闇寿司ファイルNo.016 "裏金の握らせ"
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こいつを握らせる。

概論

"裏金の握らせ"とはネタに札束などを使用させた寿司のことだ。名前の通り自分で握るのではなく相手に"握らせ"ることで効果を発揮する。スシブレードの試合開始前、相手が寿司を握ろうとした際にネタをすり替えることでこの寿司は完成する。思わず裏金を握ってしまった人間の大半は大体が動揺する。そしてその意図……いわゆる賄賂であることに気づき逡巡する。拒否する人間は1割ほど。だいたいは罪悪感を抱きながら懐に裏金の握らせをしまい込む。この際、「勝負に負けろ」と直接言う必要はない。ここまでのやり取りで相手の精神状況はかなりの揺さぶりをかけられているし、本来使用しようとするシャリの無駄な消費および不衛生な札束による汚染で改めて作られる次のスシは大きく弱体化するはずだ。もちろん八百長で負けてもらえればそれに越したことはない。

スシブレード運用

衛生

破壊力

PSI

持久力

機動力

重量

操作性

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"裏金の握らせ"はスシブレードとして回す場合は当然弱い。米にお札を乗せて強いはずがない。握らせた相手がトチ狂って回し始めてもまず負けることはない。

使用する裏金は相手に合わせて適正な価格を使用する必要がある。多すぎても無駄だし、少なすぎても効果がない。人を見る審美眼も大事ということだ。だいたい10万以上を目安として、立場に合わせてあげていくのが良い。一度くらいなら拒否されても追い金することが可能なので少し低めに出してもいいかもしれない。

一応この裏金の握らせにも弱点はある。金の価値がわからなかったり金が有り余ってたりする奴らに使っても意味がない。例えば悠久の時を生きるスシの暗黒卿ガ・ガにはいくら金を積んでも固有パッシブスキル「それでも寿司は回っている」の解除をさせることはできなかった。

他の活用法

スシブレードでの勝負に勝つだけでなく、裏金を受け取ったという上質な"弱み"を手にすることもできる。脅迫して隠してる情報を引き出すなどせいぜい利用させてもらうこととしよう。

以下に使用した人物と得た情報について記す。ここに書いてある奴らの弱みは自由に使用してもらって構わない。

人物: 闇寿司 二城景
使用額: 150,000円
情報: 安達の黒歴史
備考: むしろこちらがダメージを食らった

人物: 財団 上席弁護士 シェルドン・カッツカツ
使用額: 5,000円
情報: SUME-CIに財団の内通者がいること
備考: 闇親方に情報を伝え排除に成功した。カッツカツは責任を西川博士に押し付けて難を逃れたらしいからこの弱みも使える

人物: 鉄錆の果実教団 第二十一支部副支部長 長門氏 
使用額: 220,000円
情報: 支部の本拠地
備考: 街頭での宗教勧誘がうざかった。突き止めた本拠地はラーメン強襲部隊によって壊滅させ、使えそうなやつは酢飯に漬けといた

エピソード

今まで触れていなかったが、この"裏金の握らせ"を使用するには特別な技能が必要となる。当ファイルの作成者、スシの暗黒卿"幻の銀次"がなぜその技能を身に着けているのか、そしてどのようにしてこのスシが開発されたかを記述する。

私は地方の小料理屋を経営する父と料理研究家の母の間に産まれた。小料理屋は常連しか使わない小さいもので、資金繰りもカツカツではあったらしい。そのため決して裕福な暮らしではなかったが、私は両親の料理に舌を鍛えられ食に関しては恵まれている自負があった。しかし中学に入ってもその困窮ぶりは変わらず、同級生が当たり前のように持っている流行品などを手に入れられない惨めさに耐えられなくなっていった。

そして私は万引きに手を染めた。驚くほどうまくいった。それから何度も万引きを行った。初めてとったものはもう覚えていないくらいには回数をこなした。元々の才能なのか、それとも経験による技術の上達なのか、バレることは一度もなかった。近くにある大方の商店から万引きを達成した後、私はスリにチャレンジした。こちらもうまくいった。万引きに比べ動く対象から盗むのは難易度が高かったが、私の鍛え上げた手業はそれを可能とした。中坊の私には、気づかれず一方的に人から搾取することができる自身は全能感ある者のように感じていたと思う。

中学を卒業するくらいに家を出た。両親との関係が悪化してきたためだ。スリのプロとして自覚があった私にはあくせく働いて雀の涙しか得られないような親を内心見下していた。親も親で私の金遣いに不審感をいだいていたのかもしれない。

都会に出てからはスリで生計を立てていた。カモが多いため金には困らなかった。けれどただ毎日満員電車に乗って財布をすり取る日々。これでいいのかと自問自答するようになった。

そして私はスリはキッパリとやめて寿司職人に転向した。手の器用さが功を奏し、私の寿司の腕前はみるみる上達した。幼少期に研ぎ澄まされた自身の舌も大いに役立った。何故寿司を選んだか。それを書くにはこのファイルは狭すぎる。が、一言で示すならこうである。


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そういうことだ。



それから十数年、私は都会の一等地に店を構えるまでに成功していた。週末は予約が途切れず忙しい日々を過ごしていた。かつての両親が一生かかっても手に入れられないような金額も稼いだ。だが……私はそれでも満足できなかった。自分の才を活かし全うな手段で金を手に入れ地位を築いたはずなのに。何か……何かが足りない。

とある休日、そぞろ歩いていると一軒の洋食屋が目に入った。私は何故かその洋食屋から目が離せず、ふらふらと引き寄せられるように入店した。当店はおまかせのみ、というウェイターにさぞや自信があるのだろうと楽しみにしていると、出てきたのは……スシ、だった。マグロのスシ。まさかこんなレストラン然とした店構えでおまかせ握りが出てくるとは思いもよらなかったが、私も寿司職人、俄然興味が湧いてきた。酢が少し強いが味は上等。食材も良いのを使っている。一つ一つうなずきながら食べているとウェイターが声をかけてきた。

「銀次様、次が最後の一品です。ご準備はよろしいですか?」

もう終わりかと少し惜しく思っていると、私の前には最初に出てきたマグロと割りばし、そして熱いお茶が入った湯飲みが置かれた。少し困惑している私にウェイターはスシブレードのやり方を教えた。言われるがまま私はマグロを構えた。

「3、2、1、へいらっしゃい!」

そうして2つのスシは回り出した。最初はスシが回るとか冗談にしか聞こえなかったが、やってみるとその奥深さに気づき始めた。私が使用するのはアルティメットマグロでどうやら初心者向けらしい。対してウェイターの肉寿司は重量系らしく一撃の威力が重い。まともに喰らっては一撃でアウトだろう。ならばどうするか。

「では銀次様。参ります」

ウェイターの肉寿司がタックルを仕掛けてきた。私は慎重にアルティメットマグロを操作し……すんでのところで躱した。続いて体勢を崩した肉寿司に、その隙を見逃さず攻撃&離脱。重量級の肉寿司はすぐにこちらを追いかけることはできない。

「ほう、やりますね。両者のスシの特性をいかしヒット&アウェイを仕掛けるとは」
「へへ、ありがとうよ。いいなスシブレード。久々に楽しい気分だ。さっきのタックルを避けたときとか超興奮したぜ」
「"スリルの味"、お楽しみいただけているようで何よりです」

私はハッとなった。最近の生活で足りないもの。それはかつてスリで身を立てていたころにいつも味わっていたスリルの味だった。そんなことを考えていたらスシブレードの操作を誤り勝負に敗れた。見たところ相手の技量は私よりはるかに上で手加減してくれていたようなので、遅かれ早かれ負けていたことだろう。それでも私はすがすがしい気持ちだった。ウェイターにお礼を言い、店を後にした1

それから私はスリルを求めるため、鈍っていたスリの腕前を磨き始めた。もちろん今更通行人の財布を盗むような真似はしない。私は自分の握ってお客に出した寿司のネタを、お客が食べる直前にこっそりすり替えることとした。コウイカを食べたかと思えばソデイカ。タイかと思えばハマチ。お客が驚く顔の面白いこと面白いこと。「このトロはずいぶんあっさりしていて脂身が苦手な僕でも食べやすいね」。それは赤身だよ阿呆。すり替えがばれることはない。どこまでお客をだませるか試していたら、予想外なことに私の寿司屋は想像できない味の"幻のスシ"を出すとしてより人気になっていった。

そしてスシブレードにも私は漬かっていった。もともと握りには心得があるしスリで鍛えた度胸はスシブレードでも発揮された。加えて私には幻のスシ……ネタのすり替え技術があった。自分のスシを偽装して相手の計画を打ち崩してもよし、相手のネタをすり替えて使い慣れないスシにするのもよし。闇寿司の運営する地下闘技場に入り浸り連戦連勝の日々だった。スリルある戦いの数々に私は満足していた。そして気づけば私もスシの暗黒卿として認められ、幻の銀次と名乗るようになった。

しかし戦い続けるにつれ、幻のスシは一部の闇寿司四包丁や回らない寿司協会の七聖板前など上位のブレーダーには通用しない事が多くなっていた。自分のスシを偽装しようが実力差があれば押しつぶされるし、相手が纏うスシフィールドが強力であれば別のネタを与えたとして自分のスシにしてしまう。私にとって決定的だったのがルベトゥス睦美との一戦だ。奴の店内ではバラムツしか使えないし、せめてルベの野郎のネタを質の落ちたバラムツとすり替えてやろうとも思ったがライフルをいつでもぶっ放せる奴に手を伸ばす気は起きなかった。結果私は屈辱の敗北を喫した。あのケツの痛みは今も忘れていない2。いくらスリルを求めているとは言え勝てなくては意味がない。

負けが嵩み、若干スランプ気味になっていた私は友人であるスシの暗黒卿3である御蓮寺恋治の家に何をするでもなく入り浸っていた。適当に酒を飲みながらゲームし夜を更かしていた。そんなある日、御蓮寺はFF104をプレイしながらポツリとつぶやいた。

「スシブレでも『わいろ』が使えたらなぁ」

『わいろ』とは敵モンスターを倒すだけでなくアイテムも入手することができる強力な技だ。この呟きを聞いた時、私たちは"裏金の握らせ"を思いついた。御蓮寺は度重なるトラックの修理費用により金欠で残念ながらこの握らせを実行できなかったが、私にはこれまで稼いだ潤沢な資金があった。加えて"幻のスシ"の技術で的確に相手に裏金を握らせることができる。まさにうってつけのスシだった。『わいろ』では勝負に勝つついでにアイテムを手に入れられたが、"裏金の握らせ"では勝利と弱みや情報を得れるわけだ。

いかがだったろうか。最初に触れた特別な技能とは「金を稼ぐ能力」と「スリの技」だ。並大抵のものにはこのスシは使いこなせないのがわかっただろう。私はこのスシを使いだしてからスランプも脱し、闇寿司内外で様々な"コネ"を作ることができた。直接勝負ではかなわない闇の親方にも、得たコネを使えばトップの座から引き落とすことも夢ではないだろう。

関連資料

闇寿司ファイルNo.303 "ジーコ"
外見から予想できないという点ではこの「ジーコ」も「幻のスシ」と同じことをしていると言える。

スリ・ジャヤワルダナプラ・コッテ
スリランカの首都。

密着!スシの暗黒卿!
闇寿司新聞委員が現在スシの暗黒卿が何人いるかを調べようとした記事。密着しすぎたせいでマドンナリリー配下の粛清部隊「3密」に襲撃されたのがハイライト。

文責: 幻の銀次









From: Maboroshinoginji
To: SUME-CI
Subject: 消してくれ

この記事は私が書いたものではない。どうして公衆の面前で幻を見せる手品のタネを明かすようなマネをする必要があるんだ!一刻も早く消してくれ!
これが広がったら私の闇寿司生活は終わりだ。
誰かに嵌められたんだ。記事の内容も嘘ばっかりだ。なぜ私の自分語りオナニープレイをファイルにこんな長々と書かれなきゃいけないんだ。スシとスリが似ているとかもふざけているのか。
まだ間に合う、閲覧者は口封じできる範囲だ。早く消してくれ。


From: All-la
To: Maboroshinoginji
Subject: Re:消してくれ

SUME-CI所属の十徳ナイフのオールラだ。
幻の銀次殿、残念だがこのファイルの削除は認められない。
組織に対しての有効性が認められたのでね。

それにしても貴方なかなか悪どいことをやらかしてたみたいだね?少し調査したが被害者がゴロゴロ……。ファイルには書けないような弱みを握られてたものもいたようだな。
大方この記事のアップも恨みを買ってだろう。本当にヤバイ弱みは載ってないしな。フフ、握らせる裏金の量をどこかで誤ったんじゃないかね?適正価格を見抜く審美眼とやらも時には間違えるだろう。

まあSUME-CIが貴方を裁くようなことはしない。何か闇親方に歯向かうことをしたわけでもないからな。
ただこの記事が広まればイカサマ師のあなたに味方するものももういないだろう。まあ自業自得と言えば自業自得。
よく言うだろう?信用は金じゃ買えないって。

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