The “F” 10月号
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はじめに

今月はCKクラスシナリオの発生から10年です。これを受け、今回のThe “F”の巻頭企画では大きく混乱が起きた時期に出版された二つの記事を解説します。


財団記録部門出版 『The “F”;90年代の財団』 より抜粋


1998年、ベールは剥がされた。事態の収拾に動員された人数は過去最高を記録し、第一線ではショパンカルトに対する厳しい追及が続いていた。

一方で、後方ではショパンカルトが神格実体の呼び出しに成功した事に対し、疑念を呈する人々が少なからずいた。ショパンカルトが神格実体の呼び出しを行うことは奇跡論的に不可能だった。
これに対し、多くの部門が調査に乗り出した。うち、時間異常部門は“原因”が1998年に存在しないことを究明した。技術不足により、当時遡及的に調査が可能であったのは僅か過去5年間のみだった。しかし、ショパンカルトがイベント・ペルセポネへ準備を開始したと考えられている時期はどんなに早く見積もっても3年ほど前だった。時間異常部門はこの問題を「速やかに解決すべき難問」とし、研究が開始された。また、奇跡論の研究者はアキヴァ放射の土壌へ及ぼす影響に言及した。アキヴァ放射は生物に対して、非常に強いエネルギーを与え、消滅させる。この時消滅した生物は微量な“灰”を残す。この“灰”は触れることが出来ず、常に微弱な奇跡論的エネルギーを発する特徴を持っていた。これが多く堆積した地域はHm値が不安定であり、後の財団指定難病の原因の一つとなったと指摘されることもある。後日、“灰”は発見者の名前を取り、カック灰と名付けられた。




解説


こちらは約20年前、The “F”の創刊号の記述です。当時、ベールの崩壊から約1年。世界はまだまだ混乱を極めており、公開された財団の一部の研究所に対し、テロ未遂が発生する事件がありました。また、“異常”を多くの人が知るところとなり、数多くの要注意団体は潜めていた姿を現しました。
また、財団指定難病制度の前身が確立され、この制度は改良が加えられつつ今日まで引き継がれています。しかし、財団指定難病は長い間研究者間のみで共有されており、一般に広く知られるようになったのは2020年以降です。この制度は画期的と言えましたが、多くの差別と偏見を生みました。(p.276→)
また、カック灰の発見は誇るべき功績ですが、同時にさまざまな影を落としました。例えば、「ポーランド人はカック灰によって汚染されている」「カック灰の含まれた野菜は人体に害を及ぼす」などです。いずれも唾棄すべきデマでしかありませんが、現在の欧州人差別はここから始まったと言われています。(p.7→)




財団記録部門出版 『The “F” 』原本p.70より抜粋


近年、異常な症状を発症する患者数が急増した。これを受け、財団は各政府と連携を図り、財団立の公に対する病院の建設が世界的に進行していた。この動きは世界的に進行し、大きな都市へ行けば必ず見ることができた。

2019年9月13日14時10分。財団は奇妙な投稿がSNSに増加したことを検知した。それらの多くは異常を広く受け入れ、文化として発展していることに対する戸惑いだった。同時に、アフリカ大陸及び南アメリカ大陸のサイトから緊急事態宣言が次々寄せられた。それぞれのサイトは深刻な情報漏洩を主張し、O5に対して迅速な対応を求めた。

奇妙なことに、アフリカ大陸及び南アメリカ大陸の全ての人間がかつて異常とされ秘匿され続けていたことに対する知識を瞬時に喪失し、混乱が発生していた。これに対し、各国首脳は財団に強く抗議した。財団による記憶処理が大陸単位で行われたとし、多くの国を問わずに非難が寄せられた。

その後、財団の総力を挙げた調査が実施された。実地調査を行い、それぞれの大陸の地質を調査した。実測値は、本来想定されるカック灰の量を大きく下回り、1998年のイベント・ペルセポネを経験していないと仮定したときの値とほぼ等しかった。時間異常部門は1998年に発生したイベントと、2019年9月13日の因果を確認した。調査は2019年に原因が生まれ、1998年に結果が"発生"したことを示した。これにより、時間異常部門は意図しない形で長年の問題を解決する運びとなった。

また、二つの大陸では、財団立の病院が全て別の建物へと改変されていた。

財団は2019年10月1日、正式にCKクラスシナリオの発生を宣言した。




解説


当時、CKクラスシナリオは秘匿されており、一般に対して出版されたThe “F”では、一部表現が修正されていました。(p.162→)
この事件は大きな混乱を招きました。世界は異常に対して寛容な姿勢をとりつつありましたが、二つの大陸に住む人々は再び異常に対して無知となる事を強いられました。これに対し、各国首脳は「財団が大陸単位の記憶処理を実行したのではないか」として、激しい抗議が行われました。当時は異常を極端に嫌悪する思想が流行しており、それらの思想は多くの場合、懐古的な思想を同時に孕んでいました。流行に感化された人々は、インターネット等を活用し、「夏鳥思想連盟」を名乗り、大規模な集団を形成しました。夏鳥思想は特に富裕層で流行し、多くの資本家や著名な人々は財団に対する不信感を表明していました。当時財団に対して寄せられた抗議は夏鳥思想が大きく関わっていたと言われています。(p.70→)
一部の夏鳥思想連盟の構成員はアフリカ大陸及び南アメリカ大陸を聖地とし、人口の流入を加速させました。
アフリカ大陸及び南アメリカ大陸では、人口の流入を受け、消費が加速し、高度経済成長を迎えました。しかし、これは貧富の差の拡大を加速させました。(p.82→)

また、財団立の病院が全て別の建物へと改変された影響は大きく、数年間にわたって異常な疾患に対して対応することができませんでした。(p.144→)




編集長のコメント


現在、世界の混乱はより一層大きくなっています。拡大し続ける貧富の差。過激派の夏鳥思想によるテロ。増加し続ける財団指定難病患者。どれもが解決は難しく、恐らくこれからも付き合っていかねばならない問題でしょう。そんな今だからこそ、過去の世界の動きを学ぶ必要があります。例えば、カック灰は植物に取り込まれ、人体に蓄積すると聞いたことはありませんか?これはれっきとしたデマです。この学説は既に20年前に否定されています。どのような理論でこれは否定されたのか?そもそもカック灰はどのような存在なのか?私たちはそれらを易しく解説しています。

過去を知り、今を知ることで情報に惑わされる機会は減っていきます。不安定な世界を生きるために、知識を持ちましょう。私たちは何も知らずに生きていくには世界は複雑になりすぎました。

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