UTE-1919-Discofather

rating: +17+x

PSYCHE部門の記録

以下の報告書は、2012年6月25日に英国オカルト庁1から108評議会に提出されたものであり、ヨーロッパ大陸及びその周辺地域にある数ヶ所の超常自由港フリーポート - ユーテック、ハイ・ブラジル、スリー・ポートランドなど - における、新たな超常犯罪組織の勃興と台頭について詳述する内容である。

britishoccult.png
ROYAL OCCULT SERVICE
MI666
シカゴ・スペクターに関する諜報報告書

ヨーロッパは現在、108評議会に属するどの組織が観測したものよりも強大な影響力を誇る、新興のオカルト犯罪組織によって脅かされている。取得された証拠によれば、同組織は自らをシカゴ・スペクターと名乗り、消滅して久しいアメリカのオカルト組織犯罪シンジケート、シカゴ・スピリットの後継を称している。

シカゴ・スピリットが約75年間活動していないため、両組織間の正確な関係性は不明確である。延命措置がシカゴ・スピリットの勢力の及ぶ範疇に無かったことを踏まえても (そのような手段の取得を目指した複数回の失敗で裏付けられている) 、かつてのシカゴ・スピリット構成員が現在に至るまで犯罪行為に関与している可能性は低い。従って、スペクターは単純にスピリットの名称とアイデンティティを利用しているだけだと考えられる。

この復活したシカゴ・スペクターの活動圏域は不明確である。ヨーロッパの複数の都市に小規模な支部を有するか、もしくは都市間を容易に移動できるかのどちらかと考えられる。関連する事件は数百キロメートル離れた都市において数分間隔で発生した場合もある。

シカゴ・スペクターは常に武装した危険な組織と見做して対応すべきである。同組織はザ・ファクトリー、緋色の鎚スカーレット・ハンマー、カオス・インサージェンシーなどの供給元から複数のオカルト兵器を仕入れていることが判明している。スペクターは高出力レーザー、霊体乳化剤、未来的な先進兵器を使用する様子が確認されている。

スペクターはヨーロッパ全域で活動する一方で、ヴェール・プロトコルに違反してはいない。オカルト自由港の外部におけるスペクターの活動の大半は、第二任務 (隠蔽) への脅威とはなっておらず、民間の法律に違反するのみである。オカルト自由港における彼らの活動はより大胆であり、恐らくこれらの管轄区域に法執行官が少ないことが原因と推定される。

“ミスター・ナイト”と称される人物がシカゴ・スペクターの首領または高位構成員であると示唆する証拠が存在する。これは、“ミスター・ナイト”の署名入りで、特定の犯罪行為を自らの仕業とする内容のメモが複数の現場で発見されたことによる。

シカゴ・スペクターには識別子“Disco”が割り当てられた。

本報告書の情報に基づいて、108評議会は報告書中に言及された“ミスター・ナイト”をUTE-1919-Discofatherに指定し、彼をはじめとするシカゴ・スペクター構成員への対処を開始することを決定した。


PSYCHE部門の記録

2012/7/14、シカゴ・スペクターはアイルランド北部で銀行強盗を決行した。これに応じて排撃班0638 “アンタッチャブルズ”が派遣され、現場から逃走する1台の車両を破壊した。Type Yellow 超脅威存在 (PTE-0781-Disco-Yellowと指定) である人物1名、本名コナル・オサリバンが捕獲された。

PTE-0781-Disco-Yellowは自らの肉体を超自然的な黒い結晶に変質させ、耐久性と体力を増強する能力を保有していた。この能力によって、彼は世界オカルト連合が車両の狙撃に用いた弾薬に耐えたものの、捕獲を逃れることはできなかった。

尋問記録:

日付: 2012/7/17
インタビュアー: “ホーソーン” (87635109/0638)
インタビュー対象: PTE-0781-Disco-Yellow

前文: PTE-0781-Disco-Yellowは世界オカルト連合のエージェント ホーソーンによって再び尋問された。今回のインタビューの目的はUTE-1919-Discofatherに関する情報の取得である。追加情報は記録管理総局に要請されたし。

ホーソーン: やぁ、コナル。今回の面談では君の雇い主について訊きたい。

PTE-0781: ボスのことか? そりゃダメだな、兄ちゃん。荷が重すぎる。

ホーソーン: いいかね、我々は新式の刃物の開発に取り組んでいる。連合では常にそうだ。君の話によれば、スペクターでも同じように小道具の改良をやっているらしいじゃないか。

PTE-0781: 何の話がしたいんだ?

ホーソーン: これがその刃物の一振りだ2。見ろ、ルーンが一面に刻み込まれているな。殺しと切断のルーンだ。あらゆる物を粛清できるらしい。研究室の奴らからは、事実上破壊不可能なものでさえ斬れると聞いている。君にはそういう能力があるんだろう?

PTE-0781: まぁ聞いてくれ、俺としちゃお前らに協力したいが、ボスに関しちゃその… 規則がある。妖精の掟みたいなもんさ、俺も少しは知ってる。

ホーソーン: じゃあ、彼は名付け得ない者なのか? だったら名前を避ければいい。

PTE-0781: 称号を付けてはならない尊敬厚き優雅な民ほどの妙なもんじゃない。

ホーソーン: 彼らの怒りに触れまいと必死だな、え?

PTE-0781: 俺はもう既に、それほど大昔じゃない虐殺の犠牲者たちの話をし過ぎてるから、大して安全じゃないんだよ。

ホーソーン: ほう、安全を確保したいにしては、ある人物の話を十分に語ってない。

PTE-0781: いいか、ウチのボスはブギーマンみたいなもんなんだ。名前を明かすと、こう、悪い事が起きる。

ホーソーン: 成程。だが、もしそいつが君を捕まえたければ、我々の防備をくぐり抜ける必要があるぞ。君を安心させたい以上に、我々は彼を殺したいし、もっとろくでもない奴らだって仕留めてきた。

PTE-0781: ハ! 了解だ。ここならボスも俺を始末しに来れないってか。

ホーソーン: では白状してもらおう。ボスについて分かってる事を教えてくれ。

PTE-0781: 他の面子に比べると、ボスはちょっと妙なタイプだ。スペクターはハイテク系のギャングだろ? レーザーとかさ、総合的に見て結構派手にやるよな。

ホーソーン: 我々は君たちに“Disco”という識別子を割り当てた。

PTE-0781: おう、俺たちの仕掛けはどれもこれもディスコっぽいぜ。俺たちのバンの中を覗いたことがあるか?

ホーソーン: 無いが、それは無関係だ。ミスター・ナイトに話を戻そう。

PTE-0781: そうだな。ボスは俺たちと同じ事には手を付けない。どデカい獣みたいな犬を飼ってて、俺たちが見たこともないような魔法を使う。

ホーソーン: 興味深い。歳を重ねた奴だな?

PTE-0781: ああ、間違いない。随分前からこの業界にいる。多分、アメリカの禁酒法時代からだ。そんな感じのことを仄めかすし、よく当時の話をする。

ホーソーン: 彼は今まで“シカゴ・スピリット”の話をしたか?

PTE-0781: 何度か触れてるな。昔束ねてた組織だと思う。

ホーソーン: 面白い。

PTE-0781: 変な奴だよ。勿論、ボスはかなり長くこの稼業で身を立ててるけどさ、色々と話を聞く限り、どうもシカゴ・スピリットは最初の組じゃないらしいんだよ。それよりもずっと、ずっと昔から生きてると思う。

ホーソーン: 人間ではないと解釈していいのかな?

PTE-0781: 絶対違うね。正体なんか見当も付かない。

ホーソーン: 他に話せる事は?

PTE-0781: うーん。まぁ、一つ言えるとしたら、ボスはそこら中のお偉いさんと仲良しだ。いつも友達からの贈り物を持ってきたり、とんでもない場所からブツを仕入れたりするんだ。マーシャル&カーター、ファクトリー、緋色の鎚、それにあのインサージェンシーと話を付けたことも一度あった。

ホーソーン: 贈り物?

PTE-0781: 少なくともボスはそう呼ぶ。どの程度正確かは分からない。あ、それと別な場所にも友達がいるらしい。

ホーソーン: 例えば?

PTE-0781: 他の場所、他の世界だよ。ハイ・ブラジルが80年代にクラーケンに滅ぼされた世界、ヴェールが捲られちまった世界、それどころか彼がスペクターに関わってない世界とも繋がってる。勿論、そこの元締めと連絡取ってはいるみたいだけどな。

ホーソーン: かなりコネの多い男らしいな。

PTE-0781: お前らには想像もつかないだろうさ。

このインタビューの終了から2週間後、PTE-0781-Disco-Yellowは夕食を喉に詰まらせた。窒息中、PTE-0781-Disco-Yellowの能力が部分的かつ非自発的に活性化し、肺を破壊及び呼吸運動が不可能な結晶に変えた結果、ハイムリック法による救命措置が成功せず、彼は死亡した。

警備員らは、死亡する前のPTE-0781-Disco-Yellowが独房内で1時間以上にわたって独り言を言うのが聞こえたと報告した。PTE-0781-Disco-Yellowが連合に拘留されていた短い期間の言動に照らして、これは非常に異例の行動だったと考えられる。


PSYCHE部門の記録

UTE-1919-Discofatherの暫定的な識別に続いて、一致する可能性がある情報を発見するため、世界オカルト連合アーカイブの見直しが行われた。USAペンタグラム3によって連合からアクセス可能になったUSAFBIUIUの記録に1件の一致が確認された。

異常事件課はUTE-1919-Discofatherと過去に接触しており、外交局の求めに応じて当該人物に関する以下の報告書を提出した。また、UTE-1919-Discofatherが以前としてUIU管轄下の指名手配犯であることから、UIUは連合に追跡の支援を申し出た。この申し出はUIUの管轄であるスリー・ポートランド以外では拒否されている。

uiu.png

異常事件課

ケースファイル概要 1941-016

“シカゴの幽鬼”

uiu.png

通称名“ミスター・ナイト”は1941年、消滅した犯罪組織“シカゴ・スピリット”の関係者を狙った連続殺人事件を機に異常事件課に認知された。これらの犯行をミスター・ナイトはFBIに通報し、自らの関与を示唆した。被害者はいずれもシカゴ・スピリットの指導者層に関与していた人物だった。

ミスター・ナイトは、シカゴ・スピリットの指導者層のみが内々に関知していた特定の情報を知る人物らを標的としていたように思われる。ある特筆すべき一事例において、ミスター・ナイトは容易に手を下す機会があったにも拘らず、元シカゴ・スピリット構成員の殺害を差し控えている。UIUはミスター・ナイトが隠蔽しようと試みた情報の正確な性質を把握していない。

これに対して、UIUはミスター・ナイトの身元や、彼が隠そうとしている秘密の詳細情報を提供できるシカゴ・スピリット構成員を見つけようと試みた。シカゴ・スピリットにおいて、ミスター・ナイトは実在の真偽が不確かな神話的人物と見做されていたため、この試みは困難を極めた。UIUはミスター・ナイトと有意義に交流した経験がある人物を発見できなかった。

1941年の事件以降、UIUはミスター・ナイトが低水準の活動を続けていることを示す、ごく限られた証拠を入手している。これらの事件の簡潔な概要は以下の通り。

  • マーシャル・カーター&ダーク社のオークションハウスで回収された文書から、ミスター・ナイトが後日販売された幾つかの商品の入手に関与したことが示されている。これらの商品の一部はミスター・ナイトが1933年に売却したものだが、2番目の商品群は1956年にダーク氏の要請でミスター・ナイトが購入した。
  • 1972年6月17日、ミスター・ナイトを名乗る実体がペンタグラムのオフィスに3時間にわたって滞在した。実体は受付デスクでミスター・ナイトと署名しているが、この事件に関するそれ以外の記録は存在しない。
  • 放浪者の図書館に潜入している某UIU捜査官は、1984年の短期間、ミスター・ナイトと小規模なシカゴ・スピリット後継組織の構成員が、放浪者の図書館の警備を行っていたと報告した。この組織は当時、放浪者の図書館の外部では活動していなかった。
  • 1996年、シカゴ・スピリットに関連するUIUケースファイルのハードコピーは自発的に消失した。問題の文書群があった場所には、“こんなに長い間保管してくれてありがとう。 — ミスター・ナイト”というメモが残されていた。デジタル記録は影響を受けなかった。
  • 2001年、ペンタグラムの某兵器開発プロジェクトでセキュリティ侵害が発生した。ある兵器の試作品1台が行方不明になったが、その他の物品やデータは手付かずのままだった。保管庫のログイン機能は不具合を起こしており、“ミスター・ナイト”以外の資格情報の入力を読み込まなくなっていた。
  • —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——ミスター・ナイト—— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— —— ——
  • カオス・インサージェンシーの下位組織が2006年に実行したテロ攻撃は、1人の民間人が固有兵器を所持していたインサージェンシー構成員を射殺したため、未遂に終わった。この民間人は現場に到着したUIU捜査官たちに協力的であり、“ミスター・ナイト”と名乗った。当時ミスター・ナイトへの聞き取り調査を担当した捜査官は、その経歴を把握していなかった。

シカゴ・スピリットにおけるミスター・ナイトの活動歴を基に、当該人物は将来的に同様の犯罪活動を計画していると考えられる。ミスター・ナイトは常に武装した危険人物であると見做されており、1950年からUIU十三大最重要指名手配犯リストに掲載され続けている。


脅威存在データベースエントリ

脅威ID:

UTE-1919-Discofather “ミスター・ナイト”

認可レスポンスレベル:

2 (軽度脅威)

概要:
UTE-1919-Discofatherはシカゴ・スピリット及びシカゴ・スペクターの創設者と考えられるヒト型の超脅威存在である。現在、UTE-1919-Discofatherはシカゴ・スペクターの活動の大半を統制している。

UTE-1919-Discofatherは数種類の現実改変能力を有すると思われるが、未だ確認されていない。UTE-1919-Discofatherのアスペクト放射 (ARAD) 測定結果の入手は現在、連合エージェントの優先課題である。

当該超脅威は人間であるとも、かつて人間であったとも考えられていない。その正確な起源は不明だが、国際統一奇跡論研究センターのケルザーン教授、ボラス教授、及びロング教授は、UTE-1919-Discofatherが未知の人間感情の化身であるという仮説を提唱している。

世界オカルト連合の一部派閥、とりわけシカゴ・スペクターに割り当てられたPHYSICS部門排撃班は、当該超脅威の本名が名辞災害であると推測している。この懸念が正確であった場合、当該超脅威の名前を呼ぶ行為は致死率を上昇させ、超脅威は発話者の存在を認知する。これは確証されていないが、可能性は高いと考えられている。

UTE-1919-Discofatherに関しては数多くの誤情報が存在するが、それらの相当数はシカゴ・スペクターとUTE-1919-Discofather自身によって流布されているようである。従って、連合はUTE-1919-Discofather関連の検証済情報をほとんど保有していない。

当該超脅威は現在までのところ、連合による逮捕と適切な識別を回避している。連合が撮影する全ての写真は、顔面と目立つ要素に局所的なデータ破損が発生し、直ちに破壊される。幾度か身柄を拘束されているが、いずれの事例でも逃走に成功している。

交戦規定:
当該超脅威の名前は名辞災害であるため、エージェントは超脅威を指すにあたり、“UTE-1919-Discofather”の識別子のみを用いること。

UTE-1919-Discofather、並びにその他のシカゴ・スペクター構成員は、世界オカルト連合部隊によって恒常的な監視下に置かれる。UTE-1919-Discofatherの所在地に関して信憑性のある情報が得られた場合、排撃班が超脅威への対処に派遣される。現在は排撃班0638 “アンタッチャブルズ” がUTE-1919-Discofather及びシカゴ・スペクターを担当している。

現時点におけるUTE-1919-Discofatherへの対応としては、即時の粛清よりも逮捕が望ましい。これは主に、UTE-1919-Discofatherを第三任務関連の懸念に対する罪で裁判に掛ける必要があるためであり、他のシカゴ・スペクター構成員らも同様の方針に従って対処される。


PSYCHE部門の記録

UTE-1919-Discofatherは世界オカルト連合部隊が阻止した少数のシカゴ・スペクター活動の現場で目撃されている。これら全ての事件において、UTE-1919-Discofatherは世界オカルト連合による長期間の拘留を回避した。各事件の簡潔な概要を以下に記す。それぞれの詳細は該当するファイルを参照されたし。

ファイル: A7U81/082

2012/8/22、シカゴ・スペクターはドイツのデュッセルドルフにあるシュパルダ銀行を襲撃した。私服警官を装って現場に到着した排撃班0638工作員らは、ヒューム値とEVE値を操作して現実改変の影響を打ち消し、シカゴ・スペクターを逮捕することができた。銀行内に居た全てのスペクター構成員は、連合エージェントに対して異様なほど協調的に振る舞い、装甲輸送車に乗せられた。これらの構成員の中に混ざっていたUTE-1919-Discofatherは単独で別な車に隔離された。

輸送車団が現場を離れようとした時、1体の異常な実体が時速250km以上と測定された高速で、UTE-1919-Discofatherを乗せた車に衝突した。当該実体を撮影した監視映像は不鮮明だが、腰から上に胴体などの身体部位を全く持たない人間の脚1組であるように見受けられる。当該実体はその後、他全ての輸送車に衝突し、シカゴ・スペクター構成員らとUTE-1919-Discofatherを逃走させた。当該超脅威はUTE-7311-Disco-Beigeと指定された。

この事件でシュパルダ銀行が被った金銭的被害はごく少額だったが、幾つかの貸金庫が破壊され、内部の物品が窃取された。これらの貸金庫のうち2つはアリソン・チャオ (PTE-0008-Regnant-Black) の名義で登録されていたが、どちらの中身も判明していない。得られた証拠は、この銀行強盗が無差別な犯行ではなく、UTE-1919-Discofatherが特定の貸金庫を狙っていたことを示唆した。彼がどのようにして標的の情報を得たかはやはり不明である。

ファイル: T3P53/024

2012/10/31、世界オカルト連合の複数の偵察班が、スペインのセビリアでシカゴ・スペクターの麻薬密輸活動を発見した。排撃班0638がこの活動を阻止し、シカゴ・スペクター構成員を逮捕するために派遣された。

2012/11/2に実行された襲撃作戦は、当初は成功を収め、UTE-1919-Discofatherを含む数名のシカゴ・スペクター構成員がPHYSICS排撃班に逮捕された。しかし、同時刻にセビリア市内、シカゴ・スペクターの活動拠点だった建造物の近辺でPTE-1227-Khan (“金帳汗国”) の出現事象が発生し、市内の広範囲でパニックを引き起こした。

この時、市内に居た連合の主たる機関は排撃班0638のみであり、PTE-1227-Khanは第二任務 (隠蔽) を脅かすレスポンスレベル5の超脅威であったため — 一方のシカゴ・スペクターは第三任務 (保護) を脅かすレスポンスレベル2である — 排撃班はPTE-1227-Khanへの対応に振り向けられた。

PTE-1227-Khan関連の状況は速やかに解決したが、排撃班がシカゴ・スペクターの所在地へ帰還できた時には、既に密輸活動の証拠は全て消失していた。

ファイル: H0Y38/0631

2012/11/11、シカゴ・スペクターはハイ・ブラジル4王宮において、ハイ・ブラジル及び四都市の上級女王 モー=リォガーンHigh Queen Mór-RíoghainΙΙ世が開催した祝祭の最中に強盗を試みた。

襲撃に際して、UTE-1919-Discofatherは単独でハイ・ブラジル王宮の玉座の間へ入り、他のシカゴ・スペクター構成員は王宮金庫室への侵入を試みた。ハイ・ブラジル近衛兵団がモー=リォガーン上級女王を守り、金庫室への侵入を防ぎ、UTE-1919-Discofatherを殺害するために派遣された。

この夜、モー=リォガーン上級女王の生命や身の安全を脅かすような行動は取られなかった。

ハイ・ブラジル王宮金庫室は破られなかった。侵入の試みが始まった数秒後、金庫室の奇跡論防衛機構が活性化し、侵入を試みた全てのシカゴ・スペクター構成員を殺害し、彼らの魂を永遠の金庫番として拘束した。近衛兵団はルーンを新たに記し、金庫室を清掃した。

UTE-1919-Discofatherは玉座の間で近衛兵団に直面した。この際、近衛兵たちはUTE-1919-Discofatherを殺害しようとしたが、Type Green及びBlue能力を唐突に行使できなくなる事態に陥った。UTE-1919-Discofatherは近衛兵団を非致死的に鎮圧した後、痕跡を残さずに王宮から姿を消した。

ハイ・ブラジル王宮から紛失・盗難された物は記録されていない。


PHYSICS部門の記録

2012/11/30、スリー・ポートランドにて、シカゴ・スペクターの主要活動拠点と思われる隠れ家が発見された。更に、UTE-1919-Discofatherは2012/12/18から2012/12/21までの3日間、この隠れ家に滞在する予定であることが判明した。

襲撃作戦が実行された。

記録転写

日付: 2012/12/20
排撃班: ST-0638
エージェント: ストームブレス (96231847/0638)

前文: シカゴ・スペクターの活動拠点の発見に続いて、排撃班0638 “アンタッチャブルズ” がUTE-1919-Discofatherを粛清し、シカゴ・スペクターを攻撃するために派遣された。以下は、UTE-1919-Discofatherと遭遇した唯一の排撃班員、ストームブレスの視聴覚インプラントから回収された記録の書き起こしである。

[0:00] 視聴覚インプラントが起動する。ストームブレスは排撃班0638の他班員らと共に、連合のバンの後部座席に座っている。

[0:01] 排撃班0638がバンを降り、建造物の周囲で戦略的な位置取りをする。

[0:10] 排撃班0638の班員2名がバタリングラムを使用してドアを破壊する。排撃班0638の班員らが武器を掲げて入り始める。

[0:14] ストームブレスが建造物に入る。シカゴ・スペクターの構成員2名が玄関ホールに居る。一方は著しく錆びた銃を、もう一方は銃を取り付けたサイバネティック義腕を装備している。

[0:15] シカゴ・スペクター構成員: ヤベェ! こいつらガンフ-

[0:16] 排撃班0638がシカゴ・スペクター構成員2名に発砲し、殺害する。

[0:20] ストームブレスが排撃班0638の他班員3名と共に、武器を掲げたまま、第2廊下に入って玄関ホールを離れる。

[0:40] 排撃班0638の班員ら4名は廊下の遠端のドアに辿り着く。1人がドアの錠前を撃つ。

[0:45] 排撃班0638隊員らは入室し、室内を捜索する。シカゴ・スペクター構成員の姿は無いが、室内には多数の証拠品、超常犯罪関連物資、武器がある。

[1:27] 排撃班0638は退室して廊下を先へ進む。

[1:36] UTE-7311-Disco-Beigeが廊下の奥にあるドアを突き破り、中央に着地する。UTE-7311-Disco-Beigeは排撃班0638に向かい合う。

[1:40] ホーソーン: “脚長”はジョークじゃなかったのか?

[1:44] UTE-7311-Disco-Beigeがストームブレスと排撃班0638の他班員らに向かって突進する。

[1:45] ストームブレスがUTE-7311-Disco-Beigeによって床に突き倒される。UTE-7311-Disco-Beigeはそのまま廊下を下ってゆく。

[1:49] ストームブレスがうつぶせの態勢になり、ライフルを腕に持って交戦の構えを取る。

[1:50] UTE-7311-Disco-Beigeが廊下の角を曲がる様子が3フレーム分捉えられる。ストームブレスはUTE-7311-Disco-Beigeに発砲するが、命中しない。

[1:54] 排撃班の班員4名は廊下を下り、更なるシカゴ・スペクター構成員を探して部屋を捜索し続ける。まだ構成員は発見されない。

[4:48] 新しい部屋に入ると、シカゴ・スペクターの構成員1名 (現在LTE-4268-Disco-Purpleと指定) が現金をバッグに詰め込んでいるのが発見される。

[4:52] ダル・セーニョ: 手を挙げろ!

[4:54] LTE-4268-Disco-Purple: アンダー・プレッシャー!

[4:55] 金色の皮膚を有する大柄な裸体のヒト型実体 (LTE-4269-Disco-Purplechild) が、LTE-4268-Disco-Purpleの背後に、床から若干浮いた状態で出現する。室内の重力が顕著に増大する。

[4:53] ホーソーンが床からLTE-4268-Disco-Purpleに発砲する。全ての弾丸はLTE-4269-Disco-Purplechildによって観察され、命中前に地面に落下する。

[4:58] ストームブレスがどうにか立ち上がり、HSA-3668-Caliburnをベルトから抜いて部屋の向こうへと飛び掛かる。

[5:03] LTE-4269-Disco-Purplechildがストームブレスに向かって片手を挙げ、重力を更に増幅する。ストームブレスが急速に落下し、床を突き破る。

[5:37] 階下の床に30秒間横たわった後、ストームブレスが立ち上がる。彼は足を引きずり、脇腹を押さえているようである。

[5:40] ストームブレスが前屈みになり、HSA-3668-Caliburnを床から拾い上げる。

[5:45] ストームブレスの背後でドアが開く。UTE-1919-Discofatherが隣にUTE-1947-Disco-Fijiを伴って入室する。

[5:47] UTE-1919-Discofather: やぁ。これはどうも。

[5:50] ストームブレスがUTE-1919-DiscofatherをHSA-3668-Caliburnで攻撃し、肩を刺突する。HSA-3668-Caliburnが柄までめり込む。UTE-1919-Discofatherが床に倒れる。

[5:57] ストームブレス: 司令部、ターゲットの粛清に成功。回収を要請-

[6:00] UTE-1919-Discofather: 残念だが、野心が大きすぎるね。その調子では成功できないよ。

[6:04] UTE-1919-Discofatherが肩からHSA-3668-Caliburnを引き抜き、立ち上がる。

[6:06] UTE-1947-Disco-Fijiがストームブレスに飛び掛かり、床に押し倒して胸の上に立つ。

[6:08] UTE-1919-DiscofatherがHSA-3668-Caliburnをストームブレスの眼球インプラントに近付ける。

[6:10] 損傷した眼球インプラントが機能を停止する。聴覚インプラントも同様に停止する。

結論: エージェント ストームブレスは作戦後にMIA (任務中行方不明) と見做された。排撃班0638のその他の班員は全員生存した。この作戦でシカゴ・スペクター構成員6名が殺害され、12人が逮捕された。UTE-1919-DiscofatherとUTE-7311-Disco-Beigeを含む他10名の構成員が現在も逃走中である。

5日後、包装された小さな箱が、側面に以下のメモが貼られた状態で、世界オカルト連合大使館の正面で発見された。

A spectre is haunting Europe the Spectre of Chicago.

ある亡霊が欧州に憑いている シカゴの亡霊だ。

Merry Christmas.

メリー・クリスマス。

Mr. Night

ミスター・ナイト

箱には大量の紙吹雪、複数の連合加盟組織の機密文書、切断されたエージェント ストームブレスの身体が入っていた。全ての文書は破棄された。視聴覚インプラントは除去され、記録が抽出された。エージェント ストームブレスには人道的に安楽死措置が施された。

特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。