
記憶を元に描いたオゴポゴのイラスト。
概論
オゴポゴ(Ogopogo)は、カナダ、ブリティッシュコロンビア州のオカナガン湖で目撃される水棲未確認生物(UMA)である。オカナガン湖周辺の原住民には「ナイタカ(N'ha-a-itk)」としても知られ、その存在は古くから語り継がれてきた。細長い体形の大型生物で、体長は10m程。魚類とも爬虫類とも哺乳類ともつかない特徴を持ち、既存の分類学では分類不可能な謎の多い生物だ。
肉質は部位によって差が大きく、赤身は旨味の強いムッチリとした歯ごたえ、脂はほんのり甘くとろける舌触りでどちらも非常に美味だ。味は魚というよりは鯨の肉に近い。筋の多い部分は寿司には向かないが、煮込み料理には適しており、皮や骨もコラーゲン豊富で良い出汁が取れるなど、捨てるところがない非常に優秀なUMAだ。
スシブレード運用
希少性
攻撃力
防御力
持久力
機動力
重量
操作性
{$label8}
{$label9}
{$label10}
攻守ともに隙がなく、単純なぶつかり合いならば非常に強力だ。短所は足が遅い点で、逃げ回られて持久勝負になると少々厳しい。これを補う運用として、脂の多い部位を使うことで摩擦を減らし、1試合に2~3回ほど急加速で食らいつく技「オゴポゴ・スライディング」を出すことも可能だ。ただし赤身に比べると攻撃力が若干落ちるので、事前に相手の寿司のタイプをよく調べておき、持久勝負を仕掛けてきそうなら脂を増やすという戦略を取ることを推奨する。
熟練したブレーダーならばオゴポゴの聖霊に出会えるかもしれない。そのビジョンは本物のオゴポゴに比べると縮小されているが、怪物じみた姿は対戦相手に十分な威圧感を与えることができるだろう。あの冷たい視線で見つめられるだけで、弱小ブレーダーならば失神してしまうに違いない。あの大きな口で迫られたならば、戦意を失わずに立っていられる強者は一握りだろう。
最も特筆すべきは何と言ってもその希少性だ。そもそもの食材が珍しすぎて、データがほとんどない。相手はほぼ確実に初見の相手と戦うことになる。先日など、「まともな寿司を使え!」などと言って勝負を拒否してきた輩もいた。全く愚かなことだ。何事も情報を制したものが勝つ。希少な食材を使う価値はここにあると言えるだろう。正統派を気取って普通の魚を使うのならば、いくら握り込もうとも手の内はバレバレなのだ。
他の活用法
食べて美味い。UMAを食べるなどという経験は、普通の人生を歩んでいたら絶対に不可能だっただろう。闇に堕ちて本当に良かった。寿司にするために冷凍保存した部位以外、全て何らかの調理法を考えた。肉の硬い部分はシチューなど煮込み料理にすると凝縮された旨味を感じることができる。脂が多すぎる部分はラードやヘットのように抽出し、揚げ物などに使えるようにした。中華などの隠し味に使ってもコクが出て良い。皮は独特の食感でそのまま食べられる他、素揚げにするとパリパリとしておやつ感覚で楽しめる。骨は良い出汁が取れることが判明した。ラーメンのスープのベースに使えそうだ。内臓は珍味で、腸は茹でるとコリコリした食感で堪らない。肝は刻んで塩辛にした。本当に全て余すところなく食べられる。
エピソード
以下は当ファイル作成者、"骨切包丁のジャージー"がオゴポゴ捕獲作戦の際につけていた日誌である。
20██/██/██
晴れ
1日目。早朝現地入りし、捜索チームのメンバーと合流。隠棲動物学者のロジャース、自称探検家のマッキー、ボート操縦士のレインスだ。午前中に罠を仕掛けた。午後からはボートで湖を探索。センサーに反応なし。
20██/██/██
晴れ
2日目。罠は餌だけが無くなっていた。大きな餌に変えて仕掛け直し。午後からはボートで湖を探索。またもセンサーに反応なし。マッキーが水中に黒い影を見たと騒ぐ。
20██/██/██
曇り
3日目。罠の餌にかじり取ったような歯型があった。期待を込めつつ仕掛け直し。午後からはボートで湖を探索。またもセンサーに反応なし。船上で談笑して過ごす。ロジャースの話はかなり面白く、聞き入ってしまった。
20██/██/██
晴れ
4日目。罠が破損。1度かかってから暴れて破壊した?午後からはボートで湖を探索。センサーに反応あり。しかし直ぐに見失ってしまった。
20██/██/██
雨のち晴れ
5日目。本日は成果なし。
20██/██/██
晴れ
6日目。本日も成果なし。明日こそは。
20██/██/██
曇り
7日目。湖の底を浚っていたらボロボロになった布を見つけた。オゴポゴの犠牲者の痕跡か?マッキーがまた黒い影を見たと騒ぐ。
20██/██/██
曇り
8日目。マッキーが行方不明。もし湖で溺れていたら助からないだろう。あるいはオゴポゴに…。湖面は不気味なほどに静まり返っている。
20██/██/██
霧
9日目。黒い影を見た。奴に違いない。
20██/██/██
晴れ
10日目。レインスもロジャースも湖面を見てブツブツ何か言っている。マッキーのこともあるし、皆精神が限界にきているのかもしれない。一度諦めるべきだろうか。もう少しで行けそうな気がする。頑張ろう。
20██/██/██
霧
11日目。影を追う。奴が水面に顔を出した。非常に恐ろしい顔で震えが走った。銛も刺さらず網でも捕まらない。あと少しなのに。
20██/██/██
霧
12日目。ロジャースが目を狙えというので目に寿司を撃った。仰け反った首にレインスが銛を一突き。遂にやった。私だけのオゴポゴだ。
20██/██/██
晴れ
13日目。昨日はよくやった。本当に喜ばしい。早速日本に持ち帰って研究しなくては。私は世界初にして唯一のオゴポゴブレーダーになるのだ。
いかがだっただろうか?私たちは犠牲を払いながらも困難に打ち勝ち、ついにオゴポゴの捕獲に成功したのだ。
関連資料
闇寿司ファイルNo.107 "タキタロウ"
山形県の大鳥池に生息している全長3mにもなるという巨大魚。UMA寿司の入門編といったところ。
カナダガイドブック ~大自然の旅~
観光をする暇はなかったが、せっかく買ったので。
月刊ムー 2019年9月号
カナダのスカハ湖において、オゴポゴの近縁種が目撃されたことを伝える記事。7つもヒレがあるらしい。
オカナガン湖における新属新種の記載
捜索チームの同志、ロジャースの論文。これを発表したことがきっかけで学会を追放されたらしく、非常に心配だ。
文責: ジャージー