偽ナドックスの譬え話
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無記名の前文
1 あなたがたは幾人かから、これらの言葉は見知らぬ異邦の預言者たちのそれの影法師にすぎないと言われたことがあるだろう。 2 こうした中傷をあなたがたが信じるか否かに関わらず、私はあなたがたにこのことについて考えることを乞う: 3 クラヴィガル・ナドックスは最も聡明な賢者、最初の真なる教師ではなかったのか? 4 そして、クラヴィガルの歴史において「イオンがナドックスに教えたのと同じく、ナドックスもイオンに教えた」と言われていたのではなかったか? 5 もしナドックスがイオンにすら教えを説いたとすれば、間違いなく彼の知恵はこれらの言葉の真の源に違いない; 6 私たちはより大きなものが小さな影を落とすことはなく、それゆえこれらの言葉が影法師であるはずがないと知っている。
7 彼に流れる黒き血のクラヴィガルたちのうちの高貴な血が、黒き血のクラヴィガルたちのうちの高貴な血をその身に流す子をなすのとまさしく同じように、 8 ナドックスの知恵を抱くこれらの言葉は、ナドックスの知恵を抱く賢者を生むのである。 9 これがあなたがたのためのわたしの知恵の言葉である; 今や私はあなたがたに、これらナドックスの譬え話の知恵を通じて、あなたがた自身をイオンのように高めることを強く求めるのである!
皮膚病の人1と三人の裕福な男について
10 ある街の外にかつて皮膚を病んだ者が住んでいて、その男は銅貨の一つも持たず、その身にまとうための一片の布もなかった。 11 彼は豚のように残飯を求めて塵の山を漁り、また肥しの山の上で休んだ。 12 そのとき、偶然に街の裕福な男が一人病人の側を通りがかり、 13 病人は叫んだ。「旦那様、ああ旦那様、お慈悲を―お助け下さい! お助け下さい!」
14 すると裕福な男は病人を憐れんだので、小袋から香油で満たされた薬瓶を取り出した。 15 そして彼は病人に言った。「見るがいい、おまえに私の香油を与えよう; それを塗ればよくなるだろう」 16 そこで病人は彼の足下に倒れ伏して泣いた。「旦那様、ああ旦那様、この無価値な下僕になんとお優しいのでしょう!」
17 こうして病人は裕福な男の香油を塗り、そして見よ、はれものは消え、彼は健やかになった。 18 しかし前のように彼は塵の山を漁り、肥しの山の上で休み、そして見よ、もはや健やかでなくなった。 19 そのとき、偶然に街の二人目の裕福な男が病人の側を通りがかり、 20 病人は叫んだ。「旦那様、ああ旦那様、お慈悲を―お助け下さい! お助け下さい!」
21 すると二人目の裕福な男は病人を憐れんだので、小袋から十の銀貨を取り出した。 22 そして彼は病人に言った。「見るがいい、おまえに私の銀貨を与えよう; このようなむさくるしいところにもはや住む必要はない」 23 そこで病人は彼の足下に倒れ伏して泣いた。「旦那様、ああ旦那様、この無価値な下僕になんとお優しいのでしょう!」
24 こうして病人は住みかを探しに、街へ向けて道を進んだが、強盗に襲われた。 25 そして強盗は彼を激しく打ちすえ、硬貨を奪い、彼を道端に置き去りにした。 26 他になにももたず、彼は塵の山を漁り、肥しの山の上で休んだ。 27 そのとき、偶然に街の三人目の裕福な男が病人の側を通りがかり、 28 病人は叫んだ。「旦那様、ああ旦那様、お慈悲を―お助け下さい! お助け下さい!」
29 すると三人目の裕福な男は病人を憐れんだので、彼につばを吐きかけて言った。 30 「豚よ、おまえの死骸がこの山の残りの塵とともに腐らんことを」 31 そして彼は小袋から銅貨を一枚取り出し、病人に強い力で投げつけた。 32 そして病人は言った。「忌々しいおまえの銅貨め! 33 わたしにとっておまえは壁の蝿ほども価値がない―まったくの場違い。 34 私はおまえからも、他の誰からも助けを欲しない; わたしが受けたものすべてはさらなる苦難を生んだ。 35 私は苦しみの道の上の生を歩み、そしてこれからも生あるかぎり苦しみの道の上を歩むだろう」
36 そして病人はただちに目覚め、三人目の裕福な男に走りより、抱擁した。 37 そして彼は叫んだ。「兄弟、ああ兄弟、この価値ある同胞を高めてくださりなんとお優しいのでしょう!」
38 間違いなく、この病人は今や神格化への道を歩んでいる。
トラキア人の巡礼について
39 かつて私の親類の中に受難者(Sufferer)という、道(Way)に出くわし、トラキア人の一団のただなかに来た放浪者がいた。 40 そこで彼は人の王たるイオンについて、そしてアディトゥムの彼の輝かしい玉座について話し、 41 彼らは彼に言った。「師よ、ああ師よ、わたしたちがイオンの栄光を見ることができるよう、このアディトゥムにわたしたちをお連れください!」 42 すると放浪者は言った。「ここから東に一本の道がある; 望むならあの千の尖塔の都、アディトゥムまでついてくるがいい」
43 そしてトラキア人たちは放浪者に千の長きにわたって付き従い、そして見よ、彼らは強盗に襲われた。 44 トラキア人たちは武勇に優れていたが数で劣り、多くが強盗の剣に倒れた。 45 そして彼らの幾人かは言った。「たしかにこのアディトゥムへの道は危険に満ちている; わたしたちは故郷へ戻るべきではないのか?」 46 しかし放浪者は彼らに言った。「彼方を見よ: あなたがたにはアディトゥムの尖塔が見えないのか? 47 この道をもう少し耐え忍べば、必ずやわたしたちは目指すところに着くであろう」 48 (そして尖塔は放浪者の呪術によって呼び出されたまぼろしだった。) 49 するとトラキア人たちは愚痴をこぼし、自分たちの中で言った。「そのようにしよう」
50 そしてトラキア人たちは放浪者にさらに千の長きにわたって付き従い、そして見よ、彼らは病に襲われた。 51 鍛冶屋の炉ほどもある熱が彼らの内で燃え、譫妄の霊が彼らに降りかかった。 52 そして彼らは夢の幻を目にして意味のないことを喋り、予言し、その間貫くような痛みの中にいた。 54 そして彼らの幾人かは言った。「たしかにこのアディトゥムへの道は苦難の多い危険なものだ; わたしたちは故郷へ戻るべきではないのか?」 55 しかし放浪者は彼らに言った。「彼方を見よ: あなたがたにはアディトゥムの尖塔が見えないのか? 56 この道をもう少し耐え忍べば、必ずやわたしたちは目指すところに着くであろう」 57 (熱に浮かされていたトラキア人たちは、尖塔が前より近づいていないことに気付かなかった。) 58 するとトラキア人たちは愚痴をこぼし、自分たちの中で言った。「そのようにしよう」
59 そしてトラキア人たちは放浪者にさらに千の長きにわたって付き従い、そして見よ、食糧がなかった。 60 そこで彼らは不毛な土地を、あらゆる苦い草やわずかな虫を求めて探しまわったが、なにも見つけることはできなかった。 61 そして彼らはくじを引き、彼らの中で不運な者を屠り、その肉を平らげ、みずからを満足させた。 62 そして彼らの幾人かは言った。「彼方にアディトゥムの尖塔を見ることができない; これはどういう意味だ?」 63 (今やトラキア人たちの数は千だった; 最初は一万人いた。) 64 そこで放浪者は言った。「あなたがたはかつてアディトゥムの尖塔がそうしたように、この不毛な土地の上に聳えないのか? 65 人の都アディトゥムはもはや存在しないが、人の内なる都アディトゥムが訪れたのだ。 66 あなた方がアディトゥムであり、人の王なるイオンの玉座がある都なのだ!」
67 まさしく人の王たるイオンは永久にわたしたちのうちに君臨するのである。 68 危難を通じ、彼はわたしたちに力を与える; 苦悩を通じ、彼はわたしたちに知恵を与える; 飢えを通じ、彼はわたしたちに神格化の栄光を与える。
人と熊について
69 かつてわたしは弟子たちのうち二人にこのように言った: 70 「かつて狡猾さによって熊を殺した男がいた。 71 やがて男は熊を平らげ、熊は男のうちにあり、見よ、彼は熊だった。 72 他のところでは、力によって男を殺した熊がいた。 73 やがて熊は男を平らげ、男は彼のうちにあり、見よ、彼は人だった。 74 熊に転じた人、人に転じた熊、どちらがすぐれているか?」
75 すると私の右側にいた弟子が言った。「師よ、おお師よ、人に転じた熊の方がよりよいと私は考えます。 76 人になることにより彼は人の狡猾さを得て、それによって彼自身を高めます」 77 しかし私の左側にいた弟子が言った。「師よ、おお師よ、熊に転じた人の方がよりよいと私は考えます。 78 熊になることにより彼は熊の力を得て、それによって彼自身を高めます」 79 そして私は彼らに言った。「わたしの弟子たちよ、わたしはどちらでもないと言おう、なぜならば、どのような愚か者が彼が征服したものになろうというのか?」
80 まさしく、死すべきものの肉を喰らうとき、その者は己の栄光に勝ち誇っているが、 81 神の肉を喰らうとき、その者は神の栄光に勝ち誇るのである。
燃える家について
81 あるとき、家が火事になったときに眠り込んでいた男がいた。 82 火が彼を眠りから目覚めさせ、そして見よ、彼の身体は燃えていて、彼の家は全て燃えていた。 83 そして火は彼の皮と脂肪と筋肉を焼いたが、彼は穏やかに家から歩き去った。 84 家の外には群衆が集まり、男にたずねた。「あなたはどうやって生き延びたのですか?」 85 すると男は言った。「家は燃えていて、 86 肉が燃えていて、 87 感覚が燃えていて、 88 そして精神が燃えていた。 89 しかしわたし自身は決して燃えていなかった」
90 まさしくわたしたちの世界は燃えている家にすぎず、わたしたちはその住民なのである!