通達
このパンフレットは、記録・情報保安管理局(RAISA)の好意によりデジタル化され、電子機器による閲覧に適するよう再フォーマットされたものです。詳細な情報、コメント、質問、懸念事項については、RAISAの担当者に問い合わせてください。
- RAISA管理官、マリア・ジョーンズ

Department of Spectral Affairs
霊的業務部門
" 心霊学(Phasmology)とは、端的に言えば、霊的実体(Spectral Entity)について研究する分野です。但しその対象は、アンデッドや幽霊に限りません。さて、最後の言葉「幽霊」について取り上げましょう。この言葉のことは忘れてください。アンデッド、死後蘇生、そして、特に幽霊に対する先入観は全て捨て去ってください。霊的実体は必ずしも死者の魂とは限りません。生きている人の魂が、奇跡術的な手段で肉体から切り離されたものである場合もあります。また、人間や生き物ですらなく、精霊や悪魔の顕現体という場合もあります。彼らは物理的な肉体を持つかもしれませんし、ただ夜に囁くだけかもしれません。彼らは動物的かもしれませんし、私たちの心では理解できないほど異質かもしれません。彼らは、異なる場所、異なる領域、異なる死後世界、そして全く異なる宇宙からこちらへやって来ます。我々は彼らについて、あるいは彼らがどのように機能するのかについて殆ど理解していません。しかし、2つだけ分かっていることがあります。1つは、彼らは数が多すぎて収容できないということ、もう1つは、彼らを殺すのは非常に難しいということです。我々はいくつかの霊的実体を収容または無力化していますが、大半の場合、それは上手くいきません。では、財団はどうするのでしょう?我々は次善の策を取ります。外交です。 "
- 霊的業務部門主任 レーガン管理官、2003/5/1サイト-273 オリエンテーションより
沿革
霊的業務部門は1986年、ヨーロッパで増加していた霊的実体に対抗するために結成されました。結成当時、この部門はたった2つの部署 — 心霊学課と収容・戦闘課から構成されていました。各課の所属人数は、それぞれ25名と37名でした。1995年にドイツのテューリンゲン州にサイト-237が建設されるまでは、人型実体収容サイト-06-2に拠点を置いていました。翌1996年には、外交的手段によって霊的実体の数を減らすため、霊的実体外交局(the Office of Spectral Entity Diplomacy / OSED)が設立されました。その後3年間で、霊的実体の目撃・遭遇は43%減少し、その半分以上はOSEDが直接の要因であると推定されています。その結果、2000年、OSEDは霊的実体対策業務を最優先に割り当てられる部署となりました。2002年、ヴァルハラ財団大使館が開設され、7つの大使館の第1号となりました。2018年に最も新しい大使館であるANAR1財団大使館が設けられ、以降、死後世界と霊的実体をほぼ完全に監視できるようになりました。
心霊学課
心霊学課は霊的実体、死、死後世界に関する研究・調査を行います。現在、研究員70名以上と、その他の人員24名が所属しています。心霊学研究を通じて、以下のような(そして実際にはより多くの)成果を上げて来ました。
- 霊的実体が放出するエネルギーである、エクトプラズムの発見
- CoSMo式霊的実体分類法の開発
- 異なる8つの死後世界への侵入口の発見
- 2つの超常技術兵器の発明
- カザール-ハインマン霊体捕獲デバイス(the Cazar-Hynman Spectral Capture Device / CHySCaD)の開発
収容・戦闘課(CCD)
収容・戦闘課は設立以来、OCEDが優先となるまでの間、霊的業務部門の中心的存在でした。以前は150名以上の人員で構成されていましたが、現在雇用しているのは63名です。CCDには2つの機動部隊が配属されています。イオタ-20 ("シルバー・ダガー")とカイ-14 ("墓荒らし")です。しばしばMTF ミュー-13("ゴーストバスターズ")と連携し、大規模な霊的実体の脅威を排除します。
MTF イオタ-20 ("シルバー・ダガー")
MTF イオタ-20は霊的実体の収容と無力化に特化した任務部隊です。イオタ-20は3つの大隊から成り、各大隊には12人のフィールドエージェントが所属し、1人の上級エージェントが指揮を執ります。各エージェントは標準的な小火器キットとCHySCaDデバイスを装備しています。各大隊は、SEDS2と移動手段を利用可能です。35年間の活動を通し、イオタ-20は霊的実体を約56体収容し、130体以上を無力化しました。イオタ-20の現在の責任者は、過去にMTF アルファ-1 ("レッド・ライト・ハンド")のメンバーであった経験も有する、上級フィールドエージェントのジェーン・ブラウン隊員です。
MTF カイ-14 ("墓荒らし")
MTF カイ-14は、潜在的な霊的実体の調査と、その存在に関する大衆的情報操作に重点を置いています。カイ-14は16人のフィールドエージェントで構成されており、統括的な組織はありません。各エージェントは小火器キット、少量のクラスA、B及びCの記憶処理剤、マイクロSEDSを装備しています。カイ-14は現在、上級エージェントであるマーク・アングルズ隊員が率いています。
MTF ラムダ-32 ("ブラッディ・マリー") (解散済み)
MTF ラムダ-32は、死後世界の監視と霊的実体との戦闘をより効果的に行うため、8体の霊的実体で構成されていました。うち4体は死亡した財団職員が奇跡術的手段によって霊的実体となったものであり、1体は財団の目的に賛同する非人間霊的実体、3体はヴァルハラとの一時的な契約(後述)によって提供されたものでした。ラムダ-32はクフカト元博士が率いていましたが、現在、その所在は不明です。
霊的実体外交局(OSED)
OSEDは、100名を超える従業員を擁する、霊的業務の中心的存在です。直接の関与により300件以上の霊体の出現を阻止することに成功しており、大使館プログラムにより更に1000件以上を阻止したと考えられています。OSEDはフォースハウスプログラムの管理と監督を行い、適切と思われる霊的実体を統合する責任を負っています。
大使館プログラム
大使館プログラムは、2002年、ラムダ-32の終了に伴い、ヴァルハラに財団大使館を設立したことに端を発します。この大使館の設置は、財団-ヴァルハラ間の協定に代わるものでした。この協定は、ヴァルハラはラムダ-32のエージェントとして霊的実体を提供し、財団に北欧諸国での霊的実体の監視を許可するというものでした。その見返りとして、財団はラグナロクの間、アース神族を支援することになりました。
ヴァルハラ財団大使館(2002)
シバルバー財団大使館(2005)
ドゥアト財団大使館(2009)
欲界評議会財団議席(2011)
ハデス財団大使館(2014)
高天ヶ原財団大使館(2017)
ANAR財団大使館(2018)
CoSMo式霊的実体分類法は、財団が霊的実体の脅威度と交渉可能性の目安を分類するためのもので、以下の3つの評価軸を用います。
- Corporeality(有形性)
- Sapience(知性)
- Mobility(移動性)
有形性
有形性は、霊的実体が物理的な世界にどれだけ容易に、そしてどの程度まで影響を及ぼすことができるかを表します。0~VIまでの7つのクラスがあります。
- クラス Null: "Dead Whispers"
実体は物理的な姿を持たず、聴覚や他の感覚に対し幻覚を起こさせる以外、物理的な領域と相互作用することができない。
- クラス I: "Wraith"
実体は「声」以外の物理的な表現を殆ど持たず、物理的な領域に対して与えることのできる影響は、小物体の浮遊、感覚の変化、電子機器の操作などに限られる。
- クラス II: "Poltergeist"
実体は通常、非常に微弱な物理的な顕現を持ち、しばしば半透明で非実存的である。狭い範囲で周辺にある物体の動きを中程度に操作可能な他、知的存在に対し恐怖感や不安感を与える能力を有する。
- クラス III: "Phantom"
実体はほぼ実存する物理的な顕現を持ち、しばしばその実存性を限定的に制御できる(すなわち、壁を通り抜け、それから物体と物理的に相互作用することができる)。前述のように、物体と物理的に相互作用することができ、小さな物理的または殆ど実存的な物体を顕現させる能力を持つ。接触した対象や物体に憑依することができる。
- クラス IV: "Kami"
実体は有限の物理的顕現を持たないが、実存的あるいは殆ど実存的な顕現を自在に作り出すことができる。低〜中程度の念動力を持ち、物理的または霊的な物体をある程度の制約のもとで顕現させることができる。限られた範囲内で1人の人間や物体に憑依することができる。
- クラス V: "Einherjar"
物理的な形態を完全にコントロールし、物理的または霊的な物体をほぼ無制限に顕現させることができる。周囲の広い範囲に影響を及ぼすことのできる強力な念動力を持ち、しばしば複数の対象に同時に憑依することができる。
- クラス VI: "Osiris"
実体は物理的な形態や物体の顕現について制限を持たない。非常に強力な念動力と催幻覚性を持ち、その範囲は周囲3kmにも及ぶ。ほぼ無制限かつほぼ無範囲に対象に憑依することができる。
知性
知性は、知能と周囲の環境に対する理解力を測るものです。また、実体の有するテレパシーや予知能力に関する評価も含まれます。
- クラス Null: "Inanimate"
実体は知性と感覚を有さず、刺激応答的あるいは定期的にのみ能力を発現させる。クラスNull実体との意思疎通は不可能であり、収容が推奨される。
- クラス I: "Preta"
実体は感覚を有するが知性は有さず、しばしばその能力の制御が制限される。単語やフレーズを繰り返すことはあるが、言語を理解することはなく、意思疎通は非常に限定的である。
- クラス II: "Feral"
実体は知性を持つ場合があるが、平均的な人間より知能が低い。実体は主に本能に基づいて行動し、時折、目的を達成するために戦略を用いる。クラスIIは少なくとも言語に対する基本的な理解を持ち、僅かにではあるが交渉できる可能性がある。
- クラス III: "Akh"
人間と同等の知性を持つ。Akhクラス実体は、少なくとも1つの言語を流暢に話し、理解するか、テレパシーによる意思疎通能力を持つ。また、稀にではあるが、それ以外の超能力を有する場合もある。
- クラス IV: "Superior"
平均的な人間を超える知能を持つ(IQテストでおよそ150+)。通常、交渉可能である。クラスIVの実体の中には予知能力、サイコメトリー2、その他の超感覚的知覚などの超能力を持つものもある。
- クラス V: "Delphi"
人間の能力を超える膨大な知識と知能を持つ(IQ220+)。テレパシーを含む様々な方法で意思疎通可能だが、財団の理解を超えた欲望を持つことが多い。クラスV実体の大半は、予知能力、人間の精神を"攻撃"する能力、透視能力など、中程度の超能力を持つ。
- クラス VI: "Toth"
全知に近い知的能力を持ち、考えうるほぼ全ての方法で意思疎通が可能である。Tothクラスの実体は、多くの時間軸と現実を同時に体験する事ができ、非常に強力な超能力を持つ。
移動性
移動性は、霊的実体が自由に移動可能である場合3の、その移動距離と速度を表します。
- クラス Null: "Anchored"
実体は1つの物理的な物体に固定されており、非常に小さな半径内でのみ物体を操作することができる。
- クラス I: "Zephyr"
実体は移動可能であるが、方向や速度は殆ど制御できない。ゆっくりと動くことが多い。
- クラス II: "Drifter"
実体はその運動を限定的ながら制御できる。しかし、ゆっくりとしか動く事ができない。
- クラス III: "Mercury"
実体はその運動を完全に制御できる。通常、秒速2m程度で移動するが、それよりも速い速度で移動することもある。
- クラス IV: "Fūjin"
実体は高度な運動制御能力を持ち、高速で移動する(通常秒速6m程度)。全力で移動した場合、速度は最大で秒速12mにもなる。
- クラス V: "Surge"
実体は素早く、高度に制御された運動を行う。瞬間移動能力を持つこともある。
- クラス VI: "Isis"
実体は超高速で移動する事ができ、無制限の瞬間移動能力を有する。
使用法
これにより、現場のエージェントは大凡の脅威度を迅速に把握することができ、研究者は霊的実体の収容難易度や交渉可能性を評価することができます。これは基本的に霊的実体の分類を容易にするものですが、その使い方は人によって様々です。多くの場合、CoSMo分類法は以下のような形式をとります。
有形性 - 知性 - 移動性
例えば、有形性3、知性2、移動性4の霊的実体がいた場合、以下のようになります。
3-2-4
もしくは
3/2/4
あるいは、このような表記も正式に認められています。
Phantom - Feral - Fūjin
もしくは
Phantom/Feral/Fūjin
フォースハウス(第四の家)プログラムは、収容や交渉に適さないと判断された霊的実体を、民間人から隔離し、財団の監視下に置くためのプログラムです。彼らは代わりに、サイト-237内の、ビクトリア朝時代の邸宅を模した施設に移されます。邸宅は完全に反転しているなど、いくつかの改良が施されています。
要件は以下の通りです。
- ロジスティクスあるいは倫理上の問題から収容に適さないこと
- ロジスティクスあるいは倫理上の問題から移転に適さないこと
- 知性のスコアが3以上であること。
- CoSMoスコアの合計が13以下であること
- 財団の職員やオブジェクトに対する直接的な脅威ではないこと
フォースハウスプログラムには常時40体以上の霊的実体が居住しており、そのうち15体が永住しています。一時的な居住者は、適切な死後世界および/または精神領域に移動するか、フォースハウスプログラムに恒久的に統合されます。
フォースハウスの設計