著者注記: 以下の文書は、クラウニング・アバウト・ランチズ株式会社が、クラウン業界でも特に評判の悪い諸企業 — ハーマン・フラーの不気味サーカス、宇宙から来たキラー・クラウン社、マクドナルドなど — に見せる事を意図して撮影したプロモーションビデオの書き起こしです。
動画はクラウニング・アバウト・ランチズ株式会社のロゴマークから始まり、カメラが広々とした農地を映し出す。山高帽を被り、ツイードのジャケットを身に着けた背の低い小太りの男性が、カメラの右側から画面上に現れる。
「ここクラウニング・アバウト・ランチズでは、クラウンとクラウン関連製品の最も倫理的な生産のみを信条としています。我々のクラウンは、最高級のクラウン卵だけを使って、ベビーベッドから揺り籠、果ては墓場まで手作業で育てられています。」
男性は農地を歩き始める。彼は一瞬立ち止まり、ブーツの底から多彩色の残渣を拭い取ってから再び歩き出す。彼は誰かに身振りで合図しているように見える。カメラ視点が振り返り、身元不明の労働者2名が何かを遺体袋に詰め込んでいる様子を映す。
「止めろ。止めるんだ。こっちを映せ。よーし良い子だ。さて、何の話でしたっけ? そうそう、勿論、クラウンの倫理的な生産と飼育でしたね。」
「この方針に加えて、我々は持続可能な近代畜産業の実践を信じています。食料品店に毎週買い物に行く時、皆さんはこう思うでしょう — “どの肉とミルクと卵が家畜に優しい手段で生産されたかを知るにはどうすればいい?” 我々はこれが非常に難しい問題だと理解しています。」
男性は虹色の食品用ラップフィルムに包まれている、ソーセージのパッケージを掲げる。フィルムには“クラウニング・アバウト・ランチズ・クラウン・ソーセージ”と記されている。
「我々クラウニング・アバウト・ランチズは、あらゆる消費者の皆様にとって全く以て簡単な手段を採用しています。ただ我が社のロゴを探すだけで、我が社のクラウンが全て持続可能な方針に則って育てられたことを知り、ご満足いただけるはずです。我々は最高級の製品を目指しています —」
産業機械の威圧的な破砕音や切断音が徐々に大きくなり、男性が歯を見せて笑う。
「— だからこそ、わんぱくなクラウンたちは裁断機に投げ込まれるのです。」
「さて、説明はこの辺にしておきましょう! 我々の最高級クラウンの一部をご紹介いたします。」
男性は歩き続け、産業機械の駆動音が遠のいてゆく。カメラが農地の奥にある倉庫にズームインし、少しの間そこを映してから男性に視点を戻す。
「こちらはボノボです。」
撮影者はカメラを動かし、青褪めた顔付きのクラウンを映す。クラウンの毛穴には膿が詰まっており、顔や体の各所に開放創がある。
「ボノボは第4世代のクラウンです。ジェスターとハーレクインの混血種か何かですね。我が社のブリーダーも彼の品種をはっきりとは理解していません。カメラに手を振って、ボノボ!」
ボノボはカメラに向かって緩慢に手を振りながら、醜く損なわれた顔の特徴を苦しげに歪めて微笑もうとする。顎が取れてグロテスクなビチャッという音と共に床に落下し、手は手首から脱落する。
「オッホン。誰か、そこの汚いのを掃除しといてくれ。」
男性は歩き続け、更に多くの多彩色かつ粘着質の残渣を踏みつけながら農地を横切る。彼が牧場の次の区画へ入る時、撮影者は振り返り、遺体袋に詰め込まれたボノボが倉庫の方角へ運ばれてゆくのを映す。
「また、クラウニング・アバウト・ランチズでは廃棄物を削減し、二酸化炭素の排出量を抑えることも重要視しています。そこで現在は、クラウンの皮を1枚の綺麗なシート状に剥ぎ取り、成長中の幼いクラウンの餌に再利用しています。」
カメラは幼いクラウンの一団サーカスが、1つの同じ飼葉桶から何かを食べている様子を映す。液状の餌の中に、識別できない何らかの材質の断片が浮かんでいるのが分かる。
「ハハッ! 幸せそうでしょう? 勿論、環境には常に配慮しています。90年代には既に、我が社はクラウンの骨を煮込み、その残り粥をカルシウム豊富な食事として育ち盛りのクラウンたちに与え始めた最初のクラウン牧場の1つだったのです。我々はこれによって美味しく柔らかい肉ができると信じています。」
「一方で、ザ・裁断機©は低品質な肉製品に若干の筋と嚙み応えを付けることが目的です。一千の機械仕掛けの歯と叫びがもたらす死は、我々のクラウンの乳酸を非常に良く刺激するのですよ!」
カメラがまたしても倉庫を映す。大きな平手打ちの音が響き、カメラ視点が荒々しく前後に揺れると共に、畏縮した苦痛の叫びが聞こえる。
「余所見すんじゃねぇ、ハッピー・スラッピー。さぁ、それでは、優秀な労働者の1人にインタビューをしに行きましょうか?」
男性は次の農地に入り、朗らかな笑顔で牧場労働者の1人に近付く。労働者はすきを降ろし、2人は握手する。労働者が先に話し始める。
「インタビューですかい? えぇ、ちっとぐらい時間割けると思います。クラウニング・アバウト・ランチズで働くのは最高ですよ。給料は良い。仕事も安定してる。もうNHSのおかげで国のヘルスケアは受けてんですが、ウチのボスが用意してくれる専門ヘルスケアとは比べもんにもなりませんや。えぇもう、クラウニング・アバウト・ランチズは俺たちに — あとクラウンどもにも — 良く尽くしてくれてますぜ。」
男性は歯を見せて笑い、労働者の背中を勢い良く叩く。
「その調子で頑張ってくれたまえ、諸君。ハッピーな労働者たち、ハッピーなクラウンたち。ここクラウニング・アバウト・ランチズでは、何もかも上手く行くのです。」
カメラ視点が再び移動し、ミルク、卵、チーズ、肉類などのクラウン関連製品が大量に置かれたピクニックテーブルを映す。男性はテーブルに座り、さりげなくナプキンを服の前に詰めて、テーブルの上のご馳走を旺盛に食べ始める。
「さぁ、今日こそクラウニング・アバウト・ランチズへお越しください!」
カメラ映像はこの時点で途切れるが、マイクは引き続き音声を拾い続けている。
「また五月蝿く言われるんだろうな。“非人道的にも程がある”とか何とかグチグチとよ。“可哀想な生き物にこんな惨い仕打ちをするなんて”とか。畜生、マジで頭に来るぜ。」
「だからどうした? 奴らはたかがクラウンじゃねぇか。」
