トムソン博士が初めて奇襲にあった日
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トムソン博士は数ヶ月前にサイト-29で雇われたレベル2職員だった。そのさらに前はサイト-32の一時的な派遣職員として働いていた。どの職員も彼が命の危機に陥ることはないと言ったはずだった。だがある日サイトが正体不明のテロリストに襲われた。非常事態警報が鳴り響き大半の職員は非常口から脱出したがトムソン博士は10分間の停電の間に彼らを見失ってしまった。トムソン博士が机の下に隠れていた時近くで大きな声がした

「いいか?お前が囮になってくれ、その間に俺が奴らをやる。」

声のした方向を見ると、そこには同僚のフェイマス博士がいた。フェイマス博士は釘が打ち込まれた板を机の下から拾い上げた、トムソン博士はそんなものがこのサイトにあるとは思いもしなかった。

「は?えっと…あんたはなんでここに残ってるんだ?」トムソン博士は彼に聞いた。

「それは今聞くべきじゃないぞ、ここには俺とお前しかいない、つまり協力しないといけないんだ。」

「協力?脱出するためのプランがあるのか?」

「ああ、だが脱出するためのプランじゃない、俺が奴らをこれで殴り倒すからそのままついてきて欲しいんだよ。」

「無理だ、俺はここで救助が来るまで待つぞ。」

「いいか?ここももうすぐ奴らにバレるだろう。奴らがお前を見つけてみろ、奴らが欲しがってる物の場所を無理矢理聞き出してお前を撃ち殺すだろうな。」

「わかった!わかったよ!」


トムソン博士はフェイマス博士にしばらくついていったがある場所で壁に背をつけた

「止まれ!奴らがいる。3人の兵士に武装はマシンガンか、あれが中国製だと祈るぜ。」

トムソン博士はフェイマス博士の言った意味をあまり理解していなかった、彼について行ってるしばらくの間にテロリストとは遭遇しなかったが彼はこの板で銃を持ったテロリストとやりあう気のようだ。ああ、俺はここで死ぬんだなとトムソン博士は心の中で呟いた。

「なあ…」

「シッ!奴らが近づいてくる。」

「銃を相手にそんな棒で戦うなんて死にに行くようなもんだ、俺はこんなことに自分の命を危険に晒したくない。」

「俺を信じろ、俺はお前より長くここで働いてるんだぞ。」

その後、足音が聞こえフェイマス博士は壁にしっかり体をくっつけ板を構えた、彼の心臓は
緊張で激しく鼓動していた、ここまで緊張したのは停電の時以来だった。

「いいか?俺が奴らをやったらお前は反対側の部屋まで走るんだ…おい?トム?」

フェイマス博士が隣を見たがそこには誰もいなかった。


トムソン博士はサイト管理者のオフィスまで走り込み外部へ助けを呼べるものを探そうとした。だがテロリストに見つかり彼は銃撃を受けたがそれを素早くかわし隣にあった資料室に逃げ込んだ…そこは行き止まりだった。

「俺たちからは逃げられねえぞ、博士さん。」

テロリストの1人が彼の足を掴んで部屋から引きずり出そうといた、だが彼はドアノブを掴みテロリストに引き摺り出されないように抵抗した。

「いやだ…頼む…助けてくれ…クソ…」トムソン博士の手はドアノブから引き剥がされドアには引っ掻き傷ができた。

「こいつが隠されてる場所を言え、でないとお前の内臓を抉り出すぞ!」テロリストはトムソン博士の首を掴み何かの写真をトムソン博士に見せた。

「何も情報がなければそいつを殺せ。」

トムソン博士はこのままでは自分が死ぬと考え、気絶したふりをしてどうにかやり過ごそうとした。

「このクソ野郎、気絶しやがったぞ…重すぎる。」

彼らはトムソン博士を離し、彼は顔から床に落ちた。その後何度か何かを殴るような音が聞こえ静かになった。多分奴らはもう俺に用は無いんだろうとトムソン博士が思っていると何かがトムソン博士の顔を小突いた、その後も何か尖っているもので何度もトムソン博士の顔を小突いた。

「おい、死んだふりはやめろよ。まだそんな古い子供騙しを使ってるなんて信じられないぞ」

トムソン博士が目を開けるとフェイマス博士が板で彼の顔を突いているのが見えた、トムソン博士はフェイマス博士の足にしっかりとしがみついた。

「置いていかれたと思ったぞ。」

「おいおい、実際置いていかれたのは俺だぜ?」

「こいつらを倒したのか、あんたはヒーローだ!」

「褒めるのはやめろよ、俺は自分の仕事をしただけさ。」

トムソン博士は立ち上がって近くに倒れていたテロリスト達を見た、床には血が流れてきていた。恐らくフェイマス博士はテロリスト達を死ぬまで殴り続けたのだろう。トムソン博士は床を眺めていたフェイマス博士に話しかけた。

「大丈夫か?」

「ああ、大丈夫だ。腹が減ったな。」

「俺もだよ。」


彼らはサイトの出口まで歩き、入り口の開閉システムを起動させた。入り口がゆっくり開きそこから武装した機動部隊が入ってきた。

「大丈夫ですか?」

「あ、ああ。俺たちは大丈夫だ。」トムソン博士は言った。「でも中にはまだ人がいるかもしれない。」

機動部隊がサイト内に侵入しテロリストの残党を排除してくれるだろう、サイトから出る前にフェイマス博士はトムソン博士に話しかけた。

「今回の事件の事は誰にも言わないでくれ、俺はお前の仕事を手伝うためにここに来たと言ってくれよ。出ないと俺が上司にこっぴどく叱られちまう、ラン博士は最近機嫌が悪いんだ…」

「えっと…分かったよ…」

トムソン博士はサイト外の橋の上を歩きながら今日見たことを整理していた。まずテロリスト達はトムソン博士に何かの写真を見せてきたがトムソン博士にはそれがなんなのか思い出せなかった、恐らくそれはよほど重要なものだったんだろう、でなければテロリストが欲しがるはずがない。トムソン博士は自分の安全のためにも知らないふりをした方がいいなと心で呟いた。

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