「神の加護が存在する集村、ねえ…」
「信じる信じられていない関わらず結構な噂になっているらしいでちゅよ。」
気候はやや温かさを感じ始めた頃、探訪者である俺カドハクと相棒の"端末"のプノトは今回向かう集村について改めて手持ちの情報を確認することにした。
「神って一口に言っても財団のデータベースには腐るほどいるしなあ。そしてその大抵が人間に不条理を押し付けてくるもんだけど…有益そうなんだよな?」
「ええ、恩恵とも恵みとも言われていまちゅわ。あまりにも尾ひれが付き、噂が多く存在しすぎて逆に情報として信頼ちんらいできるレベルのものが少なすぎまちゅ。」
「確かに…情報が少なすぎるな。」
現時点では推理のしようがない。無駄に終わると分かっているが…一応聞いてみるか。
「"端末"の意見としては?ここまで出てきた話を統括して今から行く集村にどんな印象を受けた?」
プノトはほぼノータイムで答えた。
「すっごく大きな集村で、すっごく豊かな感じだと思いまちゅわ!」
「…やっぱり聞くんじゃなかった。」
「そのリアクションは聞くかどうか抵抗があったってことでちゅよね!?」
「当たり前だ馬鹿。いっつもいっつも考えなしに話して突っ込んで巻き込みやがって!お前本当にあのオールドAIの端末かよ!?」
「そういうカドハクはいっつも頭の中でいらないこと考えすぎてタイミング逃すんでちゅから!少しは探訪者らしく直感を信ちんじて動いてみたらどうなんでちゅか!?」
いっつもこれだ。俺とこいつは正反対の性格であり、それだけならまだよかったんだが本来動く方が思慮深く、本来考える方が直感気質という役割があべこべになるという最悪の正反対になっている。おまけに頑固なところは似ているし。ホントなんで"リーダー"はこいつとバディ組ませたんだろ。見る目ないよなあ…
こんな話をしているうちに情報整理の時間はなくなり、いっつもなんやかんやで集村に着く。そしていっつもなんやかんやで良い交流ができなんやかんやで無事に次の旅を続けられるのだが、そんな悪運がいつ尽きるともわからない。もう少し慎重に行くべきなんだ。
◇◇◇
到着した集村で、まず最初に目を惹いたのは村全体の雰囲気だった。住居の質も畑の大きさも露店で売られている食物も平均的な集村のそれに相違ないが、人々がみな穏やかである。時には村という極小の社会個体として「足りない」にあえぐこともあるし、時には異類に対し恐怖することもある。集村で生きるとはそういうことであり、大抵の村人はその日暮らしが顔にまで出ていることも珍しくはない。しかしながらここの村人たちはそんなものがない。というような顔で過ごしている。俺が通りすがりに挨拶をすると
「まあまあ、外から来た探訪者の方ですか。こんなところまでわざわざどうも。」
「ここには異類の調査に?なるほど、でしたら村長の所に行くと良いでしょう。神事を取り仕切っているのはあの人ですから、きっと助けになります。」
「あなたが望む成果をここで得られるように、お祈り申し上げますよ。」
といった具合なのだ。探訪者が集村側から邪険にされることはままあれど、ここまで和やかに受け入れらるのは始めてかもしれない。さらに前述の予想を裏付ける証拠として、次のようなものがあった。主に食料の補給に店に入ったが、物品同士の物々交換ではなくこの集村に流通している独自の紙幣を要求された。事情を説明し何とか物々交換でどうにかならないか交渉したがやんわりとお断りされた。貨幣経済までこの小規模な村で発達しているとは、余程心的な余裕があるらしい。ますます異質な集村だ。
俺とプノトはとりあえず、村民の勧め通りに村長に会いに行くことにした。
◇◇◇
「いやはやこれは、"同盟"からの人でしたか。大した歓迎もできず申し訳ありません。」
集村の奥にある村長の家、彼は他の村民同様和やかな様子であったが確かに集団のまとめ役らしい所作が所々に見えた。
「いえ、お気遣いなく。むしろこちらが長居するのも申し訳ないですし、調査が終了したらすぐに出る予定ですので…」
「調査と言いますと、やはり異類ですかな。」
「ええ、この村では神のご加護、恵み、まあ呼び方は置いといてそういうものがあるとか…」
「ええ、啓示のあった日にはそれが与えられます。」
「なるほど、この集村ではその啓示により神の加護を経ていると。差し支えなければその神の名を教えていただいても?"同盟"メンバーとしてではなく一個人として興味があります。探訪者になるにあたってあらゆる分野の知識を身につけているつもりですので、ひょっとしたら私も知っている神かもしれない。」
探訪者としてある程度この活動を続けてきて理解した「真実」がある。1つは世界が滅亡して人類が培ってきた文明が崩れ去り、異類との共存を余儀なくされているこの時代にここまで穏やかな生活をしている集村は大抵ロクなものではない。我々のような外からの探訪者にとっては異類絡みの吐きそうな悪しき風習だったり、これまた異類絡みの胸糞な真実が十中八九あるのだ。なんか自分でここまで言って言いがかりのような気がしてきたがこれが「真実」だ。ここも間違いないとみていいだろう。俺の一流探訪者センサーが危険信号を告げている。
そしてもう1つ、財団が残した報告書は「神」のバーゲンセールだ。古今東西、東西南北、マジもんの神様から誇大妄想で騙る異類、中には「財団自身が作成して」、それを神と崇めるような代物まで。そしてそれらは大抵ロクなものではない。まじめに大事などではなく、この集村で命を落とすことも視野に入れて何としても正体を特定し、最悪プノトが壊れる前にデータベースを"同盟"に送信することを第一目標とする必要がある。
「あらゆる分野を"それなりに"、が抜けてまちゅよ?」
「ロクでもない集村の村長の前で隙を見せんなお前食われるぞ」という言葉を飲み込み俺は左手首のプププと笑う相棒を睨みつけた。
「ほっほっほ、仲が良いようで何より。ですがうーむ、我々の神は1つだけではないのです。全てに心当たりがあるかどうかわかりませんよ?」
は?1つだけではない?複数の異類がいるのか?流石にその規模は意外過ぎる。
「…それはすなわち、この集村に加護を与える神は複数いる、と?」
「ええ、50から先は覚えていません。数多くの神がこの集村に恩恵を与えてくれました。今はどうでしょう…ちょっと見てきますね。そうです、あなた方も一緒にどうでしょう。実際に体験した方が理解しやすいし、村の外から来た人たちが祈ると分かれば神もお喜びになるでしょう。」
「本当に!?やりまちたわカドハク!ウチらも神の恩恵を与えられるチャンスでちゅのよ!」
いやいやいやいや何を言うとるんだこの能天気は、平均的な規模の集村に?50以上の異類が加護を与えている?
しかも「今はどうでしょう…ちょっと見てきますね。」って何?そんな「"リーダー"からの連絡届いてっかな~プノトどう?」「現在受信したメールはありまちぇん!」「オッケー了解」くらいの軽さで神が今この集村に降臨しているか見に行こうとしたの?
今確信した、この集村はロクでもないを通り越してヤバすぎる。
「ありがとうございまちゅ!是非とも、ご同伴にあずかりたいでちゅわ!」
「それは良かった!こちらこそ共に祈りを捧げてくれると仰ってくださり、ありがとうございます。」
おそらく集村の住民はみな洗脳されているのだろう。神とやらの奴隷、いや生ける屍だ。
「カドハク聞いていまちゅの?他の集村ちゅうそんのみんなが、ここまで"同盟"に友好的ならいいのになあ…」
「それではついてきてください、神への祈りには特別な道具は不要です。決まっている祝詞を言う必要がありますが…覚える時間もありませんし私の後に続いて言ってくれれば大丈夫ですよ。」
そして俺達もこれからきっと、化け物たちの餌食になる。意識を剝奪されて死んだ方がマシみたいな扱いを受けるんだ。
「本当にお気遣いありがとうございまちゅ…!カドハク!いきまちょ!」
そうして俺達はいつの間にか決ってしまった処刑台への道のりに乗り出した。ここまで来たらやることは1つだけだ。
異類の正体を1つでも多く特定し、"同盟"に情報を送信することだ。この命に代えても。
◇◇◇
俺達は村長の家の裏側からそう遠くない場所、集村の最も奥にある建物に来た。神聖な場所に相応しく、村民が全員入っても余裕があると思われるほどの広さだ。ただそれとは対照的に物が少ない。目立つのは立派な祭壇と、その前に置かれた木製の机と椅子くらいか。椅子の数は3つあり、机ともども簡素な木製づくりのものだった。祭具的な用途のものというよりかは、何か作業を行うためのものではないかと思った。
私たちが到着する前に村民が来ていた。全員少し年を取った男女が10人くらいか。彼らは村長を確認すると
「村長、ちょうどお呼びしようとしていました。今日は6柱もの神が来てくださいましたよ!今他の村民も呼んでいる最中です。」
という報告をした。もういるのか、この空間に「神」とやらが。しかも1日1つとかじゃなく普通に団体客で来ていた。これは相当に根深いぞ…
やがて村民が全員集まり、みな静粛に祭壇の前で正座をした。俺はぜひ前にどうぞと村民たちに温かく迎えられ最前列のど真ん中に座らされた。ここまで来たらもう泣き言は言っていられない。むしろこの目で観察するには絶好の位置だ。絶対にこの目で見てやる。
自分の中で覚悟が完了してからおおよそ1分後、村長が複数の用紙を両手で大切に持ちながら俺がいるさらに前、用紙を置いた机を挟んで祭壇と向かい合うように立った。
「それではこれより、神への祈りを捧げる!今日は6回、誠心誠意祈りを捧げるべし!」
来た…!正念場だぞ、カドハク!
「選考結果のご連絡!神、シヘロブナゥ様!」
「選考結果のご連絡!神、シヘロブナゥ様!」
「えっ?」
この場で絶対に予想ができないであろう言葉を聴き、思考が止まった。シヘロブナゥというのは今祈りを捧げている神の名前だろう。それはわかる、選考結果?
そんな俺の困惑とは裏腹に村長は高らかに祝詞を奏上し、村民がその後に続いてユニゾンで繰り返す。
「集村の村長担当のジミンバと申します!この度は!多くの集村の中から弊村にご応募頂き、誠にありがとうございました!」
「誠にありがとうございました!」
あまりにも状況が飲み込めず「弊村なんて言葉初めて聞いたなあ」と他人事ながらに思った。
「厳正なる審査の結果!誠に残念ではございますが!今回は採用を見送らせて頂くこととなりました!ご了承くださいますようお願い申し上げます!」
「お願い申し上げます!」
「お願い申し上げまちゅ!ほら何ぽけーっとしてるんでちゅか!カドハクもやるんでちゅよ!」
そんでこいつは順応性が高すぎるだろ。なんで疑問を持ってないんだ。
「シヘロブナゥ様の!今後のご活躍を!」
「今後のご活躍を!」
どうやら祝詞の奏上も大詰めを迎えているらしく、声を一段と張り上げた。この後に続く言葉は───それこそ人間社会の中で使われなくなって久しいが、なんとなく予想がついたので一緒に言うことにした。
『心より!お祈り申し上げます!』
◇◇◇
あまりにも祝詞とはかけ離れたような文言を叫び倒したが、どうやらこれで終わりではないらしい。この後用紙の数だけ、すなわち計6回同じことをやらされた。用紙分の祈りを捧げ終わり、ようやく解放されるかと思ったら村長から机の方に手招きをされた。
「奏上は終わりました。ここからは神の恵みを我々で享受する時間です。1度に恩恵を受けられる人数には限りがあるため順番制ではありますが、我々は普段から神の恵みを受け取っています。まずはあなたから先にどうぞ。」
確かに、あまりにもインパクトが強いためそれがあるのをすっかり忘れていた。ここの村が活気にあふれ、それでいて柔らかい雰囲気を保っているのはやはり何かしら異類からの干渉を受けているからに違いない。今度こそ暴いてやる。
決意新たに机の前に向かう。私以外に2人の男が呼ばれたらしく3人で机に向かい合う。中央には先程の用紙が1枚置かれていた。なんとなく予想はしていたが内容を読むに神の詳細な情報が書かれており、村長はそれを読んで神の知識を得ていたらしい。村長は全員揃って着席したのを確認した後にそれを裏返した。
裏面には違ったものが印刷されていた。日本語の平仮名の一覧が掲載されており、その上には「はい」「いいえ」の単語が殊更に大きく存在感を放っている。周囲には雲や鳥居と呼ばれる前時代のモニュメントが描かれてあった。
これは…データベースで何となく見たことがあるが名前までは思い出せない。村長は懐から何かを取り出し、「はい」と「いいえ」の間に置いた。それはこの集村で流通している紙幣だった。おそらく記載されている数字の数から1番高価な種類だろう。
「それではみなさん、細長く折りたたまれた1万ズァム札に人差し指を置いてください。」
2人の男は言われた通りにする。いよいよきな臭くなってきた俺はプノトに
「おいプノト、さっきの祈りもそうだったようにこれにも元になった文化があるはずだ。速攻で調べてくれ。」
と最後のあがきを開始しながら人差し指を紙幣の上に置いた。
「それではみなさん、その状態のまま「こっくりさん、こっくりさん、おいでください」と唱えてください。」
村長が指示を出す。こっくりさん?聞いたことがあるぞ…
『こっくりさん、こっくりさん、おいでください。』
男3人が同時に言う。左手首の端末が少し遅れて気づかれないように囁く。
「わかりまちたわ。これは以前の人間文明でこっくりさんと言われた降霊術でちゅわ。」
「は?降霊?それじゃあ今から幽霊が降りてくるってこと?」
俺の困惑の声とほぼ同時に、大きくも綺麗な曲線を描くような狐の鳴き声が聞こえた。
「そうみたいでちゅ…降りてくる幽霊はこっくりさんの実行者の質問に答えるとありまちゅ。」
「マジで言ってんのか…おい、これ今すぐやめたほうがいいよな…?」
「待ってくだちゃい…!一般的に降霊した後に指を話すなど勝手に中断した場合ヤバいことになるって出てきまちたよ!もうこのまま最後までやり切った方が良い気がちまちゅ…!」
「終わった…」
か細い声で絶望を相棒に伝える間にもこっくりさんは進行していく。村長が次の指示を出す。
「それではみなさん、続きまして「こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか。」と唱えてください。指を離してはいけませんよ。」
『こっくりさん、こっくりさん、いらっしゃいますか。』
言い終わって数秒後、紙幣が「はい」の方向に進み、その真上でピタッと止まった。少なくとも俺は人差し指を動かそうと意識していない。他の誰かが勝手に動かしたのだ。2人の男か、あるいは…
「いるのか…もう。」
ああ、いよいよ終わりみたいだ。きっと「僕たちを生贄にどうですか?」みたいな感じの質問をして幽霊の餌食になってしまうんだ。恐怖が臨界点に達し、今まさに体が震え泣きそうになった時、村長が俺にこう言いかけた。
「ふむ…探訪者の方、突然ですが、見たい夢などはあったりしますかな?」
「ヒィエエッ…」
「最後に言い残したことはあるか、心残りくらいは聞いてやるよ」を随分洒落た言い方でいうものだ。明らかにこの村長は俺をここで殺る気でいる。
見たい、夢…
……
数秒かけて呼吸を整えて毅然とした態度で言う。
「この上なく楽しい夢が良い。俺は、苦痛に塗れた顔で終わるのはごめんだね。悪趣味な奴らを喜ばせたくはないんでこちとら。」
カッコつけ過ぎたか、いやここで終わるんだ。これくらいでいい。
「カドハク…!嫌、死ちなないで…!」
「…中々洒落た言い方でいうものですね?ああいや失礼いたしました。ではみなさん、「こっくりさん、こっくりさん、楽しい夢を見せてください」と唱えてください。」
怪訝な顔を少し見せた村長を横目に、俺達は唱えた。
『こっくりさん、こっくりさん、楽しい夢を見せてください。』
紙幣が「はい」に移動したのが最後に見た光景。俺は一瞬のうちに意識を失った。
◇◇◇
「…さい。起きてください、探訪者の方。」
はっ!えっ何、ここ天国?
「天国ではありません。ここはあなたの夢の中です。何か致命的な勘違いをしているようなので、こうして特例ではありますが、あなたの夢の中にお邪魔しています。」
致命的な勘違い…?いやそれよりも夢の中ってまさか!村長の言葉って比喩でも何でもなかったのか!?
「はい、ちょっと説明不足なところもありましたけどね。かつてあの村長にもこうして夢の中で対話して、祈りの方法やこっくりさんのことを説明しました。我々とあの集村は利害関係を結んでいるのです。」
利害関係?ともすれば物騒に受け取られかねん言葉選びだな。
「私たちはあなたたち"同盟"が言うところの管理番号:1595-JP、そしてもうひとつ。管理番号:2562-JPという存在です。どちらも人間からの信仰が必要であるという点に関しては、神様と言える存在ですね。」
本当に神だったんだ…
「我々は単なる信仰、通常の祈りではなく特殊な形でのそれによって信仰を集める必要がありました。ですが人間が大幅に減少したこの時代では多くの信仰を得るのは難しい。我々のように生き残っている神とも競合していかなくてはいけません。パイの取り合いですね。」
…だから規模を縮小して、競合相手とも手を組んだと?
「その通りです。夢をある程度の開発リソースがあれば自由に行える私管理番号:1595-JPが村に祈りの方法を伝えて、管理番号:2562-JPが今の時代で入手が難しい紙という物質を用意する。私もその裏面を借りさせてもらっている。システムエンジニアと現場調達の関係ですね。」
…随分とビジネスライクな関係なんだな。
「あ、分かります?この時代の人間のあなたにも。古今東西ビジネスやっている神様なんて結構いますよ。最適化された仕事の形ですね。」
人間からの祈りを稼ぐため、食っていくためか。
「ええ、こんな時代でも生きている存在はいる。人間は飯がいるし神は人間の信仰が必要です。かつて財団が私たちに送ってくれた名称が皮肉的に、頭の中に残っていますよ。」
「“信仰を喰らう者”、Pistiphageピスティファージとね。」
◇◇◇
「わたち、本当に心配ちんぱいちまちたのよ!?本当に死ちんだかと思って…!」
「ああ、すまん…俺だって未だに現実感ねえよ…」
あの後、俺の夢の中に来た神様に「では、残りの時間楽しんでくださいね」と言われてめちゃくちゃ楽しい夢を見た、気がする。どうやらあくまでもあの集村内でしか流通していない貨幣では、かつて使われていたそれよりも大きく価値が劣るのだとか。もう少し金を積んでおけば覚えていたかもしれない。
「結局あれだな。俺たちが予想していたような惨い真実も大事件もなかったな…」
「ええ、お話を聞く限り理想的な異類との共存の形でちたわ!せっかくの機会、わたちも楽ちい気持ちになりたかったのに…」
「あれ、お前は夢見てなかったの?」
「わたちに人差し指はありまちぇんし、あったとちても機械は夢を見まちぇんわ!」
「まあ、それもそっかあ…」
「にしても、人間も異類も本当に良い方ばかりでちたわ!こんなお土産まで貰っちゃって!」
「ああ、本当にどうするかなあ。これ…」
・・・
・・・
・・・
集村 - 73
友好度 - 高
異類概要 - 価値ある金が欲しい狐の神と人間からの祈りを欲する神々。集村の人間たちに自分たちのことを信仰させ、それに合った見返りを提供している。見返りは大抵楽しい夢や面白い夢など形に残らないものなので噂でしか広まることはないし、神と人間の関係というよりかはサービス企業と顧客の関係なので健全だろう。夢などというものを加護と大袈裟に言うのは大きく出すぎかもしれないが、それでも体験した身から感想を言わせてもらうとしたら、村の雰囲気を良くするには十分なほどに効果覿面だろう。
コメント - 狐の神からお土産として「凄い稲荷寿司」とやらを貰ったんだが、どうしようか…「どんな衝撃でも崩れないし、どんなに日にちが経っても腐りません。もちろん食べたらあなたはこの世で一番美味しい稲荷寿司が存在することを知るでしょう。きっとあなたの旅の助けになりますよ。」らしいが…ひょっとしてこの世に新しい異類を増やしてしまったのか?
探索担当 - カドハク
報告担当 - プノト