ykamikuraの提言
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5/001-JP LEVEL 5/001-JP

CLASSIFIED

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Item #: SCP-001-JP

Object Class: Non-Anomalous


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SCP-001-JP例、美しい蝶。


特別収容プロトコル: SCP-001-JPの保護は財団にとって最優先事項です。SCP-001-JP保護区"エリア・ビオトープ"維持のために、人的資源を含むあらゆる資源の投入が許可されます。SCP-001-JPを異常存在と接触させる、および異常存在に関する情報を与えることはEK-クラス"羽化"シナリオに繋がるため、異常存在を隔離するための施設"サイト"がエリア・ビオトープ内に複数建造されます。

財団における代表的な職種、およびその職務は以下の通りです。

  • O5評議会メンバー: 財団における最高意思決定機関であるO5評議会のメンバーであり、定員は13名です。個人情報保護のため、名前を剥奪され、番号で呼ばれなければなりません。あたかも異常存在の如く。表向きは異常存在との接触が禁じられており、そのため部下からは「安全な場所から指示を出すだけのお偉いさん」と疎まれます。日々、背負いきれない程の問題と、責任の重圧に苦しみ続けているというのに。
  • サイト管理官: 各サイトの最高責任者であり、サイト職員の活動を指揮します。サイトはセキュリティ上極端に窓が少ない、もしくは完全な地下構造になっていることが多く、陽光の差し込まないオペレーションルームは気を滅入らせます。彼らの判断ミスは即座に収容違反に繋がるため、一時も気が抜けません。収容違反が起きれば、モニター越しに部下たちの死に様を見せつけられ、最後にはオペレーションルームが彼のひつぎとなることでしょう。
  • 研究員: 異常存在を研究し、その安全な収容方法を策定します。無茶な話です。彼らは科学の徒だというのに、それが全く通じない異常存在と引き合わされ、さあ研究しろと言われるのです。自分が学んできたカガクとは何だったのか。それでも彼らは科学者であろうとします。現実改変、奇跡論、異常芸術、空想科学、反ミーム、次々出現するファンタジック科学に翻弄されながら。しかし何より辛いのは、Dクラス職員を用いた実験です。
  • フィールドエージェント: 財団の目となり耳となり、エリア・ビオトープに発生する異常存在を探索します。サイト外で活動するため、常に偽装身分を用いて素性を隠さなければなりません。呼吸するように嘘を吐き続ける内に、自分が何者か分からなくなる。記憶処理で他人の記憶をもてあそび続けた報いでしょうか。異常存在に最初に接触することになるため、その殉職率は極めて高い。彼らは狩人であると同時に、釣り餌でもあります。
  • 機動部隊隊員: 他の職種では対応できない、かつ特定の異常存在に特化した特務班"機動部隊"の隊員です。多くの場合、武装しています。銃やヘリで済むならまだましです。不死身の肉体を与えられ、現実改変能力を付与され、挙句の果てには幽霊になってまで戦い続ける。戦闘狂? だったらどれだけ良かったか。彼らが戦い続けるのは、自分たちが最後の砦、唯一の剣だと知っているからです。他の誰かでは無理だったのだから。
  • 倫理委員会メンバー: 財団職員の非人道的行為を取り締まる"倫理委員会"のメンバーです。財団で人道遵守? 矛盾の極みです。それでも彼らがいなければ、財団はすぐに目的を見失ってしまう。彼らが異常と戦う時、異常もまた彼らを見つめているのだから。彼らは魂を削って選り分け続けます。この命の使い方は合理的か否か、この苦痛に意味はあるのか否か。一般的な倫理観とは根本的にずれている、財団の倫理観に従って。
  • Dクラス職員: 残機、人型モルモット、異常存在の餌。そして名も無き英雄たち。
  • 管理者: [削除済]

各職務に加え、全ての財団職員は以下の条項を遵守しなければなりません。

  • 財団職員は家族に正体を明かしてはいけません。
  • 財団職員は友人に本音を漏らしてはいけません。
  • 財団職員は神にすがってはいけません。
  • 財団職員は死を恐れてはいけません。
  • 財団職員は死を望んではいけません。
  • 財団職員は非難を恐れてはいけません。
  • 財団職員は賞賛を望んではいけません。
  • 財団職員は他人の記憶を改竄かいざんし続けなければいけません。
  • 財団職員は自分の記憶を改竄され続けなければいけません。
  • 財団職員は世界の歴史を改竄し続けなければいけません。
  • 財団職員は哀れみを捨てなければいけません。
  • 財団職員は矛盾を受け容れなければいけません。
  • 財団職員は同僚の殉職理由を遺族に伝えてはいけません。
  • 財団職員は自らの殉職理由を遺族に伝えてはいけません。
  • 財団職員は泣いてはいけません。

職務遂行が困難になった場合は、次のフレーズをゆっくりと、はっきり復唱して下さい。
 

確保(Secure)・収容(Contain)・保護(Protect)


 
すべてはSCP-001-JPのために。

説明: SCP-001-JPは空を吹き渡る風です。緑萌える草原が広がり、駿馬が駆ける大地です。雨になって森を潤し、海になって星を包み、雲になって空へ帰る水です。いいえ、そこに精霊はいません。単なる現象です。にも関わらず、あなたは大いなる水と風の循環に、何者かの意思を感じすにはいられない。

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SCP-001-JP例、美しい花。

SCP-001-JPは子供たちが遊ぶ公園です。夕食前のスーパーマーケットです。退屈な授業にあくびを噛み殺し、クラスメートと内緒話をした午後の教室です。それらは時に煩わしくさえ感じるもの。けれど、財団に身を置いてあなたは気付いた。あの退屈な日々こそが、自分を守ってくれていたことに。

SCP-001-JPは百通りの解釈を受け容れるモナ=リザの微笑みです。ローマの繁栄を今に伝えるパンテオンの彫像群です。月下の荒野にて、かすかな竹笛の音に合わせる、顔も見えぬ歌姫のアリアです。忘却に抗うように、人は歴史という名の美術館に自作を寄贈し続ける。タイトルはただ一つ、『自分は此処ここに居た』。

SCP-001-JPは浜辺で嗅いだ砂と潮の香りです。じゃれつく愛犬の毛皮の感触です。亡き祖母が膝の上で聞かせてくれた、怖いのに続きをせがまずにはいられなかった昔話です。文章にすれば1行にも満たない、些細な思い出たち。しかし、それはあなたと世界をつなぐ、永遠の鎖の一部。今なら分かる、それを断ち切る罪深さが。

SCP-001-JPはビッグ・バンと事象の地平面を解き明かす理論です。地球を見えない網でつなぐ電子情報網です。天然痘を根絶し、生命の設計図たる遺伝子にも切り込む医療です。錬金術と占星術から始まった科学は、今や魔法を越えようとしている。それはいずれ、神の姿すら描き出すでしょう。

SCP-001-JPは銃弾が飛び交う戦場です。いわれ無き迫害を受け続ける亡国の民です。燃え上がり崩れ落ちる故郷と、涙も枯れ果てた子供たちの瞳です。それらは時に、異常より不条理で醜い。しかし、無意味ではない。否、無意味にしてはならないのだと、そうあなたに思わせるから、実際に無意味ではない。

SCP-001-JPは宇宙です。広大で寒々しい深淵のはずなのに、那由多なゆたの星々の輝きは天上の祝祭のよう。

SCP-001-JPは地球です。40億年に渡る生命の歴史を見守り、これからも見守り続ける母なる星。

SCP-001-JPは異常を知らない人々です。あなたもかつてはそうだった。

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SCP-001-JP例、美しい人。

SCP-001-JPはあなたの父親です。

SCP-001-JPはあなたの母親です。

SCP-001-JPはあなたの兄弟です。

SCP-001-JPはあなたの子供です。

SCP-001-JPはあなたの親友です。

SCP-001-JPはあなたの恋人です。

SCP-001-JPは財団によって正常と認められたもの全てです。故にオブジェクトクラスはNon-Anomalous。SCP-001-JPはありふれたもの、そして掛け替えのないもの。

SCP-001-JPはとてもはかない。異常性の暴風にさらされれば、桜吹雪のように散らされてしまう。だから、かつてSCP-001-JPだったあなたは財団職員になった。SCP-001-JPを光の下で生かし続けるために、自分は闇の中で死ぬ覚悟で。

SCP-001-JPは美しい。

O5評議会提言概要

提言:
"異常性を有しないSCP-001-JPのオブジェクト指定の是非" (O5-11)

評議会投票概要:

棄権
O5-01
O5-02
O5-03
O5-04
O5-05
O5-06
O5-07
O5-08
O5-09
O5-10
O5-11
O5-12
O5-13

結果
承認

SCP-001-JP自体に異常性はない。しかし、財団が発足する切掛であり、存在理由でもある点を考慮すれば、001へのナンバリングは適切である。- O5-1

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