概論
手裏剣とは圧縮加工された押し寿司の一形態である。圧縮によって一定以上の硬度を獲得した押し寿司を研磨することで作成されており、形状と相まって絶大な破壊力を誇る。
その破壊力は、文字通り岩をも砕き人体を切り裂くほどだ。この手裏剣はそもそも暗器の一つであり、闇寿司忍者のみが所持を許される寿司である。闇寿司忍者でないものが手裏剣を所持すれば、直ちに忍び寄った闇寿司忍者によって捌き殺されることになるだろう。手裏剣を闇寿司忍者以外が使用することは御法度とされているのだ。なお手裏剣は、闇寿司忍者としての力の誇示のために黒米で作られることが多い。
スシブレード運用
攻撃力
防御力
機動力
持久力
重量
操作性
手裏剣は回転によって生み出される強力な白刃攻撃をメインとした寿司である。回転により威力は上昇し、相手の寿司をスライスにすることが出来る。そして何より手裏剣というネーミングで忍者であることをアピールする事ができ、相手ブレーダーに心理的な圧迫感を与えることが出来る。現代では忍者はもはや伝説の存在、もしくはフィクションとして扱われているため目の前に本物の忍者がいると認知させることは相手を混乱と恐怖に陥れることが可能である。なにより寿司と忍者の相性の良さは国内外、スシブレーダー非スシブレーダー問わず知られている。現にブラッドレー・ボンドとフィリップ・ニンジャ・モーゼズによる"サイバーパンク・ニンジャ活劇小説"「ニンジャスレイヤー」ではスシは優れたエネルギー補給食として扱われており、ニンジャが携帯している姿が描かれている。気になる方は是非購読されたし。
手裏剣は攻撃力と機動力に優れる一方で、持久力と防御力は高いとは言い難い。これは手裏剣が暗器として開発された寿司であるためだ。手裏剣にとって攻撃こそが最大の防御。手裏剣の持ち味を存分に活かすためには短期決戦が基本となる。短い時間で如何に相手の寿司を切り刻むか、手裏剣にそれ以外の戦法は必要ない。
忘れてはならないのは手裏剣を使用できるのは闇寿司忍者だけであるということだ。手裏剣の持ち味を存分に活かすために絶対的に必要なのは、充分に鍛錬を行った闇寿司忍者である。闇寿司忍者無くして手裏剣なし。もしもただのスシブレーダーが手裏剣を使おうものなら、縦横無尽に駆回る手裏剣の白刃攻撃に巻き込まれて瞬く間に刺身になってしまうだろう。
他の活用法
手裏剣は対人直接攻撃で本来の暗器としての側面を最大限活かすことが出来る。手裏剣の射出は通常の寿司発射手順に乗っ取らなくても行えることが闇寿司忍者達によって示されている。彼らは両手に手裏剣を挟み込み、素早く手を動かすことで手裏剣を発射出来るのだ。こうして発射された手裏剣は目にも止まらぬ速さで空を裂き、相手の肉体に突き刺さる。これだけでも十分な性能だが、スシブレード発射手順に乗っ取ることでそれ以上の回転を、それ以上の攻撃力を得ることが出来る。スシブレードとして発射された手裏剣はその絶大な回転力と研ぎ澄まされた刃先によって、相手を易々と引き裂くことができるのだ。また手裏剣はその扁平な形態によって無音での発射が可能である。まさに暗殺の為に作られた寿司。そう言っても過言ではない。
エピソード
当初、闇寿司忍者は息を潜めて存在するだけの一般的な忍者だった。
彼らは普通の人間社会においては肉体的、精神的にほぼ最強の存在だが、そんな彼らでも勝てないものがあった。昭和33年3月10日法律第6号、つまりは銃砲刀剣類所持等取締法である。この法律のせいで忍者達は暗器を容易に所持出来なくなっていたのだ。暗殺のために潜伏していても職務質問されたり持ち物検査をされたらたまったものではない、ということらしい。 この法律の公布以降は法律に従順な忍者達が続々と行動不能となり、公布前は全国に15000人ほどいた忍者の数は2019年にはたった4870人に減ってしまったという。だが、2018年初頭にある忍者コミュニティが解決策を見つけ出した。それが手裏剣である。米を圧縮したこの暗器ならば警察に見つかっても食糧だと言い張ることが出来る。それに暗殺が成功した後は食べることで証拠の隠滅も出来る1。まさしく画期的な発明だった。
この忍者コミュニティにおける新型手裏剣の発明は我々闇寿司の興味を惹いた。我々はその忍者コミュニティ-百地一派2の頭領、百地に接触し談話を行った。
闇 あんたが忍者達の…百地一派のボス、ということでいいんだな。
百地頭領 如何にも。拙者が第18代伊賀流百地一派頭領、百地芭麗栖ももち はれす。貴殿は何者か?我らを知っているということは…只者ではあるまい。
彼の声はどこか冷徹で底なしの威厳に満ちていた。忍者忍者しい格好も相まってつい圧倒された。だが、こちらにも親方としてのプライドがある。
闇 俺の名前は闇。闇寿司という組織の頭領だ。
百地頭領 闇寿司?それはなんだ?
闇 寿司の強さを…寿司が秘める暗黒の力を求める者達が集って出来た組織…そうとだけ言っておこう。
百地頭領 寿司の強さだと…?…何を言っているのか微塵も理解出来ぬ。貴殿…まさか我ら百地一派をからかっておるのではあるまいな?
百地一派への"闇寿司"の説明は困難を極めた。彼ら忍者の中の寿司とは単なる食糧に過ぎず、そもそもスシブレードのことすら信じようとしなかった。百地頭領に対して6時間49分に及ぶ解説を繰り広げたが、なかなか理解してくれなかった。そこで俺は実際に寿司を-"ラーメン"を回して見せることにした。
闇 3、2、1、へいらっしゃい!
射出された"ラーメン"を見て、百地頭領はこう呟いた。
百地頭領 これは……なんということだ……
目の前の回転する"ラーメン"を目の当たりにし、百地頭領はようやくスシブレードを、闇寿司を理解したようだった。そこからの談話は思いがけないほどに穏和かつスムーズに進んだ。スシブレードは忍者達に理解され、我々闇寿司は瞬く間に彼らに受け入れられた。
これは好機だと直感した俺は、百地一派を闇寿司に組み込みたいと百地頭領に伝えた。俺は反発されるだろうと考えていたが、意外にも百地頭領は賛同してくれた。どうやら、百地一派は母体となる組織を求めていたらしい。
かつて幕府や各藩に仕えていた忍者達は明治維新によって主を喪失した。伝統と忍術だけが継承され、忍者は明確な目的も母体となる組織も存在しないただの超人犯罪者集団となってしまったという。その後の忍者は大戦の影で工作員として暗躍するなどしていたが、かつてのような伝統的忍者としての生活はもはや失われていた。彼らは、忍者らしい忍者としての生活を求めていたのだ。そうした背景を踏まえ、我々は彼らを忍者らしい忍者として闇寿司へと迎えた。闇寿司と忍者は影に生きるもの同士で手を組むことになったのだ。百地一派は闇寿司忍者と名前を改め、闇寿司の刃として日々組織に貢献している。
また、彼らの継承してきた伝統的忍術をスシブレードに応用する研究も進行中だ。以下に忍術応用研究によって誕生した新たな寿司技術を示す。
これらは忍術応用研究成果の一部に過ぎない。忍術には更なる可能性を秘めたものも多く、今後の新たな寿司開発に期待する。
関連資料
忍者とは何者か -現代忍者の生活に見る忍者の実態
銃砲刀剣類所持等取締法公布以降の日本国内の忍者人口の変化が示されている。
高齢男性不審死事件 被害者の傷口から酢酸とデンプン検出。警察も困惑
恋昏崎新聞社の記事。被害者は回らない寿司協会の幹部である逸品。これは闇寿司忍者の手裏剣による暗殺である。
銃砲刀剣類所持等取締法- Wikipedia
銃砲・刀剣類の取締りを目的とした日本の法律。略称は銃刀法。
文責: 闇