのクモに類似したものである。怪物の頭部は眼と認識できるものまたはそれに相当する器官がないことを除けば一見禿頭の人型である。)
(チームは階段の入口まで撤退する。)
P-7 チャーリー: モーガン、上階のルーンがあのものに適用されていた尤度はどうだ?
S-3 モーガン: 極めて高度だ。そのスピード、知覚、そして耐久性が増強されている。
P-7 トレバー: 「耐久性」の定義は?
S-3 モーガン: 物理的地下ではあまりダメージをあれに与えられないだろう。つまり原則的に弾丸は使えない。
P-7 トレバー: ああやばいな。
P-7 チャーリー: 司令部、報告書にはこの階はただこの部屋と廊下と広い中央部屋だけとあったな?
サイト司令部: そのはずだ。
P-7 チャーリー: 我々の目標は中央部屋に辿り着くことだ。廊下に入り口があるはずだ。だから我々はクモを立ち退かせる方法が必要だ。トレバー、お前は手伝いたいよな?
P-7 トレバー: そうするって知ってるだろ。
(P-7 リコが廊下南端の敵対的実体を、P-7 チャーリーが廊下北端を観察しつつ、チームは廊下に入る。廊下の両端に東に向かう曲がり角が見える。チームは北に約5m進み、P-7 リコの視界に東側の廊下から実体が曲がって彼らに向けて進行してくるのを捉える。)
P-7 リコ: トレバー、俺の方向に1体見つけた、素早く来るぞ!
(P-7 トレバーが実体に向き直り、支給された火炎放射器を使用する。実体は炎に包まれ、火が消えて炭化した死体を晒すまで大きな金切り声を上げる。複数の金切り声が素早く脚を引き摺る音と共にビルの他の場所からチームの居場所に集結するように聞こえてくる。)
P-7 ジェイラ: チッ、トレバー。あっちの方をカバーして。私たちは弾で足止めする。
P-7 チャーリー: ライナー、お前の火炎放射器を使って廊下を進む間こちら側をカバーしろ。
P-7 ライナー: 了解。
(チームは北に進み、実体の抵抗に遭遇する。3体が南側からP-7 トレバーに向かって接近し即座に処理される。2体が北側から接近し、P-7 チャーリー、P-7 ジェイラ、そしてS-3 モーガンが従来の火器により実体を抑止した後P-7 ライナーにより無力化される。)
(チームは角を曲がり、中央部屋の入り口に行くまでに5体以上の実体を素早く処理する。部屋の壁は奇跡術的記号で覆われており、床には未特定の赤い液体の巨大な丸い模様がある。)
P-7 トレバー: チッ、全部ぶっ殺しちまったのか?楽しくなってきた所だってのに。
P-7 チャーリー: トレバー、静かにしろ。
(P-7 チャーリーの肩にマウントした明かりが部屋の隅に蹲る子どもを照らし出す。薄い白いドレスに身を包んだ女性であるように見える。)
S-3 モーガン: チッ……
P-7 チャーリー: 司令部、報告書にこのビルでの何かカルトの活動への言及はないか?
サイト司令部: ネガティブ。
P-7 ジェイラ: 私が近付いても?
P-7 チャーリー: 行け。
(P-7 ジェイラは肩にマウントされた明かりを消し、眼を合わせるように身を屈めて子どもに接近する。腕と脚に様々な傷と切り傷が見られる。)
P-7 ジェイラ: ヘイ、大丈夫?
(子どもは返答しないが、頭を上げてP-7 ジェイラを見る。)
P-7 ジェイラ: どうやってここに来たのかわかる?
子ども: わたしは図書館にいました。
P-7 ジェイラ: あら?どこの?
子ども: 遠い所で、でも、とても近くにあります。
P-7 ジェイラ: うーん……
P-7 リコ: チャーリー、これは間違いなくなんか悪魔のクソだってことを念を押させてもらうぞ。
子ども: わたしは追放されました。知識から離され、囚人となっていました。神秘的な棚の下の暗い場所に追いやられて潜んでいました。
(子どもは立ち上がろうとするもP-7 ジェイラが子どもの額に火器の照準を定めたため止められる。)
P-7 ジェイラ: 私があなたならそうはしない、可愛い娘ちゃん。
子ども: あなたでは彼らほどにはわたしに害を加えられません。たとえあなたの弾丸が私を貫けたとしても、磐の下で私が味わった辛さと比べれば取るに足りません。
P-7 チャーリー: ジェイラ、撃て。
(P-7 ジェイラは子どもの額に1発放つ。それは後ろによろめいてから絶叫を放ち、その肉体が醜悪になり始め、以前遭遇した実体に類似したクモに変身する。その新しい形態は概ね全長及び全高5mになる。P-7 ジェイラはその結果弾かれ、それが地上で身悶えしたためその下敷きになる。)
P-7 ジェイラ: クソ、どけっ!
(チームは実体がバランスを取り戻すまで約10秒間交戦する。弾丸はほとんど効果がなく、P-7 トレバーとP-7 ライナーの出す火焔が苦痛を引き起こしているように見えるが、実体を阻むには至らない。それは身を持ち上げ、口を用いてP-7 ジェイラの右足を掴んで持ち上げる。このプロセス中に右足は破壊される。それはP-7 ジェイラを丸い模様の中央へと引き摺って運び、彼女の脚を切断し始める。これによりP-7 ジェイラは意識を失う。この時点で壁の奇跡術的記号が柔らかに輝き丸い模様のある床が脱物質化し始める。5秒後、床は薄汚いレンガの壁と床のトンネルが見える不明な場所へのポータルになる。P-7 ジェイラと実体はポータルに落下する。)
P-7 トレバー: クソ!ジェイラ!
P-7 リコ: お仲間が来やがった!
(20体の小型クモ型実体がチームの背後の廊下から現れる。P-7 トレバーが火炎放射器を使用し、S-3 モーガンが奇跡術的能力を行使して20体中10体のクモを無力化するも、チームは圧倒される。S-3 モーガン、P-7 トレバー、P-7 チャーリー、そしてP-7 リコが5実体によりポータルに引きずり込まれる。そしてP-7 ライナーは残りの5体を急造火炎放射器で終了することに成功する。)
(この時点において、サイト司令部と残りのチームとのコネクションが断続的に失われ再確立される。)
サイト司令部: ライナー、聞こえるか?
P-7 ライナー: 聞こえる。クソッ、なんなんだ?
サイト司令部: 助力なしにどのように残りの実体を終了できたのか?
P-7 ライナー: 俺は、うーん…… 上の階で見た記号を覚えていたんだ。それで記号が刻まれたテープを少し顕現してスーツに貼り付けたんだ。だから…… スピード、知覚、ミスディレクション…… あとは何だっけ?
サイト司令部: ライナー、ポータルはまだ開いているか?
P-7 ライナー: ああ、開いてる。レンガのトンネルが見える。本当に暗いな。
サイト司令部: 任務は中止だ。ビルのバックドアに即座に戻り回収を待機しなさい。
P-7 ライナー: あの…… しなくちゃいけないのか?
サイト司令部: はい、あなたは待機しなくてはならない。従わないことは結果として
P-7 ライナー: うーん、聞いてくれ。俺は行くよ。ヒーローならそうするもんだろう?ヒーローは窮地から救う為に上司に逆らうもんだろう?
サイト司令部: 不服従はほぼ確実にあなたが二度と他の任務に選抜されなくなることを意味する。
P-7 ライナー: わかってる。だけど…… 彼らはまだ遠くにいってるはずがない。最低限でも、俺はあんたたちのために他の場所を探索できるさ。
(サイト司令部とP-7 ライナーのコネクションは彼がポータルに進入すると失われる。機動部隊プサイ-7からの追加人員からなる支援チームに回収命令が下される。30秒後コネクションが再確立される。)
(P-7 ライナーが肩にマウントされた明かりで前方を照らしてレンガのトンネルを走って進んでいる様である。)
サイト司令部: コネクション再確立。ライナー、何処にいる?
P-7 ライナー: 上に1人。引き摺っているのが聞こえる…… クソ、あれはモーガンか?ヘイ!
(P-7 ライナーの肩にマウントされた明かりがS-3 モーガンを吊るしてトンネルの壁に向かって押し付けているアレフ-オーダー半物理的実体3を照らす。S-3 モーガンの身体は壁のレンガ構造と融合しているようである。このことは極度の苦痛を齎しているが、未知の理由によりそれを声に出すことはできていない。トンネルの先に2等分されたクモ型実体の死体がある。)
(P-7 ライナーは支給された火器を取り出し実体に向けて5回発砲する。全弾とも実体に命中していないように見えるが、3発はそれが占める空間を通過していた。実体はS-3 モーガンに向けていた頭を回し、S-3 モーガンを壁から吊るしたままP-7 ライナーに接近してくる。P-7 ライナーは「火焔」を顕現し、火炎放射器の照準を実体に合わせる。実体は燃えていないようにみえるがそれとは関係なく後退する。その形が炎の光により崩れているように見える。)
P-7 ライナー: モーガン、眼を閉じろ!
(S-3 モーガンは返答できなかったが眼を閉じ、P-7 ライナーから顔を背ける。P-7 ライナーは別の物品を顕現し、目映い光がトンネル内に生じ、一時的にビデオを無効化する。閃光の影響が消失した後、実体は観察されず、恐らく退隠したか終了されたものと思われる。)
サイト司令部: ビデオが再確立された。
S-3 モーガン: 司令部?
サイト司令部: モーガン、壁から自分で出られるか?
S-3 モーガン: クソッ、できない。俺の腕と壁が一緒になっちまったみたいだ。
(P-7 ライナーが他の怪我に対して治療をしている間サイト司令部はS-3 モーガンの回収方法について議論する。)
サイト司令部: モーガン、腕を完全に除去することに同意してくれるか?
S-3 モーガン: それ以外にどうしろって?他のチームがここに来てくれるまで待つって?クソ喰らえ。
P-7 ライナー: 俺にその処置をしてもらいたいのか?
サイト司令部: 「レーザー」を顕現し、あなたの近くのクモの死骸でそれを試しなさい。
(P-7 ライナーは従う。顕現したポータルはクモの肉を切り裂き、即座に負わせた傷を焼灼する明るい赤色のビームを産出する。)
P-7 ライナー: よし、うん。これなら早いはずだぞ。何か欲しいものは
S-3 モーガン: さっさとやってくれ。大丈夫だ。
(P-7 ライナーは再びレーザーを顕現し、S-3 モーガンの腕を肩から切り離すことに成功する。肩は焼灼され、S-3 モーガンは極度の苦痛を示す。)
サイト司令部: ライナー、痛み止めを顕現しなさい。できればあなたの任務前資料で言及されている種類のものを。
(P-7 ライナーは指示に従ってS-3 モーガンに痛み止めを注射する。S-3 モーガンはそれから60秒間極度の不快感を口にする。)
S-3 モーガン: ジーザス…… OK、もうだいぶマシになってきた。
P-7 ライナー: 他に怪我はないか?
S-3 モーガン: 正直言うとな?あんなのを経験するともう何をやってもあれほど痛むことはないと思うほどだ。
P-7 ライナー: オーライ。ここから去ってポータルを通じてビルに再入場するのと、あるいはトンネルを進み続けるのとどっちをしたい?
S-3 モーガン: 司令部、あんたらはレスキューチームを派遣しているのか?
サイト司令部: チームは招集されており、現在ビルまでの途中にいる。潜在的問題を低下させることになるのは、もしあなたが
S-3 モーガン: よし。そいつらにライナーと俺がトンネルを進むと伝えてくれ、俺たちのチームの後を追うとな。
サイト司令部: このとんでもないプロトコル違反について何かしら特別な言い訳はあるか?
S-3 モーガン: えー…… ああ。それでも秘密にしときたい。
サイト司令部: 君の選択を記録しておくが、任務後に君の行動を審査する人対してそれで十分なのか疑わしい所だ。
S-3 モーガン: 聞いてくれ、俺は元・手だ。俺が現役だった時、放浪者の図書館について特によく知悉しているってわけでもなかったが、それでもいくらかは知ってるんだ。財団は現在図書館にアクセスすることを禁じられているな。これは望ましくない団体に対する大変標準的な手続きだ。あのチャーリーと残りを持ってったクモ女郎は、図書館の関わった範囲では財団よりたちが悪いんだ。
サイト司令部: このプロトコル違反についての単純な理由を言ってくれないか?
S-3 モーガン: そうだな、確かに。あのものは図書館に押し入ろうとしていて、止める必要があるからだ。言うなれば、うーん…… 「非戦闘員保護」だな。
サイト司令部: 記録した。
S-3 モーガン: よしきたボウズ。お前さんは以前マジックとやりあった経験は?
P-7 ライナー: ない。あなたは歩けるのか?
S-3 モーガン: 手を貸してくれ。ちょっと見てみよう。
(P-7 ライナーはS-3 モーガンが立ち上がるのを補助する。)
S-3 モーガン: 司令部、うー…… ヨシ、アドレナリンが降りてきた。
(P-7 ライナーはS-3 モーガンを支え始めてトンネルを歩いて進んでいく。)
S-3 モーガン: 分岐点が前にあるんだ。チームの残りを右側に連れて行ったのを俺は見たんだ。
P-7 ライナー: 了解。気分は良くなってきたか?
S-3 モーガン: なってきた。
P-7 ライナー: ただ、もし痛んできたなら、痛みとは反対のことを考えるんだ。
S-3 モーガン: 反対?
P-7 ライナー: 痛いの痛いの飛んでいけとただ考えるより役立つ。痛みの逆だと考えるんだ。いや、それじゃわけがわからないな。すまない。
(両者とも数秒間沈黙している。)
S-3 モーガン: お前さんは戦闘中傷を負ったのか?
P-7 ライナー: 腕にあるこれのことか?
S-3 モーガン: ああ。お前が光を顕現させて俺を攻撃していたあれを殺す前に見えたんだ。
P-7 ライナー: いや、これは以前負ったものだ。
S-3 モーガン: 俺の奇跡術で直せると思う。いや…… 直せたんだったな。片腕じゃあタイプ・ブルーとしてやっていくのは難しそうだ。
P-7 ライナー: 魔術師であるってのはどんな感じなんだ?
S-3 モーガン: いいぞ、まず始めはな。てめえが世界の頂点に立っているかのように感じるんだ。すると誰かが見出してくれる。てめえは彼らに静かにしてくれるようお願いするが、もちろんそうしてはくれない。そしててめえは図書館に行くことになる。何故って他に何処に行けばいいんだ?
P-7 ライナー: 図書館では孤独だったのか?
S-3 モーガン: 一人きりで、読む本もなかったら、そうだ。それは恐ろしいことだ。てめえは周りに他者を見ることができる。宇宙の叡智を受け入れて棚の間で幸福に、そして自由に生きている連中だ。だがてめえはてめえ自身の疑心に囚われているんだ。至る所でノンバイナリー4ってカミングアウトするようなもんさ…… 待て。
(両者は全く動かずにトンネル別れ道を観察する。2実体が右側にいる。1体は浮遊し、ズタボロになった外套に覆われ中身はぼんやりとしてよく見えないようである。もう1体の形は局地的現実歪曲が囲っているため観察不能であるが、人型らしさがあるようにも見える。2実体はお互い敵対的関係である。)
S-3 モーガン: チームを追いたいってんならこの2体を通り過ごさなくちゃいけないな。図書館のシュラウドが消える前に見た覚えがある。あれは書かれた単語を特に嫌っていてな、その布の下の忘却に文学を吸い込もうと努力しているんだ。
P-7 ライナー: それでもう一方は?
S-3 モーガン: よくわからん。図書館で読んはずだが…… まあ、長いこと図書館に行ってないからな。あれは……現実を「書き換える」実体、だと思う。両方とも図書館に収容されている知識に対する高レベル脅威で、結果としてここに送られたんだ。
P-7 ライナー: 闘う際のアドバイスは?
S-3 モーガン: 物理的な力は特に効果的という訳ではないだろう。俺に奇跡術を使わせることをオススメするが、いつもよりちょっとブルースペル発動が遅くなるだろう。俺たちのどちらかが…… お前さんのスーツにあるそれってなんだ?
P-7 ライナー: 数巻のダクトテープだ。上の階で見たルーンが刻まれてるように顕現したんだ。
S-3 モーガン: ……
P-7 ライナー: 悪いのか?
S-3 モーガン: それは…… 独創的だな。俺たちのゴールはあいつらに気付かれずにやり過ごすことのはずだ。残念だが奴らがやり殺し合い始めるまで待たなくちゃいけないって訳だ。司令部、2番目のチームがビルに到着するまであとどれぐらいだ?
サイト司令部: 約5分だ。
S-3 モーガン: 了解。準備は良いか、ライナー?
P-7 ライナー: 大丈夫。
(2人は実体がお互いの周りを回るのをボロ姿がそのローブを開くまで観察している。複数の孤立した空間的捩じれがボロ姿の周囲に形成されるが布の前面を外すと同時に突然無効化される。2番目の実体はこれに攻撃的に反応し、可視光域から消え失せ、ボロ姿の布の上に複数の奇跡術的記号が観察される。記号は赤く輝き、ボロ姿は興奮したように振る舞いローブを全て取り外して捨てる。捨てられたシュラウドは爆破され、S-3 モーガンとP-7の近くの壁の一部が破壊される。)
S-3 モーガン: オーライ、出来る限り素早く駆けろ。
(P-7 ライナーはS-3 モーガンを助けながらトンネルを走る。実体たちの横を通り過ぎる際、両者に気取られるが追いかけようとはしなかった。P-7 ライナーとS-3 モーガンは恐らく元ボロ姿が発した悲鳴が聞こえた後さらに3秒間走る。)
S-3 モーガン: シュラウドは俺たちを吸い込みかけていた。
P-7 ライナー: なにをしかけていたって?
(大声がトンネルに響き、不可視の力がS-3 モーガンとP-7 ライナーを2実体の方に引き寄ているようである。S-3 モーガンはその奇跡術的能力を行使して影響を打ち消そうと試みる。両者ともトンネルの床から後ろに引き寄せられ、元ボロ姿が観察される。それは物質的な黒い触手の塊であるように見える。)
P-7 ライナー: モーガン!何をすれば良い!
S-3 モーガン: できれば俺の腕を掴んで離さないでくれ。
P-7 ライナー: クソッ!クソッ!
(S-3 モーガンは以前負った怪我のため不可視の力に抵抗できず、実体の方に急速に引き寄せられる。P-7 ライナーはレンガの床を掴んでいた手を離し空中でポータルを顕現する。顕現オブジェクトの形に一貫性はないが白い触手の連なりであるように見え、可視光域から出たり入ったりと変化している。顕現オブジェクトはS-3 モーガンとP-7 ライナーより高速に実体に接近し、実体と接触するやいなや消滅する。敵対的実体も同様にその位置を特定できなくなる。S-3 モーガンは地に落ちるが傷付かない。両者ともに数秒間沈黙している。)
S-3 モーガン: ボウズ、あれは一体なんだってんだ?
P-7 ライナー: お、俺はパニクった。あれがあなたをほとんどパクりかけてるのを見て…… どれほどあれにあそこにいてもらいたくないのかを考えたら…… くそ!見ろ!
(P-7 ライナーの身体の周囲に複数の局所的空間捩じれが現われ、サイト司令部とのオーディオ及びビデオコネクションが失われる結果をもたらす。S-3 モーガンのビデオも同様に影響を受けるが、オーディオによるとS-3 モーガンは数秒後に残りの実体を解呪する。)
サイト司令部: コネクション再確立。
S-3 モーガン: 聞こえるぞ、司令部。ボウズ、大丈夫か?
(P-7 ライナーは極度の苦痛と涙を堪えているかのような音を声に出す。)
P-7 ライナー: 俺はあの男を殺したのか、モーガン?
S-3 モーガン: あれは人間じゃなかった。あれは叡智を毀損することにその存在を捧げた外道だった。
P-7 ライナー: 俺は顕現した…… オー・ゴッド、俺はあれの正に正反対を顕現したんだ。空間と材料において。現実のものと相殺されなくちゃいけないもので、そして今あいつらはただ存在しなくなったんだ。
S-3 モーガン: 司令部、気が変わった。俺は任務を中止する。チャーリーのことならきっと既にクモをなんとか殺していることだろうよ。
サイト司令部: 却下する。モーガン。
S-3 モーガン: 何?
サイト司令部: エドワーズ博士が現在この探索のビデオを閲覧している上、作戦を続行せねばならないことは極めて明らかだ。
(P-7 ライナーはエドワーズ博士に言及された瞬間明らかにたじろぐ。)
S-3 モーガン: 俺がサイト-17で安全で健全に座っている研究者なんかの言う事を聞くと思ってんのか?
サイト司令部: エドワーズ博士はSCP-4051プロジェクトの現管理官であり、サイト管理官グラハムよりこの作戦の権限を与えられている。
(S-3 モーガンは数秒間静かに熟考してからP-7 ライナーに向き直る。)
S-3 モーガン: 立てるか?
P-7 ライナー: ああ。
S-3 モーガン: 任務を続行する。チームの残りからそこまで遠くはないはずだ。俺の後ろにいろ。
P-7 ライナー: 了解。
(2人は静かにトンネルを進み続ける。4分間歩いた後、両者のオーディオ機器がトンネルの先から響くもがく音を検出する。)
S-3 モーガン: ボウズ、うー、大丈夫か?
P-7 ライナー: 俺は大丈夫さ。あなたは?
S-3 モーガン: 大丈夫。腕の傷はどうして負った?
P-7 ライナー: 言いたくないね。
S-3 モーガン: なんでだ?
P-7 ライナー: ただ言いたくないのさ。
(1分間の沈黙。)
P-7 ライナー: 収容違反でやっちまったんだよ。彼らは時々サイトのお手伝いのために外に出してくれるんだ。で、アノマリーがセッション中に出てきやがってな。デカブツで、沢山の爪があったよ。守衛がぶっ殺す前に俺の腕を引っ掻いたわけだ。
S-3 モーガン: オーライ。そんな経験をさせちまってすまない。
P-7 ライナー: こちらこそごめん。
(複数の揺れがトンネルの一部を揺らす。)
S-3 モーガン: 急がなくちゃな。
(S-3 モーガンとP-7 ライナーがトンネルを駆ける。そうしているとトンネルの壁は空間操作を受け始め、伸び縮みを繰り返し行う。)
P-7 ライナー: お出ましだ。
S-3 モーガン: 後ろにつけ。
(巨大な異常実体の頭部がレンガから出現するために空間操作は床の特定の領域において強まっている。実体は人型であるように見え、トンネル全体をその姿が占めるまでせり上がり続ける。その身体は概ね全高20mであり、その周囲の壁と天井を歪曲させる必要がある。前腕と胸に複数の未知のルーンと図が黒い物質で印されているがその肌は純白であるように見える。)
未知の実体: 吾を封じる百の鎖、吾の前にはさらに百の鎖。
S-3 モーガン: お前のこれまでの道は除かれたから長く留まらなくちゃいけないんだろ?
未知の実体: 吾は不幸を防ぐ者として来た。お前が背にする者は疑いの陰にあり、吾のよく知るものである。望みを叶える者であり、吾もまた前世においてはそうであった。生来の他者の奴婢であり、ある時1人が破滅の言葉を話し、全てが破滅した。「放浪者の図書館の破壊を私は願います」とな。この償いの内に、吾は同類の魂を感じたのだ。
S-3 モーガン: お前の贖罪は未だ終わっていない、お前の力はお前の手に未だ余る。お前は俺たちが通るのを邪魔することは許されない。
P-7 ライナー: あなたと俺の間に似ている点が見当たらないんだが。5
S-3 モーガン: ライナー、静かにしろ。
未知の実体: 自由な男ひとよ、顧みたことはあるか?肉体的にも精神的にも君は雁字搦めに絡まっているのだと?
P-7 ライナー: 俺は
S-3 モーガン: [小声であるため発言は判別不能。]
(P-7 ライナーの頭の周りに複数の奇跡術的記号が顕現し、彼を沈黙させる。実体の眼が輝きP-7 ライナーに向かって傾ぎ、その指で複数のルーンを操作しているようである。ルーンは輝いて消滅し、S-3 モーガンの周囲に再出現して効果的に彼らを麻痺させる。)
P-7 ライナー: 俺は、自由で、俺自身の性質を知ってる。
未知の実体: 君は疑いにより損なわれている。君の心は逡巡の煮えたぎる海だ。
P-7 ライナー: そして俺は自由だからやり遂げられるんだ。
未知の実体: 君は間違っている。外からの束縛は君の手を強制する。
(実体はP-7 ライナーに手を伸ばし始めるが、P-7 ライナーが「火焔」を顕現したため弾かれる。その手を引き込め、直立姿勢に戻る。その肌の黒いルーンが赤く輝き始める。)
未知の実体: 吾が永遠の地獄において、吾のものでなき罪への償いを探してきた。同類の魂に吾と同じ苦しみを許すことはできない。
(P-7 ライナーの居場所の周囲の現実が歪曲し始め、ビデオコネクションが失われる。S-3 モーガンは魔術性麻痺から解放され即時に不安定になりだしている実体に対して発砲する。実体は効果を受けずにP-7 ライナーを囲む局所的現実歪曲に消散する。P-7 ライナーは急激な苦しみと痛みに声を上げる。)
P-7 ライナー: 俺は奴隷[判別不能]。[判別不能]はそれらが必要だ。俺は[判別不能]できない。
(歪曲した空間が上下しているように見え、S-3 モーガンは安全な距離まで撤退する。)
P-7 ライナー: 同じように俺はお前の奴隷にはならない! [判別不能]
S-3 モーガン: 司令部、こちらアドバイスが必要だ!
サイト司令部: 検討中だ。
(複数の揺れがトンネルを揺らし、P-7 ライナーは極度の苦痛の声を上げる。歪曲の上下動が増し、トンネルの壁が急激な伸び縮みをし始める。)
S-3 モーガン: 今すぐ答えが必要だ!
(特定不能なルーンによる円がP-7 ライナー周辺の床を囲み、輝き白い稲妻を放電している様が見える。この白い稲妻は前方面の歪曲空間に攻撃する。P-7 ライナーの近くの壁の部分が崩壊し、トンネルの構造的完全性に未知の損傷を引き起こす。)
サイト司令部: P-7 ライナーのタイプ-S "スロウ・バーン"記憶処理緊急発動を開始する。3、2、1。
(この時、P-7 ライナーの周囲の全異常現象が停止し、P-7 ライナーは意識不明で地に落ちる。)
S-3 モーガン: 彼はどのぐらいこんな感じなんだ?
サイト司令部: 順応に掛かる時間は概ね
(突然、P-7 ライナーは意識を取り戻し、外見から判断すると記憶処理薬の残存効果がある程度邪魔しているようであるが即座に起立する。そしてトンネルを走り始める。)
S-3 モーガン: ライナー、待て!
(S-3 モーガンはP-7 ライナーのペースに追いつけず、程なくして置いていかれる。)
P-7 ライナー: 頭から出てけ、頭から出てけよ!
(P-7 ライナーは物体を顕現し、彼の半径30m以内の全てのレンガの壁が突然崩壊する。小道が露わになり、巨大なクモの怪物が終端に見られ、視界から消失する。)
P-7 ライナー: 今捕まえるぞ!
(小道の終端の広い部屋に入るまでP-7 ライナーの歩調は早まる。部屋は完全にレンガで構成され、数階分の高さがある。室内ではP-7 リコ、P-7 トレバー、そしてP-7 チャーリーがクモの怪物と交戦している様が見られる。床には赤い液体で描かれ、中央にP-7 ジェイラの肉体の置いてある精密な図案が作成されている。様々な既知と未知の言語の文字が図案の境界から顕現している。)
P-7 トレバー: ライナー!何が起きた?
(巨大な人型実体が集団の頭上に再形成し室内に吊られて立ったため、P-7 ライナーは叫ぶ。全員を見下ろすとその眼は輝き始める。)
P-7 ライナー: こいつを喰らえ!
<ログ終了>
セラピーセッション4051-59の転写
前書き: SCP-4051はイエセニア博士とユニットの音声監視システム経由で会話しながらも収容ユニット内に留まり続けています。
<ログ開始>
イエセニア博士: ライナー?聞こえますか?
SCP-4051: おー!イエセニア博士!調子はどう?
イエセニア博士: ぼちぼちですね。そちらはどうですか?
SCP-4051: 良い感じだ!任務から戻ってきたばっかりなんだ。
イエセニア博士: あら?話してもらえますか?
SCP-4051: 沢山の人を助けたんだ。クモとバトってね。ジェイラとトレバーとリコを救助したんだ。それに俺のアノマリーについて更にわかったことがあるんだ!
イエセニア博士: あらあら?わかったんですか?
SCP-4051: ああ!俺はそいつの反対のものを作ることでそのものを駆逐できるんだ。壁とか、敵とか、モンスターとかだな。多分メンテナンスする際には、俺は掃除
イエセニア博士: ライナー、あなたのメンテナンスセッションは無期限に取り消されています。
SCP-4051: 彼らが…… 彼らがなんだって?
イエセニア博士: 財団全体とそして世界に対してあなたが現に示した脅威のため、私たちは最早あなたを収容ユニットから出してあげられません。
(SCP-4051は数秒間沈黙してから起立し、繰り返し頷きながら部屋を歩き回り始める。)
SCP-4051: それは確かに。なるほど。申し訳ない。
イエセニア博士: あなたは何に対しても申し訳なく思う必要はないのですよ。
SCP-4051: まだ、俺はあなたたちの助けとなれるか?
(数秒間沈黙が生じる。)
イエセニア博士: ただここに居てくれるだけで助けになるのです、ライナー。
SCP-4051: いるだけでか?
イエセニア博士: ええ、いるだけで。ですがもっと大事なこととしては、あなたは…… あなたは私たちを必要としています。
SCP-4051: ああ、わかってるよ。俺にはあなたたちが要る。それはわかってる。俺は…… 慰めてくれてありがとう。
イエセニア博士: どういたしまして、ライナー。一旦さようなら。
SCP-4051: バイバイ、イエセニア博士!
(SCP-4051は部屋の角に座り微笑み、そこに留まる。)
<ログ終了>
To: 研究員 デイビッド・エドワーズ
From: サイト管理官 トーマス・グラハム
Subject: クリーンナップ
エドワーズ君
以下は倫理委員会連絡員ジェレミア・シメリアンが君の監督下に置いたアノマラスオブジェクトであるSCP-4051が関わったインシデントについての非公式報告書だ。
2013年7月18日1500ヒトゴーマルマル、主に機動部隊プサイ-7 ("リフォーム屋")からなり、しかしSCP-4051と機動部隊シグマ-3 ("書誌学者")から1名を加えた合同機動部隊がイリノイ州シカゴの異常地点に入場した。探索中にチームは意図せず放浪者の図書館の下に位置する異次元空間に侵入してしまった。SCP-4051 彼は自発的に入った を除くチームの全メンバーが強制的にポータルに連れ込まれたのだ。
二次回収チームが用意されている間に、SCP-4051の精神から敵対的実体を追放しようとしてスロウ・バーン記憶処理が通常より早く起動された。この行いによりほぼ完全にSCP-4051の精神的安定性が崩壊してしまった上、SCP-4051が適切に「描写」できるあらゆるオブジェクトの「逆」を今や顕現できることが明らかになった。つまりSCP-4051が理解できるあらゆる材質を破壊しうる能力が与えられたということだ。SCP-4051はこの能力を行使して異次元空間の広範な部分を破壊し、SCP-4051の精神に侵入してきた人型実体と同じく敵対的クモ型実体を無力化した。二次回収チームは中央にSCP-4051のいる直径約100mの巨大なクレーターを報告してきた。SCP-4051は無力化されることに無抵抗だった。
以下は初期探索試行に関与した全エージェントの公的状態だ。
チームリーダー P-7 チャーリー: 存命。現在別の場所に派遣されている。
P-7 トレバー: 療養中。復帰に2週間掛かる見通し。
P-7 リコ: 療養中。復帰に1週間掛かる見通し。
P-7 ジェイラ: 戦死。
S-3 モーガン: 療養中。復帰に3週間掛かる見通し。
SCP-4051: 収容中。
このインシデントはSCP-4051のKeterへの即時再分類をもたらし、その現在の収容室には万一それが収容違反を試みた場合に備えての予防措置が用意されている。全関連職員に我々が直面している新たな状況について説明すると共に特別収容プロトコルを更新する必要もあるだろう。
当然ながらこのインシデントの公的報告書はまた違う風に解釈されるだろう。この反響に関して言うならば、大義のために目を瞑ることを最早してくれない倫理委員会は、SCP-4051にまつわる全プロトコルとプロジェクトに対する即時再調査を行うだろう。申し訳ないがエドワーズ君。私は君をもう守ってやれそうにない。
SCP-4051が君の兄に仕出かしたことについて残念に思っている。ロズウェル博士はこのサイトの最も優れた研究員の1人だった。私は我々皆が悲しみ、そしてまた君を含むそれぞれがその悲しみに異なる対処法を見つけたのだということも知っている。
良い人生を、エドワーズ君。
NEW MESSAGE!
To: サイト管理官 トーマス・グラハム
From: 研究員 デイビッド・エドワーズ
Subject: Re:クリーンナップ
グラハム
地獄に堕ちろ、クソ野郎。