ユグドラシル・ピーク "イルミンスール"
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翻訳者: バース研究員(エリア-81JH考古学部門所属)

発見地: 日本生類創研 Bエリア研究所

付記: 日本生類創研への襲撃作戦で獲得した文書。紙は羊皮紙に似た特徴を持つが、組成物から未知の植物の繊維が確認されている。また、この紙はタラヨウ(Ilex latifolia)の葉に似た特徴を有しており、表面を鋭利なもので引掻くとその軌道上が黒色に染まる。

当該文書は存在未確認要注意文明"ユグドラシル・ピーク1"によって作成されたと推測されている。放射性炭素年代測定の結果、紀元前3500年から紀元前3000年までの間に作成された紙であることが明らかになっており、ユグドラシール・ピーク末期に作成されたことが明らかになっている。

日本生類創研が当該文書を獲得していた経緯について、同団体はユグドラシル・ピークを起源とするアーティファクト"フレイスヴニルの樹"を復元しており、その研究過程で入手したと推測されいる。


◆1枚目

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1段落目:
イルミンスールの樹は地畜2が差し木を用いて複製したユグドラシルの樹。神樹の知識を持ち合わせない地畜達が神樹の複製に成功したことは極めて異常な事態である。背景にはかつてユグドラシルを去った黒い蛇と、それを追うようにユグドラシルを去った栗鼠"ラタトスク3"が関与している。ラタトスクは樹と対話する能力に長けており、様々な知識の混ざり合うフレイスヴニルの樹4とも対話することができた。黒き蛇がユグドラシルから持ち去ったフレイスヴニルの果実を育て、ラタトスクが樹と対話することで地畜が欲求する情報を持つ果実を選び、それを地畜が享受した結果がイルミンスールの樹であると予想される。

2段落目:
フヴェイルゲルメル5氾濫を生き延びた地畜達と動物達は、地畜達が"眉間"と呼称する地域に都市を築き、その中心部にイルミンスールは植え付けた。ユグドラシルは全ての神樹の祖であり、複製品とはいえ地畜には過ぎたるものである。地畜達とそれに加担する動物たちはイルミンスールの樹の元に結束し、我々煌族に対抗しようとしていたのだ。




◆2枚目

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1段落目:
魔術師ロキ6と雷煌トール7は、都市を滅するため降臨した。しかし両名の意見は2つに割れていた。トールは様々手法を尽くし、地畜達を撃滅することを提案したが、ロキは異なる意見を提案した。

2段落目:
地畜達が矮小な力しか持たないというのに、あろうことか煌族に対抗しようとしているのは、群れることで自分たちの力を見誤っているからに他ならない。であれば、連中の結束を挫き、群れを解散させるのが良いだろう。生かしておけば本来の役割に使うことも出来るはずだ。殺すのはもったいないだろう。

3段落目:
ロキはイルミンスールの根に自身の根を絡ませると、イルミンスールの樹を蝕んだ。先程まで都市の繁栄の象徴だった神樹は不気味なざわつきを見せる。地畜達が異変を仲間に共有しようとした時、地畜達は絶望せざる得なかった。先程まで同じ言葉を共有していたはずの仲間が何を言っているのか分からくなっていたのだ。ロキは地畜達の話す言葉をイルミンスールに茂る葉の数だけ分割し、地畜達の意思疎通を断絶したのだ。

4段落目:
言の葉を散らされた地畜達は大混乱に陥り、絶大なる孤独に苛まれた。慌てふためく者、泣き出す者、他者へ掴みかかる者、恐慌し逃げだす者。ロキの大魔術はわずか一瞬で地畜達の企みを破壊したのだった。そのうち、混乱した地畜達が争いを始め、都市から火の手があがった。焼け焦げ、死に絶えたイルミンスールの樹を見たロキとトールはユグドラシルに帰っていった。

5段落目:
対話に長けたラタトスクだけはロキの魔術の影響を受けなかった。ラタトスクはこの状況の対処法を知ろうとフレイスヴニルの樹から知恵を借りると、黒き蛇に共有した。黒き蛇はラタトスクと何かを話し、1本の葦を咥えると、数人の白い地畜と黄色い地畜を連れて燃え上がる都市から消えていった。当初、地畜達はイルミンスールの樹を"神の門"と呼んでいた。しかし、言の葉が散り散りとなった現在では、彼らの神樹を指す語は"混乱"を指す言葉となっている。

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