闇寿司ファイルNo.1224 "闇鍋"
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概論

"闇鍋"は自分以外には不明な材料を複数人で持ち寄り、闇の中で料理する鍋の事だ。その特性上ステータスは変幻自在であるが、持ち寄られた具材によってはとんでもない1性能へと変化してしまうことも少なくない。

スシブレード運用

今回の勝負にあたり、事前に闇寿司のメンバーの何人かから食材を貰ってきている。勝負の直前まで具材が分からないようにしておかなければ闇鍋ではないので、とりあえずクーラーボックスに入れておいた食材2を土鍋に入れてステータスを測ってみた。3

甘味

塩味

うま味

酸味

苦味

辛味

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嫌な予感がするよ~~~~~

なんで甘味とうま味を同時に感じなきゃいけないんだよ~

しかも薄々予想してたけど滅茶苦茶苦いよ~~~4

本当にこれで勝てんのかな これ本当に大丈夫?一応アイツらの事は信じてるしアイツらも俺の事信じてくれてるんだろうけど甘みとうま味に振り切れたステータスを前にすると疑わずにはいられないんだよね まずいぞ本当に不安になってきたぞ

まぁもらったものはしょうがないので、闇鍋に使うこととしよう。この日の為にせっかく買ってくれたって言ってた奴もいるしな……。

時は2024/12/24。世間がクリスマスイブで賑わう中、 俺はひっそりと戦場へ向かった。

他の活用法

皆でやれば楽しいはずなんだけどな

なんで18歳のクリスマスに一人で闇鍋しなきゃいけねぇんだ こんなに寂しいパーティー料理があるかよ

エピソード

"ジェントルメン"タンドリー: やっと来たのかい、ミスター・ドナベ。危うくキリストも産声を上げるところだったじゃないか。

ちらりと公園に立つ時計を見る。時刻は23:50で、事前の予告通りの時間に来ている。この時間に指定したのはコイツなのに何を言ってるんだ?

"ジェントルメン"タンドリーとは昔から因縁のある男で、奴はクリスマスにチキンを食う協会の幹部の一人だ。そのため、クリスマスにはスシ5と決まっているうちの家系との昔からの抗争が絶えないでいる。

俺: その呼び方を止めろと言っただろう、俺はミスター・ステンレス。もう俺は若い頃のような粘土の塊じゃない。

頭に被ったステンレス鍋のポジションを整えながら、俺はそう言い放った。俺はミスター・ステンレス、科学技術の結晶だ。

"ジェントルメン"タンドリー: ハハハ、いつまでも貴方はお子様でしょう。まぁそんなことは置いておいて、今回の君はどんなスシを持ってきたんだい?前回同様キムチ鍋?それとも王道の鳥白湯?

俺: 俺はそんな既存のフレーバーにはまるような事はもうしない、ここからは型破りの時間だ。

"ジェントルメン"タンドリー: ふむ。貴方がどのような技を使うのかは分かりかねますが、いいでしょう。かかってきなさい!

俺: あちょっと待って、今から具材用意するから……。

"ジェントルメン"タンドリー: 恒例の時間ですね。その間にでも私は戦略を練っておくとしましょう。

ここからが本番だ。俺は背負っていたリュックサックからガスコンロを取り出すと、ボンベをセットし着火した。ステンレス鍋をコンロにセットすると、俺の眉間に皴と緊張が走る。

まずは一つ目の具材。デイビットさんから受け取った食材だ。ピザ6とかハンバーガー7とか来たら早々に負けが濃厚になるが、果たして中身はなんだ……?





チーズだ。
それもピザ用の。





よし、よしよしよし!デイビッドさんなら分かると思っていた。闇寿司の人たち食材ですらないものをスシって言い張るから正直不安だったんだけど、デイビッドさんならチーズリゾットの美味さを知っているだろうから助かった。

ちなみにスープはいつも通りの鳥白湯を使用している。ベースこそ普通の鳥白湯だが、具材次第でいくらでも変化するのもこのスシ8の強みだ。

このままの勢いで具材を全て開封した方がいいんじゃないか?正直チーズさえあればなんとでもなるだろうし、よっぽど変なもんが来なければ今回こそ勝てる!俺はそう確信するとクーラーボックスをひっくり返し、中身を指刺し確認した……。





きゅうりのぬか漬け!





豚肉!





エリンギ!

これはいける!そう確信した瞬間、俺は視界に入ったピンク色の箱に目を向けた。






俺: クソがあああああ!!!!!!!!!!!!

"ジェントルメン"タンドリー: うわっ、いきなり大声を出さないでくれたまえ、僕の愛しのポッポちゃん9が驚くじゃないか。」

俺: その名前で鳥類を使役してるの?

いや、そんなことはどうでもいい。あの夫婦に頼んだ俺が間違いだったと言われればその通りだが、まさか鍋にまでチョコレートを持ち出してくるとは思わなかった。今のところの味ははっきり言って最悪だが、本当に食材はこれだけだ。

こうなったらこれで戦うしかない。俺は鍋にチョコレートを含む食材を投入し、10過熱を済ませると持ち手の部分をしっかりと手に抱えた。奴は今回もタンドリーチキンで攻めるようだ。奇しくも鶏同士の戦いとなったわけだが、この勝負はいったいどうなる?

両者: 3、2、1、へいらっしゃい!

タンドリーチキンの持ち手の部分とステンレス鍋の持ち手部分がぶつかり合う。奴のタンドリーチキンは攻めに特化しており、それを甘みのあるHP11と防御力で受け流す形となる。が、ぬか漬けとチョコレートという最悪の相性故にこれまたフィールド全体に奇妙な香りをまき散らしている。

俺: くそっ、こんな時だけ俺はお前みたいなタンドリーチキンが羨ましいよ。

タンドリーチキンはシンプルな料理であるとともに、安定したステータスを誇っている。ピーキーさを前に安定さと言うものは圧倒的な勝率を誇っており、それはこれまでの俺と奴との勝負の結果が語っているのだ。

吹雪が強まる。鍋が冷えるのが先か命の灯12が消えるのが先か、どっちにしろ俺の敗北が近づいてきていることは明白だ。

"ジェントルメン"タンドリー: ハハハ!焼きたてのチキンに焦がれて炭になってしまえ!

今年もここで負けてしまうのか、視界が暗くなると同時に、鍋の回転が止まる ─





???: ステンレス、お前は何か一つ、大事なものを忘れている。

誰だ?

頭の中から声が聞こえる?

???: お前の扱う鍋は重大な欠点を一つ抱えている。それは柔軟性だ。

違う。これは過去に聞いたことのある発言だ。

となるとこれは走馬灯か?

???: お前は固定観念に囚われ過ぎている。それこそ、鍋の具材を途中で変更してはいけないなどと言う掟は存在しない。

……?

???: 本当に命が危なくなった時にだけ、この袋を開けろ。

この声は……

あぁ、そういうことか。

全部理解したよ。

今の俺には、チョコレートもぬか漬けも全てが必要なパーツだッ!





─ 俺は個包装の袋を切り破るとともに、その中身を鍋へぶち込んだ。

"ジェントルメン"タンドリー: 鍋の回転速度が、早まってきている……?まさかッ!そんなことはあり得ない、鍋に具材を追加するなんて!

俺: これは"具材じゃねぇ"んだ。

"ジェントルメン"タンドリー: まさか!まさかもう一つ食材を隠し持っていたというのか!

俺: "切り札は最後まで取っておくもの"、お前も聞いたことがあるだろう?

"ジェントルメン"タンドリー: 回転力がさっきよりも増しているッ!?クソ、耐えきれない!

俺: そう、今までの全てはこのために敷かれた鍋敷き13……!エリンギも、チーズも、豚肉もぬか漬けもチョコレートすらも、この食材は内包する!

これが全ての答え、因縁に決着をつける。

俺: 師匠、見てるか?これが俺の ─










飛翔したステンレス鍋が、"ジェントルメン"タンドリーの頭部を直撃した。


俺: オヤジ、俺勝ったよ。

後日、鍋用のお玉で墓に水をかけながら俺はそう呟いた。

俺: 師匠にもオヤジにもまだ届かないだろうけど、俺を師匠のところに入れてくれたオヤジは正解だったよ。最初は嫌だつって駄々こねてたけど……。それこそ死にかけたけど、俺はなんでもできるって師匠が教えてくれた。

花筒にネギを刺し、手を合わせる。

俺: おっ。

ステンレス鍋に雪の結晶が降り注ぎ、俺の体温との熱伝導で水滴になった。

関連資料

週刊闇寿司 特別号 クリスマスの過ごし方編
闇寿司所属の人間に最適なクリスマスの過ごし方が記されている。

闇鍋 - Wikipedia
参考にした。恐らく俺は歴史上初の一人で闇鍋を決行した者として歴史に刻まれるだろう。

文責: ミスター・ステンレス

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