キャロル#958: 創世
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RAISAファイル: 要注意団体 [消滅済]
GOI-001: シカゴ・スピリット

ファイル作成日時: 1931年頃
GOIによる最後のファイル改訂: 1939年10月
ファイル回収日時: 2000年7月
[文章を以下に再現]1

{Carroll 958: Genesis}

キャロル2#958: 創世


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キャロル958: タイタンどもが呼ぶところの"鉄の子宮"。


{Where It Is}

何処にあるか


スピリットが持ってるハムの包装工場、その地下には金庫用の気密ドアがある。"創世"のための隠し部屋だ。勝手に機械へ触るな。白衣の連中から連絡があった時は、人の目に触れないよう裏口から通してやれ。あいつらは計画の拠点を自分たちの清潔な研究所に置きたがっているが、それを許されるほどチャペルに信用を置かれちゃいない。俺たちの目の届くところで万事を済ませろというのがボスの命令だ。

更新: 始末は上手くやれた筈だ。隠し部屋が暴かれたとしても、誰もそこで何が行われていたか知りようがないだろう。


{Who Knows About It}

誰が知っているか


何も知らされずにこのファイルを読んでいるなら — でかした。チャペルはもう既に、お前は秘密を教えて構わないぐらいの重要人物だと考えている。派遣されてくる白衣どもを別とすれば、この計画の存在を知っているのはごく一握りだ。俺を含め、これに関わる構成員は特に忠誠心のある候補から慎重に選び抜かれた。

この計画の成功は、スピリットの今後に大きく関わってくる。覚えるべき命令は2つ。隠せ、守り通せ。

更新: 命令はまだ有効だ。灰色コート3共が協定を破って踏み込んできた時、俺は運よく土壇場でこのファイルを持ち出すことができた。恐らく墓場まで持っていくことになるだろうな。


{How We Made It}

どうやって作ったか


教会嫌いの彼自身はこういう言い方を好かないだろうが、俺たちにとって、チャペルは全能の神そのものだった。そして知っての通り、神は人間を創った。

チャペルに子供はいない — 居たのならば、よほど上手く隠し通していたに違いない。だから、チャペルの"魔法"が衰え始めたという噂が立った時、議論の的になったのは「誰がスピリットを継ぐのか?」ということだった。命知らずの"鋸歯"や"不壊"? "車輪"やデリンジャーのような信頼のおける幹部連中? あるいは野心溢れる別の人物か?

もちろんチャペルは、そんなふざけたことを抜かす奴らの口を指の一振りで二度と開かせやしなかったし、常に優れたプランを用意していた。呼ばれたのはタイタンの連中4だった。

チャペルが要求したのは「自身に匹敵する強い後継者」だ。彼の血と才能を受け継ぎ、巨大な犯罪帝国の支配者に値する"もの言う力"を持つ子供。それに対しタイタンの連中が提案したのは「母体によらない生命の創造」だった。かみ砕いて言えば、奴らはナニを女の股ぐらに突っ込まずガキを生み出せるってことだ。言葉にすれば馬鹿げた話だが、それを夢物語のままにしないのがキャロルってモノのすごいところだな。

何にせよ、チャペルとタイタンの使者は合意に至った。その後届けられたのがコレってわけさ。


{What We Use It For}

どう使うか


タイタンどもの小難しい説明は8割がた理解不能だった。わかっていることだけを話す。

  • こいつは不可思議な方法でチャペルの子供を作る。
  • そのためにはチャペルの血や子種が必要になる。

実際の動かし方はタイタンからやってきた科学者どもが知っている。俺たちの仕事は材料を工場に運び込むことと、誰にも計画の邪魔をさせないようにすることだ。あとは待ってりゃカプセルの中に赤ん坊が浮かんでくる。

赤ん坊たちはグリーングレイの粘液に浸かったまま、大体7,8か月で11歳程度にまで成長した。それでテストを受けさせて、チャペルのような力を持っていれば合格。見込みが無さそうならタイタンが引き取ってどこかへ連れて行く。大抵の子供は後者になるが、あいつらがどんな末路を迎えるのかは知りたくないね。

今のところ、お眼鏡に適ったのはほんの一握りだ。チャペルは合格者をなかなか生み出せないタイタンどもに怒りをぶちまけているが、これ以上脅しつけたところで連中の手際の悪さがどうにかなるとも思えねえ。合格したらしたで子守りの必要もある — 俺たちには慣れない仕事だが、寄宿舎学校に放り込むわけにもいかねえしな。

問題は山積みだが、確かに可能性の種は蒔かれた。それがどんな実を結ぶかは、まさしく神のみぞ知るところなんだろう。チャペルの後継者たちによって、スピリットは新たな時代へ進もうとしている。

更新: 振り返ってみると、俺たちは途方もないことに手を出しちまったんだろうな。

俺は数少ない合格者の内2人を知ってるが、1人は魔法の使い方をトチって自分の頭を飴玉に変えちまったし、もう1人は目を離している隙にヘロイン中毒の廃人になっちまった — 空中からヤクを取り出せるガキを、どうやって悪い物から遠ざけたらいい? 俺たちは根本的に子供の育て方ってものを知らなかったんだ。

考えれば、チャペルだって最初から強い力を持っていたわけじゃねえ。ルディ・ベンソンしかり、鉛頭リードヘッド共との抗争しかり、いくつもの修羅場が新聞売りの坊やをマフィアのボスにまで育てあげたんだ。カプセルという危険のない楽園から出てきた赤ん坊には、経験と度胸を積む時間が致命的に欠けている。

だが気づいたところで、もはやスピリットにはその「時間」が残されちゃいなかった。

計画に関するもので残ってるのはこのファイルだけだ。灰色コートの連中から逃れる際、俺たちは全部の証拠を燃やし、機械を片っ端からぶっ壊した。それがチャペルの命令だった。万が一にでもこの計画のことを知られるわけには行かなかったからだ。そうして、あの隠し部屋は永遠に閉ざされた。

本当に、あと1年あったらと思わずにはいられねえよ。シカゴ・スピリットを継ぐ、強大な力を持った"神の子"。その誕生をついに見られなかったことを、俺は残念に思う。

・・・

・・・

・・・

序文: 以下の書簡は、2000年7月の対GOI作戦におけるキャロル#958文書の発見と同時に回収されました。内容に関連性があるため、当ファイルにも収録します。

親愛なるレジナルド。

"創世"について覚えているか? 俺たちはあれに始末をつけたと思っていたが、どうやら違ったらしい。結局タイタンどもはスピリットを裏切っていた。あいつらは、自分たちのご高尚な研究のためにチャペルの魔法の理屈を知りたがっていただけだった。だからスピリットの崩壊する間際に、あいつらはチャペルの遺伝子を持ち逃げしたのさ。

タイタンがあれをどんな目論見に使おうとしていたかに興味は無い。だが、あいつらが冷戦後に倒産騒ぎを起こしかけたとき、計画がどういう破綻を迎えたのかは何となく分かる。スピリットと同じさ。混乱に収拾がつかなくなった時、気付かれないまま何かが檻から出ていったんだろう。

俺は先週、懐かしのシカゴを通りかかった。そしてそこで、薄汚い路地にたむろする不良の一党を見た。そいつらの先頭に立つ少年は……レジ―、信じてくれ、そいつの顔は、若いころのチャペルに生き写しだった。

あの少年だけじゃない。あちこちで、とうに忘れ去られたはずの"シカゴ・スピリット"の名を尋ねる連中がいる。半世紀以上の時間をかけて育った"何か"が、この国の裏社会に、間違いなく大きな変革を起こそうとしている。

だが、俺には見届けられない。灰色コートの連中が俺の居所を嗅ぎつけた。頼むレジ―、今何が起きているかを知ってくれ。俺にはこの後に何が起こるかわかる。ガキの頃さんざん教会で聞かされた通りだ。

神に創られた人間はエデンの園から追い出された。そして、地に満ちたんだ。


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