エージェント・カレンダーによるアンダーベガスのハブ

A ROUNDERHOUSE Joint

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ハウス管理官のオフィス — サイト-666


R. ハウス: 私たちに "ハブが無い" というのは一体全体どういう意味なんですか? そもそも "ハブ" って何なんです?

K. エルストロム: いつになったらサイト管理官とお話しさせていただけますか?

R. ハウス: 貴女が今つついている相手がそうですが。

K. エルストロム: それでは本人にお伝えしましょう。この施設とそれ以外の財団全体の記録システムとを同期させるために必要な、あれだけ沢山の基本要素を、貴方は一体どうやったら見逃せたというのですか? 私にはさっぱりですよ。クラスC、あるいはそれ以上の等級に分類された全てのサイトやエリアは、SCiPnet上の管理ハブを必要とします。ハブはそのサイトに関連する文書、ファイル、未整理のデータに至るまで全てを統合するものです。

R. ハウス: オーケー、666にはそれが無いということですね?

K. エルストロム: ええ、貴方がここの責任者を任された理由が分かった気がします。

R. ハウス: 貴女に作って頂くことってできたりしませんか?

K. エルストロム: 私がここへ来たのは、財団施設の管理と職員の監督についての専門知識を提供するよう依頼されたからです。私は誰の記録係でもありませんよ、ハウス管理官。

R. ハウス: なるほど、分かりました。では、これは難しい仕事でしょうか? つまり、ハブの作成がってことですが。

K. エルストロム: 訓練された猿でもできるでしょうね。


R. ハウス: やあ、カレンダー?



Undervegas2.png



K. エルストロム: なぜラスベガスの看板のパロディ画像をこのようにデカデカと掲載しているのでしょう? これは一体どこから来たのです?

R. ハウス: ここのスタイルを理解しない人もいますからね。


UNDERVEGAS

~アンダーベガス~

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ボスの指示では、ここに "サイトのクールな写真" を置けとのこと

アンダーベガス (Undervegas) は、地獄の第四圏 (ダンテ・アリギエーリの『神曲・地獄篇』で描写される世界) に存在する街であり、その主な住民は悪魔1です。アンダーベガスは、一般に知られるラスベガスの街の鏡像であると共に、それと重なり合うように存在しています。この2つの都市の繋がりは、財団にとって大きなストレスの源です。

歴史: そもそもラスベガスの娯楽産業は、アンダーベガスにおいて闇の王子から課される重税から逃れたAvariceクラスの悪魔たちによって設立されたものでした。その後の数十年間、この都市は外へ向かって拡張し、"罪深い" 活動 (賭博、飲酒、みだりな性行為、モルモン教など) を中心に経済を誘致し、構築してきました。このような活動は全て、悪魔にとって非常に重要な意味を持つものの、未だ理解の進んでいない魔術エネルギーの一形態である、妖魔共振エネルギー (Tartarean Resonance Energy/TRE) を受動的に発生させます。TREは悪魔にとって非常に魅力的であり、罪が高密度に存在する地域に彼らを集中させ、そのような活動への参加を促し、それが更なるTREを生成することで正のフィードバックループを生み出しました。ラスベガスのこのような状況は、その後1991年まで続くことになります — この年、圧倒的なTRE密度のため、都市全体が神学的位相障壁を突き破ってアンダーベガスへと崩壊し、これら2つの都市は再び1つに統合されたのです。

この事態の完全な破局を防いだのは、ランドール・ハウス上席研究員の機転と大胆さでした。アンダーベガスの研究と収容のために、加えて、この地域をベースライン現実に繋ぎ止めておくために、サイト-666がベガス・ストリップに建設され、彼はその立場に十分に相応しい人物としてサイト管理者に就任しました。

A. カレンダー: 内容の追加は彼の指示です。

K. エルストロム: そんな気はしていました。

ラスベガスとアンダーベガスの関係性が完全に明らかになったのは2001年のことでした。財団の研究員らが不注意から、サイト-666をどういう訳か再び地獄へと崩壊させてしまい、その際に、アンダーベガスがあちら側の明確な地理的領域であり、多くの人口と独自の娯楽産業を抱える悪魔都市であることを発見したのです。正常状態への復帰には大きなリスクが伴ったものの、ハウス管理官は施設をベースライン現実に戻すことに成功しました。

A. カレンダー: この内容も彼の—

K. エルストロム: ええ、もう分かってます。

それ以来、両都市の関係性は熱心に研究されてきました。 現在の有力な理論では、アンダーベガスとラスベガスは自然に相互に引き合っており、最終的に1つの都市に統合されるのは避けられないことが示唆されています。 これらの理論に対する反論には、ハウス管理官による「黙れ」という命令が含まれます。


FILES RE: UNDERVEGAS

~アンダーベガスに関する資料~

K. エルストロム: 最低限必要なのはここだけだというのはご存知ですね?

R. ハウス: それ以外の部分は自家用車に取り付ける革の椅子のようなものでしょう。必須ではなくとも、より良い体験に貢献します。

SCP

SCP-8888 (+11)

SCP-3569-JP (+22)

SCP-8004 (+25)

SCP-5383 (+29)

SCP-5690 (+82)

SCP-4967 (+69)

SCP-4661 (+127)

レポート


LIVING IN UNDERVEGAS

~アンダーベガスでの暮らし~

ラスベガス

皆さんご存知のあの街 — 巨大かつ醜悪、おまけに場所は砂漠の真ん中。ラスベガスとは、忌まわしき商業主義、人間の傲慢さ、資本主義の過熱、そしてあなたをカモに変えて誰かにそのお金を奪い取らせる大いなる駆動力の記念碑的存在です。しかし、ストリップの大きなカジノだけがラスベガスではありません — ベガスはあらゆる所に存在します。ベガスは、エルヴィスのモノマネ芸人が司会を務める結婚式場にあります。ベガスは、あなたに無理やり写真を撮らせて5ドルを要求する著作権保護下のキャラクターにそっくりな格好の男の中にあります。ベガスとは経験それ自体です — 街に繰り出し、ブラックジャックでお金を吹き飛ばしてバーで泥酔し、千鳥足で帰路に着くも路地で倒れ伏してしまう、そんな経験そのものなのです。そして、もしも適切な日時、適切な状況で、都市間の障壁が薄まっているとき、上記の全てを実行すれば、あなたが迷い込んでしまうかもしれない領域があります。それこそが……

アンダーベガス

アンダーベガスは地獄における娯楽の中心地ですが、上階の隣人の完全対応なコピーではありません。見上げれば、光に汚された空ではなく巨大な洞窟の石の天井が目に入るでしょう。色々な意味で両都市は正反対です。ラスベガスが新しいカジノのために古いものを常に取り壊しているのに対し、アンダーベガスにはサンズからマジックカーペットに至るまで、悲しき運命を辿ったラスベガスの伝説的カジノの亡霊的残骸が存在しています。ラスベガスのパーティーが始まるのは夜ですが、アンダーベガスのパーティーには終わりがありません — この街は1つの大きなお祭りのようなもので、路上では常に宴が開かれているのです。アンダーベガスは7つの "領地" に分かれており、それぞれに1種類の悪魔が住み、支配者である "ピットボス" が君臨しています。従って、あなたがどの町にいるかによってパーティーの様子は随分と異なるものになるでしょう。一方のラスベガスは、車無しには移動できない悪夢のような街ですが — どこに行っても中身は大体一緒です。


A. カレンダー: できた。

R. ハウス: ほらどうです? 彼女はホームラン級に上手くやってくれましたよ。

K. エルストロム: 大袈裟すぎます。

R. ハウス: しかし、要件は満たしているでしょう?

K. エルストロム: それは「満たす」と言う単語の定義をずいぶん拡張しているようですがね。

R. ハウス: そう言わないでやって下さい。彼女は人間のテクノロジーを学んでいる最中なんです。昨日だって、彼女がネスプレッソに血を捧げようとしていたのを止めたんですよ。哀れな少女は、そこに血が入っていることを知りませんでした。

K. エルストロム: もう結構。確かにこれは最低限の要件は満たしているようです。しかし、記録の他の部分は酷いものですから、飛行機で帰るまで、追加で1週間ここにいることにします。やらなければならない仕事があるようですので。

R. ハウス: その延長戦のおかげで、色々と上手くいきそうですね。ところで、実は別のミーティングがこの時間に入ってまして。

K. エルストロム: ちょっと—

[部屋の扉が音を立てて開く。]

R. ハウス: ロー捜査官、ようこそ。

Q. ロー: おい、この野郎—

[沈黙]

R. ハウス: ええと、大丈夫ですか? 何だか雰囲気が変なような?

[沈黙]

R. ハウス: もしかして、お二人は知り合いか何かで?

[エルストロムは唇を尖らせる。ローの顔は無表情だが、彼女の指は曲がっている。]

K. エルストロム: いいえ、会ったことなんてありません。

Q. ロー. いいや。

K. エルストロム: やはり、もう帰ることにします。結局のところ、今週いっぱいここにいる必要はないと思いますのでね。ハウス管理官、良い一日を。

[彼女は踵を返して立ち去り、ロー捜査官はその背中を見つめる。]


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