異学捌零弐 八岐大蛇
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八岐大蛇

志号: 異学捌零弐

志類:

「竹簡」による記述: 東方の倭国1、出雲と呼ばれる地には、八岐大蛇という巨大な龍神が存在する。頭と尾は八つに分かれ、目は鬼灯のように紅く、背中には松や柏が生え育ち、腹は黒血でただれ、胴は八つの丘、八つの谷までに延びている。大蛇は肥河2を司っており、其の神通力で度々氾濫を起こしては、下流の村々を襲い、酒や娘を貪っている。

補足: 暴虐の限りを尽くしたとされる大蛇だが、倭国の蒐集院によると、嘉泰元年3現在、八岐大蛇と思しき異常事物は存在しないという。また、倭国の神話では既に討伐されたものとみなされており、概ね次のような伝説が語り継がれている:ある年、須佐之男と呼ばれる神が降りて来て、村娘との婚姻を条件に、大蛇退治を引き受けた。須佐之男は大蛇の酒豪ぶりを聞くと、村人に八塩折の酒4を作らせ、此れを飲ませた。大蛇が酔い潰れて動けなくなると、須佐之男は剣を取り出し、其の首を次々と斬り落とした。こうして大蛇は敗北し、肥河の氾濫も収まることとなった。大蛇の尾から作られた剣は強力な霊威を宿しており、蒐集院の第████番・草薙剣5として長らく保管されていた。だが、大乱6の最中に紛失してしまったという。

[康熙五十七年7追記] 八岐大蛇に関連があるとみられる異常事物を保護した。詳細は下記を参照のこと。

発見経緯: 蒐集院との学術交流を図るため、倭国に出向いた時のことだ。長崎の出島を散策していると、長屋の物陰から突如、奇怪な小蛇が顔を出し、我々一行を驚かせた。蛇は人語を操り、酔客の如き口調で、己を出雲肥河の旧神、八岐大蛇と称した。その上で、倭人に狙われていると訴え、我々に対し身柄の保護を願った。明らかに異常の類であることから、我々はひとまず蛇を籠に入れ、匿うことにした。しばらくして、蒐集院の研儀官に蛇を見せた所、彼らはたちまち血相を変え、逃げ惑う蛇をあの手この手で追い掛け回した。妙なことに、研儀官ではない普通の倭人までもが怒りに駆られ、この大捕物に加わり始めたので、大尉・開陽8は忘却術を展開し、強引にその場を収めると、怯える小蛇を本国まで連れ帰った。

分析: 八岐大蛇と名乗ってはいるものの、伝承の八岐大蛇には到底見えない風貌である。だが小蛇曰く、自分は須佐之男に斬られた首の一つだという。世間には首だけで動く妖魔9がごまんといるのだ、龍神ともなれば、八つの首が独立して動いてもおかしくはない。他の首はどうしたのか問うと、美濃に落ち延び、山神として返り咲いた首もあれば、倭国の王に生まれ変わり、草薙剣を取り戻した首もあるという10。しかしながら、残りの首は斬り所が悪く、大半は逃亡先で力尽きたとしている11。自身も神通力を上手く扱えないため、小さな蛇へと姿を変え、各地で隠遁していたと語っている。

観察の結果、多少の神通力を使えることが分かったが、逸話通りの大酒飲みである故、力の殆どを酒の錬成に注ぎ込む有様であり、腹はだらしなく膨らみ、這うことすら億劫なのか、その場を動くことは滅多に無く、動いても跳ねたり転がったりと情けない。態度に関しても大蛇さながらであり、広州の港に着くやいなや、老酒12と女を求める横柄さを見せつけている。

されども、危険を感じると底力を発揮するようで、異学会成員・許山華が腹の中身を調べようと試みた際には、天井まで飛び上がり、毒息を吐いて機敏に逃げ回ることもあった。また、今更になって暗殺への備えを始めたらしく、いくら飲んでも酔い潰れない体質となっている。本国に来てからは酔酒拳13にも興味を示しており、管理者へしきりにやり方を尋ねている。だが、腕も無いのに何をどう繰り出すつもりなのか。つくづく考えの甘い小蛇と言えよう。

[光緖二十九年14追記] 蒐集院に留学中の許山華から、件の小蛇に似た異常事物を発見したとの報告あり。

覚書の複写を以下に付す。

槌の子蒐集物覚書帳目録第二八八◯番

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図画

一六◯八年五月捕捉。研儀官大淀主税が越前国の山中にて発見。外観は胴の太いヘビで、柄の無い槌に似ている。息は酒臭く、毒気を含む。術式を用いて捕縛するも、移送中に異常な力を発揮して脱走。詳細な観察は出来なかった。

一六一◯年二月追記。調査の結果、日本各地に同様の存在を確認。ノヅチ、タテクリカエシ、ツチンボ、ツチヘビ、土転び等、地域によって様々な呼び名がある模様。蒐集のため、各地に研儀官を派遣する。

一六一五年四月追記。相模国にて捕獲。妊娠したヤマガカシと判明。

一六二三年一月追記。陸奥国にて捕獲。鼠を丸呑みしたマムシと判明。

一六四八年九月追記。薩摩国にて捕獲。胴の短いヒメハブと判明。

このままでは埒が明かない。
ここは一つ、槌の子の捕獲に賞金を出して、市民に探させることを提案する。

研儀官 松前喜助

そこまで躍起になる必要があるのだろうか。
異常とはいえ、近づかなければ無害に等しいというのに。

研儀官 川勝三太夫

全国で野放しにされているのは由々しき問題であり、早急な対処が要るだろう。
それに、奴の放つ妖力は極めて特異なものだった。
形容し難いが、我々とは決して相容れない、根源的な脅威を孕んでいるように思える。
今後も捜索は続けられる。

研儀官 大淀主税

一六七九年六月追記。甲斐国にて捕獲。棒切れを誤認。

[後略]

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剣影けんえいおそれてすなはち大河たいがを越える

幻影げんえいにくみてれを捕らえんと欲す

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嗚呼、何たる不毛な試みか!
真相を打ち明けたい所だが、康熙五十七年の騒動を見るに、今度こそ蒐集院との戦争になりかねない。
酒の席等でうっかり漏らさぬよう、留学中の成員は細心の注意を払うこと。




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格異・治学・融会







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収容中のSCP-CN-████

1933年追記: 財団中国支部による異学会の接収後、保護されていた蛇型実体はSCP-CN-████とナンバリングされました。なお、異学会と蒐集院の文献から推測するに、当オブジェクトは大和民族15にのみ有効な精神影響を発している可能性があります。詳細は当該報告書を参照してください。

1945年追記: 財団日本支部が蒐集院を接収したことで、公的組織によるSCP-CN-████(日本側俗称: ツチノコ)の捜索は一応の収束を見せました。なお、陸軍特別医療部隊の遺構を調べた所、SCP-CN-████と思しき死骸が発見されましたが、詳しい調査の結果、日本生類研究所より流出した人造生物であることが判明しました。

民間単位での捜索は依然として発生していることから、非日本人職員による動向の監視が続けられています。

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