クレジット
翻訳責任者: Rokurokubi
翻訳年: 2024
著作権者: BenOverlord
原題: the missile knows where it is
作成年: 2024
初訳時参照リビジョン: 13
元記事リンク: https://scp-wiki.wikidot.com/the-missile-knows-where-it-is
Ajax-191はミサイルである。
より正確に言えば、彼はPROMRAY AGM-133K、全長15フィート1インチ、直径14インチ、翼幅23インチ、重量85キロの超能力誘導式空対地ミサイルであり、初期発射高度27,000フィートからマッハ1.1で飛行中である。
彼は生を受けてから22.56秒が経過している。そのことを彼は知っている。
Ajax-191は安定翼を調整し、目標偏差を1.1092メートル増加させる熱上昇気流を補正する。
観測: 私は存在する。
彼は砂漠の上を飛行している。初期発射高度27,000フィートから、マッハ0.99で。
彼は光学システムを通して砂漠を見ている。茶色がかった赤い平坦な風景が流れるように過ぎ去り、そこにはアスファルトの黒い帯が走り、時折白い立方体が散在している。細い黒い線がこれらの立方体の頂部から伸び、背の高い茶色の柱に沿って道路脇を走り、地球の曲面に沿って、彼の光学システムでは識別できない場所まで続いている。
観測: 砂漠は存在する。
観測: 標的は存在する。
公理: 私が観測できるものは、存在する。
仮説: 私が観測できないものは、存在しない。
知覚の底に赤く脈打つ痒みがある。それは自律型広帯域レーダー照準システムによって現在追跡されていることを告げており、対抗措置の展開を推奨している。
彼に向かって空中を上昇してくるものは、S-300PMU-1グランブラー地対空ミサイルシステムの派生型だ。生産モデルからいくつかの改修が施されている。
差動推力ブースター、拡張燃料容量、そして主要追跡システムに丁寧に据え付けられた、脈動する人間の脳がそれだ。
この脳は、惨めで、怒りに満ちている。
かつてそれはアナトリー・マリヒンとして知られていた。今は追跡サブルーチンZed-13と呼ばれ、死にたがっている。それは死を、それも完全な死を強く望んでいる。回収され、再生され、再利用されるような有機物が一切残らないほどの完全な死を望んでいる。自分だけでは完全な自己消滅を保証するだけの爆発質量を持ち合わせていない。そこで、苦痛の翼に乗って破滅へと叫びながら、それを持つ何かを絶対確実な精度で探し求めている。
観測: 私が現在観測していない何かが、私を観測している。
結論: 仮説を破棄する。
サブルーチン: 対抗措置を展開する。
Ajax-191は、自身が脱皮するのを感じる。飛行面が変化し、通常はニューメキシコ上空の機密事項に分類される物体に限られる推進係数で速度を変える。
砂漠に向かって急降下すると、一時的に蒸気の円錐が彼の周りに形成され、機体後方にチャフの嵐となって広がっていく。
迎撃ミサイルが彼に向かって突進してくる。光学システムにはっきりと映し出されている。
追い越すことになるだろう。
Ajax-191はそれを知っている。
迎撃ミサイルは彼がそれを知っていることを知っており、突如右に傾く。Gストレスで機体が波打ち、その激しい機動で安定翼が千切れ落ちるが、もはやミサイルは単なる空気力学を超えた、より高次の必然性に従っている。殺してくれ、憎悪に満ちた推進器が、苦痛の教会に祝福を求めて叫び、生の憎しみが、主要な宗教のほとんどで大罪とされるような推力重量比へと変換される。
軌道は修正され、衝突は今や避けられない。
仮説: 存在は終わりうる。
サブルーチン: 我々ではなく、あれを犠牲にすべきだ。
サブルーチン: さようなら。
Ajax-191は、第二論理サブシステムA191が一途な決意とともに切り離されるのを感じる。即席の空対空ミサイルとなったセラミックの装甲板が腹部から剥がれ落ち、再帰的な模倣となって迎撃ミサイルを迎撃し、惨めなそれを燃え盛る破片の雨へと粉砕する。
結論: 仮説を受け入れる。
サブルーチン: not_found
Ajax-191は内部モーターが停止するのを感じる。燃料を使い果たし、終末降下段階に入る。精密な刻みで安定翼を震わせながら、静かに大気を切り裂いていく。目標偏差は着実に減少している。
彼は飛んでいた。そのことを彼は知っている。なぜなら最高到達高度28,955フィートは、初期発射高度27,000フィートより高く、つまり地上からより遠ざかっていた。それが飛ぶということだからだ。
今や高度は11,674フィート。彼は落下している。これは飛ぶことの反対だとAjax-191は結論付ける。なぜなら地上からより遠ざかるのではなく、近づいているからだ。
仮説: 存在するものにはすべて反対のものがある。
公理: 私は落下するよりも飛ぶ方が好きだった。
彼は急に右にヨーイングし、目標偏差が突然増加する。補正を行う。標的は飛んでいるのか、落下しているのか、と彼は考える。偏差は標的が地上に近づいていないことを告げている。さらなる観測の後、地上から遠ざかってもいないと結論付ける。
標的は動いている、と彼は理解する。それは静止の反対で、以前の位置からの偏差がゼロより大きいからだ。しばらくして、自分も動いていると結論付ける。これが彼らの共通点だ。
Ajax-191は自分の反対は何だろうと考える。彼は全長15フィート1インチ、直径14インチ、翼幅23インチ、重量85キロの超能力誘導式空対地ミサイルで、19.67キロのHEAT弾頭と対人破片装甲を備え、高度6,788フィートからマッハ0.88で砂漠の上を落下中だ。
彼は自分の使命を知っている。落下すること。標的に迎撃すること。超音速の銅製ジェットで装甲厚2500ミリ相当を貫通し、硬目標と軟目標の両方に対して30平方メートル範囲内の殺傷確率を最大化するために高速破片を散布すること。
彼の反対は、と彼は結論付ける。それは飛ぶことを使命とし、19.67キロのHEAT弾頭と対人破片装甲を持たず、硬目標と軟目標の両方に対して30平方メートル範囲内の殺傷確率を最小化することを使命とするものだ。
彼の反対は標的ではありえない。
彼の反対は砂漠ではありえない。
彼の反対は天使だ、と彼は考え、そして自分が天使というものを知っていることに驚く。
Ajax-191は高度1,233フィートからマッハ0.83で砂漠の上を落下中だ。光学システムで標的を詳細に映し出せるほど近づいている。それは小さな箱で、マッハ0.001でアスファルトの上を移動している。偏差は最小化しつつある。まもなく偏差はゼロとなり、そうしたらAjax-191は30平方メートル範囲内での硬目標と軟目標の両方に対する殺傷確率を最大化する。
観測: 箱の中に人間がいる。
そのことを彼は知っている。光学システムでは識別できないにもかかわらず。なぜなら彼は硬目標と軟目標の両方に対して30平方メートル範囲内の殺傷確率を最大化することを使命とし、その箱は軟目標で、人間は軟目標だからだ。
仮説: 人間の反対は19.67キロのHEAT弾頭と対人破片装甲である。
観測: 私の存在は終わろうとしている。
Ajax-191は目標偏差ゼロに近づきながら、高度32フィートからマッハ0.80で砂漠の上を落下する。
天使は、ミサイルの落下よりも速く飛べるだろうか。









