闇寿司ファイルNo.064 "失伝した寿司"
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失伝した寿司の映像資料は現存しないものがほとんどである。

概論

"失伝した寿司"はなんらかの理由で握る技術が失われ、やがてその存在すらも忘れられた寿司の総称だ。故に現在これらの寿司を握ることは非常に難しいだけでなく、レシピが確認された例もたったの2件である。

忘れられることには理由がある。レシピが確認されている「オーミの骨馬の軍艦」「終末の握り」はどちらも握るための具材の入手が非常に難しく、握ることにも非常に高い技術を必要とする。

スシブレード運用

下に示すパラメータは「オーミの骨馬の軍艦」のものである。これは唯一現在再現に成功している"失伝した寿司"である。

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

海鮮ではなく哺乳類の肉を使用した寿司であり、ハンバーグや焼肉カルビなどと似通った性質を持つ。

特筆すべきはその持久力だ。発酵させた馬肉の内臓を利用したオーミの骨馬の軍艦は米との結合力が高く、長期戦においても具材が溢れにくい。また粘性を持つ内臓は設置型の罠として相手への妨害の役割を果たすなど、納豆に似た性質も持つ。攻撃力・防御力ともに高水準であり、長期戦を避け短期で決着を付けようとしてきた相手に対しても充分対応できる。今までの寿司とは一線を画した強さの寿司であると言える。

弱点としては、他の軍艦巻きと共通して機動力が低いことが挙げられる。"オーミの骨馬の軍艦"への対策を行う場合、サーモンなどの高い機動力を持つ寿司を使用し、ヒット&アウェイの戦法を行うことを推奨する。

操作難易度は非常に高いものとなっている。これは"オーミの骨馬の軍艦"の元来の性質に合わせて、"オーミの骨馬"についての詳細を我々が知らないことが主な原因であると考えられる。また、具材である"オーミの骨馬"の入手手段は現在失われており、闇寿司が保有している骨馬の内臓の残りは三人前分のみである。

他の"失伝した寿司"の能力については現在調査中である。

他の活用法

"失伝した寿司"の中には、"寿司の意思"財団などにより、意図的に歴史から抹消された可能性がある寿司も含まれている。これらの寿司を現代に再現することは、寿司の歴史についての理解を深め、同時に"寿司の最奥"についての理解にまで至る可能性を秘めている。よって闇寿司のみでなく回らない寿司教会などもこの"失伝した寿司"のレシピの捜索を行なっている。

エピソード

当ファイルの作成者が初めて"失伝した寿司"のレシピを手にしたのは、具材調達のため自前の潜水艦でマリアナ海溝の深度8000mを調査していた時だ。

私が向けたライトに照らされ、それは光っていた。光を反射しているそれはガラス瓶であるように見えた。この深海で何故水圧に耐えているのかも興味深かったが、私の驚きはそれだけではない。映像をズームすると、ガラス瓶の中に入っている紙に、闇寿司のロゴマークが見えたのだ。

私はすぐさまそれを回収し、地上に帰還した後でその文書を読んだ。内容を以下に示す。

書き残しておく必要がある。書いておかないとそのうち歴史から失われてしまうだろうし、今日握った寿司は重要だと思うからだ。私にとって重要という意味ではない。私が、あるいは今日地球に生きる人間は既に全力を尽くし、そして滅びゆく。だが、次世代の寿司を握るもの達の助けにはなるだろう。これを財団の技術で作られたガラス瓶に詰め、渓谷の奥底に投げるつもりだ。いつの日か、だれかがこれを読んで、寿司を握るはずだ。それが許されるのなら。
今日、世界は終わる。そう知らされたのは27日前のニュースだった。財団を中心に世界を救おうとしているらしいことも、同時に知った。
そこからはあっという間だった。世界を救うため財団に協力するもの、財団に疑問を持ち財団を攻撃するもの、世界終焉など信じずにそのまま過ごす者。世界は混乱しつつ、カウントダウンは進んでいった。
我々闇寿司は財団に協力した。世界を終わらせるわけにはいかないと、彼らが世界を救う筐体を完成させるための時間を稼ぐため、敵対組織をラーメンやライフルで打ち倒していった。

にわかには信じがたい話だ。我々が財団に対して協力を行うなど、少なくとも無償で行うことはまず間違いなくない。

そして、世界終焉の日はやってきた。財団は協力した各組織のトップに、筐体の完成を告げた。それは世界を『再起動』させるという。全てが滅んだ後に、また0からコンテニューするのだという。
今、私は終焉を目の前に、自然に一つの寿司を握った。世界が終わるその瞬間、"終"の概念が偏在する世界でのみ握れる寿司……即ち、"終末の寿司"を。

以下にはレシピが続いていた。そのレシピに一切の矛盾はなく、理論上は世界が終わる時確かに握ることができる。"終"の概念たるそれはともすれば"寿"たる寿司の全てに勝る力を持つ。以下に、文書に記載されている力から予想されるパラメータを示す。

攻撃力

防御力

機動力

持久力

神性

操作性

"終"の概念たる"終末の寿司"は足が早く、すぐに腐り止まるという。回っている間のみは無類の強さを発揮する、刹那の輝き。それは今滅びゆく世界のようだと、文書には語られている。

これを手にすることができれば、すべての寿司の争いに終止符を打つことができる。だが、皮肉なことにそれは世界が終わる時のみ握ることができる。文書は以下のように締め括られていた。

今私の手には最強の寿司がある。しかし、世界が終わっていく中では、寿司も私もちっぽけな存在であると言わざるを得ない。最強の寿司は、あくまで寿司でしかない。寿司で、世界を救うことはできない。寿司が世界を滅ぼすことも、できない。
だが、それでもこのレシピは残しておく。いつかまた世界が終わるときに、この寿司は握られるべきだ。信じられないことだが、私は"終末の寿司"が世界の終わりを悲しんでいるように感じた。世界が終わるとき、その危機に、もしかしたら"終末の寿司"はそれを救うために生み出されたのかもしれない。
しかし、私は遅すぎた。次の世界でこれを手にしたあなたが、"終末の寿司"をもっと上手く握ることを祈る。

闇寿司 ルベトゥス睦美

この件についてルベトゥス睦美へ尋問を行ったが、一切の情報を知らないことを確認した。

関連資料

闇寿司ファイルNo.422 "ダイオウイカの握り"
マリアナ海溝への探索が関連する寿司。

精神酢飯漬けと記憶処理
精神酢飯漬けの第一人者、出刃包丁のウィークによる論文。精神酢飯漬けの応用により記憶の忘却を行うことができる可能性について示唆しており、財団による記憶処理で失われた技術についても言及している。

なれずし - Wikipedia
オーミの骨馬の軍艦との関連が考えられる寿司。

よくわかる!海技士免許の取り方
潜水艇を操船するために必須。

文責: 闇

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