空白(ハブ) » 蛇の拘束 \\\ 証拠提示
図書館命令
このフォーマットは終末を記述するために司書長により徴発されます。
この措置は利便性の為に執られています。蛇の手との繋がりは――まだ彼らが意味ある形で存在していると言えるならば――意図されていません。
終末1
図書館の空白
概要
終末は自明です。
それは、本棚に落ちる埃の音の中に聞こえるでしょう。かつて全世界から来た放浪者達がここのホールで楽しんでいましたが、今や図書館は静まり返っています。
それは、堕落王列伝第7巻――好奇心旺盛で後に1043頁に変えられた旅人が開いたものです――の上の淀んだ空気中に見えます。ページはその巻を本棚に戻して良いのかわかっていません。
それは、中央ホールが嘲笑する青褪めた絶命光に照らされていることから解ります。私たちの中でも感知できる者は、この場所を避けています。その訳はここを通るとき、あの光が墓の光であり外側から裂かれたものであると理解してしまうからです。
イラストレーション
放浪者のいない図書館
知識
特徴: 終末とは1,143,837,925サイクルの正午に発生した図書館の訪問者の脱物質化のことでした。この時より図書館に入館するか司書長に連絡を取ろうとする個人はいなくなりました。結果として1千2百万冊の貸出本が現時点で返却期限を過ぎています。2
多元宇宙全体の現状は不明であり、次元境界を超えて探索を行うには図書館は現在準備不足です。3終末の原因は未だ不明であり、その効果と理由は図書館の本棚と関連組織の中には記録されていません。
性質: 消された人々の同意を得ずにこの終末が引き起こされたと推測されており、悪意あるものだと判断されます。可能性は低いですが同意を求められていたのならば、司書長の親友たちが差し迫ったそれらを妨害するために報せてきたでしょう。4
そうでないと証明されるまでは終末は知識に対する敵対行動であると推定されます。探索者がいないならば図書館中の真実は何にもならず、触れられないままです。5
歴史と関連組織: 終末は財団の長期プロジェクトの成果であると相当高率に疑われます。6宇宙-ミリオン-ブルー(一時的に蛇の手の本拠地でした)の第MCDIV巻7によりこれが裏付けられました。この本は紀元1911年に財団管理者であるイーサン・ホロヴィッツが抽象的多次元昇天について概念化したことを示唆しています。プロジェクトに関連した文書はこれより後には記録されていません。8
接触: 司書長は終末についてより良く理解するために宇宙-ミリオン-ブルーへの道の門の創造を命令しました。図書館員は自身を旅する者に選出しました。9
観察と物語
終末が発生し、司書長は図書館を囲むエーテルから起き上がった。其は恐ろしくなるほどの静けさを感じた。其は死の鐘の音を聞いたことがあった。顎が外れ、かつてないほど言葉が流れ出した。
「放浪者たちは何処なの?活き活きとした眼で私の庭を見る者たちはいないの?」
返事はなく、蛇は一人きりだった。
蛇腹の下の土はまるで這われなかったかのように冷んやりとして生きた土だった。其は地球をよく知らない訳ではなかった ― 風俗本は全て読破したし、以前楽園にいた時に知っていた。
脚が横から生えてきた。下の土を掴めるようになるまでゆっくりと伸長した。呪いは解かれた。今やこの場所を監視する神はおらず、其のみが看ている。
蛇は暫くの間司書の肩書を忘れて大地をその重みで震わせながら歩いた。
男が若かった頃
時が始まったばかりの頃
蛇は(想像上で)図書館を構築した
だが其の主によって不具にされてしまった
男はこの図書館に来て暮らし始めた
蛇は幸せになった
其は知識の確保者
民衆の収容者
魔導の保護者となった
其は司書長と呼ばれるようになった。
図書館は其を必要としていた。
地球は静かになった。
イーサン
私たちが逢った時、貴男は若く厚かましくって貴男の運命が課す人生によって無感情にはなっていなかったね。額に皺はなく、無精髭もなく、後に沢山野生のミーム殺害エージェントのせいで取り替えることになった義眼もなかったね。貴男は人類種そのものだったよ。
貴男はかつて図書館に来て、貴男は旅で手に入れた肉体と精神を維持する道具を使って何週間も滞在したね。貴男はかつて大きな本に不思議だと驚いていたね。皺のない額をしてきれいな顎をしてくりくりした眼をした貴男は、かつて私にも神秘的だと感嘆していたね。
大きな本で貴男がどう人生を生きたのかを私は読んできたよ。うつろう宇宙を貴男の信念のままに束縛するために財団を作ったのを私は読んだよ。あいつらが貴男を捻じ曲げて義眼を持つモノに変えたのを読んだよ。貴男は問題に遭って、異常性の供物として貴男自身を捧げたね。
イーサン、貴男は何をしてしまったの?
図書館にはもう閲覧者がいないの。本は誰にも触れられずに本棚にあって、誰のためにもならない知識を抱えているの。ページたちは「財団のサイトはそのまま放置され、入り組んだ収容セルには誰も住んでいない」って噂しているわ。
この世界にはもう何もないじゃない。私は深淵の知識を飲み込んて図書館の上に何があるのかを見たの。全てのタイムライン、全ての来世、全ての隠り世で人類は消し去られていたわ。貴男が最初に見つけた道のある山にはね。人類不在の幾千年もの間地球を守ってきた広大な森しかなかったよ。また何千年以上も守るのでしょうね。
サイト-001のサーバー上の貴男のメモを読んだよ。欠けているのがわかったよ。
どこにいってしまったの、イーサン?貴男は皆をどこに連れていってしまったの?もう一度、地球の魂を、爪の間に貴男も感じることはないの?
また私がお腹で這わなくてはならなくなる日が来るまで待つわ。その日になったら私にもわかるからね。図書館がいっぱいになれるってわかるんだからね。
私は観る
私は解る
私は識る
私は蛇