小さな鳥から聞いたこと Part I
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窓の外では祝宴が開かれていた。

暴君の舞踏団は路地を踊りまわって、征服者の直近の勝利を称えるためにトッチ家の旗を翻していた。

通りからは肉と香辛料の香りが漂ってくる。笑いがあり、酒があり、人が祝祭に望むあらゆるものが存在していた。

私は、胸の中の羨望を押さえ込んだ。私のような老いた奴隷にとっては、トッチ卿の祝勝会のために追加の家具を運び出すという、これもまた重労働が増える点を除けば無関係なことだ。

まだましな方だと自分に言い聞かせるように努めた。トッチ卿は途方もなく裕福で召使いたちが飢えたことは一度もなかったし、屋敷内で働く私らは青銅の首輪がなければ下級貴族と間違われそうなほど立派な服を着ている。鞭打ちは決して好ましいものではなかったけれど、旦那様の情欲を満たした後は必ず包帯を巻かれて余分に食料を貰えた。

結局のところ、申し分ない状況だった。はっきりいって私のような受刑者の子には望むべくもないほどに。それを維持するために求められたのは、貴重な木材の塊を運ぶこと、つまり屋敷の屋根裏で働くことだけだった。

ガイヤ神は私に、四十代の後半であっても木材を一度に三つ担げるくらいの力を与えてくれた。だから何百もの貴族が征服で獲得した物の残骸から使えそうな調度品を選り分ける作業は順調に進んだ。その中にあったのは二振りの青銅の剣や、遥か南方で作られた花瓶、洗っていない手では触れないようなドレスや毛皮……。

そして椅子があった。山ほどの椅子──それでも旦那様の配下の小貴族たちが、そこに座る名誉を得るため小競り合うのを止められる数ではなかった。

だが、十回目の椅子運びのために木の階段を上っている最中、私は何かを聞いた。

ほんのかすかなキイキイという音が、粗織りの垂れ布の奥から聞こえてくる。

普段の私なら気づかなかっただろう。祝宴の準備で忙しすぎて、邸内のネズミに構っている暇などなかった。しかしその軋む音には何かしら奇妙な響きがあって、まるで言葉のように聞こえたのだ。

どうしてそんな空想の飛躍に見舞われたのかは分からなかったけれど、私は少しのあいだ椅子を置き、音を立てたものを確かめずにはいられなくなってしまった。暗がりの隅から、ひゅう、という掠れた息遣いが聞こえたので、それが何か生きているものだと分かった。

小さな箱を脇に押しやると、ひどく奇妙なものが目の前に現れた。

それは風変わりな蓋の付いた半球状のもので、遥か昔に通っていた寺院と似ていたが小型版だった。汚い布切れで包まれていて、どうしてここを片付けるよう言われていなかったのかと一瞬疑問に思ったほどだ。

さて、分別をわきまえるなら、余計なことはせずそのままにしておいて、あとで使用人頭に掃除するかどうか尋ねるのが筋だった。しかしここで私の欠点を告白しないといけない。

一見したところ、私に大した短所があるとは思われないだろう。なんといっても綺麗な黒い肌に、年の割には美しい金髪の持ち主だし、二本の歯を除いて欠けているものは何も無い。だが私の欠点は心の中にあるのだ。

私は知りたがり屋で、余計な手出しや口出しを控えることがなかなかできなかった(カレフ神は私がどれだけ長く練習してきたかご存じだろう)。身の程を知るまではずっと学者になりたかった──もしそうなっていたら、この性分はかけがえのない長所になっただろうに。残念ながら私の身分では何の役にも立たなかった。

そういったわけで、内心で短く葛藤したのち、他の召使いがここへついてきていないか一瞥してから私はその布を取り去ったのだ。

これまで、私は数多の恐ろしい光景に遭遇してきた。父がパンを盗んだ罪のために広場で斬首されるところを目の当たりにしたし、トッチ卿の新しい街を陥落させた凄惨な突撃の爪痕を見た。そして、子の死を信じまいとする母親の腕に掻き抱かれた冷たい赤ん坊を数え切れないほど見てきた。

しかし、その布切れの下にあったものには、もっと本能的に虫酸が走る何かしらがあった。見るに堪えない、間違った何かが。

それは骨でいっぱいのかごだった。ひび割れて朽ちかけており、汚物と腐敗の臭いが漂っていた……そして、骨の山の頂点に、みすぼらしく痩せ細った小鳥がいた。ムクドリほどの大きさしかなかったが明らかに奇形で、足と同じような鉤爪が翼にもあり、目はぶよぶよした皮膚に覆われている。

最悪だったのは、それが呼吸していたことだ。

赤い、弛んだ肉に裂け目が生まれ、その生き物の視線が私を捉えた。

それから、驚くべきことに、それは喋り始めた。

「お願いだ……、助けてくれ……。」

後ずさりする以外に選択の余地はなかった。この生き物は紛れもなく怪物だし、そういう話で何が起こるかくらい私だって知っている……。

しかし、それを目にしたとき、何かが私の中で壊れていた。

私はかごを開け、生きものを持ち上げて水桶まで運んだ。運良く、椅子を運ぶ前に掃除が必要かもしれないと思って桶を用意していたのだった。私が近づけてやると、それはすぐ水の中へ頭を突っ込んだ。

頭が引っ込むまでに水桶の半分がすっかり飲み干されてしまっていた。針のようだった羽根がつややかな黒へ生え変わるあいだ、生き物は鳩くらいの大きさまで膨らんでいった。

私は凍り付いていた。それが振り返って私を見上げる。「あ、ありがとう。ミス……?」

私は首を横に振った。「怪物に名前は教えられないわ。私はただの女中よ。」

「賢明だね。」と、それは頷く。

そして軽く咳をした。「ずいぶん長く眠っていたように思う。」

そちらの方へ首をかしげると、相手は立ち上がって、微笑んでいるように見える表情を私に向けてきた。

「私は、第──ええと、今は自分が何代目か分からないけれど──私は堂守だ。この意味が分かるかな?」

私は首を振り、さらに一歩後ろへ下がった。それで何かが変わるとも思えなかったが、ヨークの悪魔の一柱に違いないと確信しつつある相手に、わざわざ危険を冒すつもりはなかった。

その鳥は頭を振った。「期待しすぎたかな……ほら、目が覚めたということは、近くに私の地図があるのではないかと思ったんだ」

「あなたの地図?」思わず私はまばたきをし、いつものように尋ねてしまった。

彼はまた頷き、咳払いをして声を整えた。

「このあたりで、小さな銀色の巻物入れを見なかったかね……?」

驚いたことに、心当たりはあった。旦那様はいつも熱心に戦利品を誇示している──もちろん、厳重な監視の下でだが。

私は腕を組んだ。「それを使って何をしたいの?」

「私の拠点へ帰るために必要だ。ここへ長く留まりすぎたと思う」

正直なところ、私は葛藤していた。旦那様を裏切ったらたやすく殺されてしまうに違いないが、協力を拒んだらこの悪魔に何をされるか分かったものではない。私は既に親切心を出した自分を恨めしく思っていた。

怪物がふう、と息を吐く。

「いいかい。無理を承知の上でだが、貴女の助けか、少なくとも案内がどうしても必要なんだ。取引するのはどうかな……?」

背筋に震えが走る。

取引は危険だ。取引は王と神々や魔術師のあいだで交わされるもので、私の身分で手出しが許される範囲をはるかに超えている。自分がそれに応じたら何が起きるのか、見当もつかない。

「あなたが何をしてくれるって言うの?」私は慎重に尋ねた。

相手は目をすがめて私の襟元をじっと見ると、何かひらめいたようにその瞳が輝きを増した。

「自由と力、そして世界を見る機会はどうだい?」

青銅の首輪が肌に擦れる。背中の鞭の痕がずきりと傷んだ。

そして彼は「世界Worlds」と、複数形で口にした。

「……私に何をして欲しいの?」

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