怪獣海

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怪獣海

SCP-3534-02, ヒトデの救済, ウォーターワールド(ケビン・コスナーの映画ではない)

概観

怪獣海は異なる現実の地球で、その殆どが海に覆われており、水生あるいは半水生の巨大なキメラ生物が生息している。 この世界は、1988年にハイ・ブラジルを襲った5つ脚クラーク1の起源となった世界だと推測されている。その推測が正しい場合、 怪獣海は、他の同様の存在が別の領域を侵攻するリスクを齎す可能性がある。それらが大挙して押し寄せることもあり得るのだ2

イラストレーション

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怪獣海、荒廃した地球の衛星軌道からの写真。ノーチラス号のムニンによる撮影。

知識

特徴: 怪獣海は、20世紀中期から後期にかけて、未知の世界から現れた怪獣3 の侵略を受けるまでは、一般的な地球であったと思われる。怪獣の数は少なくとも数千にのぼり、彼らの襲撃により、地に蔓延っていた人類は瞬く間に絶滅した。怪獣たちの存在は、水の量を大幅に増加させるなど、惑星自体を徐々に変化させたようだ。陸地の約90%が水没し、地表にはほぼ永久的に霧が立ち込めている。

怪獣自体の大きさは20〜500フィートと個体によって大きく異なる。その体は通常、爬虫類、頭足類、魚類学的4 な特徴の融合体だ。今日までに観測された怪獣の殆ど全ては五放射相称である。通常は2つで1組の体のパーツであっても、5つで1組になっている。

怪獣は非常に攻撃的で、視界に入る殆どの生物を攻撃し、怪獣同士でも頻繁に戦闘を行うことが確認されている。怪獣は超自然的な耐久力と再生能力を持っているため、壮絶な戦いであっても致命傷になることは少ない。また、水中で消えない呪炎5を吐くことができるなど、様々な攻撃的魔術能力も持っている。

性質: 怪獣海には、人間と陸生生物が全くいない。これは、凄まじい洪水と、怪獣による攻撃と生存競争とが重なったためと考えられる。非異常の海洋生物は豊富で、殆どの種のヒトデの個体数が顕著に増加している。怪獣は頂点捕食者として、主にクジラを食べている。

怪獣の正確な個体数は不明だが、主な食料源がまだ枯渇していないことから、産業捕鯨時代の人類よりも、怪獣が殺すクジラの数はかなり少ないと思われる。怪獣の大きさや攻撃性を考えると、これは不可解なことである。

食料の問題に加えて、怪獣の巨大さは明らかに二乗三乗の法則に反しており、他にもその大きさに関する様々な問題が発生している。怪獣の解剖学に関するほとんどの知識はICSUT6から得られたものだ。彼らは5つ脚クラーク78の襲撃後に残された遺体を徹底的に調べた。その結果、5つ脚クラークは非ユークリッド生物学的な構造と異常に活発な細胞を持っていることに加え、内部ヒューム値が比較的低く、現実の物理法則が体に及ぼす影響が少ないという結論に達した。

怪獣の交尾を観察した者は今の所いない910。ICSUTによる5つ脚クラークの死骸の分析によれば、それらは生物学的な性別を有していると考えられている。つまり、雄または雌の配偶子を作る能力を持つということだ。ハイ・ブラジルを襲った怪獣個体は雌であり、数百万個の未受精卵を持っていた11。しかし、子宮を持っていなかったことから、卵は体外受精すると思われる。これは理に適っている。怪獣は明らかに普遍的に相互攻撃性を持ち、体内受精の可能性を排除するであろうからだ12

歴史と関連組織: 怪獣海がいつ、どのようにして誕生したのかは分かっていない。その領域からの生存者はほとんどおらず、洪水と怪獣の侵入以外に彼らの世界に何が起こったのかを正確に知る者はいない。

第五教会の構成員の一部は、特に南部第五主義者たちは、以下のように主張している13。怪獣は本当はヒトデ14の天使であり、不信心な世界に審判を下すために、また、ヒトデを心に受け入れない者たちの結末を他の世界に示すために送られたのだ1516。他の資料によると、この罪はより酷いものとされる。定命の人間が地上での生の内に、何らかの方法でヒトデの天国に入ろうとしたのだという。後者の方が可能性が高いと思われる。というのも、大多数の現実において、第五主義者の人口は少ないものの、5本の手足を持つ天使に侵略されたことがないからだ。

接触: 洪水以前に怪獣海と図書館を繋いでいた道の多くはまだ機能しているが、それを利用するには深海潜水服が必要だ。また、開通した時に図書館が水浸しにならないように、図書館の案内人の怒りを買わないように気をつける必要がある。

怪獣海へは、多次元移動が可能な乗り物や機械、実体を使って行くこともできる。

また、どのような船でも、その船を潜水艦に変身させ、そしてそれが十分な深さに達すると怪獣海に移行するという魔術があると言われている。この魔術はIJAMEAが発見したと言われているが、現在は看守たちによって隠されている。

他の詳細: このような大惨事を二度と起こさないためには、5つ脚クラークが如何にして怪獣海からこの世界に到達できたのかを解明することが何よりも重要だ。蛇の手や他の図書館利用者たちの間で最も受け入れられている説の1つは、怪獣はその奇跡論的な能力を使って自らの道を生成し、別の現実に移動することができるというものである。怪獣は個体レベルでも集団でもこれを行うことができる。

ICSUTは現在、このような巨大な道を混線させたり方向転換させたりするために、我々の世界のレイラインを利用できるのではないかと考え、レイライン操作について研究している。ICSUTの学者の中には、5つ脚クラークの侵入を許したのはハイ・ブラジルの失敗した結界だけであり、それさえもその結界が何世紀にもわたって齎してきた保護のバランスとして要求した、大きな不幸が偶然に表出したものに過ぎないと推測する者もいる。この理論の利点は、今でも熱く議論されている。

怪獣が我々の現実に移動するのを防ぐ方法17が見つからなければ、我々は怪獣海と同じ運命を辿ることになるかもしれない。怪獣がどのようにして世界を行き来しているのか、その理由を明らかにし、我々の世界への侵入を阻止する方法を見つけるためには、さらなる研究が必要である。焚書者がたった1体の怪獣を倒すために払った犠牲を考えると、大規模な侵略はまさに止められないものとなるだろう18

観察と物語

その鳥の魔術師、クル=マナスの堂守を自称する者は、怪獣海について図書館で聞いた直後に、そこへ行くため、我々の船をチャーターした。彼は自力でもそこに行けただろうが、それほど泳ぎが上手くはなかったようだ。

最初に起こった奇妙なことは、私たちが地上ではなく低軌道に出てきたことだった。それがあの写真を撮った場所だ。明らかに、怪獣海の何かが私たちの保護結界を作動させたため、着陸するためには対抗呪文を唱えなければならなかった。

地表の空気は湿っていて冷たく、霧が濃く、太陽はおろか1ハロン先も見えなかった。不気味な静けさを破っていたのは、何もない海を越えて遠くから聞こえてくる怪物のような叫び声だった。

海面では何も見えないので、私たちはすぐに潜ることにした。驚いたことに、私たちは大都市の真上にいた。どの都市かは分からない。何も残っていなかったからだ。フジツボや海藻に覆われて、崩れ落ちた建物ばかりだった。正直なところ、心が痛む光景だった。

幸いなことに、私たちはその世界の人々のことをあまり嘆く機会が無かった。というのも、その時、怪獣の1体が私たちを見つけたからだ。モササウルスを知っているか?怪獣は大凡それに似ていたが、尻尾の代わりに5本の触手があり、5対のヒレがあり、背中には5つの背びれがあり、首には5つのアホロートルのエラがあり、それぞれの根元には目があるという、そんな姿をしていた。そして、体長は400フィートを超えていた。

それは恐ろしい音波を発しながら我々に向かって突進してきたので、私たちは回避行動をとった。堂守はそれを観察しようとしたが、ネモはノーチラス号と我々の命を危険にさらすつもりはなく、スペクトルキャノンを発射した。辛うじて体を凹ませたが、それも目の前で治ってしまった。揺さぶろうとしたが、その巨体にもかかわらず、本当に動いてしまった。ネモの命令で浮上したが、なぜか怪獣は我々の上に乗ってきた。怪獣は我々のペースに合わせて下降を始め、我々も一緒に下降していった。

深く深く潜っていくと同時に、毎秒巨大なキメラによって海底に押しつぶされそうになった。その時、その鳥の魔術師が肘掛け椅子19学者ではないことを証明したのだった。彼は我々のスペクトル・キャノンの1つを持ち、それを使って獣の肉にある種の紋章を刻んだのだ。

それに何の効果があったのかははっきりとは分からないが、怪獣は痛みで暴れだしたので、私たちはその隙きに水面に向かって進んだ。もちろん、紋章は数秒で回復し、怪獣はすぐに我々の船尾に戻ってきて、50フィートの顎を開いたり閉じたりして我々を捕まえようとした。私たちが海から脱出すると、怪獣はまるでトビウオのように私たちを追って海面から飛び出した。一瞬、本当に飛べるのかと心配になったが、海の上に上がると、重力に引かれて奈落の底に落ちていったので、私たちは喜んで安堵のため息をついた。

それ以来、私たちは無謀なことをしなくなった。怪獣海は視界が悪いかもしれないが、怪獣自身が大量のEVEを放出し、私たちのエーテルスコープをクリスマスツリーのように照らす。小型の怪獣を浅瀬の近くまで追跡し、座礁させて、船倉に運び込んだ。これまでに何度かやったことがある。普通はこれを動物園に売る20

研究のためにどうしても標本が必要な場合、小型のものなら、それを閉じ込めておく手段があれば手に入れることができる。しかし、野生状態で研究しようとするのは愚の骨頂だ。密かに観察することは不可能である。EVEを感知できなかったとしても、彼らはその非異常な感覚もサメのように鋭く、気付いた瞬間に何かを攻撃するだろう。彼らは巨大で、凶暴で、魔法の存在である。ヒットアンドラン戦法だけが、奴らを倒す非常に実現困難な方法であろう。もちろん、あなた方が焚書者の一味、もしくはサメ殴りセンターでもなければだが21

- ムニン、ノーチラス号の二等航海士、フギンの同胞

疑念

怪獣海の存在そのものに疑念の余地はないが、その真の起源と性質は未だに謎のままだ。しかし、我々が行った怪獣についての数少ない観察の結果は、彼らが神聖な存在であるという第五主義者たちの主張を支持していないようだ。確かにそれらは魔法である。しかし完全に動物的であり、その知性は本能的なものであるように見える。

第五主義者たちは、これに対する反論として、怪獣たちがEVEに加えて、アキヴァ放射を発していることが知られているという点を挙げる。彼ら曰く、それこそ怪獣たちが神性を有する証拠だというのだ。しかし、これはアキヴァについてのよくある誤解の現れだ。それは信仰の産物であれど、神性の産物ではない。アキヴァはEVEと同様、意識的な知覚の産物であり、その違いは、アキヴァは観測者によって放出されるのではなく、被観測者によって放出されるという点にある。聖なるものとして知覚されるものは全てアキヴァを放出する。敬虔な人が多ければ多いほど、そして彼らの信仰が敬虔であればあるほど、アキヴァは強くなる。そして、怪獣に対する第五主義者達の崇拝は、その上昇したアキヴァレベルを説明するのに十分であるかもしれない。怪獣は、大切な数珠が天使ではないのと同様に、「天使」ではないのだ。

怪獣の起源は、我々の世界とは全く異なる浮動世界である可能性がある。怪獣海は誰かがその浮動世界に入ろうとしたために発生し、その後の黙示録は、彼ら自身の無知によって引き起こされたと考えられる。

その誰かとは、生存者の証言や回収された証拠、そして彼らの一般的な手口から、看守たちである可能性が高い。もしそうだとすると、ここから得られる教訓は2つある。

1つ目は、超自然的な知識を求め、それを大切にするのは正しいことで、やみくもに暗闇を探るよりもはるかに安全だということだ。2つ目は、恐怖に駆られて軽率な行動をとってはいけないということだ。怪獣に侵略される世界を増やしたくはないが、看守たちのようになることも望まない。恐怖だけで行動してはいけない。脅威を軽減するため、怪獣を学び続けなければならない。怪獣の素晴らしさを理解するためにも。2223

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