概論
"ステータスの握り"は、人間、もしくは物体の"ステータス"をネタとする寿司の総称である。ここで言う"ステータス"はオンラインゲームやRPGなどのコンピューター・ゲームにおけるキャラクターの能力等を示す数値から来ている。
"ステータスの握り"の握り方は、他人の"ステータス"を奪い、寿司にしてしまうというもので、これをされた相手は概念的に弱体化する。"ステータス"を奪うには相手に直接触れることが必要となる1。寿司の強さは、奪った人物の"ステータス"に依存する。自分自身の"ステータス"をネタにすることも可能であり、寿司の強さは自分自身の"ステータス"に左右されてしまうものの、弱体化は起こさない。
スシブレード運用
"ステータスの握り"の、ステータスは奪った"ステータス"に完全に依存する。そのため、立ち回りはそれぞれの寿司によって異なり、カスタマイズ性は無限である。また、"すばやさ"を優先して抜き出し、"防御力"を残しておくなどといった風に、あえて特定の"ステータス"だけを抜き取ることも可能である。シャリは通常の寿司と同じなので、一応これで微調整を行える。
しかし、他人から無理やり奪った"ステータスの握り"は痛みが激しく、長くても一週間ほどで元の持ち主に"ステータス"が還ってしまうので、常用には適さない。同じ性能のものを使い続けるためには、監禁などの手段によって、定期的に持ち主から"ステータス"を奪える環境が必要となる。加えて本来の持ち主が死亡してしまうと"ステータスの握り"も消えてしまう。
他の活用法
"ステータスの握り"の真価は、やはり相手を弱体化させることができるという点にある。戦闘においては、相手を弱体化させると同時に、強い相手ほど強力な武器を手にすることができるが、概念を手早く握る技術が要求される。また、"精神力"等の"ステータス"も奪うことが可能であるので、精神干渉に抵抗力がある者に対して、精神酢飯漬けを容易にすることもできる。
一般に物体から奪った"ステータスの握り"はそれほどの強さを持たないが、頑丈な扉の"耐久力"を奪って破壊するといった使い道はある。相手の寿司に対しても、"ステータス"を奪うことは可能ではあるものの、回っている寿司を掴むことは実際には難しい。
また、"ステータスの握り"を摂食して自身の"ステータス"を底上げすることも可能である。こちらも、完全に消化されると"ステータス"は元の持ち主に還っていく。自分自身の"ステータス"によって握った"ステータスの握り"を他人に摂食させた場合、自分の"ステータス"を他人に分け与えることができる。この場合自身の"ステータス"は下がってしまうものの、任意の時点で"ステータス"を取り戻すことができる上、分け与えた相手に精神的な影響を与えることが可能になる。
エピソード
攻撃力
防御力
すばやさ
耐久力
知力
魔力
闇寿司ファイルNo.033-D "トラック"にて書いた通り、何らかの術を習得した安達に私は敗れ、店もトラックもスシの暗黒卿としての闇寿司での地位も失った。雪辱を果たすため、その後何度も安達に挑んだが、その高すぎる火力の前に寿司を焼き払われ、命からがら逃げだすことになった。
正攻法が通じないとなると搦め手だが、本来奴に有効であるとされる弱みの握りは、少なくとも本人主観では"ヴァギュラポス神話"の世界に転生したと信じてしまっている以上効果は見込めない。
珍妙な秘宝や魔具とやらのおかげなのか、"魔力"だけでなくその他の"ステータス"も半端ではないようだった(図)2。RPGでゲームクリア後に出てくるボスキャラのような理不尽さであった。そこで私は、RPGで自分よりステータスの高いボスにどう挑むかという観点から攻略法を思いついた。デバフである。高すぎるステータスは下げてしまえばいい3のだ。
そうしてドクター・トラヤーの協力4の下、打倒安達のために私が既存の概念系の寿司を発展させ開発したのがこの"ステータスの握り"である。
御蓮寺: 見つけたぞ安達。今日こそはお前を倒す5!
安達: フハハハハハ、何度やっても同じだオレンジ!
この世の物とは思えない格好をしている安達を見つけるのは簡単であった。言葉を交わした後、私はすぐさまカレーパンを撃ち込んだ。安達は、何もせず受けた。舐めプである。いくつかの寿司を当てたがやはり全く応えた様子がない。相変わらずインチキな"防御力"であった。そのまま私をフェンファランとやらで焼き払ってよさそうなものだが、安達はその高い"すばやさ"でわざわざ私の背後に回った。
安達: フハハハハハハハ、後ろだオレン…ウワァー
御蓮寺: かかったな安達!
安達は派手にすっころんだ。完全に増長していた安達がこのような行動にでることを予測していた6私は、あらかじめ自分の背後の地面の"摩擦力"の"ステータス"を奪っていたのだ。すかさず安達の胸元を掴み"ステータス"を奪うことに成功した。
安達: 馬鹿な!力がっ。貴様何をした。
御蓮寺: フェンファランとやらこの寿司に力を与えよ。
安達: まさか。
御蓮寺: 寿司へと流れ込む焔その持ち主と還れ7。
安達: ちょ、やめ。
御蓮寺:
「因果返し!」
「漆黒転技」!!!ダーカーバースト
安達から奪った"ステータスの握り"の必殺技によって私は勝利した。安達は、吹き飛ばされたのか姿は見えなかったが、"ステータスの握り"がまだ回っていたので残念ながら生きているようだった。しかし、あたりに散らばっていたやたらゴデゴテした装飾品や衣服を回収し、ドクター・トラヤーに買い取ってもらうことによって、私はまた店を建て直すことができた。
もちろん、このファイルを書いていることからもわかるだろうが、"ステータスの握り"を開発した実績がたたえられ、通算三回目の破門は無事取り消されたのだった。
関連資料
ヴァギュラポス装備一式(量産型)
ドクター・トラヤーが量産に成功した、安達が所持していた装備のレプリカ。相変わらずすごい科学?力だ。性能はオリジナル程ではないがそこそこ。しかし見た目が見た目なので使用者は少ない。
闇寿司ファイルNo.403 "弱みの握り"
"ステータスの握り"の元ネタとなった概念の握りの一つ。当たり前と言えば当たり前だが、"弱み"の持ち主がその弱点を克服8してしまうと効果を失ってしまうという事実を今回確認できた。
闇寿司ファイルNo.911 "広末孝行のたたき"
"ステータスの握り"の元ネタとなった概念の握りの一つ。その概念の本来持ち主に寿司の性能が左右されるという点で類似点がみられる。
闇寿司ファイルNo.303 "ジーコ"
"ステータスの握り"は、概念的な"ステータス"の集合体であるので、概念工学に詳しい物が見れば簡単にそのステータスを確認できてしまう。"ジーコ"によって偽装するといいだろう。
ヴァギュラポス神話TRPG
商品展開が早い。
文責: 御蓮寺 恋治