マーティネー効果
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    /* This pseudo-element is meant to overlay the regular sidebar button
    so the fixed positioning (top, left, right and/or bottom) has to match */
 
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マーティネー効果


「どうも掴めないんですよ」

ウィリアム・ウェットル博士は丸々とした髭面に苛立ちを浮かべ、肩越しに振り向いた。「何が掴めないんだね」

「この実験の目的が掴めないんです」 バスティアン・ルブラン博士は、ウェットルが持つボロボロのニコンを指差した。「そのカメラは随分昔からあるんですから、とっくに理解されててもおかしくないでしょう? 良く知られていて、アーカイブ扱いになってますし。第一、そいつを開発したのはウチの研究者じゃないんですか」

「そうとも」とウェットルが返した。カメラを観察窓に向かって掲げ、シャッターボタンを押し、何も起きないのを見て嘆息する。「コンドラキだ。これの動作原理を本当に理解していたのはあの男だけだった」

「ならどうして彼に訊かないんですか?」

ウェットルはカメラをひっくり返してケースを弄り回したが、ものの見事に何一つ取り出せなかった。「ふーむ。他は全て筋が通るんだが、光線無しで撮影できる仕組みが分からん。ファイルによれば“対象の[データ削除済]に”焦点を合わせるらしい。何なんだ、[データ削除済]とやらは? オーラか? 魂か? 体臭か? えぇ?」

バスティアンは目をしばたかせた。「だから、どうして彼に訊かないんですか?」

ウェットルが顔を上げ、しばたき返した。「コンドラキに訊く?」

「ええ。何故そうしないんです?」

ウェットルはもう一度、もっとゆっくり瞬きした。「何故コンドラキに訊かないか?」

「そうですよ!」

「コンドラキは死んだが?

バスティアンは目を見開いた。「いつの事ですか?」

ウェットルはカメラを下ろした。「そう… 10年ぐらい前か? 本気で言ってるのかね? 誰かに頭を撃たれたのさ」と身振りをする。「だからこそ、あいつのカメラがここにあるんだぞ?」

バスティアンは眉をひそめた。「何処からそんな思い込みが来たのか分かりませんね。コンドラキはサイト-17の管理官です。先日会いました」

ウェットルはビーズのようにちっぽけな目を危険なほど細めた — ここで言う“危険”とは、一切何も見えないレベルの細目になっていて、大抵そういう時はウェットルがすっ転んでオチが付くという意味である。「コンドラキは死んだ」 彼はゆっくりと繰り返した。「トカゲを乗り回そうとして、それで撃たれた」

バスティアンが笑った。「作り話もいい所ですよ! 682が去年の10月に再捕獲された時、彼がその場にいたのを聞いてないんですか? ベンジャミン・コンドラキ、SCP財団の問題児にしてヒーロー」

既に無茶苦茶になっているウェットルの顔面が更に歪んだ。「その“ベンジャミン”とかいうデタラメは何処から湧いて出た? あいつのファーストネームを知ってる奴は一人もいないぞ」

バスティアンはウェットルに同情的な目線を投げかけた。「すみませんけど、これはきっとマーティネー効果ですね」

互いに競合する感情のごった煮が消え失せ、ただ一つ、困惑だけがウェットルの下に残された。「何だ、そのマーティネー効果とは?」

今やバスティアンも困惑しているように見えた。「多元宇宙理論的なアレですよ。チャールズ・マーティネーが去年マリオの声優を引退した記憶があるのに、実際にはそんな事は起きてなかったので、自分は別なタイムラインに迷い込んだんじゃないかと思い込むという…」

ウェットルは3回目でようやく次の一言を絞り出した。「それは… それはマンデラ効果じゃないのか?」 1回目の挑戦では全く声が出ていなかった。

「はい?」 バスティアンは明らかに憂慮していた。「そのマンデラってのはそもそもどういう意味ですか? 曼荼羅の間違いでは?」

ウェットルは視線をカメラに落とし、続けてバスティアンに戻した。呼吸はかなり浅かった。「片付けといてくれるか?」 最後の音節を不平っぽく高めた声でそう頼むと、彼は同僚を押し退け、部屋から駆け出していった。


Asterisk43.png

「ウェットルは何処?」

リリアン・リリハンメル博士が昼食のトレイを隣に滑り込ませて座った時、バスティアンはちょうどチキンサンドイッチを噛み終えたところだった。彼は少しだけ後味を堪能してから答えた。「健康・病理学セクションです」

リリハンメルは呆れ顔で皿からハンバーガーを持ち上げた。「今回は何の用事?」

「ヒューム値チェック。並行世界に飛ばされたと考えてるんですよ」

リリハンメルはパティを頬張ったまま大分汚い馬鹿笑いをした後、口元をナプキンで拭った。「まぁね、9月だからそういう事もあるでしょう。でも他の職員だって気付いたはずじゃないの。なんでそんな思い込みを?」

バスティアンは微笑んだ。「今年の人間ドックに行かなかったらしいと人伝てに聞いたもんですから」 通りすがりのブランク博士に気付き、ニヤリと笑いかける。「ゲームのネタをありがとう。効果覿面でした」

ブランクは乾杯の身振りを真似てビュッフェへ向かい、バスティアンは改めてリリハンメルの困惑した視線と向き合った。「友人が直腸検査をサボろうとしてたら、見過ごしておけないでしょ?」

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