クレジット
タイトル: "恐怖!怖すぎ屋敷!!"とは何だったのか?
著者: ©︎Genryu
作成年: 2026
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収デン7に現れたデス・ヨシオと火星の民の墓
「あ!墓だ!!」
SCPオンリーイベント"収容違反インシデント7"にて、私は展示されている彼らの墓前で自撮りを始めた。側から見れば不謹慎極まりない行為だが、拙作に登場するオブジェを前にして興奮を抑えることが出来なかった。
「人類大量殺戮ブレードもある!!」
誰も逃れられない。
加えて、1/1スケールの"Dead Blade"までもが現実に……原作者としてこれ程までに嬉しいことはない。
シャカシャカとデス・ヨシオごっこに興じていると、展示物の製作者であるCome_Dreamさんが声をかけてくださった。
「あ、Come_Dreamさん!お世話になっております!!」
「こんにちは〜」
「いやこれ、すごいクオリティですね〜!Dead Bladeの刃なんか特にこう、金属っぽくてキラキラで、ギンギラギンにさりげなくって感じで 」
「良ければそちら、Genryuさんに差し上げますよ」
「……えぇ!?あ、ありがとうございます……!?」
まさかのプレゼント宣言。いただけて嬉しいという感情でテンションが最高潮になったのと同時に、一抹の不安も過ぎる。
これ、どうやって持ち帰ればいいんだ?
"死"の文字で形作られた刃だ。公衆の面前に晒すのは不適切なのではないか?
「テロリストだと思われたらどうしよう……」
「あー、ならこうすれば大丈夫だと思います!」
彼はそう言って墓の前に立つ。そして徐にヨシオ達の墓石に手をかけ
ブチィ!!
上の面を引き剥がして破壊してしまった。
「うわー!墓がぁー!!」
世界オカルト連合の如き所業に、情けなく悲鳴をあげてしまう私。とばっちりで全滅した火星の民が、その墓まで破壊されてしまうという悲劇に涙を禁じ得なかった。
「火星の民……うぅ……」
「ほら見てください。これで大丈夫」
"死"が検閲されたDead Blade
ヨシオのお墓の前で泣かないでくださいと言わんばかりの笑顔を浮かべている。
「検閲カバーです」
「うわぁお!」
墓の上面パーツ2枚で"死"が検閲され、コンプラ的に安心安全な代物となっていた。オマケに養生テープでの封印も施してある。起点を効かせて瞬く間に"死"を収容してしまう彼は世界オカルト連合ではなく、やはり財団側の人間なのだなとしみじみ思った。
こうなったら持ち帰らない理由はない。ここまで計らっていただいて、ホンマありがとうございます。
「ありがとう!Come_Dreamさん!」
「お気をつけて」
そうして私はDead Bladeを装備して会場を練り歩き、道行くサイトメンバーに恐怖を刻みながら楽しい時間を過ごしたのだった。
帰りの電車(※画像はイメージです)
(リアルイベント、楽しすぎ屋敷だったな)
帰りの電車に揺られながら、収デン7のことを思い返していた。やはりリアイベは良いものだ。沢山のグッズと多くのSCPファンの方々に囲まれる時間は、私の創作意欲を刺激してくれる。
嗚呼、次回の収デンにも絶対参加したいなぁ……と思ったその時、ふとサイトメンバーの方々に何回か投げかけられた問いかけを思い出した。
怖すぎ屋敷って
何だったんですか?
恐怖!怖すぎ屋敷!!(以下、屋敷)とは私が投稿したジョークTaleであり、投稿後3日で低評価削除された作品だ。ありがたいことに記事内の言い回しを擦ったり、関連作品を執筆したりしたサイトメンバーのお陰で一部の方々には覚えていただけている。
さて、原作者なら先ほどの問いかけに答えられて当然のはずだろう。しかし、私は首を傾げることしか出来ず「何だったんでしょうね〜」などと曖昧な回答をするのに終始した。皆はきっと「なんだこいつ……本当に原作者なのかよ」などと思ったはずだ。
多くの方に鼻で笑われたが、屋敷だって私にとって大切な作品のひとつである。なのに、それを説明するとなると途端に困り果ててしまうのは変だと思わないだろうか?
自著なら、誰よりも原作者である私自身が語れた方が良いのではないか。そのためにも、今一度屋敷に向き合う必要があるかもしれない……と、帰りの電車に揺られながら考えた。長い帰路だ。自著について考える時間にするのも悪くな
(ああっと!)
デスチラ
"死"がチラついてしまっている!
養生テープの粘着力を過信していたようだ。検閲カバーが捲れて"夕"の部分まで晒されている。"ヒ"まで見えたら、ヤバいぜ?
私は慌ててテープを貼り直し、念入りに指で押して収容をより強固なものとした。
(……耐えたか?)
周囲の人に見られてはいなさそう。なんとか耐えられたらしい。Safe。
さて、気を取り直して思考しよう。
屋敷とは、何だったのか?
説明が難しいのは何故か?
そもそも、自分で書いたのにも関わらず、屋敷の説明を難しく感じているのは何故なのか。それはきっと、アレを書いた経緯やプロセスを言語化しようとしてこなかったからに違いない。それを整理しない限り、屋敷を紐解くことはままならないだろう。
まずは、執筆の経緯から思い返していこう。
あの夏
確か、屋敷を書いたのは2024年の夏。恐怖のコンテスト真っ只中だった。読者に恐怖を喚起する記事を執筆するコンテスト開催中に、それと関係ありそうで全く無関係である屋敷を投稿。もしかしたら、荒らしのように思われてしまったかもしれないな……。
しかし、たとえ恐怖のコンテスト不参加であったとしても、あのイベント無くして屋敷は生まれなかった。これは間違いない。
アイデア出し
今思えば、当時の私は自身の実力を過大評価していたな。既にクリーピーパスタを数作は投稿し、いずれもポジティブ評価でサイト上に残せている。「私はホラーが書けるから、今回のコンテストこそ結果を残せるはずだ」などと思い上がっていた……ああ、墓があったら踊りたい。
それで早速、アイデア出しを始めて、自分の中にある恐怖の種を片っ端から書き連ねて、プロットを書き殴っていたっけ。ちょっとしたものも含め、少なくとも10は挙げていた気がする。
私はそれで、それで……
確か、ええと
恐怖!ムズすぎ屋敷!!
「うわー!」
結果、ムズすぎ屋敷であった。
「クリシェの匂いがする……」
恐怖という概念へのゲシュタルト崩壊により、何が恐ろしいのか分からなくなってしまったのだ。闇雲にアイデアを弄り、手垢だけがついていく。いつしか、思いついたもの全てが陳腐でつまらなく感じるようになった。
「アウトプットのアウトは、そっちの意味だったのか!」
アウトプットばかりに偏っては"アウト"。執筆からは離れ、一旦インプットもしよう。そう思い、恐怖コン参加Taleを読んでみた。
「うわー!」
とても面白かったし、しっかり怖すぎであった。全国一斉霊的感知力テストも相談役も、その他諸々も!
UVを押すのと同時に、心が折れる音がした。
「俺はここで死ぬのか?」
湿り気のある逃走
初めての方向けの怖すぎ屋敷執筆ガイド
一般的な怖すぎ屋敷の投稿方法
1: ホラーの材料を用意します
このサイトは完成された記事のためのサイトです。未完成の記事が投稿されることがないようにしましょう。
まずは、ありがちなホラーの材料を挙げていきます。
- 閉鎖空間
- 拘束
- 墓
- 儀式
- 殺人鬼
分かりやすく香ばしいモノを使っているのがポイントです。
2: 下ごしらえプロットを作ります
材料を使って、ありがちなホラーストーリーを書き上げます。
主人公は目を覚ますと、見知らぬ部屋に閉じ込められていた。手足は禍々しい拘束具に囚われており、動かすことは叶わない。鼻腔を突く異様な臭気の原因を探るために周囲を見渡すと、窓の外にある墓標が目に入る。それが自身の未来を暗示するかのように感じられ、図らずも死を予感した。
突然、男が入室し主人公の前に立つ。主人公はその顔に見覚えがあった。何故なら、その男は指名手配中の凶悪な殺人鬼であったからだ。
男は儀式と称して踊り始める。その後に起こることは、これまで起きた連続殺事件を思い返せば容易に想像がつく。主人公に出来るのは、ただ恐怖に震えることのみだ。
そうして、主人公は凄惨な拷問の末に殺されてしまった。
こわいなぁ。
3: 隠し味を投入
最高にシュールでフール、かつクールな味にするための隠し味を投入します。ホラーと相反するツッコミ要素を中心に加えていきましょう。味濃くて丁度いいくらいなので、ガンガン盛っていきます。
"隠し"味?
何だよそれ。
- 情けない悲鳴: 「うわー!」
- 可愛らしい雰囲気の比喩: エスキモー犬
- 幼稚な言い回し: うんち
- ダンスが武器の凶悪な殺人鬼: デス・ヨシオ
- 唐突なバトル展開: スピリット・バリア!
- 誤った慣用表現: 貴様はまな板の上なのだ!
- 明瞭なオチ: おめでとう!
これにて本文は完成です。
これだけで終わりではありません!
4: URLの味付けも忘れずに
遊べる所はとことん遊びます。URLは勿論
http://scp-jp.wikidot.com/

this-is-creepy-pasta
5: 作成報告
作成報告用スレッドのSCP-JP記事用スレッドで新しい記事を作成したことを報告してください。この報告によって、記事が完成して評価を受けられる状態になったことがサイトメンバーに伝わります。Twitterなどの任意のSNSで友人に報告するよりも先にすることを強くお勧めします。
6: デス・ヨシオの誕生
おぎゃー! おぎゃー!
おめでとうございます!元気な殺人鬼です!
デス・ヨシオは死にました。
おめでとう!デーモンマン!
「……んはっ!」
俺は目が覚めると、見知った電車内で揺られていた。
(おやすみ屋敷してたのか……)
どうやら思考を巡らせているうちに、いつの間にか睡魔に隙を見せてしまったようだ。悪夢でも見ていたのか、全身に変な汗をかいている。その内容は全く思い出せず、記憶を掘り起こそうとした時間は無駄になるだけだった。
(まぁいいか)
疲れからか、物事を考える気力も無くなっている。もう、屋敷に関してもシンプルに考えてしまおう。
サイトメンバーとして、大人として、節度を持って創作を楽しむ。その前提で好きな時に、好きなだけ、好きなものを書く。それが philosophy なら、"怖すぎ屋敷って何だったんですか?"への回答は自ずと決まるはずだ。
私の好きなものです
これ以上の言葉は不要な気がしてならない。
他の自著と同じく、屋敷も自身の理想や世界観を出力して書き上げた作品だ。例えそれが低評価削除されてしまったとしても、私にとっては何にも代え難い存在である。要するに好きなのだ。これからも、そんな作品を書いていきたいと心から思う。そして、それをサイト上に残せるくらい面白く出来るよう精進していこう。
あー、モチベが上がってきたぞ!
なんだか疲れも吹っ飛んだ感じがする。電車を降りるまでにはまだ時間があるから、その間は塩漬けにしてある下書きの改稿でも
「あ」
デスモロ
いつの間にか、"死"がモロに出てしまっていた。
私が寝ている間に検閲カバーが取れてしまったらしい。どれ程の間、これが露出していたのかは分からない……考えたくない。
慌てて養生テープを貼り直す。しかし、既に粘着力は限界に達しているのか、何度貼ってもすぐに剥がれ落ちてしまう。もはや、"死"の収容は完全に不可能となっていた。
(あゝ死よ……)
心なしか周囲の視線が私に刺さっている気がする。それでも、もう打つ手はない。
(いい天気だ)
いっそ開き直って、虚な目で空だけを見つめることにした。仕方ないだろう、"スピリット・バリア"など使えないのだから。
そんな私を他所に、"死"は白日の元でどうしようもないくらいに光り輝き、燦々と電車内を照らしていた。
(これぞまさに、"収容違反インシデント"……ってね)



