闇寿司ファイルNo.086 "生ハムスシ"
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NAMAHAMU

生ハムのスシですわ!

概論

ハム(ham)というのは、豚や猪のお肉を塩漬けにしたものを指す言葉ですわ! その中でも、塩漬け後に煮沸しないものを日本では生ハム(nama ham)と呼びますの!

生ハムスシは、生ハムの塊1から少量の生ハムを削り取ってシャリの上に載せたお寿司ですの。ネタをヒラヒラとはためかせながら回転する姿はとっても優美! シンプル&エレガントなお寿司で、わたくしも愛用しておりますわ~!

スシブレード運用

攻撃力

防御力

機動力

持久力

重量

操作性

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ネタとなる生ハムが薄く、軽く、大きいことから、生ハムスシはすべてのステータスが低い位置でまとまっていて、とても扱いやすいお寿司とは言えませんわ!
重量が不足していることで軽めの攻撃を受けるだけで即座に弾き飛ばされてしまいますし、あまり強く回すとヒラヒラとはためく生ハムが回転を吸収して逆に回転が衰えてしまいますの。空気抵抗を受けやすいことから操作にも慣れが必要となりますし、攻防速のステータスはどれも突出しておりませんわ。
大きく軽いネタを闘牛士のマントのように利用して、突進してくる相手のお寿司をヒラリと躱す戦法や、これと同じ要領でシラス軍艦2などに代表される"発射系寿司"の弾丸を無力化できるという点を除けば、この状態での生ハムスシは弱いとさえ言えますわね。さらにこの戦法も、先に述べた操作の難しさからして容易とは言えませんわ!

「弱いなぁ」と思ったそこのあなた、お待ちなさい!
生ハムスシの真価は、特殊な運用法によって発揮されますわ!

まず、生ハムスシを扱う上で基本的な戦術は"待つ"ことですわ! 自分からは積極的に攻めず、敵の寿司が攻撃を仕掛けてきたところで華麗な動きでこれを躱し、生ハムのフチだけを敵の寿司に掠めさせますの。そうすると生ハムが相手の寿司に絡みつき、シャリを離れて相手の寿司を妨害するのですわ!一見して難しそうに見えるかもしれませんが、スシブレーダーは初動の激突を好む傾向にあるため、このタイミングを狙えば一瞬で発動することも可能ですわ!

妨害系の寿司は他にもイクラ軍艦イカスミスパゲッティなどが有名ですが、生ハムスシの場合は「"点"や"線"ではなく"面"による強力な回転妨害」が特長として挙げられますの! 敵の寿司全体を覆うようにして成される妨害は、これだけで敵のお寿司を沈黙させられるほどに強力ですわ~!

ただしこの戦術で仕留めきれなかった場合、寿司のアイデンティティであるネタを失った生ハムスシは急速に失速し、数秒ともたずに停止・敗北してしまいますわ! この欠点は、使い手が初心者であれば「ネタを2~3枚重ねて戦闘し、上から1枚ずつ使用する3」、中級者以上であれば「ネタとシャリが完全に離れる前にシャリをひねってネタを回収する4」などの技術的対応で解消可能ですわ!

仮にこの戦法で仕留めきれなかったとしても、敵の寿司の回転力を大きく削ぐことができますもの、追撃も 余裕綽々ですわ~!

他の活用法

GENBOKU

生ハムのスシの原木ですわ!

生ハムスシを作るために生ハムをそぎ落とした原木は、打撃武器として転用可能ですわ!
生ハムスシはその運用の特異さから、初めてお相手する方には少なからず動揺を与えることができますの。その隙を狙って、敵ブレーダー本人を殴打!殴打!ですわ!

ルベトゥス 睦美様が提唱なさっていた"ライフル"ほどの基礎威力はなく、殴打を介した近接戦闘にしか利用できませんが、音を立てない分だけ奇襲性に優れておりますし、わたくしのようなブレーダーが用いればライフルにも勝る威力を発揮しますわ!

威力

万能性

重量

信頼性

お味

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この戦術を用いること自体が"はしたない"だなんて意見を耳にすることもあります。
しかしわたくしも闇寿司の端くれ、勝利には替えられませんの!
Strike AND Destroy ですわ!

エピソード

生ハムスシを用いた場合の長所と短所が映えるスシブレード対決を体験いたしましたので、ここに記録しておきますわ!

2004年8月6日、わたくしは身分を隠し、私立伽美阿女学院の高等部の学生として生活5していましたわ。夕刻、1人で人気のない道を歩いておりましたわ。その時、そう遠くない場所から声が微かに聞こえましたの。

「3、2、1、へいらっしゃい!!」

目を向けると、その声はある路地から聞こえてきていましたわ。夕暮れ時、人気のない路地から響くスシブレーダーの掛け声。わたくしの立場からして、見逃すわけにはいきませんでしたわ。わたくしは路地へ足を踏み入れ、声の主を探したのです。盛夏にもかかわらずひんやりとした空気を湛えた、夕日の橙も届かない、薄暗い路地の奥へ。

しばらく進んで物陰から覗くと、声の主——その少女を見つける事が出来ましたわ。わたくしと同じ私立伽美阿女学院の、中等部の制服を纏った長い黒髪の少女。後ろ姿だけで顔は見えませんでしたが、夏だというのに冬服で、気迫の籠ったかけ声とともに何度も寿司を射出する姿には、鬼気迫るものを感じましたわ。

しかし、彼女の相手はブレーダーではなく、ただのコンクリートの壁だったんですの。おそらく、新しいお寿司か操作困難なお寿司を操るため、鍛錬をしていたのだと思いましたわ。何度も打ち付けたせいか壁は明らかに削れてへこんでいて、彼女の確かな腕前と、明らかに彼女が"裏側のスシブレード"に手を出していることがわかりましたもの。しかし、見たところ彼女は発展途上。対戦をしているわけでもなく鍛錬の最中なら、手を出すこともなく優雅に立ち去ろうと思い、わたくしは身をひるがえしましたわ。

しかし、ここで私は小枝を踏むという痛恨のミスを犯してしまったのです!

謎の少女「——っ!! だっ、誰だ!?」

見つかってしまっても、逃走という選択肢はもちろん残っていましたわ。
しかし、誰だと問われたのなら、答えねばなりませんわ!

わたくし「わたくしは闇寿司四包丁が1人、"ペティナイフのカタリーナ"! 人呼んで"大江戸淑女・カタリーナ"ですわ! 野良のスシブレーダーとお見受けします! 本意ではありませんが、貴方のお寿司——わたくしの華麗なる舞踏で討ち倒して差し上げます!」

物陰から飛び出し、思わずビシッ!とポーズまでキメて名乗りを上げてしまいましたわ! 予定外ではありましたが、闇寿司の構成員としては、まだまだ未熟とはいえスシブレーダーを見逃すのはいただけません。若い芽は若いうちに摘んでおくのは、闇寿司の未来を安泰にするためにも大切といいますものね?

謎の少女「闇…寿司……四……包丁……?」

そんなわたくしの様子を見て、謎の少女は驚愕しているようでしたの。無理もありませんわ! 突然に闇寿司……それも幹部たる四包丁の1人に会敵してしまったんですもの。身を強張らせ、恐怖するのも当然のこと! しかしそのままではスシブレード対決には持ち込めませんわ!

わたくし「そう。わたくしは貴女の敵ですわ! 鍛錬の途中に申し訳ありませんが、わたくしとスシブレードで勝負いたしませんこと? すなわち、"実戦"ですわ!」
謎の少女「……この人も……わたしと同じ……?」

なんということでしょう! 彼女は闇寿司の1人のようでしたわ! しかし、今まで闇寿司の拠点でも学院でもお見掛けしたことはなく、この少女とは完全に初対面でしたの。おそらくは正式入団前の候補生か、入団したてでわたくしと面識がなかったのでしょう。

しかし、同胞と分かってもすでに名乗りは済ませています。出した寿司を下げることはできませんの! そしてそれは、彼女もわかっているようでしたわ!

謎の少女「なるほど……わた……我に挑もうとするならば、汝は我が奈落天暗黑掌アブソウルド=シャドウテンタクルの前に敗れ去り、深淵に散る泡沫と化すのみだ……!!」
わたくし「あら、なかなか様になっていますわね。ここで葬るのがもったいないくらいですわ……!!」
謎の少女「さっきまで練習してたし……」
わたくし「え? なんですの?」
謎の少女「う、うるさい! その方、構えよ!! 3、2、1、へいらっしゃい!」
わたくし「3、2、1、へいらっしゃい! ですわ!」

ふわりと着地したわたくしの生ハムスシに向かって、まるで弾丸のような速度で漆黒の寿司が迫ります! これは初撃に合わせるのは不可能。そう判断したわたくしは寿司をくるりと回転させ、彼女の寿司を躱しましたの!

謎の少女「なっ……!?」

彼女の寿司は初撃の勢いのまま着地。ギャリギャリとアスファルトを削りながら反転して、わたくしの寿司に食らいついてきましたわ!

見たところ、彼女のお寿司は黒作り軍艦6のようでしたの。黒作り軍艦は、軍艦巻き特有の堅牢さで持久戦に持ち込みつつ、イカゲソのリーチを活かした攻撃と、イカスミのぬめりを利用した妨害を得意とするお寿司ですわ。闇寿司にはイカスミスパゲッティという上位互換が存在しますが、民間においては無二の性能とされる、やや珍しい部類のお寿司ですわね!

奇しくも"妨害系寿司"同士の対決となりましたが、相手はやや機動力に劣る軍艦寿司。更にブレーダーは修行中の身。攻撃を回避するのは簡単なことでしたわ!

わたくし「そんなものですの? せっかく良いお寿司を持っているのに。お寿司が泣いていますわ~?」
謎の少女「……フンッ……まだだ!! 『堕黑凍絞凶握』グラスピングスケアー!!!!」

突如、彼女の寿司から1本のイカゲソが高速で射出され、生ハムスシに直撃しましたの。イカゲソは硬く凍結しているようで、わずかながら冷気に似た蒼白色のオーラを放っており、かなり鋭い一撃だったと言えますわ! 闇寿司構成員の中でもわずかしかいないという"必殺技"の使い手……彼女のような発展途上のブレーダーが"必殺技"を使用するとは、流石のわたくしも驚かされましたわ!

彼女からすれば渾身の不意打ち。見るからに華奢な生ハムスシは一撃で爆ぜると思ったことでしょうね?

わたくし「——ハッ!」
謎の少女「!?」

しかし——わたくしの寿司は受けた衝撃を利用して身を翻し、放たれたイカゲソを生ハムで包むようにして明後日の方向へ送り返したのですわ! たしかにわたくしの生ハムスシは、不意の強力な遠距離攻撃には対応しきれないこともありましてよ? しかし、それでもわたくしの生ハムスシが持つ射出系攻撃に対する耐性は強固ですもの! 不意打ちを食らわせようなど笑止千万ですわ!!

わたくし「お見事な"必殺技"ですわ! それほどの技を使いこなすとは……どうやら、お遊びはここまでのようですわね……!」
謎の少女「ぐっ……!! 減らず口は冥府で叩くが良い!! 『堕黑凍絞凶握』グラスピングスケアー!!!!」

再度超高速で射出されたイカゲソ。ですが、2度同じ手は通用しませんわ! 今度はイカゲソの威力を利用し、生ハムスシ自身を高速回転させ、遠心力を利用して黒作り軍艦へ向けて投げ飛ばしたのです!

謎の少女「なっ!?」
わたくし「ご賞味あそばせ? これが、生ハムの力ですわ~!!」

狙い通りに生ハムの一端が黒作り軍艦の一端を掠め、バサリと覆いかぶさりましたわ! さらに生ハムスシ自体を強くフリップ&ターンすることによって、天高くその身を跳躍させながら生ハムを回収し、同時に黒作り軍艦に"逆回転方向への強力な力"をかけましたの! 生ハムスシでこのような緻密な操作を行うのは至難の業。まさしく、わたくしとわたくしの生ハムスシにしかできない芸当と言えるでしょう!

彼女の腕前を鑑みるに、これだけで即座に停止してはくれない。そう考えたわたくしは、次の一手で畳みかけることにしましたわ! "原木"の出番ですの!

謎の少女「なにあれ!? 『堕黑凍絞凶握』グラスピングスケアーが!?」
わたくし「セァァァァァァアアアアアア!!!」
謎の少女「!!??」

彼女の頭を狙って振り下ろした"原木"が、ゴッ!!!!という炸裂音を響かせて地表を叩き割りましたわ! これをかろうじて躱した彼女も、飛散したアスファルトの破片と衝撃波を受けて、はじき出されるようにごろごろと転がって行ってしまいましたの。

謎の少女「ッ!? ガフッ!? ——なっ何が!?」
わたくし「焦ると手元が狂いますわね……ですが、2度は外しませんわよ……?」
謎の少女「ヒッ……!?」

地面から"原木"を引き抜き、ゆらりと立ち上がる私を見て、小さく悲鳴を上げる彼女。苦しまぐれの特攻として黒作り軍艦で私に突進でも仕掛けてくるかと思いましたが、そんなことはありませんでしたわ。生ハムスシに距離を取らせて警戒しておりましたが、無駄になってしまいましたの。"裏側のスシブレード"に手を伸ばし、あれほど力強く寿司を操る彼女がこの程度だとは、正直言って拍子抜けでしたわ!

とは言え、スシブレードでの決着さえついていれば命までは取りません。勝敗を決するため、原木による攻撃の余波で既に止まっているであろう、黒作り軍艦に目を向けましたの。

——しかし、回っていたのです。黒作り軍艦が回っていたのですわ!
彼女が放心しているせいか動いてこそいませんでしたが、今もなお回っていたのです!

わたくし「っ!? なぜ——!?」

"その可能性"に気付いたわたくしは生ハムスシに目を向けましたわ! よく見ると、ネタの裏に黒く光るものが!

わたくし「まさか、イカの"ぬめり"ですの!?」
謎の少女「——っ!!」

我に返り少女に目を向けると、ふらつきながらもわたくしから距離を取ろうとしていましたの。ですが、まだ数歩。杜撰な逃走と見ましたわ。

わたくし「どこへ行こうと——」

そして、彼女は立ち止まり、振り返り、私を睨めつけ、唱え始めたのです——

謎の少女「此に敷くは戒壇。召喚せしは叛逆の堕天使
わたくし「!?」

必殺技の詠唱を! 生ハムスシでの直接妨害を、とも考えましたが、距離を取らせていて間に合いませんわ! とっさにわたくしは、原木を振りかぶりましたわ!

謎の少女「——神属からの追放、背徳と魅惑を以て、零下の黎明を拓け——!!

次の瞬間、振りかぶった右腕に衝撃が走りましたの! 黒作り軍艦——いいえ、奈落天暗黑掌アブソウルド=シャドウテンタクルが私に突進し、原木を私の手から弾き飛ばしたのです!!

わたくし「そん——」

奈落天暗黑掌アブソウルド=シャドウテンタクルは悠々と少女の周りを巡って、彼女の眼前でピタリと止まりましたわ。

謎の少女降臨せよ!!!! 奈落の悪鬼、黒き翼の堕天使——アイスヴァイン!!!!


直後、彼女の眼前に黒い翼の天使が立ち上がり、猛烈な冷気が吹雪となってほとばしりました。あまりの威力に私は吹き飛ばされ、壁に激突して昏倒してしまいましたの。

目覚めた時にはすっかり夜で、周囲には彼女も"黒き翼の堕天使"も見当たりませんでしたわ。
ただ、月明かりに照らされた中でポツンと、完全に凍結した生ハムスシが置いてあるのみだったのです……。

このように「不意の強力な遠距離攻撃への対応」「潤滑要素を用いた拘束耐性への対策」「生ハムスシと原木を併用することによる戦略的ミスの抑制」「凍結や燃焼などの属性系攻撃への対応」など、改善点が多数発見される勝負となりましたわ。

実りある戦いではありました。ですが正直に申し上げまして、歯がゆい思いでいっぱいですわ!!!敗北そのものももちろん悔しいのですが、何よりの問題は生ハムスシへの処遇ですわ! 敗北したわたくしの口にねじ込んで行くならばいざしらず、凍結させて放置など!!あの戦いはコールドゲームだとでも言いたいのかしら!?

ライバル認定ですわ!!
今度会ったら必ずねじ伏せて見せます!!

現在、配下の特殊寿司部隊に指示して、彼女の行方を捜索中です!!

関連資料

闇寿司ファイルNo.986 "生ハムの燻製の握り"
燻製した生ハムを使用したスシブレードですわ!
良い香りがする以外は特に違いはありませんの。
ご賞味あそばせ?

参加フォーム: \**Super*Celebrity*Party**/
わたくしが編成した特殊寿司部隊への参加申請はコチラですわ~!

報告: 潜入中の寿司忍者による観測#Y4H@PK/DE-86("BOMB.HAM")
ドイツには食べるだけで爆発を巻き起こすハムがあるそうですわ! もしかしたら属性系攻撃への対抗策となるかもしれません! わたくしには親類のツテがあるので、近いうちに足を運んでみようと思いますわ!

報告: 潜入中の寿司忍者による観測#Y4H@PK/US-86("BIG=PIG")
詳しい報告はまだ拝読しておりませんが、米国には大きな豚さんがいるという話ですわ!
その豚さんで生ハムを作ったら、きっと超巨大生ハムスシが出来ますわね!

報告: リークされた情報
"彼女"が"財団"に捕縛されたとの情報が入りましたわ。
"財団"との戦力差は圧倒的ですが、助け出すべきなのでしょうか……。
ここで見過ごせば「闇寿司四包丁」そして「大江戸淑女」の名が廃りますわね!
彼女を倒すのはこのわたくしですわ!! 征って参ります!!!

文責: 闇寿司四包丁 "ペティナイフのカタリーナ"

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