重要ターゲット情報総覧ファイル
基本情報
コード: | Maze-███-███-Lo | 重要度クラス: | Monument |
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時空座標ラベル: | (レベル0)月 | 関連名称: | (レベル0)矽宇市 |
作戦計画
目的:
(レベル5)
- 都市における科学技術発展が自由で抑圧されないことの保証。都市の地理的および社会的意義上の住みやすさの保証。
- 都市全体の安全性・安定性・コントロール性・外部勢力からの権力的または実質的支配の防止が実際に維持されていることの保証。
- 広範囲かつ有効な監視の実行。不正かつ脅威的な安全性インシデントを除く、事件への介入不実施。
- 大規模・高暴露性・高危険性のある衝突や干渉計画の発生時を除く、外部勢力からの介入の不許可。
- 都市全体のあらゆる価値ある情報資源への注視。
情報リスト
概要:
(レベル1)矽宇シウ市は月面に設立された超技術科学都市です。パラテックおよび非異常科学技術の発展は当都市では極めて自由かつ円滑であり、極度の安全性インシデントが発生しない限り制限されることはありません。都市は自主独立かつ開放状態にあり、世界中の超常コミュニティ──特にパラテック関連コミュニティ──の最大集積地の一つです。
(レベル1)都市の大部分の区域を包む大気循環保護カバーは、地球の気温の再現、空模様の投影、昼夜の変化と大気環境のシミュレートを行っています。市内のほとんどの地区でパラ重力シミュレーションシステムが採用されており、常に地球の重力を再現しています。現在、超常情報機関迷宮が都市全体を支配しており、各組織はそれぞれ独自の影響範囲を持ちます。
歴史:
(レベル3)矽宇市は1970年に、プロメテウス研究所の月面研究施設として建造されました。当時の施設のうち、最古の転送ポータル1レーンとメイン実験棟が今も残されています。転送ポータルは現在も作業に使用されており、メイン実験棟は都市歴史博物館として利用されています。当時のロケット発射台は現在の集中発射区に移転され、記念品として展示されています。その他、当時の倉庫は一部が残っているものの大半が解体されており、それ以外の建築物は様々な理由で改築・消失しています。プロメテウス研究所は当初、基地を外部の土地の探査や科学技術研究のため利用する予定でしたが、年月の経過につれ、外部の科学研究団体を受け入れ技術交流を行うことが基地の最重要機能となりました。基地自体も拡張を続け、プロメテウス研究所の解散直前には現在の都市規模の3分の2まで達していました。
(レベル3)プロメテウス研究所の解散後、多数の分裂によって生まれた企業やその他団体が都市の争奪と支配を始め、さらに多数の小規模団体や個人が都市に入り、プロメテウス研究所の遺産を収集しました。時間が経つにつれ、大型の団体間での抗争は膠着状態の消耗戦となり、その不毛さゆえに自然収束しました。一方、小規模団体を起点に技術のゴールドラッシュが始まり、市内の人口はプロメテウス研究所基地時代の最大駐留人数の2倍へと膨れ上がりました。
(レベル3)迷宮は当初、この都市にさほど注目していませんでした。しかしプロメテウス研究所解散後、介入する団体の数は増え続け、市内には徐々にパラテック闇市のようなものが発生し始めました。そのため、迷宮は市内に自身の情報ネットワークを造成し始めました。2002年、迷宮は情報ネットワークと武装兵力を動員して都市を奇襲し、着実かつ迅速に都市の実効支配を行いました。反対を表明した団体は、勢力間の相互制約や迷宮の潜伏人員による影響によって、最終的に現状へ同意・黙認しました。迷宮が都市全体へ気候制御システム、武装防衛システム、多数の公共転送ポータルおよび宇宙空港、自由かつ無制限な技術発展と貿易体制を急速に構築するにつれて、迷宮が都市を支配する既成事実へ干渉しようとする組織は存在しなくなりました。
都市分布:
(レベル1)矽宇市は地域間の交錯性を示しています。その原因は、都市の発展が極度に混乱した建設時期を経ていることにあります。それでも、以下のような特徴を確認できます。
(レベル2)商業エリア:このエリアは大型現代摩天楼群を主な特徴とする、矽宇市において商業遵法性が最も強い地区です。当地区に位置する企業は大半が正規企業であり、非異常性の業務が本業である企業も少なくありません。当エリアのビルは建築様式に統一感がなく、建設工事自体が滅多に行われません。交通手段は地上交通と地下交通が中心です。緊急事態の際は、当エリアの建物は折りたたまれたり、地下へ移動したりします。
(レベル2)学術エリア:矽宇市で最大の敷地面積を占めるエリアです。全ての研究グループおよび企業ラボがこのエリアに位置しています。国際統一奇跡論研究センターICSUT矽宇キャンパス等の大学の所在地でもあります。交通手段は地上交通と航空機が中心で、騒音を出すことは禁止されています。緊急事態の際は、主に奇跡論的手段による防御が行われ、人員は安全シェルターの中へ移動します。
(レベル2)居住エリア:矽宇市で最大の人口密度を誇るエリアの一つです。居住用の住居は主に一軒家タイプ、マンションタイプ、大型タワータイプに分かれています。やや裕福な人ならば、小型一軒家タイプを選択できます。これらの家は地面の上にあるとは限らず、空間を最大限活用するために、集団で密着したり、大型建造物の上に建てられている可能性もあります。普通のマンションタイプは世間一般で言うマンションと大きな違いはありませんが、大型タワータイプは高度に人口が集中した区域です。大型タワータイプは内部が数百層に分割された巨大な立方体で、それぞれの層がさらに数百数千の部屋に分割され、スラム街のような安価で高密度な居住スペースとなっています。居住エリアには大量の人口が住んでいるため、緊急事態への対処はシェルターへの避難が中心です。
(レベル2)地下エリア:地下シャフト建築と地下交通を主とするエリアです。一部のシャフト建築は層ごとに異なる小型空気循環環境を有します。地下交通は地下鉄、トンネル、台車交通を含みます。台車交通とは、トンネル内で大型物品を輸送するために、台車用に引かれた路線です。
(レベル2)都市辺境:一部地区には城壁が建てられ、都市防衛砲等の武器と多数の転送ポータルが配備されています。ロケット発射台と宇宙船泊地が都市辺境に位置しています。城壁のない地域は、移動都市に覆われています。これらの建物は一般的に、高度にモジュール化された外殻構造を持ち、他の建物の外殻構造と連結が可能です。小型の建物は垂直方向に重なって連結することもでき、自由な高さに重ねられます。これらの建物は移動能力を持ち、他の建物との連結を解除して月面を走行できます。都市辺境は市内で商業違法性が最も強いエリアの一つです。
関連勢力摘要:
(レベル1)SCP財団:(Maze-005-0d7-Gr):市内に複数の未公開または公開拠点を持ち、エリア-CN-62を矽宇市に対する監視施設として運用しています。SCP財団は迷宮との協定に基づき、矽宇市の転送ポータルシステムを使用して物資を輸送する権利と、矽宇市内で人員のスカウトと技術獲得を行う権利を有します。同時に、他の正常性維持機関と同様、矽宇市内アノマリーへの大規模干渉や収容は禁止されています。
関連ファイル:
SCP-CN-738
SCP-CN-813
SCP-CN-1296
(レベル0)組織と団体:矽宇市には多数の組織が存在し、市内で科学技術の研究開発、販売または裏社会での情報交流を行っています。矽宇市の現在の安定性を大きく破壊するような行為が発生しない限り、あまり介入することはないでしょう。
関連ファイル:
LTE-1969-Blaecca-Ford-Osmanthus-Spiral
‘起源弾’(T3Y44/ML520/SH28J)
SC-27/136-28/800
LTE-8118-Moro
彼方から届いた手紙:
出自は調査中です。以下に内容を表示します。
もし、あなたがこれを見て、この都市について書いてみたいという思いが心の中に生まれたのなら、歓迎します。そして、あまり心配しないでください。
矽宇市のモットーは自由な科学技術都市です。月に建てられ、その科学技術は重要な手がかりとなり、表層ではパラテックを操る狂人が研究と狂気の狭間で踊り、深層には冷戦期ベルリンじみた戦いのコロシアムがあります。最も重要なことは、ここが舞台であることです。あなたが都市へ物語を贈れば、都市はあなたのペン先を新たな色で彩るでしょう。
ここはネオン輝くサイバーパンク・シティであり、上っ面の繁栄の裏で心を朽ちさせるハイテクスラム街でもあります。巨大組織が無秩序な暗闘を繰り広げる鉄の監獄、組織が反対勢力を排除せんと努力する栄光のリング、スパイと裏切り者が蔓延る仄暗い戦場、技術に付き物の圧力から逃れる自由な避難港、あるいは単純に、遥か遠くで営まれる暖かな生活。矽宇市はこれら全ての可能性を内包し、異なる角度から見れば異なる姿を見せます。
まぁ、そんな難しく考えなくたって良いんですよ。もしこれらの設定が、あなたの読書や創作をちょっとでも助けたり、楽しませることができたなら、私にとって最高のニュースです。
楽しんでくださいね。