クレジット
タイトル: Tale執筆ノウハウ 対談エッセイ
著者: Enginepithecus,
Yukko,
terukami,
Dr_rrrr_2919
作成年: 2022
【はじめに】
「Taleってどう書けばいいの?!」
皆さん、こう思ったことはありませんか?どうにも財団サイトや関連コミュニティ内外を見渡したところ、比較的方法論が定型化しやすいSCP記事と比較してTaleの具体的なノウハウの情報は豊富ではない様に見受けられます。
しかし "方法論が定型化しやすくない" 形式であるTaleは、その自由度の高さ故にノウハウも各著者様毎に、SCP記事のそれ以上にバラバラかと予想されます。
そもそも一意に定まるものではないTale執筆のノウハウを、どのようにしたら分かりやすく共有できるだろうか?……そう考えた結果、以下の形式でのエッセイ作成へと行き着きました。
複数の著者様方にインタビューを行った上で、執筆ガイド型ではなく雑誌のインタビュー記事の様なスタイルに纏めて掲載する
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以下に掲載しますのは、計7名の、Tale作品の執筆に於いて確かな実績をお持ちの著者様方へのインタビューの記録です。ここに示されたノウハウは、互いに一致する部分もあり、また或いは互いに相反した内容も含まれるかもしれません。
ですからこれは、「ここに書かれた内容全てに従え」といった類のガイドではございません。
インタビューログを通して各々の著者様方の執筆方法を比較参照することにより、そこから自分に合った執筆ノウハウを取捨選択し、自身に取り入れ消化する事で自分自身の執筆スタイルを確立する大きな一助となろう、そうした目的で纏められたエッセイです。是非ご参考になさって下さい。
【質問内容】
今回インタビューを快諾して下さった著者の皆様にお聞きしたのは、事前にスレッドにてサイトメンバーから募集した内容です。インタビュー対象の方々には質問リストの中から、それぞれご自身が得意とする内容に関連したものを事前に選出して頂いた上でインタビューを実施、回答を頂きました。
全質問のリストは、以下のとおりです。
【執筆準備段階〜執筆開始段階について】
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。(補足情報としまして、アイデアは浮かぶがそれが "書くべきアイデアか捨て置くべきアイデアか" の判断に迷われる方や、大筋が先に浮かんだ後にオチを思いつけずに悩まれる方等がいらっしゃるようです。)
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
stengan774
ykamikura
SOYA-001
ukit
hey_kounoike
❴2❵ TaleにもSCP/GoI-Fにも使えそうな着想がある場合、形式としてTaleを選ぶ/選ばない決め手となる要素は何でしょうか?
回答者: インタビュー内での回答者おらず。しかしこちらにて
ykamikuraさんが回答下さっております。
❴3❵ Taleの前提知識となるオブジェクトは、どのように選定しているのでしょうか?(有名所を見回してそこから選ぶ、書きたい話に合致する性質のオブジェクトを後から探す、等)
回答者:
stengan774
ykamikura
SOYA-001
ukit
❴4❵ Taleを書く際、プロットは作成されますでしょうか。プロットの構築自体を苦手とする方もいるとのことなので、普段作成されている場合、その構築の手順やコツ等をお聞きしたいです。
回答者:
ykamikura
SOYA-001
ukit
hey_kounoike
【執筆中、内容面について】
❴6❵ 執筆に於いて、最も重視する点は何でしょうか。(キャラの心情を描ききること、作中での設定の破綻が無いように展開を計算しきって形作ること、等)
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
stengan774
v vetman
❴7❵ Taleのメインとなるキャラ達の、人物像の造形はどのように構築しますか。(例えば、主人公がこういう性格なら周りに別のこういった性格の人物がいた方がいい、のようなテンプレートをお持ちである、そもそもこういう人物像のキャラが主人公に向いている、等。或いはある程度フィーリングで決めているとしたら、具体的にはどのような過程を経て組み上がっていくのか実例を交えてお聞きしたいです。)
回答者:
SOYA-001
v vetman
❴8❵ 「静かなシーン」と「アツいシーン」の起伏を作るにはどうすれば良いでしょうか?またそれに伴って、シーンごとの「感情の起伏」はどれくらいのバランス配分が良いでしょうか?
回答者:
ykamikura
SOYA-001
ukit
❴9❵ 書いている内に当初の構想から内容が変化していく、というのは経験としてよくある事でしょうか。創作において、例えば書いていく内にキャラクターの造形がハッキリすることで、初期に構想していた言動をキャラクター側が拒否する(このキャラはこんな言動はしないな、と作者自身が思ってしまう)、という様な事例もあると聞きます1。もしそういった「書いていく内にキャラの言動やストーリーの内容が変わった」経験をお持ちでしたら、それをどう対処したか(そのまま変化するに任せたのか、ある程度以上は構想から脱線しないように修正したか)という事をお聞きしたいです。
回答者:
ykamikura
SOYA-001
v vetman
ukit
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
stengan774
ykamikura
v vetman
ukit
hey_kounoike
❴12❵ 執筆されるtaleによっては前提となる知識を情報収集される場合があると思いますが、その際どの様な手段を用いて、またどの程度詳しいところまで情報収集を行われますか?検索なのか取材なのか、どういった基準を満たせば収集完了と見なして良いのか、といった事をお聞きしたいです。
回答者:
stengan774
ykamikura
v vetman
ukit
hey_kounoike
❴13❵ (物語上で発生するイベントそのものや登場人物の動作描写、あるいはイベントを飾るという意味合いでの)演出について、〇〇さんが自身の個性として入れ込むもの(=特定の表現や特定作品の影響)について教えてください。
回答者:
ykamikura
v vetman
ukit
【執筆中、文章面について】
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
ykamikura
SOYA-001
v vetman
ukit
hey_kounoike
❴15❵ 表現・文量など、地の文を書く際に気をつけていることをお聞きしたいです。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
stengan774
SOYA-001
v vetman
❴16❵ 中々Taleとしての文章を長く書き連ねる事ができず、途中で次に続けるべき文章や展開、具体的な書くべき描写、或いはクリニカルトーンとは逆に感情に訴えかける詩的、文学的な表現が浮かばなくなり、筆が止まってしまう著者の方もいらっしゃるようです。このような場合、○○さんならどのようなアドバイスを行いますか……?
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
v vetman
hey_kounoike
❴18❵ これは登場人物の内面や心情の変化をその登場人物自身の視点から捉えて描くことを苦手としている、との方からの質問なのですが、そのような描写を行う際、どのようなことに気をつけておりますでしょうか。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
ykamikura
v vetman
ukit
❴19❵ 三人称の地の文の書き方、具体的には三人称の地の文によって身体的感覚・情景描写や心情を表現する事が難しい、という方もいらっしゃるとの事でして、この場合にはどのような点を意識するのが効果的でしょうか。
回答者:
stengan774
SOYA-001
❴20❵ 同じキャラの視点を保ったままで場面転換、もしくは「長い時間が経った」描写を短く済ませる方法とはどのようなものでしょうか?例えば、主人公が家を出たシーンの次に続けて「家を出てから3時間かかって漸く目的地に到着した」シーンを描きたい場合には、どのようなスタイルを取ればこの「3時間の空白」を違和感無く処理できますでしょうか。(そのように時間的に空白の空いた描写を苦手とし、結果語り部を2人用意して場面転換時に交互に視点を入れ替える、という手法にほぼ頼りきっている主催者から出た質問です。)
回答者:
stengan774
hey_kounoike
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
stengan774
ykamikura
v vetman
ukit
hey_kounoike
【執筆終盤〜執筆完了段階について】
❴22❵ 長文を書いていると凝りすぎて完成する前に飽きてしまう、或いは半年など執筆に時間がかかりすぎる、といった理由からモチベーションの維持を大変に感じる方もいらっしゃるようですが、この場合はどのようなアプローチが効果的になりそうでしょうか?これに関しては取材等の裏取り等にコスト(金銭的なものに限らず)がかかってしまう、という方もいらっしゃるとの事で、モチベーション維持の方法と共に、執筆コストを減らすもしくはコストを捌き切る手法からのアプローチも同様に伺いたいです。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
hey_kounoike
❴23❵ 上記とも一部関連した質問になりますが、Taleを「完成」に持っていく際に、特定の部分について悩んだ末に妥協した、もしくはこのようにして解決した、のような具体的な経験をされたことはございますでしょうか。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
hey_kounoike
❴24❵ 自分の文を読み返すのが苦手で、結果細部の整合性のチェックが抜け落ちてしまう場合がある、という方からの質問です。○○さんは、このような状況に陥ったとしたらどのように対処されますでしょうか……?
回答者:
stengan774
v vetman
❴25❵ 高評価を獲得した記事の中には、ご自身で投稿前から高評価を確信していたもの等はあったりするものなのでしょうか。もしございましたら、そういったTaleに共通する点や、確信していた理由、等を伺いたいです。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
stengan774
v vetman
【その他の質問】
❴27❵ 休日で何も予定がないと仮定した場合には、一日に何文字程書くことができるものなのでしょうか。
回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
❴28❵ ここまで様々な疑問にお答え頂きましたが、皆様が個人的に欲しい、もしくはこれに関して情報共有があったら役立つだろうなと思うTale執筆活動上のポイント、等はございますでしょうか。
回答者:
stengan774
【インタビューログ本文】
- 最小化
- meshiochislash氏へのインタビュー
- stengan774氏のインタビュー
- ykamikura氏のインタビュー
- SOYA-001氏のインタビュー
- v vetman氏のインタビュー
- ukit氏のインタビュー
- hey_kounoike氏のインタビュー
インタビュー回答者: meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
インタビュアー: Enginepithecus
Dr_rrrr_2919
[記録開始]
Enginepithecus
まずは、【執筆準備段階〜執筆開始段階について】に属する質問です。
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
はい、答えさせて頂きます。えー、会話の最初に否定から入る奴は何をやってもダメというのが通説なのは承知の上でなのですが、まず後半、『アイデアがどう浮かぶか』については僕はあまり重要視してはいません。
Enginepithecus
アイデアがどう浮かぶかは重要でない、となりますと、その時々で異なる、といった具合でしょうか……?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
どちらかというと僕はアイデアは能動的に探すもので、アイデアが『浮かぶ』という受動的な表現をできない、ということですね。
SCPならアイデアを重要視すべきではあると思いますが、taleにおいてはアイデアは構成要素の中核ではないと思っています。
Enginepithecus
アイデアは中核ではない、ですか。
すると、逆に執筆開始時に中核とすべきはズバリ何である、とお考えでしょうか?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
最初に頂いた質問の前半部分に立ち返りつつ答えさせて頂くと、動機こそが中核であると思います。
Enginepithecus
動機。それは即ち、質問文内の例ですと「シーン」や「キャラ」を重視する、という事に注力し、アイデア自体には舵を傾けすぎずにシーンやキャラを活かすためのツールと割り切る、との形で理解したのですが、この理解で適切でしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
うーん、そこまで固く考えなくてももっと抽象的な動機でも良いとは思います。
「例えばこのカノンを使いたい」「この記事を使いたい」「このキャラを使いたい」でも、「こういう思想を書きたい」「こういうセリフを書きたい」でも良いです。動機のというよりは出発点ですね。ここを重視して、そこがブレないように気をつけています。
Enginepithecus
ふむふむ……!「出発点をブレさせないことを意識して」、「アイデアは中核には据えないながらも能動的に意識して見つけに行く」、ですかね。承知致しました、有り難うございます。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
あ、「どういう動機か」という質問にちゃんとは答えてませんでしたね。さっき例として出した奴らが大体そうです。
「このカノンを使いたい」「この記事を使いたい」「このキャラを使いたい」でも、「こういう思想を書きたい」「こういうセリフを書きたい」でも良いです。
こちらですね。有り難うございます。
Enginepithecus
では、次に参ります。
ここからは、【執筆中、内容面について】の質問が2問続きます。
❴6❵ 執筆に於いて、最も重視する点は何でしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
動機です!
Enginepithecus
やはり。先程お答え頂いた内容と被る内容でしたね。
Dr_rrrr_2919
最近のものですと「フードファイト スシブレード:未聞外伝 last in the dark」は動機(未聞伝への感想)が大きいように見えますがそのような解釈でよろしいでしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
お、お読みいただきありがとうございます。まさにその通りですね。ただ、あの動機は僕の中では珍しく肯定のために書いたtaleなんですよね。
と言いますのも、創作の動機は基本的に何かの否定から入る、というのが僕の中での通例だからです。
Enginepithecus
否定ですか。否定で印象に残っているのは、「小さな魔女は危険である」を否定した作品をお書きになっていましたよね。(誰も知らないお伽話)これもその関連でしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。と言いますか、拙作はだいたいそうです。「正しさのない」では正義の味方を否定し、「 7308-1」ではマイナー作品を消極的に否定する。
面白いのは、否定として書いても否定になるとは限らないことです。当初「飯落の提言」は自殺への皮肉という意味合いがあったのですが、アレをそう読み取った人はおそらくいないのではないでしょうか。
Enginepithecus
私も、そう読み取ってなかった内の一人ですね。必ずしも、意図通りの否定に捉えられるとは限らない解釈が生まれ得るんですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そこで気がついたことがありまして。否定している自分自身を否定すれば、それは即ち肯定の物語になるんです。「働いた後の、酒と煙草」はそれに気がついた後の作品で、自殺を否定的に捉えている自分を否定するために、肯定的な(優しい)自殺の物語を書いています。
Enginepithecus
一瞬今、これはまたトリッキーなテクニック……、と感じましたが、構造自体はそこまで複雑ではないようにも思えますね。(そこに気付かれるまでの道のりはまた別、ですが。)
そうなりますと、3問目の
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
こちらに関しましてはどうでしょう?
やはり一部これまでの内容と被る部分もあるかとは思いますが。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね……。やっぱり出発点を決めて書くことなんですが、これが抽象的すぎて作品の流れがふわっとしてしまうことがありまして。短編なら誤魔化せるんですが、出発点を本当にしっかり考えないと長編は書けないな、というのは最近痛感しています。
Enginepithecus
ここからは【執筆中、文章面について】に属する質問です。
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
えっとですね、まず台詞やポエムから逃げてはいけないです。
台詞やポエムから書き出すことは別に何も悪くないと思っています。特に台詞はものによってはフックになり得ますし、ポエムのような独白から始めれば主人公の説明と物語の説明を同時にこなせます。
Enginepithecus
これらは、避けるのではなくむしろ強みに昇華させるべき、との事ですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。僕は書き出しで困ることはあんまりなくて、むしろ毎回困ったら主人公の独白で始めています。楽なので。
Enginepithecus
楽な手段はむしろ積極的に使ってしまった方がいいよ、ですかね?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね! 書き出しに困って書き出さないのが一番アホくさいもったいないので。
Enginepithecus
有り難うございます。こう言っていただけると、書き出しに踏み切るのが楽になりそうですね。
❴15❵ 表現・文量など、地の文を書く際に気をつけていることをお聞きしたいです。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね、一人称前提の話になるんですが、主人公の心情描写だけではなく動作も入れる、というのは心掛けています。
Enginepithecus
動作、これは自分も以前に同じ内容の批評を受けて以来気にかけていますね。腕の動きとか、頭や視線の動きとかを文章から映像に起こせるような書き方、と言いますか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。加えて言いますと、心情描写だけだと同じ味すぎて飽きるというか、くどくなってしまうので。
動作で心情描写をするガチ小説でよく見る奴ができるなら、優れているのでガンガンやりたいですね。
Enginepithecus
動作で心情描写、ですか。心情とリンクした動き、例えば項垂れるとか、そういったものを意図的に埋め込む感じでしょうか?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。足早に去っていくとか、雨を降らせるとか、目を逸らすとか、簡単にいえばその辺です。
Enginepithecus
有り難うございます。雨を降らせる、も含まれるとなると周囲の不随意的な環境も使っていくべし、との形ですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
表現はなんだって使いたいですね。その中でおんなじ表現は使いすぎない(項垂れるを多用するとかやってしまいがちですよね)という考え方の延長線上で、同じ種類の表現も使いすぎないように気をつけよう、というだけの話ではあります。
Enginepithecus
それは、ともすると盲点になりがちかもと感じました。自分も気を付けていきたいですね。
Enginepithecus
❴16❵ 中々Taleとしての文章を長く書き連ねる事ができず、途中で次に続けるべき文章や展開、具体的な書くべき描写、或いはクリニカルトーンとは逆に感情に訴えかける詩的、文学的な表現が浮かばなくなり、筆が止まってしまう著者の方もいらっしゃるようです。このような場合、meshiochislashさんならどのようなアドバイスを行いますか……?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
これに対しては短く答えさせていただくんですが、短くしましょう。
長く書き進められないなら長く書き進めなくても良いと思います。無理にダラダラ続けるよりは、急ハンドルでも締めて作品として上げちゃえば良い。
Dr_rrrr_2919
なるほどです。ですがあまりに短くしすぎるあまりに、そこが欠点となり得ることもあると思います(実際に私が指摘されました。)が、そのバランスなどはどの程度でしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
2〜3場面で800〜1500字もあれば十分物語として成立はすると思います。それより短い場合はちょっと薄くなりすぎますが。
一場面で1000字とか書いてしまうとそれはちょっと薄くなってしまうかな、とも思います。
短編を書く場合でも転換を作るために場面の変換は使う、というのは気をつけています。
Enginepithecus
有難うございます。それが短過ぎる、長過ぎる、の大まかな基準といったところなんですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
あとはオチですね。短編はオチが良ければなんとかなります。それをどうやるかはちょっと僕は感覚なのでお答えできないんですが……。
Enginepithecus
❴18❵ これは登場人物の内面や心情の変化をその登場人物自身の視点から捉えて描くことを苦手としている、との方からの質問なのですが、そのような描写を行う際、どのようなことに気をつけておりますでしょうか。
先程の内容と部分的に被る予感はしていますが、この予感は当たりそうですかね?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。先程のように心情描写だけを書かないという点はもちろんです。
ほかに気をつけているところは、そうですね。僕は心はラフに描いて良いと勇気を持つことだと思います。
Dr_rrrr_2919
ラフに、と言いますと具体的にはどのような感じでしょうか?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
重苦しくしすぎない、ですかね。とりとめもなかったり、雑に思考を打ち切ったり、急に現実逃避をしたり、しょうもないことを考えたり。普段自分が思っているような、悪くいえば雑な思考をそのまま書いています。
Dr_rrrr_2919
なるほど、より現実的な心情に近づくわけですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。僕は自分のことを面白い人間だと思っているので、そのまま自分の思考を書けば面白いという確信から書いている勘違い人間なんですが……。
Dr_rrrr_2919
そのような勘違いも、おそらく創作には必要なのでしょうね。
Enginepithecus
逆に、そのように書いてみた結果自身の思考の面白い点に気づく、なんてこともありそうな気がしますね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
好意的に解釈していただきありがとうございますって感じで。はい。
Enginepithecus
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
えーと、そうですね。とにかく書きましょうという感じです。「クサみ」というのは見える人にはそう見えるし、見えない人には見えない幽霊みたいなもんなので、気にしていたら会話が書けなくなってしまいます。
Enginepithecus
とにかくやってみるがいい、という事ですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
つまらないものを完成させる方が、面白いはずのものを完成させないより実になります。
まずは完成です。これは自分にも言い聞かせています。
Dr_rrrr_2919
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる、というのは的を射ているのですかね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
いや、実はそういうわけではないです。大事なのは考え続けて完成させ続ける事ですね。
おんなじような作品をおんなじように作り続けても下手な撃ち方が上手くなるだけなので、最初はまず完成、そして完成作の良かったところと課題のフィードバックを続けていきたいですね。
Enginepithecus
そうして消えていく作品には、習作としての意味合いが強いのですかね?
或いは残る作品でも、更にそこからそれを習作として踏み出せるといいますか。
Dr_rrrr_2919
私自身、メモ帳に埋まっていく作品が多いのですごく刺さりました。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。年間12作を低評価削除された僕が言うのだから間違い無いです。
まずは砂箱から、メモ帳から出してみることです。未完成だとどうしても問題点や良かった点が見えにくいですね。
Dr_rrrr_2919
勢いに乗って書いたものの、面白みが見えずに没にすることはあります。
Enginepithecus
あー、そういった場合はどうすべきなのでしょう?「自分の作品に自分が面白みを感じられない」という事に陥った場合。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
僕は「前書いたな」という面白くなさは没にします。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
やっぱり動機っていうのは大事なので、自分の衝動がついてこない作品を無理に完成させるのもそれはちょっと違うかな、とは思いますね。
Enginepithecus
ではお次に参ります。
ここからは、【執筆終盤〜執筆完了段階について】に属する質問なのですが、
まず
❴22❵ 長文を書いていると凝りすぎて完成する前に飽きてしまう、或いは半年など執筆に時間がかかりすぎる、といった理由からモチベーションの維持を大変に感じる方もいらっしゃるようですが、この場合はどのようなアプローチが効果的になりそうでしょうか?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
長編はどうしても時間がかかって書くのが面倒な日が出てきますよね。これは僕も他著者から聞いたんですが、イメージソングのdigや表紙画像の作成なんかでモチベーションを保ち続けると良いとされています。
Enginepithecus
自分の中でのイメージを構築していく感じですかね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
それもあると思います。何よりイメソンや画像なんかを掘ると完成させたくなってあとに引けなくなりますし。
Dr_rrrr_2919
私は、(現在凍結していますが)その記事のクロスリンク先を書いたりしていたのですがこれは効果的な方法でしょうか?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね!それも良いと思います。
Enginepithecus
自分の中での世界観を広げて形作って後に引けなくする、というのが共通項に見えますね。
Enginepithecus
❴23❵ 先の質問とも一部関連した質問になりますが、Taleを「完成」に持っていく際に、特定の部分について悩んだ末に妥協した、もしくはこのようにして解決した、のような具体的な経験をされたことはございますでしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
人生は妥協の連続です。
……真面目に答えさせていただくと、もちろんあります。完璧な状態で完成することなんてないと思っています。
Enginepithecus
完璧なんてない、ですか。
折り合いをつけるべきポイントの見極めは、どのようにすると良いのでしょう?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
「ここは多分突っ込まれたらバレるけど表面上は誤魔化せているな」という感覚があって、そこまでいけたら出しています。
Dr_rrrr_2919
その記事を書いていない我々には、わからないことなのですかね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
簡単に言語化すると、他人が見て明らかな違和感になる場所はないようにしています。
もっと言うと投稿条件は大まかに3つですね。
「明らかな矛盾がない」「最低1つは面白いポイントがある」「自分が読んで全く面白くない、と言うわけではない」
ここを満たしたら投稿しています。
Enginepithecus
ふむふむ。明確に基準がある、となるとかなり分かりやすく判断できそうです。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
まあ実際にここまできちんと考えているわけではなく、あくまでぼんやり基準の言語化ではありますが、こんな感じですね。
Enginepithecus
❴25❵ 高評価を獲得した記事の中には、ご自身で投稿前から高評価を確信していたもの等はあったりするものなのでしょうか。もしございましたら、そういったTaleに共通する点や、確信していた理由、等を伺いたいです。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
ぶっちゃけると、ないです。
ただ、+30着地と+15着地、+50以上の見分けはできるようになってきました。
Dr_rrrr_2919
そうなのですか、意外です。高評価が出せると思わずとも、投稿できるものなのでしょうか。
Enginepithecus
先程のお話と関わってきそうですね。
「とりあえず書き上げて、いってみろ」といった形の理解で良さそうでしょうか?
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
コンテストでは結構勝ちに行く(高評価を狙う)こともありますが、そもそもの執筆動機が評価より思想の否定だったり思考整理なのもあり、とりあえず書き上げるのも大事にしたい次第で、そうなっています。
Dr_rrrr_2919
twitterあたりでどなたかが「評価はいらないからサイトにヘッカを残したい」とおっしゃっていましたが、"とりあえず書き上げる"という点では似たような考えなのですかね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
もっといえば僕はSCP-JPでなくともとにかく書ければ良いというスタンスなので、そうですね。
評価も嬉しいですけどね!
Enginepithecus
最後に【その他の質問】に属する質問を1問残すのみとなりました。
❴27❵ 休日で何も予定がないと仮定した場合には、一日に何文字程書くことができるものなのでしょうか。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
お答えします! 1日に書いた最高文字数は5000字です。参考記録として、30分に書いた最速は1000字ほどです。個人的にダラダラ長時間描くのが苦手なので、30分書いて休憩を挟んで……を繰り返しています。
Enginepithecus
短期決戦型、という形のスタイルなのですね。それを休憩挟んで繰り返されると。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。だからその30分で書き切れる短編ばかりを書いています。
Enginepithecus
文字数や持久力的な意味での執筆スタイルが、作品のスタイルにも影響を与えることがあるのですね。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
そうですね。誰にだって向き不向き、得意不得意、好き嫌いはあるので、この企画でもいろんな人がいろんな答えを出すと思いますが、それにあった書き方を選択してくれたらな、と。
なんて、急ハンドルでオチを無理やりつけてみました。
Enginepithecus
今回こちらの企画にご参加頂き、繰り返しにはなってしまうのですが誠に有難うございました。
お話頂いた内容、私自身ハッとさせられるものもあり、今後の糧とできそうです。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
了解です。SCP-JP最強の口先著者ことmeshiochislashでした。本日はどうもありがとうございました。
Enginepithecus、
Dr_rrrr_2919
こちらこそ、ありがとうございました。
meshiochislashに合致するユーザーネームは存在しません
では! これでちょっとでも良い作品が生まれる助けになれば幸いだったり、ライバルが増えて辟易したりします! ありがとうございました!
[記録終了]
インタビュー回答者: stengan774
インタビュアー: Enginepithecus
Musibu-wakaru
[記録開始]
Musibu-wakaru
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。
stengan774
SCPはシェアワールドですので、自分の考えたアイデアや設定を記事という形にして公開し、あわよくば他の方にもその設定を使って頂きたいということが執筆動機の一つになっています。この「設定」の中にはもちろん人事キャラの特定カップリングの推進だとか推しGoIの布教だとかも含まれると思いますし、それらの設定を記事として落とし込むには(そして評価が得られるようにするには)どういう物語を構成すれば良いかというのはアイデアの源泉になっていると思います。
オチについては、私はオチを思いつかないと書き始められない質なので、「良いオチが思いつくか」は"書くべきアイデアか捨て置くべきアイデアか" の判断材料の一つになっていると言えると思いますね。
Enginepithecus
オチについて、成程です。動機の件に関連しましては設定が先行し、そこに後追いする形で物語を構築なさる場合が多い感じでしょうか?
stengan774
そうですね。
Musibu-wakaru
確かに「シガスタン共和国(削除されたページ) - Wikipedia」などからもstenganさんの新規的な設定を読者に共有している雰囲気は感じられますね。
stengan774
リサコン2の記事などは元があるのでまた違ってきますが。
Enginepithecus
リサコンはまた別、というのは確かに凄く頷けますね。
そしてそうでない場合には、物語展開よりも特定の思いついた設定をこれから活かしていける土壌へと送り出したい、というのが原動力となるのですね。
ここでなのですが、「その設定を後続で拾う方々にとって使いやすいようにするには?」といった観点は念頭に置かれるのでしょうか、それとも、自身の構築する物語に全振りする形で、Taleを執筆してしまう方がスマート、なのでしょうか?
シェアワールドを念頭に置いて、という部分をお聞きしてここが気になりました。
stengan774
「自分が思いついた設定」だけでなく「自分が良いと思った既存の/他者の考案の設定」にまで広げられるかも知れませんね。
設定の使いやすさについては物語では無く設定自体の性質によるところが大きいと思うので、そこはあまり気にしていません。設定を物語として表現することでわかりやすくすることも「使いやすいようにする」の1つかも知れませんが。
Musibu-wakaru
自分の思いついた/気に入っている設定を自分の作品を通じて知ってもらう、使ってもらうというふうに
後に続いてくれるようにしたいということがモチベーションに繋がっているんですね。
シェアワールドならではですね。
Enginepithecus
成程です。使いやすさは設定そのものに依拠するので、物語の方はむしろそれをどんどんと具体的な形に、遠慮なく描き出してあげるのがよい、と。
stengan774
あ、あと「記事として形に残す」ことも勿論、既存設定として認知されることで後続の使いやすさに寄与している面はあるかも知れませんね。
❴3❵ Taleの前提知識となるオブジェクトは、どのように選定しているのでしょうか?
stengan774
私は逆にオブジェクトの設定からTaleを書く方が多いですね。展開上既存のオブジェクトを登場させる必要がある場合は、(設定上の無理が無ければ)前提知識を少なくするため有名どころを選ぶくらいでしょうか。
Enginepithecus
オブジェクト探しの手間は最小限に、といったスタイルですかね。
Musibu-wakaru
なるほど。
SCP報告書を読んでいて「これはTaleにしたいな」と思ったりするオブジェクトから書き始めたりするということでしょうか。
stengan774
そうですね。一部さっきの話とも絡んできますが、このオブジェクトの性質とこのオブジェクト/キャラが出会うとこういうことになるんじゃないか、といったアイデアから書くこともあります。
「元の記事で語られていないここの部分にはこういう意図/物語があるはずだ」みたいなパターンもありますね。
Enginepithecus
成程です。書き始めの切っ掛けとしての部分に元オブジェクトが絡んでくる事も大いにあるのですね。
❴5❵ プロット以外の部分ではどのような部分からまず文章化の手を付けていかれるのでしょうか。
stengan774
備忘録も兼ねて、2,3行ほどでアイデアメモ的な構想をまとめることがよくあります。どうしても入れておきたい要素や思いついた一文などもその下に書き足していきます。
Enginepithecus
アイデアメモというと、プロットとはまた別に書き足しておく注釈のようなイメージでしょうか?
stengan774
いや、私はプロットをあまり書かない(書けない)のでそれ単体だけですね。
形式としては1人でやるブレストに近いでしょうか。
Musibu-wakaru
アイデアメモに書きたい要素を増やしていってTaleの骨組みを作っているという感じですかね。
Enginepithecus
1人でやるブレスト、という言葉でイメージできた感じがします。
そこで出てきたアイデアをメモする事から始められる、との形ですね。
stengan774
そうですね。
Musibu-wakaru
❴6❵ 執筆に於いて、最も重視する点は何でしょうか。
stengan774
Taleに限りませんが、書きたい要素や場面に読者が納得いく(つまりわかりやすく明示された)レベルでの設定の整合性を付けることが大事だと考えています。
何となくでも良いので納得させられるようにしたいなと。
Enginepithecus
整合性ですか!
描きたい部分というと、最初の方の質問における「Taleを書き始める切っ掛けの部分」にも深く重なる所だと思いますが、その部分を読者に強い納得感と共に届けるのが大事との認識で宜しいでしょうか。
Musibu-wakaru
読んでいて読者につまずかせないように意識している、ということですかね。
そういった設定も先程登場したアイデアメモに記したりされるのでしょうか。
stengan774
そうですね、やりたいことや設定をそのまま押し出すだけだとご都合主義感や作為的な要素を感じさせてしまうので、それらを上手くごまかすためには整合性や納得感が必要だと考えています。具体的には以下のエッセイの「強いコンセプトと弱いコンセプト」の話が近いと思います。
http://scp-jp.wikidot.com/ideation
つまずかせないというのはかなり的を射ていると思います。特にキャラクターの言動に合理性が無いと途端に読者が感情移入できなくなるので、そこは自分でも特に注意すべきポイントだと思っています。
Musibu-wakaru
設定の整合性にはキャラクターの動きなども含まれてくるんですね。
stengan774
自著ではありませんがこの「整合性」を最も上手く構築している記事の1つが「5000兆年、初夏」だと考えていて、めちゃくちゃな展開全てに作中での設定整合性・合理性が取られているのが本当にすばらしく、常々こういう記事を書きたいなと思っていますね。
Musibu-wakaru
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
stengan774
先ほどの話とも関連しますが、前振りというか「その記事全体で言いたいこと」について唐突だったり無理矢理に見えないように描写・構成に気をつけています。
Musibu-wakaru
❴12❵ 執筆されるtaleによっては前提となる知識を情報収集される場合があると思いますが、その際どの様な手段を用いて、またどの程度詳しいところまで情報収集を行われますか?
stengan774
書いている間に必要となる知識はSCP関係ならサイト内の関連作品に目を通し、それ以外は大体検索か書籍から探します。どの程度、と言われると少し悩むのですが、細部を詰めるため必要となった時に都度調べるくらいで良いんじゃ無いでしょうか。
ただその情報収集過程で新しい設定や展開のアイデアを得ることもあるので、時間に余裕があれば執筆に入る前の段階からそうした情報収集はやっておいても良いと思います。
Musibu-wakaru
なるほど。
先程のご回答を使わせていただくと、
書きたい要素や場面に読者が納得いくレベル
で設定が組み立てられるようになるまで。といったところでしょうか。
stengan774
ある意味ではそうですね。知識や経験はディティールとリアリティを補強するので、設定の整合性という要素にもかかわってくると思います。
例えば「埼玉県沿岸部で~」みたいな文章が出てきたら当然埼玉が内陸県だということを知っている人は「ん?」と感じますし、その時点で物語への没入感も大分薄れてしまうので、そういった決定的矛盾を取り除ける程度には調べておくべきだと思っています。
Enginepithecus
成程です。
(そして、もしかしたらそういった矛盾点を意図的な演出として取り入れるという応用も可能なのかも……?とふと連想もしました。その矛盾点が、作中で起こっている異常に関するヒントになっている、ですとか。)
Musibu-wakaru
情報はリアリティのある世界観を構築するためのツールとして読者にテンポよく読ませることができる程度に収集する、ということですね。ありがとうございます。
Musibu-wakaru
❴15❵ 表現・文量など、地の文を書く際に気をつけていることをお聞きしたいです。
stengan774
一文が長く/複雑になりすぎないように、適度に文章を句点で区切るように心がけています。後は場面転換を高頻度でやらないようにするだとか、台詞が続くと誰が喋ってるのか分かりづらくなってくるので折々に"「~」と彼は言った。"みたいな感じで地の文による補足をすることがありますね。
Enginepithecus
文章内容に複雑性を与えすぎないという事が大事なのですね。
stengan774
文章の内容というか、日本語の特性上どうしても文章を長く続けたり読点で繋ぎ続けたりすると、修飾や代名詞が何処に掛かってきているのかが分かりづらくなってしまうんですよね。そういう意味での複雑さを避けるために、自分では一文を長くし過ぎないことを意識しています。
執筆論というレベルでは無く、作文指導みたいな話ですが……。
Enginepithecus
文そのものの方に気を使うべしとのお話でしたか。基本的なれども、かなり大切な部分ですね。
stengan774
もちろん難しい単語を避けたり漢字を開くことも、複雑にし過ぎない(読みやすさの向上)という点では有効だと思います。
❴19❵ 三人称の地の文の書き方、具体的には三人称の地の文によって身体的感覚・情景描写や心情を表現する事が難しい、という方もいらっしゃるとの事でして、この場合にはどのような点を意識するのが効果的でしょうか。
stengan774
私は逆に一人称で物語を書くのが苦手なのでそれはすごいと思いますが、やっぱりディエゲーシス3やミメーシスを意識して書き分けるのが良いのでは無いでしょうか。
Musibu-wakaru
「模倣」「再現」ですか。
物語へのキャラクターの落とし込み方が重要になってくるということですかね。
stengan774
主観的な表現と客観的な表現という話でも良いかもしれませんね。
Enginepithecus
ディエゲーシスとミメーシスは、それぞれ状況描写と心情描写、が対応するという捉え方もあるようですが、先程のご回答に近いのはこちらでしょうか。
stengan774
そうですね。
Enginepithecus
状況を描く事を意識すると、自然と三人称視点の要素が強く出そうな印象が確かにありますね。
逆に一人称を描きたければ主観的感情描写へと意識の比重を寄せる感じでしょうか?
stengan774
三人称で主観的感情描写を書くこともできて、例えば「走れメロス」だと勿論メロスが主人公であるわけですが、邪智暴虐の王視点でこんな風にみっちり内面描写をする場面があったりもします。
それを聞いて王は、残虐な気持で、そっとほくそえんだ。生意気なことを言うわい。どうせ帰って来ないにきまっている。この嘘つきに騙された振りして、放してやるのも面白い。そうして身代りの男を、三日目に殺してやるのも気味がいい。人は、これだから信じられぬと、わしは悲しい顔して、その身代りの男を磔刑に処してやるのだ。世の中の、正直者とかいう奴輩にうんと見せつけてやりたいものさ。
「三人称の地の文によって身体的感覚・情景描写や心情を表現する事が難しい」とのことなので、こういったようにすれば三人称でも心情を表現することは出来るのでは無いかなと。
Musibu-wakaru
なるほど。確かに3人称から王の主観的な描写へとスムーズにシフトしていますね。
無理に3人称で全てを書ききってしまう必要は無いというわけですね。
Musibu-wakaru
❴20❵ 同じキャラの視点を保ったままで場面転換、もしくは「長い時間が経った」描写を短く済ませる方法とはどのようなものでしょうか?
例えば、主人公が家を出たシーンの次に続けて「家を出てから3時間かかって漸く目的地に到着した」シーンを描きたい場合には、どのようなスタイルを取ればこの「3時間の空白」を違和感無く処理できますでしょうか。
stengan774
パッと思いついたことですが、時間による環境変化の描写などを入れれば良いのでは無いかと思います。例えば家を出たのが昼過ぎだったのなら「目的地に着いた頃、太陽は既に沈みかけていた」などとすれば直接的で無く時間経過を表現できるのではないでしょうか。
Enginepithecus
「時間経過で刻一刻と変化する」事が普遍的であるものを、描写の頭に持ってきてしまうという形ですか。
Musibu-wakaru
なるほど。経過した時間を明記せずにどのくらいの時間が経ったのかを読者に想像させるのですね。
Enginepithecus
これは、書く側としても分かりやすく導入しやすい、優れモノなテクニックといった印象ですね。
Musibu-wakaru
すこし話が逸れてしまうかもなのですが、
そういう風に読者に細かいところを想像させる描写というのは、私もかねてよりやりたいと思っていた節があり、1度やってみたことがあったのですが、
その際に読者に与える情報が少なすぎて状況が伝わっていませんでした。
こういう描写をする際の情報の与え方に何か意識している点はありますか?stenganさんのお見合い記事4は特にそういったところが上手いなと思ったので。
stengan774
一度初見の気持ちで文章全体を読み返すことが大事だと思います。作者は頭に浮かんだ情景を文章に起こしているつもりなので割と必要最低限の描写が抜けがちだったりするので、ニュートラルな視点で読み返すことでそういった欠落を見つけやすくなると思います。
Musibu-wakaru
初見の状態でも状況がちゃんと伝わっているか推敲することが必須になってくるのですね。
ただやはり自分自身では少し難しいところがあったりするので批評をお願いしたりするのも重要になってきますね。
stengan774
特に自分でも抜けがちなのが視覚情報で、キャラクターの服装体格などといったビジュアルや、周りの風景などは「ある」と読者に物語を想像させやすくなる分「ない」と全然何が起こっているのかイメージできないということがよく起きます。
Musibu-wakaru
確かにそうですね。
情景を思い浮かべる時にヴィジュアルが分からないと厳しいですね。
Enginepithecus
そこは自分もかなり意識しなければと常々感じてる部分ですね。
「読者が主人公の視覚情報をジャックできる」ように書かなければ、と意識してます。
stengan774
なので情報の与え方という点で意識していることはそういったビジュアル面での描写ですね。ここに力を入れている記事は絵的に映えるのもあって読者目線でも印象にも残りやすかったりします。
Musibu-wakaru
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
stengan774
変に、情感を持たせようとして……こんな風に、読点や三点リーダを、入れすぎないこと……だと思いますね。合作記事のSCPフレーバーテキスト集でそういうクドい一文をよく見かけます。
あとは多用しすぎるとダサく見えるかも知れませんね、倒置法とかも。
Enginepithecus
物凄く、分かりやすかったです……!
いけないんですね、つまり、こういうのが……!
Musibu-wakaru
なるほど。(笑)
確かに「クサみ」の要因は「いやいや、そんな話し方普通はしないでしょ」という所から来ているような気がするのでそういった表現の使い所には注意したいですね。
stengan774
そうですね。一回台詞を自分で口にしてみたりするとそういった話し方の違和感には気付きやすいかも知れません。
勿論悪い面だけでは無くて、読点で一単語を区切ってると「ああ、強調して喋ってるんだな」とか「言葉に詰まってるんだな」ということがパッと分かるのでここぞと言うときに使いたいですね。
Enginepithecus
「多用するな、ここぞというときの切り札にこそ使え」、という事ですね。
Musibu-wakaru
先程の情景を想像させる時に意識することと同様、
読者の目線から見てどう映るかというのが重要になってくるのですね。
節度を持って使おうと思います。何事も。
Musibu-wakaru
❴24❵ 自分の文を読み返すのが苦手で、結果細部の整合性のチェックが抜け落ちてしまう場合がある、という方からの質問です。
stengan774さんは、このような状況に陥ったとしたらどのように対処されますでしょうか……?
stengan774
私自身は何度も読み返すことが苦にならないタイプなので参考にならないかもしれませんが、誤変換や脱字・衍字しやすい語句にだけでも注意してみると良いかと思います。例えば誤変換で言えば「関わらず」と「拘わらず」だったり、「進入」と「侵入」「捕捉」と「補足」だったりです。
それもできないのであれば、他人に校正を頼んでみたり、中には音声読み上げソフトを使って音読させてみるという人も居るらしいので参考にしてはいかがでしょうか。
Musibu-wakaru
音声読み上げソフト……!新しい知見を得ました。
Enginepithecus
・ある程度、間違いの起こりやすい語句は予測が可能
・他人に校正をお願いする手もあるぞ
・音声読み上げソフトという手もあるぞ
この3点、ですね。
Musibu-wakaru
私もどちらかというと自分の文章を読み返すのはしんどい派の人間なので音声読み上げソフト、試してみようかなと思います…!
Musibu-wakaru
❴25❵ 高評価を獲得した記事の中には、ご自身で投稿前から高評価を確信していたもの等はあったりするものなのでしょうか。もしございましたら、そういったTaleに共通する点や、確信していた理由、等を伺いたいです。
stengan774
特に確信はありませんでした。ただ共通点はあって、高評価の自著は概ね投稿以前に「これ攻めすぎで削除されるんじゃないかな/評価伸びないんじゃないかな」と一抹の不安がありました。
逆に「これは伸びるだろ」と思って書いた記事は伸びなかったりするので、あまり狙いすぎ/読者に媚びすぎは良くないのかもしれないなと思っています。
Musibu-wakaru
なるほど。やはりその辺りの予測は難しいのですね。
Enginepithecus
むしろ「自分の描きたい内容に正直に、伸び伸びと執筆した」ものの受けが良い感じですか?
stengan774
そうですね。もちろん最低限主流の需要や価値観に寄せる作業などは必要だと思いますが、尖ったものの方が埋もれにくいと言うことなのかも知れません
Musibu-wakaru
自信があまりなくてもひとまず投稿してみるというのも悪手になるとは限らないのですね。(無論批評はいただいた方がいいですが。)
ただ、自分が面白いと思えないものはまず残らないだろうというのは通説だと思っているのですが、
投稿される際も自分で自分の作品は「面白い」と言える状態だったのでしょうか。
stengan774
もちろん低評価削除された記事も含めて過去に出した記事全ては当時「面白い」と思ったから投稿しました。
Musibu-wakaru
やはり自分の記事に評価はさておいて「面白い」と思っておくことは必要なのですね。
stengan774
「コンテストに参加していた」だとか「当時人気のジャンル/シリーズだった」など好評価になった要因は様々だと思うので一概には言えませんが、最初に述べたように描きたい要素を存分に活かした物語を組み立てられればそれらのスタートラインには立てるのでは無いかと思います。
Musibu-wakaru
❴28❵ ここまで様々な疑問にお答え頂きましたが、stengan774さんが個人的に欲しい、もしくはこれに関して情報共有があったら役立つだろうなと思うTale執筆活動上のポイント、等はございますでしょうか。
stengan774
本腰を入れて執筆したい/集中したい時に皆さんが何をやっているかは少し気になりますね。やはりコンテストの締め切り直前など気合いを入れたい時はあると思うので、そういったノウハウが共有出来れば有益では無いかと思っています。
Musibu-wakaru
あー、なるほど。確かに気になりますね。執筆時のルーティンなども。
Enginepithecus
ここは、確かに様々な著者の方々に、インタビュー企画外の機会でもお聞きできると様々活かせるかもと感じますね。自分の場合も「執筆時間を細切れにして対処する」以外の方法を知らないので……(苦笑)
Musibu-wakaru
では、これで質問は以上です。
本日は長い間どうもありがとうございました。お疲れ様でした。
[記録終了]
インタビュー回答者: ykamikura
インタビュアー: Enginepithecus
Dr_rrrr_2919
[記録開始]
Dr_rrrr_2919
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。
ykamikura
何をきっかけに書けばいいのか……とりあえず「このSCPのTaleが書きたい」や「このキャラクターが登場するTaleが書きたい」だけで書くのは止めた方がいいと思います。こういった動機だけで書くと「元のSCP読めば十分」「何かキャラクターがわちゃわちゃしてるだけ」といった内容になってしまいがちです。
Taleは小説です。小説である以上、感動、悲劇、胸糞、ほのぼの、アクション、ホラー、サスペンス、ファンタジー、ミステリー、ギャグなど、とにかくいずれかのジャンルの面白さを備えている必要があります。普通の小説と違うのは、題材としてSCPや人事ファイルキャラが用いられるという点だけです。
とは言え、使いたいSCP、登場させたいキャラクターを持っておくこと自体は有用です。私も常々自分の人事ファイルキャラである「エージェント・戸神を活躍(あるいはズッコケ)させたい!」と願っていたので「お、このSCP(あるいはカノン、他の人事ファイルキャラなど)使えるんじゃないか?」と多くのアイデアを釣ることが出来たのだと思います。
なので、何をきっかけに書けばいいのか……の私なりの答えは「動機とそれを活かすアイデアが結びついた時」だと思います。
オチは本当に難しいですが、まあ「読者の予想を外す」のが基本ですかね。逆算すれば、オチに至るまでに読者をミスリードさせつつ、けれどオチに納得してもらえるように(さり気なく)伏線は貼っておけば、自ずとオチは浮かんできますかね?
Enginepithecus
「使いたいキャラやオブジェクト等の動機」と、「それらを使用しつつ元記事とは異なる独自の内容を展開できるアイデア」、この2つのピースが組み合わさった時に初めて「書き始めるべき状態」に至ったと言える、という感じに捉えれば宜しいでしょうか。
そしてオチに関してもそれ以前の内容に関しても、読者から「思った通りだわ。」「そうだろうと思った。」という感想が飛んでこないような、そういった作りが重要だと言えますでしょうか?
ykamikura
はい、そんな感じですね。
初心者さんは、どうも「動機だけで書いている」ケースが多い気がしますので…。書きたいお気持ちはすごく良く分かるんですけどね。
Enginepithecus
成程です。そこで駆け出して、躓いてしまっては勿体ないと言える形ですね。
Dr_rrrr_2919
❴3❵ Taleの前提知識となるオブジェクトは、どのように選定しているのでしょうか?
ykamikura
私は書きたい話に合致する性質のオブジェクトを後から探す、が圧倒的に多いですかね。繰り返しになりますが「このSCPのTaleが書きたい」だけでは、「元記事読めば十分」という仕上がりになりがちなので……。
Enginepithecus
あくまでも「主役は元記事ではなく自分で描き出すTale自体の内容の方」というスタンスを重視するが故、ですかね?
ykamikura
ですね。あえて元記事から外れない形で、そのぶん描写で掘り下げる、というタイプもあると思うんですが、こっちはむしろ難しいと思うので……。
Dr_rrrr_2919
なるほどです。確かに、私も「このSCPで書きたい」から書こうとして挫折した経験があります。
Dr_rrrr_2919
❴4❵ Taleを書く際、プロットは作成されますでしょうか。プロットの構築自体を苦手とする方もいるとのことなので、普段作成されている場合、その構築の手順やコツ等をお聞きしたいです。
ykamikura
ここで言う「プロット」とは、あらすじ(読者向けのストーリーの概要)よりはもう少し詳細な、キャラクターのプロフィールや舞台設定、テーマや伏線なども加えた、著者本人のための「設計図」であると仮定してお話します。
まず、私は少なくとも「出だし」と「オチ」が浮かぶまでは、あらすじもプロットも書きません。下手に書いてしまうと、思考が固定されてしまうからです。逆に言うと、私は「途中経過」がなかなか浮かばなくて苦労するので、ここを補完するためにあらすじとプロットを書きます。以下、ざっとですが手順です。
1. 出だしとオチを確定する。 途中経過もぼんやりとでも構想しておくに越したことはない。
2. (必要なら)元ネタのSCPや他Taleなどを読む。 少なくともメインの元ネタはしっかり読み込む。
3. (必要なら)サイト外の参考文献を読む。
4. あらすじを書く。 まだ浮かんでいないシーンは飛ばしても良い。
5. 設定を補強する。 テーマ、キャラクターのプロフィール、舞台設定、裏設定、表現のモチーフなどを固める。
6. あらすじを補強する。 詳細化できそうなシーン、仕込めそうな伏線、強調すべき箇所、テーマを表現できそうな箇所などを探す。
7. 5と6を繰り返す。 この過程で途中経過を補完する。例えば、キャラクターのプロフィールが明確化してくれば、どんな行動を取るかも見えてくるはず。ポイントはただ「出だしとオチをつなげる」のではなく、「いかにオチの唐突感を失くし、かつストーリーを盛り上げるか」を意識すること。
EX. 可能なら当初のオチからさらに捻って2段オチにする。 これも5と6の繰り返しで生まれることが多い。
やはり出だしとセットでぽっと浮かんだオチというのは、あまり捻りがないことが多いです。とは言え、そう毎回毎回びっくりするようなオチが思いつくはずもないですよね。なので、1発でズバッとオトすより、2段オチを意識するといいかもしれません。これで終わりと思いきや、実は……という構造にすることで、意外性が増すわけですね。
「オチを1つ考えるだけでも大変なのに、2段オチとか無茶ぶりはやめてクレメンス」と思われるかもしれませんが、「オチを2つ考える」のではなく、「1つのオチを2つに分割する」ならば割合簡単かもしれません。例えば主人公の勝利シーンで敵の口から真相の90%ぐらいを明かしておいて、後日談で残りの10%(情報量では10%でも重要度では90%に匹敵する)を判明させる、といった書き方です。
(と、まあ、偉そうに語りましたが、私もここまで丁寧にプロットを書くのは、かなりの長編かストーリーが複雑な記事だけで、それ以外はあらすじだけで済ませてしまうことが多いです)
Enginepithecus
あらすじやプロットが、(出だしとオチという"重要だが全体から見れば一部分"に限定される話とは言えども)本文となる文章に対して書く順番的に後発となるというのは完全に想定外のお答えでした。
それ程までに出だしとオチは重要で、しかし尚且つ中盤や二段オチの形成について言えばやはりあらすじやプロットの作成も有効である、との形でしょうか。
ykamikura
ですねー、練っている内により良い設定や展開が錬成される場合もあるので……。
あ、EX2「無駄を省く」も入れておいた方が良かったかな……。
「このキャラ、何しに出てきたの?」とか言われたら負けなので……。
Dr_rrrr_2919
あらすじを書かないとどうしても脳内で破綻してしまうのですが、そのあたり意識していらしたりするのでしょうか?
ykamikura
破綻はしないように気を付けますね、特にキャラの心理状態が矛盾しないように。
Dr_rrrr_2919
なるほどです。
ykamikura
「ストーリーを優先してキャラをアホにするな」とも言います。
Enginepithecus
この言い方は、凄くストレート故に分かりやすいですね。
Dr_rrrr_2919
ここからは「執筆中、内容面について」の質問となります。
❴8❵ 「静かなシーン」と「アツいシーン」の起伏を作るにはどうすれば良いでしょうか?またそれに伴って、シーンごとの「感情の起伏」はどれくらいのバランス配分が良いでしょうか?
ykamikura
基本中の基本かもしれませんが、やはり「キャラクターの態度を変える」でしょうかね。普段穏やかな人が激昂したり、普段はおちゃらけた人が真面目になったり……。また、「地の文もそれに合わせる」のも有効かもしれません。静かなシーンでは淡々とした書き方で、アツいシーンでは修飾語バリバリの書き方にするとか(まあ、統一感が崩れない程度に?)。
あと、静かなシーンとアツいシーンの「相乗効果」も意識した方がいいかもしれません。例えば、静かなシーンで平和な日常風景を描写し、アツいシーンで世界のピンチを描写することで、平和の尊さと「絶対に負けられない!」感を出すとか……。個人的には、アツいシーンの最中にふと日常的な話題が出たりする(この戦争が終わったら結婚するんだ……アカン、それ死にフラグや)のも好きですかね。
シーンごとの起伏は……作品の「温度感」をどうしたいかによるかなぁ。それこそ絶対零度と灼熱ぐらいの温度差がある作品がいわゆる「名作」には多いですが(TaleではないですがSCP-062-JP - 生存権など)、あえて温度差の少ない淡々とした作品もいいですよね。そのどちらかを目指すのが無難なんですかね。
Enginepithecus
「キャラクターの動きを意識して」という基本を踏みつつ、更にそこに「ストーリー中での相乗効果を意図して各シーンが果たす役割」を自分の中で明確に意識すると良い作品に繋がるとの感じでしょうか?
ykamikura
そうですね、キャラも場面も総動員しましょう。
Enginepithecus
納得です。キャラも場面も、全てTaleの構成要素である以上は何らかの役割を果たしてくれる筈、と考える事ができそうですね。
ykamikura
ですね。理想は何も無駄がないことです。
Dr_rrrr_2919
❴9❵ 書いている内に当初の構想から内容が変化していく、というのは経験としてよくある事でしょうか。もしそういった「書いていく内にキャラの言動やストーリーの内容が変わった」経験をお持ちでしたら、それをどう対処したかという事をお聞きしたいです。
ykamikura
私は出だしとオチが浮かんでからあらすじ&プロットを書き始めるので、読後感が変わってしまう程大幅な変更はまずないですかねえ。ただ「ここはこうした方が、より読者の印象が強まるんじゃないか」程度の変更はたまにします。その結果、生存するはずのキャラが死んだとしても、私にとっては「その程度」の変更なわけで(ひどい)……。
Enginepithecus
「ブレてはならない要素」と「ブレても構わない要素」との明確な線引きが、構想の出発段階で既にご自身の中で確立している形でしょうか。
ykamikura
そうですね。逆にコロコロ目指す読後感が変わってしまうようなら、まだ書き始めるには早いんじゃないかと……。
Dr_rrrr_2919
ううむ、確かに私自身落ちまでの流れ、読後感を変えていってしまうことはありますね。
ykamikura
批評に翻弄されてる初心者さん、たまに見ますが、それで上手く書けてる例見たことないんですよねえ……。
Dr_rrrr_2919
そのような場合も「ブレてはならない要素」をしっかりと決めておくことが大切なわけですね。
ykamikura
そうですね。
Enginepithecus
すると誤解を恐れぬ言い方をするならば、「批評が自身の指針と根本的に異なる場合、その批評内容を取り入れない勇気も大事である」と言えそうですかね。
ykamikura
そう思います。
Dr_rrrr_2919
❴10❵ この事例に関しまして、当初の構想から変化した原因としてご自身が強く感じられたのはどういった部分でしょうか。
ykamikura
設定がストーリーと合わなくなって…が多いですかね。漠然としすぎ、無駄に複雑すぎ、両方ありますが。
Enginepithecus
その場合、やはり設定側がストーリーに従属して変化するという認識で宜しいでしょうか……?
ykamikura
そうですね、設定とストーリーは上手く共鳴し合って、美しいハーモニーを奏でるのが理想だと思います。
Dr_rrrr_2919
その過程で職員が死亡したりだとかをやるわけですね。
Dr_rrrr_2919
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
ykamikura
とりあえず「このTaleはこれがテーマです!」とは絶対に明言せず(明言しているも同然の表現も含む)に、代わりにありとあらゆる婉曲表現でテーマを表現することですかね。言い換えれば、作中のキャラ、舞台、状況などは全て、多かれ少なかれテーマを婉曲的に表現している必要があると思います。
あとはメインテーマとは別に「裏テーマ」を決めておくのもいいかもですね。メインテーマほど明示されない、気づく人は気づく……ぐらいの示し方でも、あるとないでは作品の重厚さが変わってきます。
Dr_rrrr_2919
❴12❵ 執筆されるtaleによっては前提となる知識を情報収集される場合があると思いますが、その際どの様な手段を用いて、またどの程度詳しいところまで情報収集を行われますか?
ykamikura
書籍、ウィキペディア、解説動画などですかね。網羅するのは大変なので、なるべくピンポイントなものを選ぶのが楽です。例えば、マリー・アントワネットを題材にするからと言って、フランスの歴史を1から学ぶのは無謀です。ベルばら読んでウィキペディアを見る程度で十分です(暴論)。掴まなければならないのは、知識というよりその舞台の雰囲気だと思います。
Enginepithecus
「凝りすぎて掘りすぎるとドツボにハマるぞ」、という事でしょうか。
ykamikura
ですです、読者はべつにうんちくが聞きたい訳じゃないですからね。
Dr_rrrr_2919
「必要最低限以上の情報はそれほど必要ではない」ということですね。
ykamikura
最低限の知識で最大限に雰囲気を出すのが理想ですかね。
Dr_rrrr_2919
❴13❵ (物語上で発生するイベントそのものや登場人物の動作描写、あるいはイベントを飾るという意味合いでの)演出について、ykamikuraさんが自身の個性として入れ込むもの(=特定の表現や特定作品の影響)について教えてください。
ykamikura
一番多いのは花、および花言葉を用いた表現ですかね。手軽に象徴性・映像イメージを持たせることができるので便利です。その次に多いのは神話や歴史、古典文学からの引用でしょうか。「歴史は繰り返される」的な重厚感が出ます(頭悪い)。あとは……アクションが主体でないTaleでも、最低1回はアクションシーン(失敗したら誰かが死ぬくらいの)を入れて単調さを防ぐことは意識しています。
Enginepithecus
花言葉といい、神話その他の歴史あるものからの引用といい、「(広義での)風情/味わいのある」表現を入れると厚みのある感じが出せるぞ、との形でしょうか。
そして、アクションはやはり大事なエッセンスなのですね。
ykamikura
ですねー、逆に初心者さんは、会話だけでストーリーを進めがちかもしれませんね。悪いとは言わないけど、どうしても動きが乏しいと単調な印象を与えがち。
Dr_rrrr_2919
花言葉や神話などですと、書きたい表現に一致しない場合もあると思いますが、そんな場合はどうしているのでしょう?
ykamikura
花言葉なら、大抵何かしら合うと思いますけどね…あとは映画とかもありかな…?
有名な映画・名セリフとか?
Enginepithecus
映画、それこそやはり60年代以前とかの歴史の深い映画ですかね?
ykamikura
ですね、実際に見てなくてもいいんです(!?)
重厚感さえ出れば!
Enginepithecus
重要なのはそこなのですね。(笑)
Dr_rrrr_2919
「執筆中、文章面について」の質問です。
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
ykamikura
なるべく瞬時に読者の興味を惹けて、その作品全体を象徴するような一文(かつ、ネタバレにはならない)にするようにしています。時系列を前後させて、印象的なシーンを最初に持ってくるのもいいかもですね。
逆に、どんな作品にも「万能に使えてしまう」ようなのは避けた方がいいかも……。
Dr_rrrr_2919
「その作品を象徴する」且つ「興味を惹く」ですか。確かに、初めから読みたいと感じるのはこのようなTaleですね。
Enginepithecus
有難うございます、「万能に使えてしまう表現を避ける」というのが、意識するポイントとして押さえるのに分かりやすいです。
ykamikura
「象徴する」は後から見返してみてそうだと分かるパターンでもいいですね。
Enginepithecus
「最初から読者がそれと認識できる必要はない」という事ですね。
ykamikura
逆に言えば、見返させることで二重に読者に印象付けることができます。
Dr_rrrr_2919
❴18❵ これは登場人物の内面や心情の変化をその登場人物自身の視点から捉えて描くことを苦手としている、との方からの質問なのですが、そのような描写を行う際、どのようなことに気をつけておりますでしょうか。
ykamikura
なるべく記号的・説明的な表現を使わないこと、具体的な映像(心理的なものを含む)を添えること、ですかね。例えば、主人公が大切な人の死で悲しむシーンなら、「主人公は悲しんだ。なぜならその人は××で××だったからだ」なんて書き方は普通しないですよね? 主人公が無言で地面をゴスゴス叩き、脳裏を駆け巡る思いでを生き生きと描写すれば、「悲しい」なんて単語は1回も使わなくても主人公の悲しみは表現できるはずです。タイミングよく土砂降りの雨になるのもいいですかね? この辺は小説より漫画や映画の方が参考になるかな?
Enginepithecus
映像作品をTaleの演出の参考資料としてしまうのもアリなのですか!
ykamikura
映像…というか映像感覚は大事かもしれませんね。
初心者さんはどうしても、文章上だけでストーリーを展開しがち…うーん、上手く言えない;
文章が喚起するイメージまで計算しておくと良い…かな?
Enginepithecus
私自身が常々心がけねばと思っている(そして結構な確率で難儀している)事として、「読者が主人公の視覚情報をジャックできるように書く」というのがあるのですが、ある種これに近い感じでしょうか……?
ykamikura
そうですね。視覚はもちろん、聴覚や嗅覚、実際にはない感覚(胸が締め付けられる感覚など)まで総動員して、読者をキャラに乗り移らせましょう。
Dr_rrrr_2919
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
ykamikura
「クサい」あー、私もよく言われるー(白目)。まあ、「エモいセリフを言わせたい!」という動機だけで、エモいセリフを言わせない、ですかね。当人はエモくするつもりはないのに、状況がエモすぎてエモいと言わざるを得ない……というのが理想的なんですかね。そもそも、アニメなどで有名な名セリフは、それを放った「状況」と不可分ですからね。
Dr_rrrr_2919
成程です。「エモ」を重要視するよりも、それを感じられる状況造りが大事なのですね。
ykamikura
です。あとは「こいつなら、ああ言うのも当然だろう」と読者に納得してもらえるように、キャラをしっかり説明しておくことですかね。
名セリフはそれを放ったキャラとも不可分です。
Enginepithecus
状況、キャラ、いずれにせよ「読者にそれを飲ませるだけの下準備」が大事な要素。という事ですかね。
ykamikura
わかりやすい例なら、ワンピースのエースの「愛してくれてありがとう」ですかね~。
あの状況で、彼が言って初めて成立しますよね。
ykamikura
あ、そうだ。
一応、他の方の質問にもお答えしたものが砂箱にあるので、リンク貼りますね。
http://scp-jp.wikidot.com/the-interviews-about-how-to-write-tales-jp/offset/1/page2_limit/1
Enginepithecus
有難うございます……!お心遣い感謝致します。
ykamikura
重複してる質問は、さすがにカットさせて頂きましたが……。
Dr_rrrr_2919
こんなに丁寧に……ありがとうございます!
ykamikura
扱いはお任せします。
Dr_rrrr_2919
では、これにてインタビューは終了としましょう。
ykamikura
お疲れ様です。
Enginepithecus
誠に有難うございました。
Dr_rrrr_2919
お疲れ様でした。
[記録終了]
インタビュー回答者: SOYA-001
インタビュアー: Dr_rrrr_2919
Sprite Neebath
[記録開始]
Dr_rrrr_2919
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。
SOYA-001
正直、私自身は直感的に執筆を行うタイプなので、「コレ」といった動機があるわけではありませんが、1つの執筆の足がかりとして考える流れの傾向として、
「そのキャラクター、空間、印象、シーンのアイデアが絵として頭の中で想像できたら、それを点にしてあとから繋げる」という方法を採りがちかもしれません。
これらの思いついたシーンはとりあえずストックとして残しておいて、物語を構築していく中で使えそうだな、と思ったらそのストックから引っ張り出して利用する、みたいなことも出来ますしね。
ただ、この方法はアウトプット一辺倒になると「そもそもそんなアイデアを絵で想像できねえよ」ってなりがちでもあるので、日常で得られるワンシーンや会話、行った場所やあった人の印象なんかを意識的に物語に落とし込むためのピースとして覚えておいたりするのも、アイデアストックに繋がるんじゃないかなとも思います。
Dr_rrrr_2919
なるほど。
その方法は私はあまり得意ではないのですが、何か意識して行うことなどございますか?
SOYA-001
一番いいのは「Taleで書きたいワンシーンを下手でも簡単でも良いので挿絵にできそうな構図を紙に書き出してみる」とかでしょうかね。誰かに見せるとかそういうことをするわけじゃなく、「こういうシーンがあるとロマンチックになったりするな」っていうのを妄想する、という意識付けが執筆のモチベにも繋がったりしますし、シナリオを想像する上での助けになったりすると私は思います。
私は記事執筆者でありつつイラスト中心のアートワーカーでもあるので、そういったやり方の延長線として描いた絵を挿絵として記事内に導入したりもあります。
Dr_rrrr_2919
描きたい描写を考えるわけですね。
SOYA-001
そうですそうです。
Dr_rrrr_2919
❴3❵ Taleの前提知識となるオブジェクトは、どのように選定しているのでしょうか?
SOYA-001
Tale自体、色々書き方があるので一概に断言はできませんが、「1つの物語に対して中心となるオブジェクトを1~2ほど出す」のであれば、これはもう身も蓋もないことになるんですが、「まずはなるべく多く記事を読んでいく」ことからやるしかないかなぁと思います。
番号やメタタイトルを覚えていなくても、「そういえばこのシナリオに合いそうなオブジェクトがあったな、どれだっけ?」と後から探すためのきっかけにもなりますし、「このオブジェクトならこういう物語が書けそうだな」と読んでいるうちにシナリオの方を思い浮かべられる場合もあります。他のサイトメンバーに聞けば、性質から記事リンクを教えてくれたりとかもできますしね。
まぁつまり、これについても根本としては「インプットが大事」というところに帰結すると思います。
Dr_rrrr_2919
なるほど、インプットしてうまくアウトプットできることが大事なのですね。
SOYA-001
ちなみにこれはTale記事に限らず、SCP記事や人事ファイル、GoIフォーマットについても言えたりします。
Dr_rrrr_2919
クロスリンクは少し難しいといわれているので、これはいい情報ですね。
SOYA-001
クロスリンクが難しい理由も、結局「読んだ記事の知識ストックのうち、今書いてる物語で導入できそうな要素に当てはまるものが見つからない」のが原因だと思うんですよね。
なので結局「多くの記事を読んで、記事の知識ストックを蓄えておく」のが大事になってくるというわけです。
Dr_rrrr_2919
❴4❵ Taleを書く際、プロットは作成されますでしょうか。プロットの構築自体を苦手とする方もいるとのことなので、普段作成されている場合、その構築の手順やコツ等をお聞きしたいです。
SOYA-001
実は、プロットについては私も非ッ常に苦手です。なんなら厳密に書いたりすることもありません。強いていえば、最初の質問で挙げたやり方がプロットとして活用できるであろうということくらいでしょうか……それもあんまり確定的にそうだ、とは断言できるわけではありませんが。
なので、そんな私がよくやるオススメのシナリオラインの執筆法としては、「ブレインストーミングをする」ですね。
というか厳密には「今書きたい内容を誰かに話してしまう」というのが正しいかも知れません。
Dr_rrrr_2919
考えを他人に伝えられるようにして、それをさらに具体的にしていくのですね。
SOYA-001
それもありますし、「頭の中でフワフワと思いついただけのイメージを、誰かに話すことによって整理する」ことができるためです。
Dr_rrrr_2919
確かに、書きたいものがごちゃごちゃする感じはあります。
SOYA-001
ブレストすることで書きたいと思った内容を自分でも聞いてくれた人でも精査できる、というのは得でしかないので、本当にオススメです。
Dr_rrrr_2919
先ほど、プロットは苦手だとおっしゃいましたが、
❴5❵ プロット以外の部分ではどのような部分からまず文章化の手を付けていかれるのでしょうか。
SOYA-001
そうですね……もうこれは最初の質問の答えとも被ることがあるんですが、「とりあえずまずは挿絵を描いてみる」というのが私のやり方かもしれません。
これは「ウチの居場所」「AM4:15、初夜」がまさにそうで、前者はオチに描かれている墓標の挿絵をまず描いて、どうやってそこに繋げていこうか、というのを考えましたし、後者については外部サイトで投稿したイラストが原点になっていますね。そちらのリンクは差し控えますが……。
あとはもう、「最初の行でどれだけ読者を引きつけられるか」次第かと。要するにフックですね。
Sprite Neebath
最初の行で読者を引きつけるのも大切なんですね。
SOYA-001
「ウチの居場所」であれば、最初にドーンと記事のタイトルロゴを置きつつ、解雇通知を最初の画面に映る範囲に置くことで、読者の興味を引くようにしています。

Sprite Neebath
なるほど、AM4:15、 初夜の場合は、どのようにして読者の興味を引くようにしているのでしょうか?
SOYA-001
これについては「まごうことなき成人向け表現を含んだアダルトTale」というあまりにも実験的な点を含んだ超特殊事例なので、これを例にして執筆者アドバイスをするのは難しいと思います。アダルトTaleの書き方ともなればお教えできる事はあるかも知れないですけどね。
Sprite Neebath
アダルトTaleの書き方も、参考にしたい為どのようにお書きになるか、聞いてもいいでしょうか?
SOYA-001
うーん、込み入った話になる上に、このインタビュー自体未成年者も読むであろうことを想定しているので、申し訳ないですがこの場では差し控えさせていただきたいです。
Sprite Neebath
わかりました。
Dr_rrrr_2919
❴7❵ Taleのメインとなるキャラ達の、人物像の造形はどのように構築しますか。
SOYA-001
私自身は人事Taleの執筆になれているので、ここでは人事キャラクターを中心にお話をさせていただきますが、たとえば既存の人事キャラクターがいて、そのキャラクターの人物像の造形、解像度を上げるには先と同じく「人事キャラクターが登場している記事を読む」以外にはないと思います。
そうではなく、イチからキャラクターを造形し、Taleを執筆する、というのであれば、「自分が好きだと思うキャラクター要素を書き出す」「関係性の王道を学ぶ」の2つがいいと思います。
「自分が好きだと思うキャラクター要素を書き出す」というのは、そのキャラクターの人となり、性格、好み、所属する自他組織に対する視点などといった部分や、「こういう状況の時はどういうことをするだろうか」「こういう人が関わってきたらどう返すだろうか」といったことをシミュレートした上で、箇条書きなどでメモを出力して解像度を上げていくという方法ですね。私はこれをキャラクターの外観イメージから書き出したりします(私の人事キャラほぼすべてにイラストがついてるのはこのため)。
「関係性の王道を学ぶ」というのは、例えば「ベテラン刑事と新米刑事」「高飛車幼女と最強執事」といったような、多くの読者が共感を得やすい組み合わせを知識として蓄えておく、ということを意味しています。そういった組み合わせからキャラクターの造詣がはっきりすることもありますし、シナリオが浮かぶことも少なくはありません。そしてこれを学べる最大の方法は「SCP以外の創作物・版権作品に多く触れる」ことにあると思いますね。理由は序盤の方の回答とそうわりませんね。
Dr_rrrr_2919
ふむふむ。王道に触れる、のが良いというのは少し意外でしたね。
SOYA-001
実際、この王道に則った記事というのも少なくはないでしょうね。たとえばwatazakana氏が執筆してらっしゃる『20世紀、その終わり 【起承ノ編】』なんかは、ドラマ『SPEC』に多大な影響を受けているとご本人が仰っております。
Dr_rrrr_2919
当該記事は拝読しましたがそれは知りませんでした。
Sprite Neebath
SCP以外だと具体的にはどのようなジャンルに属す作品など参考にするといいのでしょう?
SOYA-001
それは各々の書きたい物語や好みによって左右されるため、私の口からは説明することは難しいですね。
Sprite Neebath
では、SOYAさんのTaleの中でSCP以外の参考にした作品などは、ありますか?
SOYA-001
私はその場その場で見ていたものや読んでいたもので執筆に取り入れる事が多いですね。
人事キャラクターの書き方になるかもしれませんが、例えば『エージェント・斑座』はカートゥーンネットワークの古い作品を見て思いついたものですし、『パベル従業員』はゲーム「OneShot」の主人公に多大な影響を受けています。
Sprite Neebath
なるほどゲームなどでも参考になるんですね。
Dr_rrrr_2919
❴8❵ 「静かなシーン」と「アツいシーン」の起伏を作るにはどうすれば良いでしょうか?またそれに伴って、シーンごとの「感情の起伏」はどれくらいのバランス配分が良いでしょうか?
SOYA-001
「静かなシーン」「アツいシーン」なる考え方は私はあまりしないので分からないですが、「見せ場」と「落とし」は常々意識して執筆していますね。
再度『ウチの居場所』を例立てて説明すると、
「自身に居場所をくれたはずの財団が、突然勝手な都合で解雇・収容してくるという理不尽に耐えかね、嶽柳主任研究員の胸で泣く」シーンが「見せ場」であり、
「そうやって追いすがった嶽柳主任研究員が、自分がずっと生きていると思っていたはずの大切な彼女が自身が収容された次の日に死んでいたという事実を知る」という部分が「落とし」です。
この「見せ場」「落とし」がしっかりと作られていれば、それだけでおおよそ物語上の感情の起伏はハッキリと見えてくると思います。そして、この2点を見つける方法の1つに、先の「とりあえず感情的に訴えかけたり見せたりしたいシーンを絵に出してみる」というものがあります。
Sprite Neebath
なるほど見せ場と落としを作るという事が大切なんですね。
見せ場、落としを作る時のコツなどは、あるのでしょうか?
SOYA-001
そうですね……「見せ場」はいくつ作っても問題ないんですが、「落とし」に関しては基本的に1つだけにするのがいいですね。
特に大事なのは「落とし」。これを作るときは基本的に、「主人公がそのストーリーラインを経ることでどういう状況に陥ったのか」を端的に一言で言えるように作るのが重要になりますね。先の例のように。
Sprite Neebath
❴9❵ 書いている内に当初の構想から内容が変化していく、というのは経験としてよくある事でしょうか。もしそういった「書いていく内にキャラの言動やストーリーの内容が変わった」経験をお持ちでしたら、それをどう対処したかという事をお聞きしたいです。
SOYA-001
私もこれはよくあることなのでお気持ちはよく分かりますね。書いていくうちにキャラクターが一人歩きするのは少なくはありませんし。
状況にもよりますが、私の場合は「ある程度流れに任せて書いてみる」ようにしています。当初言わせたかった台詞とか作りたかったシーンとかはひとまず横に置いておいて、改めてシーンを構成したり、ストックの中から合いそうなやつを持ってきたりするのも手です。
あとは、そういう予定外の変化を防止する方法として、さっきの通り「ブレインストーミングする」のが手っ取り早く効果的です。
Sprite Neebath
なるほど、
ストックと言うのは、初めのインタビューでおっしゃっていた思いついたシーンの中から選ぶと言う事なのでしょうか?
SOYA-001
そうですそうです。
シーンはとっかえひっかえ良さそうなヤツを当てはめるもよし、改めてシーンを作り直すもよし。
書いてるところを誰が見てるわけでもないのでどんなに変わってしまっても面白くなればOKですからね。
Sprite Neebath
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
SOYA-001
そうですね……要するに「フック」をどうすれば良いのか、という質問ですよね。
正直私も得意ではないのですが、少なくとも私がよくやるやり方として「最初シーンのイメージを真っ先に固めてしまう」のが良いかもしれませんね。
例えば、主人公が財団から詰問されているシーンから始めるとしたら、
・何故詰問されているのか
・どこで詰問されているのか
・誰が詰問しているのか
・それによって主人公はどういう感情なのか
・詰問者は何を思っているのか
あたりをもう決めてしまうのがいいでしょう。ストーリーラインに沿いつつ、そこから1つ1つ要素を説明する形で書き出しをしていけば、ある程度書き出しは安定するのではないかなと思います。
Sprite Neebath
❴15❵ 表現・文量など、地の文を書く際に気をつけていることをお聞きしたいです。
SOYA-001
これはもう個々人の癖などによっても変わると思いますが、私が気をつけていることをいうとすれば、
「カギ括弧が最大でも3つ続いたら地の文を入れる」
「地の文とカギ括弧の間は1行空行を入れる」
「なるべく1つの句読点で改行する」
あたりでしょうか。
これは可読性をなるべく持たせるための基本的な方法として実践していることですね。
ほら、読みやすいでしょう?
Sprite Neebath
なるほど、とても読みやすいです!
SOYA-001さんが他にTaleで実践してることは、他に何かありますか?
SOYA-001
実践的にやってることといえば、キャラクター同士の会話・台詞の中で誰が喋っているのかが分からなくなるような事態は避ける、とかでしょうかね。
例えば、
「なるべくカギ括弧内に話し相手の名前を入れる」
「語尾や口調でキャラ付けをする」
あたりはやっておけば読者側の混乱は避けられるかなと思います。
Sprite Neebath
ウチの居場所の咬冴 舞波の関西弁やエージェントマダラザが咬冴 舞波の名前を言ったりしているところでも使われていますね。
SOYA-001
ですね。これも混乱を避けるための措置ですし、現実の日常会話でも会話中に相手の名前を呼ぶ機会は少なくはないでしょう。
Sprite Neebath
❴17❵ 自然な会話のやり取りを書くために気を付けていること、もしくは参考にしているものはありますでしょうか?
SOYA-001
これについてはさっき申し上げた内容そのままですね。
Sprite Neebath
では会話のやり取りで参考にしている作品などは、ありますでしょうか?
SOYA-001
特にこれといってはないですね、強いていえばTale作品を読み漁るうちに知識ストックを貯めていっている感じでしょうか。
Sprite Neebath
やはりストックは、Taleを書く為には、必要不可欠と言う事でしょうか?
SOYA-001
Taleに限らず、創作活動をする上では重要なファクターになりますね。
Sprite Neebath
❴19❵ 三人称の地の文の書き方、具体的には三人称の地の文によって身体的感覚・情景描写や心情を表現する事が難しい、という方もいらっしゃるとの事でして、この場合にはどのような点を意識するのが効果的でしょうか。
SOYA-001
そうですね、三人称視点での執筆で身体・心情描写を行うのは私も慣れていないことではあるのですが、この部分で一番いいのは「そのキャラクターの一人称視点で書き出した物を三人称視点に書き直す」でしょうか。個人的にはこれが一番書きやすい気がしますね。
Sprite Neebath
キャラクターの一人称で書き出した物を三人称視点に書き直すと言うのは、どのような事をするのですか?
SOYA-001
例えば、
私は上層部の指示通り、サイト-██の跡地を探索していた。その時だった。
「うわぁっ」
施設廃墟の陰りから飛び出してきたものを認識する間もなく、私は小さな叫び声を上げて尻餅をついてしまった。
という文章があったとして、
エージェント・山田は上層部の指示通り、サイト-██の跡地を探索していた。その時だった。
「うわぁっ」
施設廃墟の陰りから飛び出してきたものを認識する間もなく、私は小さな叫び声を上げて尻餅をついてしまった。
みたいに、主語を個人名に書き換えたりする方法ですね。一番簡単です。
Sprite Neebath
なるほど、簡単に3人称で身体的感覚、情景描写が表現されていますね。
SOYA-001
そうです。なので、3人称が難しい!と悩んでいる著者の方は是非これを実戦してみてはいかがかな、と思います。オススメ。
と、そろそろ時間も時間なのでここまでにしておきたいな、と思うのですが、他に何か質問などはありますでしょうか。
Sprite Neebath
私からは、ありません。今回こちらの企画に参加頂き誠に有難うございました。
SOYA-001
いえいえ、私も改めて自分の執筆論を文章化して再確認できたので良かったです。
ありがとうございました。
[記録終了]
インタビュー回答者: v vetman
インタビュアー: teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しませんmee_V_curage
[記録開始]
mee_V_curage
❴6❵ 執筆に於いて、最も重視する点は何でしょうか。
v vetman
『地味に刺さる展開で何度も性癖をブチ抜く』ことです。映画や漫画、或いは財団作品からでも摂取できる「今の展開やシーンが地味に刺さった。何回でも読み返したい」みたいな要素を兎に角かき集めて、自分の中に「こういう展開作ったら皆がエモいって言ってくれる」というパターンをストックしてます。
ただ、展開のエモさを重視しすぎるあまり中身が伴わなかったりするとかえってつまらなくなるので、『コイツで刺したい!』というよりは『この主題でこう書くのであればこのシーンにこの展開ぶち込める!』みたいな発想が生まれるように書いてます。
mee_V_curage
少し質問です。エモいパターンをストックする、とありますが、私はTaleの経験がなく、また記事もあまり書けていない為ストックが存在しません。こういう時はどうすればよいでしょうか?
v vetman
Tale以外にもストックに繋げられる媒体は沢山あります。映画や漫画、小説、ラノベ等の中でも、頭一つ抜けて受けている作品をちゃんと履修することが案外大切だったりします。
mee_V_curage
なるほど。ありがとうございます!
v vetman
財団における創作の着火薬が必ずしも財団作品でなくてはならない……ってわけでもないです。そして記事を書かなくても他人の作った面白い作品ならいっぱい摂取できちゃうので、兎に角自分で『今のやつ面白い!』って思ったのであれば真似たりストックしたりを繰り返したほうがいいです。やり続ければ自分の書く展開がパクリ以上の何かに化けます。
mee_V_curage
❴9❵ 書いている内に当初の構想から内容が変化していく、というのは経験としてよくある事でしょうか。もしそういった「書いていく内にキャラの言動やストーリーの内容が変わった」経験をお持ちでしたら、それをどう対処したかという事をお聞きしたいです。
v vetman
よくあります。書いてるうちに作品そのものに対する解像度は深まっていくものですし、キャラや世界観、各スタンスや本来あるべき結末なんかはそれに応じて変わっちゃうものです。長編を書くときによく陥りがちですね。
これの対策に関してですが、前もって超念入りにプロットを作っておくのが最善策だと思ってます。複数人でやればなお確実です。行きあたりばったりの書き方は一番キャラがブレやすいです。
短編だとどうにかなることもありますね。『ヒーローの辞表』は本当に行きあたりばったりでどうにかしました。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
やはり短編と長編では書き方を変えたほうがいいのでしょうか?
v vetman
長編でそんなマネできる人はまずいないと思ってください。もちろんこれからTaleを書こうとしてるみなさんも含めた話です。
これは実例ですが、現在連載中の『蛇と焚書のカルテット
』シリーズでも、私を含む3人の著者が十数話近くに渡る構成をかなり綿密に立てながら、「いや、俺の中のソイツはそういう行動しないかな」みたいな指摘を出し合ってキャラのブレを抑えてます。他にも1人のキャラにやって欲しいアクションや言動をメモに羅列しておくと、後で作中で使うか使えないかを分けやすいですね。
mee_V_curage
vetmanさんでも行き当たりばったりでなんとか短編を書けるぐらいであれば、慣れていない方はプロットを組むのが本当に大事ですね。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
キャラクターについてのメモをとったり、プロットを綿密に組むことはやはり大事なのですね。
v vetman
逆に考えれば『綿密にプロットを練ればそれだけブレの抑制に繋がる』ということです。まずは練りましょう。一人じゃ厳しいようであれば皆で練りましょう。私は一人だけじゃ厳しかったので三人でやりました。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
質問なのですが、オススメのプロットの組み方はありますかね?
v vetman
オススメのプロットの組み方、あります。皆で限界オタクになる方法です。
v vetman
「コイツだけオートマ車しか乗れなさそう」「家でチワワ飼ってそう」「絶対に次男坊や」「人妻でしか興奮しなさそう」みたいな使い所の無い幻覚でも構いません。複数人で1つのキャラや組織の「こういうことやりそう。いやこうであってほしい」みたいなのを出し合うんです。
その中でたまに「子供の異常存在を撃つときに躊躇うか否か」といった、キャラの書き分けにおいてかなり重要になってくることを決めるんです。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。キャラや組織のイメージや性格等を作り出すのですね。
v vetman
そうですね。この辺のイメージや予想は一人で生み出すのも大変ですし、早めに限界が来るものです。
mee_V_curage
物語の中盤あたりでいらないだろう情報が展開の鍵を握る、とかになったらめちゃめちゃ面白そうですね。
v vetman
本当にそれが起こりうるので恐ろしいものです。蛇と焚書のカルテットでもこういった余計な幻覚が正式採用された例がいくつかあります。
とある陣営のキャラに私の執筆仲間が「ぼくの中だと胡散臭い関西弁キャラ」って呟いたんですよ。
そしたら台詞の書き分けで重宝するという理由から急遽正式採用されたんです。重ねて言いますが複数人でプロット練ればブレは抑制できます。そして引き出しの数が一気に稼げます。是非みんなで書きましょう。
mee_V_curage
❴12❵ 執筆されるtaleによっては前提となる知識を情報収集される場合があると思いますが、その際どの様な手段を用いて、またどの程度詳しいところまで情報収集を行われますか?
v vetman
知識の事前収集は本当に大切です。その時点で足りてないものを補完するに越したことはありません。
私の場合は『蛇と焚書のカルテット』中央図書館編の執筆に際して、実際に現地に赴いて地形や建造物の解像度を高めたりしましたが、正直これは「著者がどこまで書きたいのか」によって必要性も変わってきます。
私は横浜市の地形や中央図書館の立地をどうやって活用するかを考えるために(そして聖地巡礼したときに解釈違いを起こさないために)、実際にその場に立ったり、郷土資料が何階のどこに収納されているのかを確認したり、近隣に利用できそうな施設があるかを確かめたりしました。
が、逆に『名前の無いファイル』においては通常のミサイルの発射システムをまるっきり無視して書くように心掛けました。発射シークエンスを長々やるよりはボタン叩きまくって屋上行ってエモく〆る方が格好いいので。
「解像度を上げた方が格好いいのか、ざっくり書いて文量減らして疾走感を高めるべきなのか」で書き込む知識量は変わってきますね。でもなるべく専門知識は調べられるだけ調べた上で使うか使わないかを判断したほうがいいかな……。
ちなみにですが、現実世界でいくら調べてもキリがないもの、例えばGOC排撃班の武装だったり編成だったりは自分で作って整合性調節を批評してもらっちゃうのでも大丈夫だと思ってます。財団の機動部隊が30人編成だろうが5人編成だろうがヘッドカノンとして押し通せばそれまでなので。
一方で、カノン『ODSS』を主導してる方々は現実の政治に関する知識や軍事に関する知識をある程度得た上で書かれてますね。アレが雑に書かれた『それっぽいリアリティ』に留まってるとカノン作品としての魅力がなくなってしまうので当然といえば当然ですが。
難しい話ですけれども、どこからどこまで必要なのかを見極めるのは著者本人ですし、必要な知識を十分摂取しないで書くのもまた危ういと思います。情報収集マジ大事。
mee_V_curage
仮に身につけた知識がその記事の内容に必要なかったとしても今後どこかで役に立つということはありますもんね。
v vetman
そうですね。同ジャンルで別作品書くときの良い足場になってくれることは確かです。
mee_V_curage
❴13❵ (物語上で発生するイベントそのものや登場人物の動作描写、あるいはイベントを飾るという意味合いでの)演出について、自身の個性として入れ込むもの(=特定の表現や特定作品の影響)について教えてください。
v vetman
いくつがありますが、最近ハマってるのは体言止めと短文の羅列です。極限まで情報量と文字数を削いで疾走感を稼ぐのに重宝してます。
一例として昨日練習用に書いたものを載せましょう。
『右手前方のロッカーの影から奇襲。敵数1。素人同然の動きだ。テンプレ通りに斬り上げ、返す刀で斬り下ろす。すれ違いざまに絶命した。倒れ込んでくる死体を軽く押し退け、進む。』
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
確かに疾走感がありますね。
v vetman
削れるだけ削るとこうなりますが、逆に削りすぎると何が起きているのか解りにくくなりますね。
“すれ違いざまに絶命していた”はここから除くこともできますが、たとえば『素人同然の動きだ』が抜けてると主人公の強さが若干つまらい印象に落ち着いてしまいます。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
ふむふむ。
v vetman
動きを見て瞬時に『あ、素人だな』って解る奴が瞬殺したんだな〜というシーンを作る上では地味に重要な文になりますね。
mee_V_curage
情報量と疾走感のバランス、かなり難しいのにそれが完璧なのほんとすごいですね……。
v vetman
比喩の類を一切なくしても案外かっこよくなるんですよね。逆に文章の乾きが目立ってくれるんです。
余分な情報量で見せるのであれば、たとえば
『廊下から壁、天井へとかけて血飛沫がほとばしる。あの鳥居の道がフラッシュバックする』みたいなのを付け足しても映えはするんですよ。
でもどうしても文量が多くなる。漫画で文字数が多すぎるとページをめくるまでのイライラが若干増すのと同じです。アニメの止め絵で長台詞が続くと少し萎えるアレと同じです。削れば疾走感稼げます。
指標としては、『そのパートだけで画としてのシーンが脳裏に再現されればOK。全然足りないなら付け足す』という認識でいいと思います。
疾走感のあるTale、格好いいのでいっぱい読みたいなぁ。
mee_V_curage
vetmanさんだと「疾走感」が自身の作品の個性、だと仰られていましたが、その個性は執筆を始めた頃からあったものなのでしょうか……?また、最初からではなかったとしたら、自分で個性を作ろうとしたのか、自分なりに書いていくうちにこれが個性だと実感するようになったのかを教えてください。
v vetman
執筆を始めた頃からあったっぽいですが、最近ようやく自覚し始めましたね。
どうにも比喩を避ける傾向があったらしく、実際処女作である『ヒーローの辞表』では比喩表現が本当に一度も登場しません。
読者さんに『比喩一切なしのTale』と評され、その時初めて『ああ、俺の強さは情報量を思いっきり切り詰めた疾走感のある文章なのか』とようやく自覚するに至りましたね。
mee_V_curage
Taleとかストーリー重視の記事とかを書きたいけど個性がない!!!!!魅力的な個性がほしい!!!!!!ぐあ!!!!!!ってなる人まあまあ多いと思うんです。自分もそのうちの1人です。
そういう人は無理してでも個性を作りにいくべきだと思いますか?
v vetman
作るよりは誰かに見つけてもらうか自分で分析するかのほうが遥かに楽ですね……実際私も人に見つけてもらったのがきっかけで伸びましたし。
その得意分野を見つけるためにはとりあえず文章書き続けるのが一番だと思ってます。サンプルの母数が多ければ隠れていた法則性や癖が見つかりやすくなるので。
mee_V_curage
ありがとうございます!!
v vetman
最初は誰だって自分の得意分野が解りません。当たり前のことだと割り切って探してみてください!
mee_V_curage
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
v vetman
「ブラウザバックされる前に読者を掴んで全文読ませる」ってのは大前提にしてます。ここでさっきの疾走感のある描写、極限まで情報量を削ぎ落とされた描写が活きてきますね。
名前の無いファイルで「世界終焉シナリオ開始から数日経った今(情景)、彼は(心情)──」というシチュを構築して初手で引き込んだアレです。
ヒーローの辞表で「妹をブッ殺した(情景)。明日ここを辞める(心情)」という状況を構築したアレです。
ちょっと次の展開が気になる情景描写を淡々と書き連ねて、「ん!?」と思わせてスクロールさせちまえばこっちの勝ちです。
実例をたった今描き下ろしました。
『左手首が外れた。関節とかそういう次元ではなく、マジの意味で分離した。くっつけても元に戻らないが、何故か脈だけは打ってる。腐る兆候も見受けられない。……ので、医者に駆け込む前にちょっとだけ実験をしてみようと思う』
mee_V_curage
すごい続き気になる……。
v vetman
ここまで比喩一切無しです。代わりに情景描写はバキッとキメました。
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どんな実験をするのか、続きが気になりますね。
v vetman
その他、情景全体を描写して引き込む以外にも、情景の一部だけを最初にドンッと映してから次第にその周囲を……みたいなやり方も安定しますね。
『“血の海”。その喩えがここまでシックリ来る状況には中々立ち会えないものだろう。陣笠を片手で傾け、男は低く唸った。
あたり一面の屍肉。屍肉。群がる烏に集る蠅。』
足元(超短い比喩を付与)→“男”→足元周辺からかなり遠くまで→その上には何があるのか
と、大まかに『どうやって見せるのか』の流れを作ってあげるとこうなります。
参考程度にですが、一回無理矢理作った比喩特化型の書き出しも置いておきますね。
『鋼鉄。例えるなら正にそれだ。
よく延びてよく捻くれて、やたら頑丈で、ひとたび熱を与えれば簡単に溶け落ちてしまうほどに柔らかくて、そうでなければ今握っている通りに固く、堅く、硬く、ひたすらに冷たいまま。しかしただ放っておこうものなら、たちまち赫く朽ち崩れてしまえるほどに、脆い』
この次の段落で『自分の隣で手を繋いで息絶えている少女』を書くと「あ!さっきの喩えは女の子の話なわけね!?」と軽くびっくりさせられるのです。
これは逆に比喩以外の情景を一切書かずに作ったものです。中途半端に混ぜるよりは比喩か情景のどちらかに極振りした文章を作ったほうがいいですね。
mee_V_curage
言葉のチョイスが独特かつ完璧で面白いです……!!是非参考にさせていただきます!
少し思ったのが、語彙力ない人が無理やりこれをしようとするとめちゃめちゃ事故りますね……。
v vetman
私も最初はめっちゃ事故りました。
書きやすい方でやるのが一番ですね。個人的には情景特化型の書き出しをオススメします。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。書きやすい方でやるのがいいですか。参考にさせていただきます。
v vetman
こうやって掴みを成功させつつ、情景→当事者の心理状態etcとスムーズに繋げられたら完璧ですね。
mee_V_curage
❴15❵ 表現・文量など、地の文を書く際に気をつけていることをお聞きしたいです。
v vetman
書き終えるたびに音読して、文章が長すぎるのか短すぎるのか適切なのかを考えながら調節してます。でも正直この辺の感覚って書いてるうちにどんどん麻痺してくるので、たまに別の方に読んでもらったほうがいいです。
音読すれば誤字に気づきやすくなりますし、表現がクドいのかそうでないのかも理解しやすいです。どう書き直すのかは技量次第ですが、治すべきポイントを洗い出すだけなら音読が一番効果的です。声に出して読みましょう。するかしないかで文の質は大きく変わります。
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声に出すことですか。
v vetman
声に出すこと、本当に大切です。句読点の振り方や余分な文章の洗い出しでこれやらないと詰むこともあるので音読はしましょう。
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今度からわたしも取り入れようかと思います。
v vetman
『このまま、どこか遠くへ逃げてやりたい気持ちだけがグンと高まるが僕は(以下略)』←試しに声に出して読んでみてください。
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何か違和感……。
v vetman
テンポの悪さが原因ですね。これ、音読しないと早々に気付けないものなんですよ。
mee_V_curage
文章だと違和感あまり感じないのに声に出して読むとこんなに分かるものなんですね。
v vetman
じゃあ読みやすくなるまで切ったり貼ったりしてみましょう。『このままどこか、どこか遠くに逃げ出したい気持ちだけが高まるが、僕は』
まだ少しクドいかも。高まるとが、の間に『。』入れてが、を消して『それでも』を挿入すると…どうでしょうか?
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読みやすくなってますね。
v vetman
音読してちょっといじっただけです。
やってるうちに感覚が麻痺してわけがわからなくなることもありますが、凄いでしょう音読の力。発音するだけでほぼすべての違和感の正体を洗い出せるんですよ。
音読を怠った例として蛇と焚書のカルテット第一頁を上げておきます。お暇なときに読んでいただいて、「内容はしっかりしてるけど少し読みにくい…?どこが原因だ…?」と考察していただければ。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
分かりました。暇な時に読んで考えてみます。
v vetman
その他何か質問などがあれば遠慮なく。
適当に作った例文を直すのとかでも構いませんよ。
mee_V_curage
文章って基本は読みやすいのが1番ですけど、あえて読みづらい文章にすることってありますか?
v vetman
あー--、セリフで頭の悪さを醸し出す演出とか、あと意識が朦朧としているときの演出には使いますね。
オタク特有の「聞いてくれるかどうかは二の次。聞かせるだけ」みたいな奴のセリフからは句読点全部抜いたり。
あくまで一例ですけどね。『ありえない。いや待てこれは夢か。夢なのか。唇が俺の唇が佐々木さんの唇と正面衝突したらしいが果たしてこれはマジのマジで現実なのか』みたいな書き方でテンパったキャラの一人称心理描写を焦りの感情で満たしたりもできますね。
やりようはありますが、これもやはり音読あってのテンポの悪さです。音を聞かずして不協和音は作れません。
mee_V_curage
確かに音読をすればテンポを良くするのも悪くするのもできちゃうのか。
音読って大事。
v vetman
ついでに誤字脱字も見つけやすくなりますからねしばらくは意識してみてください。
mee_V_curage
❴16❵ 中々Taleとしての文章を長く書き連ねる事ができず、途中で次に続けるべき文章や展開、具体的な書くべき描写、或いはクリニカルトーンとは逆に感情に訴えかける詩的、文学的な表現が浮かばなくなり、筆が止まってしまう著者の方もいらっしゃるようです。このような場合、v vetmanさんならどのようなアドバイスを行いますか……?
v vetman
めっちゃ難易度高いので1on1で話し込んで解決策を導くと思います。その手のトラブルはざっくりとしたアドバイスで覆せるものでもないので……。
私はだいぶ最近まで「人の手と時間をお借りしてまで解決するトラブルじゃないから」と孤独にスランプの中を藻掻いていましたが、ボイスチャットで「じゃそこばっさりカットしてスッキリさせちゃわない?」みたいなリアタイでのアンサー貰いながら書いたらあっけなく書き終わっちゃいまいた。慣れない内は慣れないなりに恥じることなく人に頼って、一緒に解決していくのが一番確実な方法です。
ここまで言い切っちゃった以上私も逃げるわけにはいかなくなったので、主に展開と情景の方面のみにはなりますがある程度の相談を受け付けます……大学の予定的に厳しそうだけど。
mee_V_curage
有名な著者さんの方々が「批評依頼受け付けてます」って書いていても、あまり関わりがない方に対して依頼しようとするとめちゃめちゃ不安になるんですよね。
実際に批評依頼ってされたことありますか…?される側の気持ちを知っておきたくて。
v vetman
直接的な依頼はチームコンテストでのチーム内批評が初めてだったんですが、やはり死ぬほど緊張します。「俺みたいな素人がこんな神著者に…」って。でも得られるものはとても大きかったですね。
批評エキスパートなる役職が今年度から日本支部にも設立されるらしいですが、まずは腹括って記事引っ提げて突撃してみてください。書きかけのままどうしても完成しないのであればひとまず私のところに来てください。一緒に厳格練ったり「こういう展開とかあったら熱そうじゃね?」くらいの回答はできます。
あ、される側か。少しお待ちを。
mee_V_curage
する側もされる側も意見貰えるのありがたいです!!
v vetman
批評依頼、あまりにも完成品の高い完成品を持ってこられて「どこをどう訂正すりゃええんだ」と途方に暮れたことは何度かありますが、書き途中の記事を持ち込まれたときはやたらポンポンと打開策が出てきました。「主にどのへんで詰まっているのか」を前もって教えていただければやりやすいです。
ただ先にも述べた通りプロットはまとめられるだけまとめてきてほしいですね……。
アドバイスに関してはこんなところです。
mee_V_curage
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
v vetman
まず思いっきりスカした文章を書いてから人に見てもらうようにしてます。クサいかどうかが気になる気持ちはわかりますし、私もこの手のさじ加減を指摘されたら相当凹むと思いますが、人に読ませることを想定している以上は一度できる限り彫り込んだ方がいいです。
可能な限り彫り込んでください。比喩とか言い回しとかの加減が解らなくても盛るだけ盛った後の調整は効くので。
mee_V_curage
とりあえず自分のやりたいことをドーン!!!!って書いてそこから調理していくのがいいんですね なんか料理みたい。
v vetman
文章の場合は皿に盛った後も化学調味料の分量変えられますからね。
作品のテイストにもよりますけど、不死身のキャラに吐かせる台詞に「気にするな。地獄の淵なら歩き慣れてる」とか言わせたときに、時期によって著者本人が「いや流石にこれはクセえかな」ってなったりならなかったりするものです。俺は正直これはやりすぎかなって思ってるんですがお二方はどうでしょうか。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
ううむ、何というかクサい感じがします。自然じゃないような。
mee_V_curage
自分はこういうの結構いいなって思っちゃうんですよね。クサい言葉に触れる機会が多かったのか慣れてしまってます。
ただそれが他の人からしてみれば違うわけで。
v vetman
早速意見が割れましたね。マジで先程述べられた通り、飯の味加減と一緒なんです。好みはひどく分かれます。
じゃあさっきのキャラが何回か死ぬこと前提の作戦に投入される前提でもっかい同じニュアンスのセリフ吐かせてみましょう。ちょっとテイスト変えますか。
「まあ、半殺しで2時間野ざらしにされるよかマシだわな」
比喩ではなく過去の事例、事実だけ引っ張り出してきて厚みを持たせました。
かなりの薄味ではありますが、(前提条件ガタガタですみません)過去の描写を引っ張り出してくるだけでも台詞の歯ごたえはよくなるものなんですよ。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
何というか、先程の台詞よりも良い感じがしますね。自然になっているような。
mee_V_curage
調味料を使わずに原料をいかすみたいな感じですね。
v vetman
まじめな話、会話のエモさを醸し出すために比喩を使う必要性があるとは言い切れません。比喩で盛らないと味がしない時点で物語全体の物足りなさが浮き彫りになってるってことなので。
隠喩や直喩でその辺のさじ加減を調節するよりはまず状況そのもので魅せといたほうがいいんじゃねえの?ってのが私の意見ですね。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。状況で魅せる、ですか。
v vetman
まずは素材の味で勝負してからです。クサみを気にするのはそのあとで。
mee_V_curage
❴24❵ 自分の文を読み返すのが苦手で、結果細部の整合性のチェックが抜け落ちてしまう場合がある、という方からの質問です。このような状況に陥ったとしたら、どのように対処されますでしょうか……?
v vetman
カルテットの五頁に10ヶ月苦戦したのはまさにこれが原因でした。5000文字超えたりシーン数が増えたり引用する記事が増えたりするとこういう状態に陥りやすいですよね。
結局一番確実な打開策は「人に頼る」ことだと思ってます。
この通り私はとにかく他人(特にちゃんと作品残せてる上に批評の受付もしているような方)に頼ることを強く推奨してますが、理由は非常に単純です。これが一番簡単だからです。
この手のトラブルは特にそうなんですが、Taleを書けぬまま悩みに悩んで当エッセイに流れ着いてきたそこのあなた、まず一人で解決できるとは思わないでください。テレキル獲ってようが何だろうが私でさえ解決できないモンなので。
どんなクソ強著者でも記事内での整合性を取る作業は絶対に苦戦しますし、うまくいくケースの方が稀だし、仮に一人で描き切ったとしても投稿後に矛盾点が掘り出されたら元も子もないので。
頼ってください。あとプロットを複数人で練ってください。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
整合性を整えるには複数人で練ったりすることが大事なのですね。
mee_V_curage
批評されることに慣れていない、DMに突撃することが苦手だ、という方は批評定例会に参加してみることから始めてみましょう!もちろん突撃することが1番ですが。
http://scp-jp.wikidot.com/forum/t-13064618/scp-jp-vol-2
v vetman
定例会ならいやでも批評が入りますからね。普通の仕事と同じでミスのチェック役が多いに越したことはありません。
私もやらかしますからね。前回「勢力Aが勢力Bと勢力Cをぶつけ合わせてどっちか片方を壊滅さる手はずとして書いてたはずだったのに勢力Aから暗殺者が派遣される展開」とか何にも疑わずに描き切った後で「ここおかしくない?」って指摘されましたからね。私ですら間違えるんですから本当に複数人でやってください。
特にチームコンテストでその辺のノウハウを培ったメンバーはたくさんいるので……詳しくはコンテストページをチェック。
mee_V_curage
チームコンテストで批評の練習したりされたりするのみんな得するのでめちゃめちゃいいですね。
v vetman
もっかい開催されることを切に願ってます。私もあれでいろんなノウハウ身に着けたので……。
因みに私のところにプロット持ってきていただければいろいろ弁図とか書いて整理するとこまではお手伝いできるかもです。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
チームコンテストは見てるだけだったので、実践でノウハウ身に付けたいですね。
mee_V_curage
❴25❵ 高評価を獲得した記事の中には、ご自身で投稿前から高評価を確信していたもの等はあったりするものなのでしょうか。もしございましたら、そういったTaleに共通する点や、確信していた理由、等を伺いたいです。
v vetman
基本的には全作品受けると思って投稿してます。
理由は「散々良作を見てきた俺が心の底から面白いと思えるから」です。該当しないようであればそのレベルに漕ぎつけられるところまで改稿します。
「これは受けるんじゃないかな…?」と手当たり次第に投稿するよりは純粋に自分が面白いと感じたか否かで投稿した方がいいと思ってます。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。数打てば当たるのではなく、的確に見極めて投稿すると。
v vetman
そうですね。以前からテルテルさんの投稿頻度や勢いには素直に驚かされっぱなしだったんですけど、実際テルテルさんは自分自身で「これは最高に面白いな」と思った作品を投稿してますか?
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そういえば、確かに心の底から面白いと思った記事を投稿した事はあまり無いですね。
今のところSCP-2071-JP、終末銀河旅行位しか当てはまらないと思います。
v vetman
数作でもそういう作品があるのは非常に良いことだと思います。創作のスタンスが「書くことそのものが楽しいから低評価削除は別に構わない。残ったら儲けもの。俺は俺の書きたいように書く」とかだった場合はもう何も言うことはないんですが、浅ましいことに私は承認と喝采目当てで物書きをしています。受けたいと思った以上は数を撃つより自分を撃てる何かを練った方が良いかと。
絶対に勝てると信じることは難しいですし、あまりハードルを上げすぎて公開する前から「こんなクオリティじゃ駄目だ」と筆を折っては元も子もありませんが、高評価を狙う以上はまず自分自身が楽しめる作品になってるのが大前提って思います。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。確かに残したいという気持ちが先走り過ぎて自分自身で楽しみきれていなかったですね。
v vetman
残る=俺が楽しめるだと思っときましょう。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
ふむふむ。そう思うようにします。
v vetman
まあ高評価や承認欲求だけのために苦しむのもそれはそれで不健康なので、楽しむことは忘れないようにしないとですね(カルテット五頁が書けなかった頃は本当に執筆が苦痛でした。チームメンバーはもちろんのこと図っと待ってくれている読者の方々を失望させるのが怖くて何も書けなくなってました)。
mee_V_curage
やっぱり楽しんで書くことって大事なんですね。
v vetman
苦痛や呪いで人から承認される文章書けることは余程のことがない限りありえないので……。
mee_V_curage
❴26❵ 参照するために使っている辞書や参考資料(アナログ以外に、デジタルやオンラインも含む)はございますでしょうか。
v vetman
海外映画です。字幕版で洋画を見ながら英語の台詞ををリスニングしてると「What difficult?(何が難しい?)」を「銃はこうやって使うんだ」と日本語訳するような変態的な技が沢山見つかるので、伝えたいニュアンスに捻りを利かせるためにも、Taleの構成を作る上でも映画を参考にしています。
まあこれやるのはなかなかハードル高いと思いますが、映画(特に10年以上前からずっと「名作」と評価されてきた作品)はほんとのほんとに名作です。展開のバラエティを増やしたりシーンの繋げ方を学んだり、セリフ回しを学んだり、無言のシーンを自分ならどう文章化するかを考えたり、おおよそ150分の映像媒体から得られるものはたくさんあります。
ただ見るだけじゃなくて「どこが凄いのか」、余裕が出てきたら「何故凄いのか」を考えられるようになるといいですね。
創作に完全なる「オリジナル」は存在しません。みんな誰かの足跡をたどって自分の道を踏み抜いていくものなので、映画から技術を盗むことを恥じないでください。何から何まで一緒だったらさすがに怒りますが。
まあ、物語の接種媒体として映画は最強そのものなので是非是非……。
mee_V_curage
映画、いいですよね。アニメやドラマと違って長くても3時間で必ず完結するので。
短い時間で終わらせないといけないので内容も濃くなっていて、参考にできるところがかなりあったりしますし。
v vetman
そうなんですよ。構成を改めて確認してみるとその完成度に何度も驚くことになりますからね。
あと私がリハビリのためにやってた練習ですが、自分の好きなアニメの第一話を一個上げるじゃないですか。
これを可能な限りノベライズするんです。2万文字あったら足りるかな。
再序盤のカメラワークを如何に再現するか。誰視点で書くのが最適解なのか。京アニ作品の背景作画をいかに文字に落とし込むか。書けば書くほど解ったり解らなくなったりするのでお勧めです。
mee_V_curage
めちゃめちゃ難しそうで面白そうですねそれ……。
ちなみにvetmanさんは何の作品でやって見たんですか?
v vetman
私は初代ガンダムとテレビ版のエヴァ、映画作品では「君の名は。」の一部シーンをノベライズした後に新海誠さんの原作と比べて「勝てねえ~~~!!!」って叫んでたりしました。
本当に好きなシーンをピックアップして書くだけでもかなり経験になりますね。
mee_V_curage
情景を文章にするのめちゃめちゃ難しいですもんね。
❴7❵ Taleのメインとなるキャラ達の、人物像の造形はどのように構築しますか。
v vetman
メインのキャラ、手っ取り早く作る際には“対”になる関係のキャラの造形を同時に掘り下げて構築してます。単体で掘り下げるのは個人的にちょっと難しいですね。
例えば共通の要素として「世界のすべてが敵である」みたいなのをぶっこむじゃないですか。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
はい。
v vetman
もう少し共通要素を作ってみましょうか。両方とも蛇の手
のメンバーとしておきます。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
ふむふむ。
v vetman
まあこの2要素だけでも背景の薄暗さが醸し出されるわけですが、この辺で1つ対になる要素をぶっこんでみましょうか。
「キャラAには唯一の理解者が存在する。キャラBは本当の意味で孤独なままである」
書き分けられそうな明確な違いが生まれましたね。じゃあキャラAに主軸置いてもう少し掘り下げましょう。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
Aのほうの理解者というところを掘り下げるとかですかね?
v vetman
そうですね。書きたい方にメインの視点を置いて相違点と共通点を並べていくと少しずつ掘り下げられます。
キャラAには結局救いはありません(AB共通)。でも敵でありながらキャラAの一応の理解者であってくれるキャラCがいます。これに対しキャラBは劣等感、或いは嫉妬心を抱いており……。
蛇と焚書のカルテットシリーズにおいてはこういう書き方が大活躍してくれましたが、これはあくまで多陣営で大人数で多角的に物語を書くのに特化したやり方です。あまり対比描写を挟まない作品は別のやり方もあります。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
あくまで一例ですね。
v vetman
「自分が書ける性格のキャラを一定数ストックしておく」、これがシンプルに強いです。
私は「正常性維持機関の職員が人間でありながら人間として生きることを捨てている」みたいなのが好きなので、若干達観したようなキャラをぐりぐり動かせるようにひたすら「この局面に立たされたらどういうリアクションを取るか」みたいなのを考え続けて一つの行動パターンみたいなのを大まかに構築しています。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。
日頃からそういったことを考えたり、文字に書き起こしたりしているのですか?
v vetman
極力やってますが、モノにするまで最短1日程度だと思ってます。
キャラの得意不得意があるのは当然ですが、こういう「何をされたらどうするか」を考え続ければかならず得られるものがあります。
mee_V_curage
エモい展開の時もそうでしたけど、日頃からストックを作っておくのはめちゃめちゃ大事なんですね。
v vetman
大事です。ストックしましょう。手を動かしてストックしましょう。
mee_V_curage
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
v vetman
「自分が書ける範囲で」!!!!!です。
書けないなら書けないなりに人に相談するとかするべきなんですが、そもそもその段階で書けんものは頑張ってもいきなり書けるようにはなりません。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
はい。
v vetman
ストックにないものは書けない!よって書かない。これは徹底してます。
恋愛作品なんも解らん私がノリで恋愛書いてもよくわからないまま頓挫しますからね。引き出しを増やしてから出直すようにしてます。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど、ノリで書くのはやめたほうがいいのですね。
v vetman
やめた方がいいです。自分の書きたいものを完璧に理解できるとは思ってませんが、本当に何も解らない場合はある程度そのジャンルやテーマに沿った作品を履修して慣れておいた方がいいです。
mee_V_curage
ストック=命。
v vetman
こんなところです。ストック増やしましょ。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
1つ気になったのですが、面白いテーマはどのようにして見つけているのでしょうか?
v vetman
財団で書けそうなテーマを探すときには手っ取り早くGoIを調べて「あ、コイツらのスタンス面白いな」と目に留まった団体をどんどん追って、その傍ら「このテーマはこの団体ならではなんじゃね?」と思える主題みたいなものをやみくもに探してます。
別にGoIじゃなくても大丈夫です。目に留まったジャンルを掘れるだけ掘ってみて、「書けるんじゃね?」を探り当てるまで考えるのは、根幹テーマの発見に滅茶苦茶役立ちます。
財団外の創作物でも構いません。きっかけはたくさん転がってるのでやみくもに発掘していきましょう。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
書きたいジャンルから上手くテーマを見抜く力、もしくは、近似したテーマを関連づける力が必要になるのですね。
v vetman
もちろん見抜く力には個人差があります。でも新しくテーマのストックを増やすためにはとにかくほかの作品を見るしかないです。
mee_V_curage
❴18❵ これは登場人物の内面や心情の変化をその登場人物自身の視点から捉えて描くことを苦手としている、との方からの質問なのですが、そのような描写を行う際、どのようなことに気をつけておりますでしょうか。
v vetman
「XXされたらどんなリアクションをするのか」を考えて思考のパターンをなんとなく掴むことを意識しています。
「即時殺害しなければならない現実改変者に接触してみたらまさかの息子と同い年くらいの少女だった場合、どんな顔で引き金を引くのか。またはそもそも引けないのか」とか、「部隊のメンバーが今回担当する収容作戦でオブジェクトクラスが変わるか否かで現金を賭け始めたときに、その話に乗るか否か」などが主な例ですね。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
沢山の選択肢の中で、「何をするか」を吟味して、且つ、それを自分の理想にしない事が大事、という事でしょうか?
自分の理想にしない
これすごく大事です。
一人歩きでもしてしまいそうなくらい自分とはかけ離れた(そしてある程度は筋の通った)人格のイメージができちゃえばあとは気合でどうにかなります。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
どうにかなっちゃうものなのですね。
v vetman
結局最難関は「何考えてんのか著者にも解らん」ってところですからね。
mee_V_curage
細かく設定を組んでいれば組んでいるほど安定性上がりますね。
v vetman
はい。その細かい部分の構築にはやっぱり「シチュエーションごとのリアクション」を見出すのが一番手っ取り早いかと。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
やっぱり、vetman氏でも手こずるんですかね?これに関して。
v vetman
手こずりますね。リアルでコイツと絡んだら絶対嫌いになるわ…みたいなキャラ書くときは特に。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
なるほど。
v vetman
でも「打ち捨てられた猫の死体を見て心を痛めるか否か」で考えたら絶対に鼻で笑いそうなんですよそいつ。
もうこれだけで心情描写書く上ではかなり重要な要素が確立できましたね。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
ホントだ、確かにキャラクターが成り立ってますね。
v vetman
行動のパターンを掴んで統一感持たせましょう!
ある程度は書けるようになります!
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
行動のパターンを掴んで、そのキャラクターを成り立たせた上で書くことである程度描写できるようになるのですね。
v vetman
コツを掴むまでは少し難しいですが、練習あるのみです。頑張りましょう。
teruteru_5に合致するユーザーネームは存在しません
では、締めさせていただきます。インタビューに御協力していただきありがとうございました。
[記録終了]
インタビュー回答者: ukit
インタビュアー: Yukko
Enderman_desu
[記録開始]
Yukko
まず、【執筆準備段階〜執筆開始段階について】
についての質問です。
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。
ukit
自分が常に「あのSCPとこのSCPがであったらどうなるだろうか」と想像してますね。あるいは、あのキャラクターとあのキャラクターが……など、そういうタネはずっと練り続けています。あとは他の人がSNSで話題にしているもので、いいなと思ったものをお話にしています。
Enderman_desu
そうして思いついたアイデアは、どのようにして記事としての粒度を高くしていくのでしょうか?
ukit
粒度ですね、ひたすらに手の中で転がし続けて洗練を図ります。一週間のうちなんども表現を変えてみたり、シーンの位置を入れ替えてみたり外してみたりですとか。素人創作である分、時間をかけてやる感じですね。
Yukko
なるほど、それは脳内で組み立てていく感じですかね? それともプロットとしてしっかり書いてから、消したり付け足したりする物なんですか?
ukit
私としてはプロットというよりかは、サッとまず本文を書き出してしまって、書いて重ねたものを整理整頓して整形していきます。あとでも言いますが、私はプロットは設計図程度でやって、あとは流れに身を任せるようにしていますね。
Enderman_desu
大まかな構図を最初に立てるんですね。
ukit
構図は必須ですね。割り箸を割る人みたいに、構想から完成まで数時間で仕上げる場合には「ながら」で一筆書きしてしまうこともありますが。
「割り箸を割る人」
これが一筆書き的にササって書いてしまったやつですね。
こういうのも不可能じゃないですが、絶対破綻はあるので、そういう破綻を減じるにはプロットは必須です。
Yukko
やはりプロットを作る事は作品作りの上で大事なんですね。
Yukko
❴3❵ Taleの前提知識となるオブジェクトは、どのように選定しているのでしょうか?
ukit
自分が読んだものを元にお話にしています。逆に、こういう物を書きたいからと自分に合う作品を探しに行ったりはしませんね。わたしは常に元となる作品ありきです。それが私なりの原著者さんリスペクトですね。
Enderman_desu
あくまでも既知の作品からアプローチを試みているんですね。
ukit
自分から新しい概念を導入してっていうよりは、既存のものを組み合わせて世界観を深めていきたい派です。
kidonoiさんの「音のない悲鳴」は好例であり、見習っていきたいありようでした。
Yukko
なるほど。ですがそれだと、作品作りに関して少し受動的になる気がするのですが、「これを作りたい」となった時はどうされるのでしょうか?
それとも、記事を読んだ上で「こういう物を書きたい」となるのでしょうか?
ukit
私は常に後者ですね。主体者ではなくて、あくまで参加者です。熱量は新進気鋭の人に任せ、そして流行ってるのには大便乗するというのが私です。それで、センスのいいのを一本でも残せればいいかなと。
Enderman_desu
先程の「世界観を深める」といった話についてなのですが、組み合わせによる世界観の融和、といった点で執筆がより進みにくくなったりはしないのでしょうか?受動的に作品を作る上で、組み合わせというのはかなりの難易度だと思っていまして。
ukit
そこはちょっと「ちょい」します。「書いてないことは不確定だからいくらでも盛っていい」「和洋の収容サイト違い?臨時で日本に来てたんですよ、ええ」みたいな感じで。違和感は面白さで押しつぶします。
Enderman_desu
”面白さ”という面では後半の質問になるので省きますが、所謂「ヘッドカノン」との衝突が起こったりはしないのでしょうか?
ukit
私にヘッドカノンはほぼないですね。例えばSCP-073はカクタスバースのアダム・エル・アセムの子という設定で書いた次の瞬間に、聖書のアダムの子という設定で別作品を書いたりも出来ます。〇〇でないといけない。は私は好まない性質です。
Yukko
オブジェクト同士で世界観を融合させる時も、多作品を書かれる時も、柔軟な発想で書かれてらっしゃるんですね。
ukit
頑なさが有効に面白さにつながることもありますし、一長一短ですが。好きなことがやりたいですからね!
Yukko
❴4❵ Taleを書く際、プロットは作成されますでしょうか。プロットの構築自体を苦手とする方もいるとのことなので、普段作成されている場合、その構築の手順やコツ等をお聞きしたいです。
最初のものと似た話題なのですが、もう一度詳しくお願い致します。
ukit
プロットは立てます。ですが私にとってのプロットというのは「全体的な枠組みをここまでに定める」というもので、プロット段階では内容を詳しくは決めません。ここでこういうスジをいれて、ここでキャラクターに大見得を切らせるくらいの感じです。そして、書いているうちに素晴らしい案が持ち上がってきたら、元々のプロットを破壊してでもそれを入れ込みます。素人創作のよいところですね。
Yukko
ukit氏自身が「面白い」と感じる部分をピックアップした骨組みを作られるという事ですか?
ukit
そうですね!面白いシーンを集めて組み合わせて全体像を決めて、骨組みを作っていくようにしています。
Enderman_desu
後から肉付けをしていくような感じなんでしょうかね。大体の起承転結を決めて、それも漠然としたものであるのでしょうか。
ukit
肉付けはやはりあとからになりますね。起承転結だけはここで決めてしまいます。
Yukko
次は【執筆中、内容面について】から、
❴8❵ 「静かなシーン」と「アツいシーン」の起伏を作るにはどうすれば良いでしょうか?またそれに伴って、シーンごとの「感情の起伏」はどれくらいのバランス配分が良いでしょうか?
ukit
起伏について。これは難しい問題ですが、載せたいものを全部載せてみるというのが私としてはやりやすいですね。というのも、例えばアツい場面、静かなシーンなど全部まず書いてみる。書いてみた上で、それがプロットに適合的でなければ排除します。一見無駄に思えますが「書いたものは消さない」。これが大事です。書いて残しておけば、いずれまた使える時が来るでしょう。
Enderman_desu
取捨選択するという事でしょうかね?やりたいものと言うと構図と言いますか、書きたい描写がある程度定まっているのでしょうか。
ukit
そうですね、書くからにはやりたいシーンや描写はかならずあるとおもうので、定まっているものをまず形にして、それをプロットの方に入れ込んでやると自然とバランスが整っていくと思います。
そして、感情の起伏に関してはあくまで感情の発露はポイントだけで、ずっと怒らせるとか、ずっと泣かせるというのはナシですね。
Yukko
ずっと一つの感情を続けるよりも、何かしら起伏があった方が面白いし、且つ読み易いですもんね。
Yukko
❴9❵ 書いている内に当初の構想から内容が変化していく、というのは経験としてよくある事でしょうか。もしそういった「書いていく内にキャラの言動やストーリーの内容が変わった」経験をお持ちでしたら、それをどう対処したかという事をお聞きしたいです。
ukit
書いているうちに変化するというのは、致し方のないことでこれは常に体験し続けています。その時の体調や心理条件というのは日々変化していくもので、その時に応じて、書かれるものは変化します。そうした場合には、私は変化するに任せ、局所的に修正をくわえるというよりも全体や、その後の流れを合わせていくようにしています。
Enderman_desu
そうした場合に、構成が大きく崩れてしまったりはしないのでしょうか?プロット段階で決定的な変化があった場合、どうやってバランスを整えているのでしょうか。
ukit
崩れるときは崩れちゃいますね……そうしたらもう、最初から書き直すくらいのつもりでやっています。でも消さない。書き直したあとのやつにシーンを挿入できるかも知らないですからね。
Yukko
やはり、削除ではなく排除なんですね。
ukit
蓄積があればごまかしは如何様にも効かせられますからね。消さないのが大事です。
Yukko
成程。「面白い」を取っておいて、使うべき所で使うんですね。消さないという事自体は誰でも出来るので、やっておいて損は無いですね。
ukit
この質問に関連して、キャラクターが生を帯びてくるのが最も変化の原因として多いと感じます。キャラクターが書き手の内面で自我を得て、物語を引き回していく。これが逆に楽しい体験を生んでくれます。あと私はということで言えば、面白い展開を思いついたから、先ほど行ったような形でここ以降の初期構想は捨てる!で全部ひっくり返すこともありますね。
Enderman_desu
変化した事によって執筆が難航するのではなく、かえって新規のアイデアとして取り込んでいくのですね。
ukit
崩れたところでより良い展開を産めれば良しというスタンスでやってますね!
Yukko
今気になったのですが、やはり登場人物と、ukit氏が考えている意見が、思いもよらぬ場所で相反する事はあるのでしょうか?
ukit
矛盾という形で現れることはありますね「あ、こいつこんな事言わないしやらないよな」で展開諸々おじゃんということがあり、そういうときはキャラクターに合わせてカットや追加を試みます。
Yukko
それは、作品に肉付けしてる際に起きるんですか?
それとも、骨組み時に何度もやり直したりしますか?
ukit
圧倒的に肉付け中ですね、骨組み段階はサッと終わらせてしまうので、悩むのは常に肉付けと本執筆段階です。
Yukko
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
ukit
テーマ、軸というものは私には基本ないものなのですが、これは元となる記事へのリスペクトというのに尽きます。元の記事を読み込み、その内面や裏側を自分なりに想像し、それをブレさせずに、さらに言えば物語の都合に無理に合わせさせず、お話を構築していくことが私にとっては大切なことですね。
Enderman_desu
自然な流れで物語を拡張するよう心掛ける、ということでしょうか?
ukit
そうですね!ナチュラルさというのが大事です。読者に違和感を抱かれないように、それはそうかもしれないと思ってもらえるスジを作っていくのが大事です。
Yukko
オチや物語などを追求するのでは無くて、あくまで世界観の拡張なんですね。
ukit
それでも、ある程度自分の思うオチにつなげていくのは必要ですね。ナチュラルに、しかし物語として面白くなければ意味がないと思いながらやっています。
Enderman_desu
軸を崩さないように、しかしストーリーを拡張していくんですね。
Yukko
世界観を拡張すると共に面白さを追求するのは、ある意味記事と近い物があるのかもしれませんね。
Yukko
❴12❵ 執筆されるtaleによっては前提となる知識を情報収集される場合があると思いますが、その際どの様な手段を用いて、またどの程度詳しいところまで情報収集を行われますか?
ukit
まず情報を収集するにあたり、とにかく元の記事を読み込みます。可能なら記事著者のSNSなどでの話を見たりとか。あとはウィキペディアなどを確認しておかなくてはならないですね。このコミュニティの住人は本当に厄介ですから「ん?」と思ったらウィキペディアくらいまでは「検証」しに行きますからね。
基準としてはそのくらいになるかなと思っています。逆にそれ以上はいらないかなって感じですね。
Yukko
間違っている事を書かないのは大事ですもんね。
Enderman_desu
情報を集める際に、どうしても専門的な知識が必要であると感じたりした場合は記事に変更を加えたりするのでしょうか?それとも踏み込んだ情報は触れないようにするのでしょうか。
学術的な内容であったり、より詳細な情報が必要になる場合などに顕著に問題化すると思いますが。
ukit
踏み込んだ情報には触れないのが肝要です。ある程度のリアリティは必要ですが、あんまり先鋭化すると逆につけいられる隙を作ることになります。なんにせよ自分の専門分野以外はなかなか勝負できないです。
そしてそれが面白さにつながらなければ、ただ隙を作るばかりで、得がないですからね。
Enderman_desu
なるほど、やはり面白さが重要なのですね。
ukit
面白さが全てです。それが私のメイン信条でもありますね。
Yukko
ある程度専門的な分野に踏み込むなら、その知識が豊富でないと、「面白さ」を引き出す事も難しくなるでしょうしね。
Yukko
❴13❵ (物語上で発生するイベントそのものや登場人物の動作描写、あるいはイベントを飾るという意味合いでの)演出について、ukitさんが自身の個性として入れ込むもの(=特定の表現や特定作品の影響)について教えてください。
ukit
私が若い頃に傾倒したのが、村上春樹などでした。シンプルな文体、過度に華美であったり強調的でない、それこそ中学生でもわかりやすい・読みやすいを心がけています
。そのうえで些細な仕草やそのキャラクターの背景情報をにじませるような表現をして、深みを出そうとくだくだとやっていますね。
Enderman_desu
わかりやすい、というのは簡潔であったり、難解でない表現であるという事でしょうか。その上で演出を深め、表現しているのでしょうかね。
ukit
そうですね。美美しいとか純文学的なのはどちらかというと苦手でポップで軽い表現のほうが好みです。
その文体でさりげなく深い題材をえぐったりして行きたいなというのが基本スタンスです。
Yukko
私は美しい文章も好きですが、読み易い文体の方が心に刺さる事も多々ありますもんね。美しい文章より簡単に情景が浮かび上がったり、テンポ良く読めるのも特徴の一つだと思います。
Yukko
【執筆中、文章面について】から、
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
ukit
冒頭部というのはたしかに大事ですが、ここをこだわりすぎると本当に読者を逃してしまいます。私がよくやるのはセリフからスタートして、キャラクターに物語を牽引させるパターンや、「一言」みたいな書き出しからキャラクターとキャラクターの会話をはさみつつ、状況説明を展開していくパターンですね。グチャッと20行ある冒頭を会話もなしにやっちゃうと、よほどのファンでもなければ逃げちゃいますね多分。
Enderman_desu
冒頭部分にあまり時間はかけないのでしょうか?
ukit
時間自体はかけますね。その密度が問題で、読者を押しつぶしちゃうものだといけないんですよね。
よくネット小説で異世界の歴史とか設定をばーって全部説明しようとするのがあると思うんですが、それは良くなくて読者と歩調を合わせて、説明したいことを小分けにして楽しい会話なんかをはさみながら、うまく語らないといけない。
Yukko
動き等が無いと、飽きてしまいますしね。
ですが、初手のインパクトも大事だと私は思います。
ukit氏はそことの折り合いはどう付けてらっしゃるんでしょうか。若しくは、短く、よりインパクトのある書き方をするコツはありますでしょうか?
ukit
なんか妙なことを、惹きつけることを最初にかますのが効果的ですね。「この日、世界は99%のフランスパン濃度を記録した」とか「682が寿司を回してるですって!?」とか。
そこから広げてギャグにしたりホラーにしたりやりようは様々です。
Enderman_desu
こだわり過ぎず、しかし読者の目を引く導入が必要なのですね。
Yukko
まず、読者に「気になる」と思わせないと何も始まりませんもんね。冗調では飽きてしまいますし、短く簡潔に、そして読みたくなるちょっと不思議な文章を書くのがコツなんですね。これに関しては、書き出し、そしてタイトルはより意識した方が良さそうですね。
Yukko
❴18❵ これは登場人物の内面や心情の変化をその登場人物自身の視点から捉えて描くことを苦手としている、との方からの質問なのですが、そのような描写を行う際、どのようなことに気をつけておりますでしょうか。
ukit
キャラクター心情変化などは、ぶっちゃけてしまえば機械的に書けてしまう部分ではないでしょうか。もちろん一切の下準備もなくできることではありませんが、キャラクターの背景や個性を十分に練っていれば「こいつはこういうときにこういう事を言う」とか「こういうことを思い、こう言い返すだろう」というように展開が固定化されてきます。
あとは、どうとでもとれるように書いてしまうというのも手です。あえて心情描写を挟まずに短い会話の合間に仕草などの描写を加えて、あとは読者にどういうことか想像させてしまう投げっぱなしジャーマンも時には有効です。
Enderman_desu
心情を想像させるという点で、過不足ない描写のバランスを保つにあたり気を付けていることはありますか?あと、キャラクター性を考える上では、基礎となる部分のプロットを書いたりするのでしょうか?例えばキャラクターについての説明を軽く書いておいたりなど。
ukit
キャラクターの設定は書き出さないですね。リアルで出会った人をコピーして出力したものを手修正してキャラクターに仕立てたりしてます。
描写は「俺がそう言うと、彼女は軽く髪をかきあげた」とかで「ああ女の方はなんかつまんなかったんだな」みたいなぽやっとしたのをよくやりますね。青筋を~とかあからさまなのはあんまり多用しないですね。
Yukko
敢えて解釈の余地を大きくするんですか。
それは何かしらの、ukit氏の考えというか、理由があったりするんですかね?
ukit
解釈の幅をもたせるのは、そこからの発展可能性を考えてのことですね。自分で書いてても、ここは微妙にはぐらかしてあるから加筆修正が容易。あとに続いてこれを読んでなにか書く人に対しても、拡張性を確保できる。
あとは、物語をどう受容するかは読者それぞれですから、いろんな読み方ができるものを作りたいんですよね。
Yukko
なるほど! 読者が色々な解釈が出来るようにするというのは私もなんとなく分かって居たのですが、そこからの発展可能性までに目が届いてませんでした。ありがとうございます。
Yukko
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
ukit
クサいというと、舞台演劇的な台詞回しや映画の吹き替えのようなものが結構いろいろなところで目に付きますが、これに関しては「日常会話+α」くらいで抑えていきましょう。読み物というのは結局は内話的に読者の頭の中で展開していくものなので、演劇的な台詞回しがその人に合わなかったり、映画の吹き替えのような普段しないような台詞回しだと、やっぱりその人に合わなかったりということが発生します。
ある人には刺さるけど、ほか多くの人には刺さらないという表現より、広くいろいろな人に刺さる表現のほうが初心者のうちは気が楽だとおもいます。
私の場合は、とにかくシンプルであることを心がけていて、その上で「キャラクターしか言わない」ようなしっくり感のある台詞回しにしたいなあと日頃は思っていますね。
Enderman_desu
そうなんですね。感情的な会話文を書くと露骨にクサくなったりする場合が人によってはあると思うのですが、雰囲気を出すために意図的な表現を用いることはあるかと思います。そういった場合、台詞のシンプルさと雰囲気を両立させるにはどう心がければ良いのでしょうかね?
ukit
私だとということになりますが、セリフはシンプルにしてその後の地の文での描写で補うようにしています。
「そう」
単体では「そう」以外の意味はありませんが
「そう」
彼女は顔を背けたままそう言った。そしてそのままタバコに火をつけて、ふーっと煙を吐く。風で流れた紫煙が、すぐさま吹き流されていった。
と、このようにしてセリフからクサみを飛ばしつつ、地の文で描写を重ねていく感じですかね。
Enderman_desu
描写の精密さは維持できるように、表現の方法を変えるのですね。
ukit
そうですね、セリフでクサくなったら次はシンプル。地の文でクサくなったら、次はセリフを重めにして地の文をシンプル……こればかりではないですが、全体のバランスは取りつつうまいことまとめるのがやりやすいでしょうか。
Yukko
質問に答えて頂きありがとうございました。
Enderman_desu
ありがとうございました!
ukit
本企画の成功をお祈りしております。
本日はありがとうございました!
[記録終了]
インタビュー回答者: hey_kounoike
インタビュアー: Enginepithecus
Dr_rrrr_2919
[記録開始]
Dr_rrrr_2919
❴1❵ Taleを執筆する際の創作に向かう動機としてはどういったものがあるでしょうか。書きたいシーンが浮かぶ、このキャラのこんなところが見たいから等どういった切っ掛けからアイデアの源泉を掴むのか、といった事をお聞きしたいです。
hey_kounoike
基本的な動機はご質問と同じく、書きたいシーンが浮かぶ、キャラを掘り下げたいなどです。
アイデアの取捨選択については「自分の中の興味がそそられるもの」を常に出しています。
アイデアの選択に迷ったら興味を優先するようにしています。
オチについてですが、私は物語を形にする時、可能な限り始まりの部分と終わりの部分を先に考えます。
そうすれば、間の部分については結構何とかなるのです。
だから、思いつかなくても、常に終わりを意識するように考えるとうまく行くはずです。
それを簡単にする方法については、次のプロットの話で述べましょう。
Enginepithecus
有難うございます。方向性の傾向としましては、
・キャラの掘り下げ目的
・思いついたシーンを書きたい
といった動機から
・自分自身の興味の対象として成り立つもの
を優先しつつ
・結末をまず決める形を重視し
・始まりと終わりから決めて書く
という形で宜しいでしょうか。
hey_kounoike
はい、問題ありません。
Enginepithecus
ふむふむ……。極めて簡潔に分かりやすい形でのご回答、非常に助かります。
Dr_rrrr_2919
❴4❵ Taleを書く際、プロットは作成されますでしょうか。プロットの構築自体を苦手とする方もいるとのことなので、普段作成されている場合、その構築の手順やコツ等をお聞きしたいです。
hey_kounoike
プロットは可能な限り作ります。
なぜプロットが必要なのか?それは簡単に言えば「設計図」であり「セーブデータ」だからです。
記事を書くことが「物語を完成させるゲーム」であれば、ゲームの中に設計図を
描画するシステムがあった方が、ゲームは楽に進むはずです。
それから、物語というものは運が良ければいい物語のつなぎや終わらせ方を、ある日突然思いつく、なんてこともあるはずです。
しかし、今は執筆に割く時間がないなんてことはありますよね。
そんな時、アイデアを頭の片隅にしまっておいて、それを取り出したとき貴方は思いついた時と同じ物語の流れを思い出せるでしょうか?
思い出せない事の方が多いはずです。
そういう時、プロットはやりかけたゲームの続きをやるときの「セーブデータ」として役に立ちます。
これが、プロットが必要な理由です。
必須事項ではありませんが、作り方さえ分かっていれば確実に役に立ちます。
[プロットの簡単な作り方]
一番簡単な方法は、先程述べた通り始まりと終わりだけ決めておく事です。
始まりと終わりだけが分かっていれば、その終わりへと物語を転がして行くだけでいい。
プロットを作るのが初めてなら、できるだけ貴方の興味を刺激する要素をいれましょう。
そうすれば多分、書き終えることができるはずです。
Dr_rrrr_2919
やはり始まりと終わりを先に考えておくのがいいのですね。
設計図
セーブデータ
私は実はゲームには疎いのですが、この部分を「立体物の造形における芯材/骨組み/フレームパーツ」に置き換えて考えても成り立ちそうな……。これは、つまり何かを "作る" という行為に於いて普遍的に重要な点なのかなとも感じますね。大事なポイントだなと。
hey_kounoike
はい。
そうですね、プラモの取説に置き換えてもいいでしょう。
後々思い出す労力を省ける、というのも便利な点です。だからセーブデータなんです。
Dr_rrrr_2919
ふと浮かんだアイデアを、記憶ではなく記録としてまとめておくために作成するのですね。
Dr_rrrr_2919
❴5❵ プロット以外の部分ではどのような部分からまず文章化の手を付けていかれるのでしょうか。
hey_kounoike
質問1の繰り返しになりますが、まず興味を刺激する部分から。
「この一文が頭に浮かんだからいれたい!」とか
こんなシーンが書きたい!とか、そういうところから作っていきます。
大枠よりも、小さなところから作って行く事も効果的だと思います。
なぜなら、それが最終的に記事本文やプロットに反映されるなら、作業は完成に向けて一歩進捗するからです。
Enginepithecus
一気に全体像を仕上げようとするよりも、細部で自分が書きたいところから真っ先に、という形ですね。
hey_kounoike
はい。
Enginepithecus
確かに、ある意味本当の意味での大枠はプロットで既に出来上がってますね。だから次は細部だろう、という理屈とも言えそうですかね?
hey_kounoike
そうですね、私はプロットありきで作ることが多いので。
ただ、シーンが先に浮かぶ事もあります。私の場合、それを序盤や終わりに置く事が多いですね。そうすれば、先程述べた「始まりと終わりだけ作る」プロットづくりに役立ちますから。
Enginepithecus
なるほどです。シーンを先に思いついた場合でもそれを「始まりと終わりを作る事重視」の型に当てはめていくのですね。
hey_kounoike
はい。
Dr_rrrr_2919
ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。
hey_kounoike
あとは、プロットに拘らなくても思い付いたシーンを軸に物語を作っていくやり方も有効です。ただ、それをやるのに一番簡単な方法はやっぱりプロット、という事にはなります。
起承転結のどこかに、そのシーンを嵌め込めばいいわけですから。
Dr_rrrr_2919
なるほど。私自身、(報告書の形にはなるのですが)プロットは大事なものだと感じ、作り始めておりました。
hey_kounoike
ええ、最初はなれないかもしれませんが、便利ですよ。
実例もあげておきましょう。
終わりのシーンを先にはめ込んだ作品がこちらです。
→Tale「夕暮れに、仰ぎ見る。」
Dr_rrrr_2919
詩ですと、セリフなどよりも自然な形で繰り返せそうですね。
hey_kounoike
そうですね、CCに適合し、かつ引用にとどめる形であれば有効です。
Enginepithecus
なるほどです。確かに、ラストシーンだけを切り取ったとしてもかなり印象に残るものですねこれは。
hey_kounoike
ありがとうございます。
こういうやり方もある、という事です。
Dr_rrrr_2919
ここからは、【執筆中、内容面について】の質問になります。
❴10❵ この事例に関しまして、当初の構想から変化した原因としてご自身が強く感じられたのはどういった部分でしょうか。
この事例、というのは「書いている内に当初の構想から内容が変化していく経験」になります。
hey_kounoike
これは9も含め、まとめてお答えします。5
書いている内容が変わって行く事はあります。
理由は作り込みにこだわってしまうところがあるからです。
プロットがあっても、プロットに書かれていない事を追加し、それで完成が遅れる事も
ままあります。
それを入れた結果、自分で読んでいて面白いものになるのであれば、変質もやむなしです。
実例を挙げましょう、下記は私が過去に書いたtaleのプロットです。
→下書き「ODSS One Shot プロット」
そして、実際に投稿したものがこちら。
→Tale「ODSS OneShot Part4」
文章量が増大したのは序盤のシーンです。
指紋認証について書こうとしたら「このシーンを技術(機械工学)的にもっともらしく書くにはどんな知識が必要だろう」とか、そんな事でいちいち泥縄的に資料を調べ、その結果そのシーンの文章が増大してしまいました。
それからこのtale にはGIF画像が使われていますが、これは書いている途中で「これを入れよう」と思い立った結果、こうなりました。こちらも、GIFになる前の動画データ作成から始めなければ行けなかったため、かなり苦労する事になりました。結果的にはいいものができたと思うので満足しています。
あと、この作品のキャラクター造形については、秋間雫さんのODSSの漫画に引っ張られているところがあります。
しかし、結果的には面白いものが書けたと思っているので特に問題はないと思っています。
Enginepithecus
作り込みに拘る事で当初の予定から内容が変化する事はあるが、その事象はむしろ肯定的に捉えるべきものである、との理解で良さそうでしょうか?
hey_kounoike
はい。しかし、あくまでも、自分で読んでいて面白い!と感じられるならですね。
追加した部分でいらないな、と思ったら、もちろん削る場合もあります。
作者は第一の読者なので、いるかいらないかはまず自分で決めていいと思います。
Enginepithecus
なるほどです。執筆の流れにある程度身を任せつつも、その結果の生成物に更に編集(カット)のハサミを入れるかどうか、最後には自分の感覚が頼りになるという形なのですね。
hey_kounoike
はい。しかし、そこは自分本位でいいと思います。なぜなら、最終的に記事が残るかどうかは読者、サイトメンバーの判断になるわけですから。
Dr_rrrr_2919
変化するしないは、すべて作者である自分の判断であるわけですね。
hey_kounoike
はい、下書きの段階くらい、自分の興味、好きなものを全力で追い求めるくらいでいいでしょう。じぶんで書いて楽しい、読んで面白い、を目指すくらいがいいんじゃないでしょうか。私が最初に述べた「興味」というのも、基本はそこになります。
Dr_rrrr_2919
ありがとうございます。自分の興味を追い求めるあまりに不足した部分は、他の方から目を通していただくのですね。
hey_kounoike
そうですね。だから、批評は足りない部分を埋める上でも有効です。
Dr_rrrr_2919
❴11❵ テーマや軸等の、taleの中心となる要素を決めて書く場合に注意している事をお聞きしたいです。
hey_kounoike
プロットありきの書き手であるため、まず「何を書きたいか」を明確にし、プロットの冒頭にもそれを明確に書いておくようにしています。
それから、できればそのテーマに沿ったシーンや序文を入れ、ついでにタイトル回収もするようにしています。
タイトル回収にこだわった作品としては以下の二作です。
→Tale「ベクソンから来た男」
→GoIF「GoGoGo!And Go's On!」」
タイトル回収については後から思いついた遊びみたいなものですが、これもやるとなかなか楽しいので結構こだわったりする時もあります。
Enginepithecus
タイトル回収、良いですよね。
結構憧れでもあり、自分もたまに試みてます。
hey_kounoike
楽しいですよね。
それが上手いか下手かは読者の判断になるし、そもそも気にされない事もままありますが、楽しいのは大事です。
Dr_rrrr_2919
タイトルの回収に気が付いたときは思わず声を漏らしてしまうほどの感嘆が溢れます。「GoGoGo!And Go's On!」を読んだ時も同様の感情でした。
hey_kounoike
ありがとうございます。
あれは結構意図的にやったので、ハマって嬉しいです。
Enginepithecus
書いてる本人が楽しめる事は大事であるというのも、hey_kounoikeさんのお言葉の端々から感じられますね。
hey_kounoike
はい、とにかく楽しんでやる事がまず大事ですね。
あと、辛くなったら別のことをするのも大事です。
❴12❵ 執筆されるtaleによっては前提となる知識を情報収集される場合があると思いますが、その際どの様な手段を用いて、またどの程度詳しいところまで情報収集を行われますか?
hey_kounoike
Wikipediaや、CiNii Researchでネットに公開されている論文などです。
調べたらキリがないのですが、自分が知りたいことについてはできる限り調べています。
例えば、以下の記事。
→GoIF「第〇三二四番」
この記事には、明治時代の司法解剖の文書風のものが出て来ますが、
これはCiNiiに保管されていた論文を参考にしました。
また、「戦地創法の大典」という軍医の心得のようなものも出て来ますが、こちらも同様に論文から知識を得ました。
あとは、書籍をじぶんで買ったりもしていますが、まず「概要をざっと知る」点ではwikiを、細かく知る上では論文を推します。
論文にはだいたい一つの物事についての細かい概要が乗っているので、補足にはそれを読めばいいわけです。
Enginepithecus
概要と詳細で、探索ツールを使い分けるのですね。
これは、かなり目から鱗な内容かもです。
hey_kounoike
はい、特にwikiは、題材によって資料の信頼性が疑わしい場合もありますが、それ以外のものも読むことで補足できるからです。
あとは、両方無料で読める、というのもポイントが高いです。
Enginepithecus
ふむふむ……。
やはり無料か否かは、現実問題として結構重要な点ですね。
そこが双方無料は有難いなと思います。
hey_kounoike
あとは…SCPという場自体、学生さんがかなり多いと思うので、学校の図書館などを使うのも良いでしょう。
あと教科書、これは馬鹿になりません。一番役立つ参考書かもしれない。
Dr_rrrr_2919
専門的な分野についても、調べれば家からでもある程度はわかるというのは現代の強みですね。
私も、使い分けることに関しては驚きでした。
hey_kounoike
はい。ただ、論文は知らない単語が出てきたりもするので、読み解くのに苦労したりはしますが、別に論文がダメなら、同じ内容を扱った小中学生向けの書籍があったりするのでそれを読むという方法もあります。
自分の興味の少ない分野を扱う上では有効だと思いますね。わたしも記事を書く上で、小学生向けの本を呼んだりしました。
Enginepithecus
これはまた目鱗案件です。小学生向け、まさかそのように役に立つとは
hey_kounoike
結構詳しいんですよ、侮れないところがあります。
Dr_rrrr_2919
そうなのですね。意外です。
hey_kounoike
図鑑系がおすすめです。
あとは図解付きの本とかね。
Dr_rrrr_2919
ここからは【執筆中、文章面について】の質問です。
❴14❵ 冒頭書き出し部分について、気をつけていることを教えてください。またこれに関連して、冒頭を書けなくは無いが時間がかかってしまう、台詞やポエムのような文章以外の選択肢が取れない、といった悩みをお持ちの方もいらっしゃるとの事ですので、そういった悩みへの打開策も併せて伺えますと幸いです。
hey_kounoike
書き出しについてですが、これは読者の興味を誘う「フック」になるため、悩みどころですね。
まず冒頭を書く場合、書くのに悩む場合、出来るだけ感情を排した文章、たとえば
一人称なら「私は〜した」
三人称なら「彼は〜した」
のような状況描写から入ると、ひとまず書き出すことはできるでしょう。こだわりたいなら、後から変えてしまえばいいのです。
それから「ポエム」についてですが、これは他の回答者の方は「恥を捨てる事」という回答が出ています。
これについてもう少し踏み込んで答えるなら、「評価を読者に委ねる」になるでしょう。
あるいは、本当に詩文の、一行詩のようなもの、または詩情を込めた情景、人物描写を冒頭に起きたいなら、それをあなたの納得のいく形で書いてみてください。
安心してください、結局それを判断するのは読者です。
そして先程も述べましたが、第一の読者は著者本人です。
好きにやりましょう。
詩文としての完成度を考えるのであれば、本当に見事なものを参考にしましょう。
たとえば、ウィリアム・ブレイクの「虎よ、虎よ」やランボーの「地獄の季節」を読んだことはありますか。どちらもとても参考になります。
まずブレイクですか、表題の詩はとても男らしいのに、他の詩は共感性羞恥を催すほどの少女趣味的な詩があったりしますし、ランボーは生きる上での欲望と怒りと憎しみを感じる事ができるでしょう。
聖書の箴言や、詩篇も参考になるはずです。
「ポエム」というのは、拙い文章に対するネットミーム的な貶し文句です。
でもあなたが「ポエム」と呼ばれたくないなら、序文の完成度を高めるか、そうでなければ、感情を排した書き出しにしましょう。
拙い文章に対するネットミーム的な貶し文句
これを "ポエム" 論の本質としてまず理解するのが大事なのかも……と今感じています。
hey_kounoike
はい、みんなこれを言いすぎたせいで、表現に臆病になっているきらいがあります。
でもここは、評価によって記事が消えたりしますし、消えた記事は基本、思い出す人はあまりいません。だからまずは、「ポエム」という固定観念を捨てて好きにやる事が大事です。
Enginepithecus
ふむふむ。
hey_kounoike
ちなみに私も、そういうものが嫌いな筋から「ポエム」と判断されそうなものを序文に据えた事があります。
「覚えていない」は「さよなら」の別名
→Tale「ベクソンから来た男」
これは私がじぶんで考えました。
Enginepithecus
確かにこの一文を単独で抜き出すとそうかもですね。
ただTale内の冒頭部分として組み込まれてしまうと、その感覚は感じなくなってました。
hey_kounoike
まあ、序文の威力というのは本文とリンクしてこそなんですよ。これはSCP以外の作品だと、小説の序文や映画の冒頭、あるいはキャッチコピーなんかにも、言える話です。
Dr_rrrr_2919
❴16❵ 中々Taleとしての文章を長く書き連ねる事ができず、途中で次に続けるべき文章や展開、具体的な書くべき描写、或いはクリニカルトーンとは逆に感情に訴えかける詩的、文学的な表現が浮かばなくなり、筆が止まってしまう著者の方もいらっしゃるようです。このような場合、hey_kounoikeさんならどのようなアドバイスを行いますか……?
hey_kounoike
まず手を動かすしかない、というのがあります。
もっと踏み込むなら、たとえばキャラクター同士が会話するシーンの場合、話を聞いている相手に何かをさせる事によって、キャラクターの個性を演出したりする方法があります。
聴き役が喫煙者なら、タバコに火をつけた、消した、またつけた、という繰り返しを、その都度表現を変えつつ書けばいいわけです。
スマホの画面を見る、お茶を飲む、首を回す、などでもいい。
これは書きたいシーンによって異なるので、ざっくり言うなら「聴き役の細かい動作で誤魔化せ」となるでしょう。
これが情景描写なら、雨が降っている→外を学生が走り去った→車が通り過ぎた、というふうにもできます。
こういう場合、シーンを長く続ける場合に書き方に困るケースが多いのでは?と思います。
Dr_rrrr_2919
なるほどです。細かい動作でごまかすのですね。
hey_kounoike
はい、結構有効ですよ。
Enginepithecus
ふむふむ。
場をつなぐために細かく動くものを登場させる、というのも有効であるとの形でしょうかね。
hey_kounoike
そうですね。登場人物を動かさなくても、背景を動かせばいい。時計の秒針の音なんかもいいかもしれませんね。
→Tale「鳥が鳴く国の官僚 前編」
これの序盤で二人会話のシーンでタバコをつけたり消したりさせています。
Dr_rrrr_2919
❴20❵ 同じキャラの視点を保ったままで場面転換、もしくは「長い時間が経った」描写を短く済ませる方法とはどのようなものでしょうか?例えば、主人公が家を出たシーンの次に続けて「家を出てから3時間かかって漸く目的地に到着した」シーンを描きたい場合には、どのようなスタイルを取ればこの「3時間の空白」を違和感無く処理できますでしょうか。
→Tale「夕暮れに、仰ぎ見る。」
こちらのtaleでは冒頭が現在、その後いきなり過去に飛びます。そして、転換前が線で区切られているのがわかりますね。
下記の構文です。
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これによって場面転換した、と読者に伝わるようにしています。
なんなら「何時間前・後」と書くのもありでしょう。とにかく、読者に場面転換した!とわかりやすく伝えられればそれでokなのです。
Enginepithecus
これは言い換えれば、時間流をぶった切る事を恐れるな、とも言える内容でしょうか?
hey_kounoike
はい。ただし、わかりやすくやるという前提付きです。
作例で述べた線は、舞台でいうなら場面転換前に、舞台が真っ暗になる「暗転」の効果だと思ってください。
暗転に近い表現を、わかりやすく明示すれば、読者も案外受け入れてくれます。
Dr_rrrr_2919
私も転換を恐れていたのでとても参考になります。ありがとうございます。
Dr_rrrr_2919
❴21❵ 所謂「クサみ」が出るのが怖くエモ系の会話文に苦手意識がある、という方からの質問です。これについて、気を付けているコツなどはありますでしょうか。
hey_kounoike
「自分の文章の是非は読者の判断に委ねること」
「SCPを含めた、自分の読んできた小説表現を参考にする」くらいですね。
その上で、SCPという土壌にふさわしい文章表現はなんなのかを考えればいいわけです。
taleでゆっくり魔理沙や霊夢の掛け合いのようなものを延々と入れると興醒めに思われるかもしれませんが、PAMWACならギリokかもしれない。
つまり、常に題材に最適な文体はなんだろうか?と考えればいいのだと思います。
Enginepithecus
あー、PAMWACの例えはかなりイメージとして掴みやすいです。
hey_kounoike
題材によってはオッケーというのは往々にしてありますから、匙加減を掴めればいいのだと思います。
Dr_rrrr_2919
【執筆終盤〜執筆完了段階について】の質問となります。
❴22❵ 長文を書いていると凝りすぎて完成する前に飽きてしまう、或いは半年など執筆に時間がかかりすぎる、といった理由からモチベーションの維持を大変に感じる方もいらっしゃるようですが、この場合はどのようなアプローチが効果的になりそうでしょうか?
hey_kounoike
まず、長文を書く事について。
大事なのは「書いたら休むことを繰り返す」という事です。
私はtaleを処女作が、前後編でだいたい10万字越えのもので、書き終えるまで4ヶ月ほどかかりました。
そのとき何をやっていたかというと、単純に、書いては休み、休んでは書きの繰り返しでした。
ですので繰り返しますが、やるべき事は「書いたら休む事を繰り返すこと」です。疲れたら休み、別のことをしましょう。
ちなみに私は収デン前に処女作完成させることにこだわり、棍を詰めすぎて体調を崩しました。で、結局完成したのは収デンの一週間後です。今考えれば愚かなことだったと思います。
次に、資料にかかる費用について。
資料代をかけられる人はとても幸福といえます。しかし、調べればキリがないのはなんでも同じです。あなたが、国会図書館や、ネット上の論文や、官公庁の公開情報で満足できないなら、資料代がかかることを諦めてください。
もしくは、資料代を必要としないような記事を書くことをお勧めします。あなたの経験などを軸にした作品などが良いでしょう。
これ書いたのカルカロフさんでしたよね。あの人の場合、資料収集能力がかなり高いので、諦めてもらうしかないです。
マジで資料代は天井知らずなんです。
Enginepithecus
有難うございます。
・とにかく、根を詰めすぎず休みを入れるように
というのは、これを忘れがちな場合には基本的ながらかなり重要なアドバイスだなと。
また、自分の経験/得意分野を軸に書くのがよい、というのは自分を振り返っても本当にそうだなと改めて。(超電救助隊を書くのに自分が戦隊/ライダーマニアである事がかなり活きた経験があるので)
hey_kounoike
はい。自分の経験は宝で、こればかりは本には乗っていないものですからね。
ソースは自分である以上、お金もかかりようがありません。
Dr_rrrr_2919
様々な経験を積むのはやはり大切なのですね。
hey_kounoike
はい。結構役に立ちますよ。
ただ、我々が作っているのはフィクションですから、経験にこだわりすぎないのも大事です。
Dr_rrrr_2919
経験を織り交ぜていけるように精進します。
hey_kounoike
私が職場で受けたいじめやパワハラを参考にしたのがこちらの記事です。一応参考までに。
→「SCP-2229-JP」
Enginepithecus
なるほどです。参考になるものは貪欲に使用してしまうが良し、とですね。
hey_kounoike
はい。こういうやり方もある、程度に考えてください。
Dr_rrrr_2919
❴23❵ 上記とも一部関連した質問になりますが、Taleを「完成」に持っていく際に、特定の部分について悩んだ末に妥協した、もしくはこのようにして解決した、のような具体的な経験をされたことはございますでしょうか。
hey_kounoike
いつもそうしていますよ。
まず私は銃でどんぱちやったり、スパイが出てきたり、呪術を行使したりするtaleを書いていますが、全部やったことがありません。
もちろん、本物に触ることは創作を豊かにします。しかし、現実にできないことをするのが創作ですから、フィクションは自由!と割り切って書いてます。
銃の描写なんか、わたしは結構アバウトですからね。
要は、アクションシーンはアクションとして成立すればいい!と描写については割り切って書いています。
もちろん詳しい人はすごく詳しいので参考にしたりしています。
たとえば銃なら、1nariさんやkarkaroffさんのtaleが参考になりますし、スパイフィクションならseafield13さんの作品を参考にしたりしています。
Enginepithecus
他の、その分野を得意とする方々の特徴から学ぶ事も有用だよ、との形ですね。
hey_kounoike
そうですね。ただ、先達と自分は違うし、出来ることも違います。先達のように、詳しく…をやると即筆を折るハメになるので、まずは自分のしたいこと、やれることからやっていきましょう。
「先達のような作品を書く」は目標としてはありですが、それに拘る必要もないのです。
Enginepithecus
目指してよいが、到達することを目標にするな、ですね。
hey_kounoike
はい。初手でガチ勢になるのは難しいですから、まずは「これ書くの楽しい!」から行くといいでしょう。
ちなみに私はいまだにガチ勢にはなれてませんが、楽しくやっています。
Dr_rrrr_2919
では、これにて本日のインタビューを終了させていただきます。エンジンピテクスさん、hey_kounoikeさんお疲れ様でした。
Enginepithecus
お疲れ様でした有難うございます……!
hey_kounoike
こちらこそ、遅くまでお付き合いいただきありがとうございます。お疲れ様でした。
[記録終了]
【インタビューに参加下さったサイトメンバー一覧】
お答え下さった著者様方 | インタビュアー |
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企画メンバー 企画参加者 |