長虫の勝利!
かつては
卑賎な
長虫、
今では神:
エウセストディエル、
体長3mの
聖なる怒り、
256脚の
純粋なる神威、
そして
ワンワーム
ショーストッパー!
長虫の究極の勝利を、何度も何度もご覧あれ!
以下は、"サーカスの誕生: ハーマン・フラーの酔狂な動物園"と題された出版物のページです。 発行者と著者の身元は確定されておらず、散逸したページが世界中の図書館にあるサーカスをテーマにした書籍に挿入されています。 この伝播活動の背後にいる人物は未確認です。
アニマル・ハウス
To the Circus Born
奴はその気になればどこまでもクソ野郎になることができた。
例えば、この世から消えて失せる少し前に、フラーが高齢の動物たちを有効活用する“名案”を思い付いたことがある。そのまま歳でくたばるんだったら、いっそド派手に送り出してやった方が良い。そうだろう? そこでエウセストディエルの登場だ。
底無しの胃袋を持つピエロをサーカスで雇う利点の一つは、そいつの体内から見つかる色々な腸内寄生虫が大いに役立つということだ。そんな寄生虫の中に一匹、何らかの… まぁとにかく普通のサナダムシが理解できる程度の何らかの力に対する反逆を通して神格化を果たした奴がいた。勿論、そいつの天の王国が数人のピエロとフリークの集まりでしかないなら、そいつの託宣だって新しい曲芸の口実でしかない。
別にエウセストディエルを見くびってはいない。“神だった”というのは本心からの表現だ。あの化け物はいわば薬缶の中の大嵐であり、想像力の壊滅的な欠如だけに縛られた恐怖だった。あいつとフラーは地獄で結ばれたコンビ、邪悪な機械の舵を取る邪悪な心という関係にあった。
さて、フラーのサイコーな名案の話に戻ろう。その夜の公演はごく普通に始まった。動物園の往年のスターたちが集められ、全力を尽くして一番ウケる芸を披露した。上手にこなす必要は無い。実際、次に来るものを考えれば、おかしな失敗が相応しいぐらいだ。最後の動物に向けた最後の喝采に続いて、世界が静止する。照明が暗くなり、バンドが静まり返る — 演出の妙だ。観客が限界まで期待に胸を膨らませてから、団長がいよいよ口を開く。
「親愛なる観客の皆々様、今あなた方は伝説を、過ぎ去りし時代の獣たちを、その他にも様々なものをご覧になりました。しかし、全ての伝説の裏には醜悪な真実があります…」 この時、俺はフラーの顔に浮かんだ下品なニヤニヤ笑いが聞こえたような気がした。「結局のところ、人生の最後に勝利するのは長虫なのです」
その合図が出ると、エウセストディエルはあっという間に注目を独占した。動物たちの全ての芸を、あいつはもっと上等にやってのけたんだ。バク宙は曲技飛行になり、火を吹けば正真正銘の虹色になった。エウセストディエルが自分の身の上話を観客の心に刻み始めると、あの“お喋りトニー”でさえ霞んで見えた。ハーマン・フラーの動物園が観客に披露できるありとあらゆる事のごった煮ってわけさ。
話の終わりに入る前に、フラーもエウセストディエルも、この後で何が起こるか一切予告していなかったのを強調しておきたい。
一頭また一頭と、動物たちが名前を呼ばれてリングに入って来た。エウセストディエルが短い賛辞を送り、それに好みのお菓子と、観客や古参芸人たちから等しく拍手が続く。動物たちの逸話に残る生涯が大いに祝福され、なんやかんや。
ここでようやく、俺はフラーの姿が何処にも見えないのに気が付いた。
賛辞を締めくくると、エウセストディエルはまた観客に意識を向けた。過去の名場面が回想される — 楽しい思い出や記憶に残る大失敗、老兵たちを偲ぶ一番最後のスピーチ。エウセストディエルは、サーカスの忠実な屋台骨たちにスタンディングオベーションをするよう観客に呼びかける。
そして、拍手が始まってから六秒後、全ての動物の頭がド派手に爆発した。
まさに混沌だった。動物たちに悲鳴を上げる間も与えず、けばけばしい黄色に紫縞だったテントは、一瞬で陰惨な赤に染め上げられた。脳みそが観客と芸人たちに等しくへばり付いた。五分もしないうちに、フラーの手下どもは本格的な暴動鎮圧に乗り出していた。
全体的に見て、フラー時代の三番目に酷いショーだった。
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