ビドネパ1: 星屑の子らの守護者
SCP-ES-191 (看守たち)2
トチンシトラリン (古い呼び名)
星から来たウサギ
エクソラゴモルフ (看守たち)
概観
自らの肉と魂を太古の存在へと捧げるウサギたち、その存在はかつて星間の闇へと失われた神性に回帰するため、復活の輪廻を繰り返しています。9つの段階が異なる身体に反映されていますが、意識を保持できたのはそのうちの1つだけであり、それぞれがアルネブが宇宙に永く在るうちに得た知識を表します。特異点を理解し、時空を折り重ね、極超新星の美しく混沌とした光景と、強大にして繊細なる星の熱を再現し、最後の星が闇に包まれるその時まで意識を維持し続けることができます。34
世界は盲目で5、この動物達の真の美しさを見ることができず、その行動を混沌としたものとしか認識していません。それでいて、その真の存在理由、そしてこの惑星に存在することの意味に着目することはありません。彼らは、最も重要な存在を守るためにアルネブが設置した最初の防衛線なのです。最も重要な存在とは、すなわち、星屑より来たる生命の奇跡6です。
知識
特徴: 地球に生息しているウサギによく似た姿をしていますが、体毛や、目や耳などの器官に色の違いがあります。通常、彼らは周囲に大量の放射線を放出しますが、その能力は制御できるようです。頭に飾りをつけた特殊なウサギが存在しており、この個体のみコミュニケーションをとることができます。このウサギはグループを指揮したり命令したりしているので、地域のリーダーであると考えられています。
性質: アルネブの身体から生じるビドネパは、ほとんどの時間、地球上のウサギと同じような振る舞いをし、その場所にしか生えていない恒星の性質を持つ花を食べています。これらの花が破壊された場合、彼らは非常に攻撃的になります。また、花やウサギの誕生をきっかけに、月に向かってエキサイティングなダンスを披露することもあります。
地球上のビドネパ達は無性生殖と有性生殖8の両方を行うことができます。後者はメスの個体が妊娠しているときに発生します。妊娠する為に、メスは1ヶ月に約30本の花を消費します。有性生殖は異なる2種の間でのみ発生します。
その後、メスは花と茎を使って巣を作り、そこに異なる色の9つの球を産み落とします。約3ヶ月の抱卵期間の後、球は融合し、非常に明るい閃光を放ちます(色は巣に使用される花によって異なります)。こうして新しい混血のビドネパが誕生します。能力も毛色も両親のものが融合したような特徴を見せます。
歴史と関連組織: このウサギ達の真の起源は不明です。その最も重要な部分には、宇宙が全ての輝きを失い、惑星が全ての生命枯れ果てるまで何千年もの間、涙を流し続けた時期についての物語があります。この期間は、「大いなる黄昏」、セクド910による全存在に対する激しい闘争として知られています。決定的な瞬間、ビドネパの神であるアルネブは自らを犠牲にして戦いを終わらせました。その本体は紀元1世紀に地球に落ち、アルネブの身体から9体のビドネパが生まれました。
この世界で彼らの歴史を紡ぎ始めたウサギ達は、自分達のために戦うだけでなく、人類と共にも戦い、人類文明の力の及ばぬ辺境に潜む様々な怪物達を倒してきました。
4世紀にも渡る、4つの大きな戦いがありました。まず、ゴビ砂漠における絶滅種トリロボンとの戦い。この生物は地中深くに住み、他の生き物を食い荒らす蠕虫でした。死海において、太陽すら貪らんとした海獣マラドベンとの対決。この獣は退治され、骨は湖の底に沈んでいます。そして、クモ型の寄生虫アラパトロスの脅威からオーストラリアの地を解放するための戦い。この虫を完全に根絶することはできませんでしたが、何とか制御することができました。最後に、忘れ去られた島で暗黒王国の王に立ち向かう聖戦。ウサギ達の神話の知識によって引き起こされ、最大の敵を解放しかけた戦いでした。
しかし、このような交流は、人類とウサギ達の両方に大きな問題をもたらしました。結果としてこの物語は皆の記憶から失われました。
その後、彼らの住処は大規模な攻撃を受けました。ある攻撃は1530年に、スペインの艦隊(アルマダ)によって行われました。艦隊はその場所を異端にして、呪われた場所だと考えていました。この対立はスペイン人達の撤退によってすぐに終了し、彼らはそれを隠そうとしましたが、この出来事はバチカンのファイルに記録されていました。
接触: 彼らは通常おとなしい生き物ですが、花を傷つけられたり、挑発された場合には敵対的になります。看守達11に保護されている島にのみ生息しており、接触は細心の注意を払って行われなければなりません。彼らに近づくためには、放射線防護服が必要です。アルネブと会話をするには彼の信頼を得る必要があり、そのためには以下の条件を満たす必要があります12。
- その場所の花や住民達に敬意を示すこと。
- 心を自由に探求させること。
- 30日分の食事を献上すること。
- 1年間、それぞれの庭の手入れをすること。
その後、トランス状態に似た感覚となり、アルネブの本来の姿を見ることができるようになります。それから、約10分ほどの短い会話を交わすことが出来ます。通常、彼はあらゆる質問に答えてくれますし、こちらが何も聞かなければ過去の話をしてくれます。
他の詳細: ビドネパには他に2つの大きなグループがあり、それぞれアルネブと同位の神を指導者としていることが知られています。
まず、死と戦の使者であり、宇宙全体に争いを広げんとする神、ニハルが率いるビドネパ達がいます。彼とそのグループはアルネブとその信奉者たちにとっては永遠の敵であり、彼らは自らの種族の完全なる優越性と破壊のイデオロギーの名の下に、あらゆる非ビドネパ生命体を排除しています。しかし、彼は生命の暗黒化を防ぐために兄弟と共に戦いました。13
グリーゼはビドネパの母なる女神であり、彼女は全生命体の中で最も若く幼い生命を育もうとしています。彼女の本来の役目は兄弟達と戦うことではありません。しかしながら、彼女は全ての新しく無垢なる生命を救うため、彼らと共に戦いました。14
観察と物語
存在の秘密は、宇宙空間に散りばめられた星々の間の純粋な姿の中にある。アセンションを果たし、決定的な答えを求めてその最深部にたどり着くには、それらを理解していなくてはならない。この聖戦のためには8つの異なる星々のオーラを見つけなければならないが、価値と能力のある者だけが、表面的、物理的な限界を超え、存在そのものとの調和のとれた状態に到達することができる。
この道は我々の種族の3人の指導者によって拓かれた。この道で我々は、心の平穏を掻き乱す恐るべき真実を目にしたのだ。死、戦い、絶望と悲しみに満ちた惑星、それら全ての恒星系に星の生命の痕跡は無く、醜悪な怪物だけが残っていた。しかし、その事は私たちを止めることはできず、最終的には宇宙のため、この冒涜的な生命体と共にあった。そのような事態にあっても、気になるのは宇宙の状態である。宇宙の生命は絶滅しつつあるのだろうか?17
あらゆる場所が荒廃しており、その度合いは現実味がないほどだった。我々は、この惑星の言わば"死の化学反応"のための何らかの原因、何らかの触媒を見つけようとした。そして、我々の全ての闘争の最後、勝利は我々の指導者の道に従うために残された。すなわち、宇宙に散らばった生命を持つ僅かな世界を守るために。
6つのオーラを手にしたアルネブは、宇宙の覇権と支配のため、兄のニハルに挑むことにした。戦いの中で言葉は足りなくなり、双方に多くの死傷者が出たために数字は意味を失ってしまった。破壊と、敗北の後、彼らはほろ苦い平和よりも忘却を選んだ。
グリーゼは、両方の世界と宇宙空間を旅しながら、現実の残酷さを理解することができない存在達の無力感と苦痛の叫びを探した。彼女は若いビドネパのみならず、他の幼い種族にも出会った。グリーゼは、これらの無力な存在を守れないことを恐れながらも、8つのオーラの道を完成させた。
しばらく後、ニハルとアルネブは真実を悟るために八星のオーラの道を完成させ、最後にはそれぞれに自分の真意がこの8つのオーラに反映されているのを見て、自らの道を理解した。3者はもう一度話し合って別れを告げるために会った。アルネブとグリーゼはその間に憎しみや恨みを抱くことはなかったが、ニハルだけは暗黒と絶望の運命が定められた惑星で破壊の道を歩み続けた。
~ T. Leporis, 大いなる黄昏以前のアルネブの記録者
アルネブの言葉: 彼の誕生とセクドの状況について
その時、存在を賭けた戦争は我々の勝利に終わった。しかし、私にはその勝利の結末が理解できなかった。私の存在へのダメージは甚大だった。私の持つエネルギーは一瞬一瞬に減衰し、私の魂は、私たちの戦いを目撃した地球を流れる大きな川の如く流れ、こぼれ落ちた。最後の瞬間、私の本質からこれらの存在が誕生するのを見ることができた。それはとても混沌としていて、自発的で、そして非常に美しいものであった。
8つのオーラが私の体から放たれ、地球ビドネパの第一世代が生まれた。その後9番目のオーラが私の存在から現れ、私の理想と夢を定義するオーラとなった。このオーラは、星の生命達を守るという使命を帯びた者達にとっての導き手である。
そして、彼らはこの地球を守る為、息絶えるまで、最後の戦いの時まで戦い続ける。我々はセクドの帰還に備えねばならない。セクドはその行動のみならず、それが存在に触れる事が持つ意味によって時から消去された存在である。彼女は単に厄介な女神でも、血の気の多い女神でもない。そもそもそういった存在ですらないのだ。
それは、利己的な者、臆病者、高慢な心で満ちた世界で目覚めた存在であり、自らを宇宙の絶対的な神だと信じている。しかし、それだけが彼女の悲しみの原因ではない。彼女は、この宇宙には破綻が迫っていると信じており、星の生命の美しさを見ることができず、宇宙に住む恐ろしく忌まわしい者だけに目を向けていたからである。
彼女の嘆きは全世界に伝わり、天を照らす光は輝きを失い、惑星の風景は枯れ始め、闇は永遠の寒さを齎そうと脅した。そして「大いなる黄昏」では、全てのビドネパ達がこの戦争に勝つために一致団結して立ち上がった。この時だけはニハルとの間に完全な和平が結ばれ、グリーゼも簡単に見つけることができた。
セクドの唇には悲しみが、その行動には偽りの許しがあり、彼女は暗闇の中で嘆き、我々全員に向けて叫んでいる。しかし、それは解放の為の偽りの約束に過ぎない。憎しみは常に彼女の存在を支配してきた。これは非常に明確な事実である。我々ビドネパは彼女のした事を決して忘れることはない。我々は彼女に関する全てを消し去ることを決めた。彼女の夢と感覚の全ては利己的であり、星の生命から除去された。しかし、彼女はいつも何らかの形で、その声を聞いた心に悲劇をもたらすために戻ってくるのだ。
~ アルネブとL.V. による会話の抜粋
疑念
どのような記録を参照しても、アルネブ達の真の出自は不明なままです。彼らが生まれた惑星は、空間的にも時間的にも我々からあまりにも離れており、真の起源を知ることができないのだと考えられています。同様に、彼らの行動が完全に博愛的であり、人類の味方であると言い切ることはできません。セクドとビドネパの関係性は謎です。遠い過去から現在に至るまで対立しているということ以外に、二者の関係は記録されていません。18
近年、太陽系内のビドネパの個体数は劇的に増加しています。これはセクドの覚醒が近づいていることに起因すると考えられており、恐らく、それを停止するための戦いの始まりを意味します。看守たちはそれに立ち向かい、実験を行なっているようですが、それを破壊するための明確な計画があるようには見えません。19
島に生息する9種類のビドネパは月と密接な関係を持っていますが、外宇宙からのビドネパと接触したかどうかは不明です。2021