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第十回 財団非公式歌会 ログ
Q. 非公式歌会とは?
A. 財団イントラネット上で不定期に募集した俳句・短歌などから司会者二名が数首選んで話をする会。
伊万谷研究助手: では、初めて行きましょうか。今回もまた出来てよかったですね。
宮原博士: 早いものでもう十回か。よくこんなにみなさん送ってくれましたね、嬉しい限りだ。
伊万谷研究助手: ええ。今回は62首集まったらしいですよ。こちらから見られたのは61首でしたが。
宮原博士: どなたか心当たりのある方は適切な処置を受けてください。ミームフィルターか何かにひっかかっている可能性があるので。
伊万谷研究助手: 気を付けてくださいね。で、今回のお題は「財団での暮らし」でしたね。
宮原博士: 十回なので、初心に帰るという事で。
伊万谷研究助手: 第九回の「A」とかみんな困ってたもんな。
宮原博士: こらこら。じゃあ私から、「十四名氷像にした鉱石のロッカーに乗せ冷やした麦茶」
伊万谷研究助手: 夏だ。
宮原博士: だんだんと感覚が麻痺してきてね、こうなるんですよ。たまに高熱のアノマリーの収容房の前で人が集まってるのも見る。
伊万谷研究助手: 涼む方向だと密集はしないですからね。こちらからも出すと、「抜けた記憶酒か年であれと願う」
宮原博士: わかる。出来れば酒であってほしい。
伊万谷研究助手: 年も嫌ですよね。だからって常に酒を飲むわけにもいかないですが。
伊万谷研究助手: そういえば、今回は「記憶処理」関連多かったですね。5音だし。
宮原博士: そうだね、記憶処理系で行くと「副作用欄を忘れるための薬」も好きだった。
伊万谷研究助手: 句はさておき、副作用の事は忘れずにいてほしい。
宮原博士: それはそう。
伊万谷研究助手: 睡眠薬も万能ではない。個人的に好きだったのを上げると、「気は抜かず意を足して歌う夜の外」
宮原博士: これ言葉遊びっぽいなと思ったんだけど、意味わかりました?
伊万谷研究助手: 「き」を抜かずに「い」を足してるんで、息抜きの歌ですね。夜の外なんで夜勤明けかな。
宮原博士: 夜勤の句も結構あったな。「月受けて夜露に光る[編集済]映える景色はだいたい機密」
伊万谷研究助手: あるあるだ。たまに任務から帰ってきたエージェントの人達が見せてくれるんですよね、夕陽の端っこのほうだけとか。
宮原博士: あと8割ボカシ入ってる画像とかも見せてもらえる。想像力が試される瞬間。
伊万谷研究助手: ここが財団に見出された頭脳の使いどころですよ。そういえば「人類の粋を集めてゴシップ本」もちょっと好きでしたね。
宮原博士: 有害な本から人を守るために無害で嫌な本を出す仕事。
宮原博士: あとはこれですね。「知るべきを知るより先に柳煤」
伊万谷研究助手: 出た、一番有名な対ミーム予防措置。機密系だとこれも好きでしたね。「暑くても長袖を脱がないあなた隠したいものが多すぎるから」
宮原博士: ああ……
伊万谷研究助手: 何です?
宮原博士: いや……確かに事情持ちは多いもんなと。後はそうだな、「逃げるより三十六個のプロトコル」も好きでしたね。
伊万谷研究助手: 安全標語っぽい。でも自分としては逃げたいし逃げて欲しいですね。
宮原博士: じゃあ「欲を言うならもっと生きたい」の方が好みでした?
伊万谷研究助手: あ、それ言おうと思ってた。「できるだけ珍しい死に方をしたい欲を言うならもっと生きたい」
宮原博士: 珍しい死に方か。まあ、報告書に載るくらいの事態になると、何かの役に立てたかな、という気分にはなるかもね。
伊万谷研究助手: そしてそのアノマリーのロッカーで麦茶が冷やされる。
宮原博士: 日常は続く。この歌会も、そうやって続くんでしょうかね。と言ったところでそろそろ出尽くしたかな?
伊万谷研究助手: そうですね。また次回も、同じようにやれたらと思います。
宮原博士: では、ありがとうございました。
伊万谷研究助手: また良い歌にお会いできる日を楽しみにしています。