しゅうまつ
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やあ、久しぶり。会いたかったよ。
最近はいろいろと忙しくてね、先週末からだから……一週間ぶりだね。
……ごめんよ、いつも会いにこれなくて。
あ、いいんだいいんだ、君は悪くない。何も。
うん、確かに僕に非があるわけでも無いけど……
仕事、仕事かあ……正直、大忙しだよ。何も考える余裕がないくらいさ。
とんでもなく大規模なごたごたがあってね……ああ、君はその時一緒だったか。
忙しかったのは君が抜けたあとの話になるんだけどね、君は本当に優秀な助手だったから、君の代わりが見つからなくって……お世辞じゃないって、本当だよ本当。
あの事件でずいぶん死傷者も出たし……心配しなくても大丈夫、僕は無傷だったよ。まあ、無傷だったからこそ、他の人達の分まで一杯仕事を押し付けられちゃったわけだけどさ。
文句を言っても仕方ないよ、他の人は負傷してたり何だったりで動けないんだ。僕がやるしかない。

とは言え、疲れたよ。七日間ぶっ続けで働いたんだ。せっかく休めるんだし、今のうちに休んでおかないとね。
あ、コーヒー淹れてくれたのかい、ありがとう。
……うぇっ。君はコーヒー淹れるのが下手だな。
ごめんごめん、気を悪くしないでくれ。土みたいな味がしたもんだから。
ああいやなんでもないなんでもない、何も言ってないよごめんってば!

ひどい事言っちゃったな、言い訳がましいけど、最近ストレスがひどくて……ね。腹痛もひどいんだ。舌がおかしくなってしまったのかもしれない。
一人で、ずっと仕事をしていたからね。
がれきの山を押しのけて、時には見渡す限りの荒野を、当てもなく歩くんだ。それで、何かを探す。何を探しているのか、機密情報だから僕は知らないけれど、探すしかないから探しているんだ。
ずっと、ずっと、ずっとずっとずっと……延々と。

ああ、分かっているとも、君は何も悪くない。何の責任もない。
それに、こうして君とおしゃべりしているだけでも、僕は楽になるし、救われるんだ。それだけでいい。
……僕は幸せ者だな。
僕たちの世界は崩壊してしまったけれど、ここに来れば君に会えるんだから。

……そろそろ時間かな。
そんなに心配しなくてもいいさ。大丈夫。必ずまた来るから、ね?

それじゃあまた、八日後。冥曜日の夜に。

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