シャンクの悪魔
メンバーシップを申請するには、Wikidot.comのアカウントを持ち、署名されている必要があります。
既にWikidot.comのアカウントを持っているならば
または それだけの価値があり、無料です
- 他言語版
- ページ情報
- 目次
-
- 評価内訳
- 評価: 38
総Vote数: 40
UV数: 39
DV数: 1
UV率: 97.5%
- この著者の作品
-
最大5件表示
-
- SCPデータベース
- SCP国際版
- SCP-RU
- SCP-KO
- SCP-CN
- SCP-FR
- SCP-PL
- SCP-ES
- SCP-TH
- SCP-DE
- SCP-IT
- SCP-UA
- SCP-PT
- SCP-CS
- コミュニティ
- サイト
シャンクの悪魔(シャンクのあくま、英: Xyank's demon)とは、19██年頃に傍理時間学者のタデウス・シャンクが、恒常時間溝(Constant Temporal Sink, CTS)に存在する未解決問題、及びそれによる原理的な欠陥を指摘する為に導入した仮想的な存在。
概要
-
- _
19██年以降、一般社会に度々姿を表すようになった超常的存在に対抗する為に、それらと同じ流れを汲む超常技術の開発が急速に進展した。中でも、財団の用いる「収容」に纏わる技術は、超常存在への対処を考える猶予を与えるものとして特に注目された。恒常時間溝(CTS)はそういった技術の1つであり、スクラントン現実錨(Scranton Reality Anchor, SRA)と並んで盛んに研究されている技術である。
しかし、SRAが対現実改変事象に積極的に用いられる一方、CTSは未だ研究段階の技術として試験的に運用されるに留まっている。これは、CTSに存在する原理的に解決困難な問題の為であり、それを指摘したのがシャンクの悪魔である。
恒常時間溝について
-
- _
CTSにはシャンク/アナスタサコス恒常時間溝(Xyank / Anastasakos Constant Temporal Sink, XACTS)を始めとして、作動原理の違いによるバリエーションが幾つか存在するが、いずれも以下の要素を共通して持っている。
- CTSは時間の連続性と凡ゆる物理現象、物理法則を遮断する。
- CTSは任意のタイミングで形成する事が可能である。
- CTSは任意のタイミングで消去する事が可能である。
まず、1. の要件を満たせなければ、それはCTSとして十分に機能しているとは言えない。そして、2. および3. の要件を満たせなければ、それを超常存在への対抗手段として運用不可能である。よって、原則としてCTSは上の3要素を満たしている必要がある。
しかし、シャンクはこの3要素が明らかに矛盾している事を指摘した。何故なら、理想的なCTSは「CTSを形成する/消去する操作」という物理現象すらも遮断しなければならない為である。そうなると、上記1. の要件がある限り2. または3. の要件は満たす事が出来ず、CTSは原理上存在しない事になってしまう。しかし、現実にはCTSは存在し、運用が可能である。即ち、現実のCTSで実際に満たせていない要件は「時間の連続性と凡ゆる物理現象、物理法則を遮断する」という点であり、このCTSの影響を受けない存在がシャンクの悪魔と呼称された。
シャンクの悪魔が問題となるのは、超常存在に対してCTSを用いる場合である。もし、相対する超常存在がシャンクの悪魔としての側面を持つ場合、CTSはその超常存在に対して全くの無力である。しかし、現時点ではCTSの根本原理についても謎が多く、よってどのような超常現象がシャンクの悪魔となり得るのか、またそれらの超常現象にどのような関連性が存在するのかについては不明である。尚、現時点で明確に存在するとされているシャンクの悪魔の実例は「CTSの生成/消失操作」のみであり、この事からシャンクの悪魔の存在を疑問視する声も存在するが、有力な対案は存在していないのが現状である。
解決策
-
- _
シャンクの悪魔を技術的に解決する方法として、以下のような理論が提唱されている。
アナスタサコスの暗壁(Anastasakos's dark wall)
アテナ・アナスタサコスが200█年に提唱したCTSの代替装置。CTSが因果律を遮断する事を主眼に置くのに対し、この装置は因果律を壁内へと吸収し、閉じ込める事で壁の向こう側への影響を阻害するというコンセプトが取られている。原理的にもシャンクの悪魔が発生し得ないが、閉じ込められた因果律が暗壁の消去とともに解放されてしまう為、CTSの完全な代用にはならないとされている。応用的に、吸収した因果律を何らかの安全な形(熱など)へと変換し、漸次的に解放する事で上記の問題点の解決を図る方法も提唱されているが、現状理論は完成されていない。
残存性恒常時間溝(Persisting Constant Temporal Sink)
CTSを時限的に生成する因果律をCTS内に封入することで、CTS内における一定時間のみシャンクの悪魔を排したCTSを形成できるとする理論。ただし、その様な性質を持ったCTSの生成原理は未だ見出されておらず、また完全に独立して存在するCTSが重力や自転、公転の影響の存在する地球上でどの様に振る舞うかについても複数の意見が存在しており、実現の目処は立っていない。
参考文献
-
- _
- Thaddeus Xyank, Athena Anastasakos (200█) "Constant Temporal Sink: How to make our time safe.", Anomalous Science vol.█:███-███
- 御匣 ████ 『思い通りにはならない世界の中で - 異常時間と異常空間について知る』████社、20██年。ISBN ██████████。