こくみんのきろく その74: わふくんの おたすけはけん日記
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おたすけはけん日記 1日め

やった! やった!

ぼく ついに
おたすけはけん隊の メンバーに
なれたよ!

ようやく にんげんさんのせかいに
行くことができる!

王さまが まちにむかえてくれる
にんげんさんたちと あそんだことは
いままでも 何回かあったけど

ぼくは もっと もーっと
にんげんさんと あそんでみたいって
ずっと 思ってたんだ

だから すっごく

すっごく うれしい!

ああ まちきれないなぁ

王さまの ちょくぞくのおしごとなんて
はりきって がんばらなきゃだね!


ぼく 日記をかくの
だいすきだから

きょうから おたすけはけん隊のこととか
にんげんさんのせかいで あったこととか

この日記ちょうに まいにち
かいていこうっと!





おたすけはけん日記 2日め

いよいよ しゅっぱつの日!

王さまのいる お城に
ぼくや ほかのぬいぐるみたちも
みんな あつまったよ

どうやら こんかいのはけん隊の メンバーは
ぼくのほかにも たくさんいるみたい

ちかくの つみきのおうちにすんでる
きつねちゃんに

むかいの ドールハウスにすんでる
しまりすくん

ほかにも ぼくの おともだちが
たっくさんいる!

こんなにも お友だちがおおいと
さみしくなんか ないね!

そのあと えっけんの間で
ぼくたちは 王さまから
これからすることを せつめいしてもらった


「にんげんはみな
 きみたちを ひつようとしているのだ

 だから あるじさまに はじないよう
 きみたちは いっしょうけんめい

 にんげんのそばに
 ついてあげてほしいのだ」

王さまは にんげんさんを楽しませるために
たっくさん かんがえている
とっても いそがしいひと

そんな 王さまのことば
きちんと あたまのわたに
つめこんだよ!

それに あるじさまも
おっしゃってたもんね

「じぶんが 楽しいとおもうことを
 だれかに わけっこすれば
 みんなが 楽しめる」って

うん

ぼくも にんげんさんに会えると思うと
とっても たのしみ!!





おたすけはけん日記 3日め

ぼくら おたすけはけん隊は
ほんとうに こまってるにんげんさんの ちかくに
ちょくせつ よりそってあげる はけん隊なんだって

そしてぼくは
王さまがくれた しゃしんの子のところに
やってきた

おなまえは
「こづか かなみ」ちゃんっていう
おんなのこみたい

ようちえんの かべにかかれた 絵からとびでて

ぼくは かなみちゃんのようすを 見たり
ほかの おもちゃさんに まぎれて
あそんでもらえるか ためしてみたりした

うーん

なんだか かなみちゃん
あんまり ほかのお友だちと
あそんでるように 見えないかも

どうしてだろ?


それから ぼくは
かなみちゃんの おかあさんが
むかえにきたのを みつけた

だから こっそりちかづいて
かなみちゃんの おかあさんの くるまに
そっと しのびこんじゃった!

きっと おかあさんには
見つかってなかったはず だよね?

かなみちゃん
なんだか あんまり おしゃべりじゃないみたい

おかあさんとも
あんまり おはなししてない

「このあと じゅくがあるから
 しっかり じゅんびしなさいね」

って おかあさんが言ってたけど

じゅくって なんだろ?





おたすけはけん日記 4日め

かなみちゃんの おうちに やってきたよ
とってもおっきな おやしきみたいな おうちだった!

くるまに こっそり 乗っちゃったときは
ちょっぴり しんぱいだったけど

おかあさんには 見つかってなかったみたい

よかったぁ~

そして かなみちゃんは
じゅくから かえったあと

そのまま つくえで
おべんきょうしてるみたいだった

お友だちと あそんだり
おもちゃで あそんだり しないのかなって

ぼくは しばらく
じっと 見てたんだけど

かなみちゃんが おべんきょうを
おわらせるころには

もうすっかり
おゆうはんのじかんだった


きのうもそうだったし
きょうも ようちえんから かえってきたら

「じゅく」に行って
そのあと おべんきょうしなきゃいけないみたい

かなみちゃん
なんだか たいへんそう


だから そろそろぼくも
かなみちゃんのまえに 出てみることにしたの!

そしたら かなみちゃん
よろこんでくれるかな?

よろこんでくれたら いいな!



「はじめまして かなみちゃん
 ぼくは かなみちゃんのために
 ぬいぐるみ王国から やってきた
 いぬの ぬいぐるみです

 なかよくしてくれると
 とっても うれしいです!」

って じこしょうかいを したんだけど

思ったよりも びっくりさせちゃった みたい・・・

かなみちゃんはぼくが おはなしできる
ぬいぐるみだってことに
とびあがるほど おどろいちゃった


でも おたすけはけん隊としては
だいじょうぶだったよ!

かなみちゃん びっくりはしちゃったけど
おはなしをするうちに ぼくのこと ちょっぴり
きにいってくれた みたい


でも かなみちゃんのおへやに
おかあさんが 入ってくるとき

かなみちゃんは ちっちゃいこえで

「あんまり おしゃべりしないで」

って言って

ぼくを いそいで かくしちゃった


おかあさんに
見つかっちゃいけないのかな

かなみちゃん
どうして そんなに
あわてたんだろ?





おたすけはけん日記 5日め

かなみちゃんは ぼくに
「わふくん」って おなまえを
つけてくれた!

かなみちゃんの よんでくれる
おなまえ とっても
すてきだなぁって 思った!

でも そのかなみちゃんは
また ようちえんに行って
じゅくに行って
かえってきたら おべんきょうしてた

ぼくも ようちえんや じゅくに
ついていこうとしたけど

「ぜったい だめ!」

って かなみちゃんから
おこられちゃった・・・

でもね でもね

じゅくから かえってきたあとの
おへやでの おべんきょうちゅうは

ちいさいこえで ひそひそ おしゃべりしたり
おべんきょうについて おしえてくれたりしてたよ


しょうがっこうで ならう
かんじとか
えいごとか
さんすうとか

おべんきょうって
なんだか とっても
いそがしいこと たくさんなんだね

えんぴつで かりかりって
おべんきょうしてるの

ぼくも おなじように
日記ちょうから ページをちぎって
まねまねしてみたけど

かなみちゃんみたいに
きれいな字は
ぜんぜん かけなかったよ!



でも おべんきょうのじかんは
おゆうはんのときまでで

よる9じになると
はをみがいて ねなきゃいけないって

きのうは ひとりでねちゃったけど
なんだか きょうは
すこし さみしそう

「いっしょにねると
 さみしくないよ?」

って ぼくが こえをかけてあげると

「あさ おかあさんが起こしてきたら
 わふくん みつかっちゃうかも」

って

かなみちゃんは
おかあさんに ぼくが見つかるのが
とっても こわいみたいだった

だから ぼくは
こう言ってあげた

「だいじょうぶだよ かなみちゃん
 おかあさんに 見つかっても
 ぼくは ただの ぬいぐるみだから!」

って

「ぼくはもう かなみちゃんの
 ぬいぐるみになってるから

 かなみちゃんの おかあさんに
 うごかないぼくを 見られても

 きっと ただのぬいぐるみだって
 思うだけだよ」

まだ ちょっぴり しんぱいそうな
かなみちゃんだったけど

それでも ぼくといっしょに
ねたかったみたい

だきしめられながら 日記をかくのって
けっこう たいへんだね・・・





おたすけはけん日記 6日め

かなみちゃんは きょう
ようちえん おやすみみたい

でもじゅくは おやすみの日でも あるんだって

あさ ぼくよりも先に起きて
かなみちゃんは かばんをじゅんびして
いそがしそうだった

ぼくはなんとなく 分かってきた

ほんとうは かなみちゃん
じゅくには 行きたくないんだってこと


でも どうして 行きたくないのに
じゅくに 行くんだろ?

ぼくや お友だちと
あそぶことも

かなみちゃんは なんだか
だめなことだって 思ってるみたい


かなみちゃんが かえってきたとき
ぼくは 思い切って きいてみたんだ

「どうして じゅくに
 行かなきゃいけないの?」

かなみちゃんは
ぼくのしつもんに

「おしごとで いそがしい
 おかあさんを こまらせたくないから」って

ちょっぴりかなしそうに 答えてくれた

そっか

ほんとうは おかあさんのこと
かなみちゃんは 好きだったんだね

だから おかあさんを
こまらせないように

おべんきょうを がんばったり
たいへんだったんだ

それなら ぼくにもできること あるかも!



はけん隊の ぬいぐるみなら
かならず 持っている

王さまの つうこうてがた

「これを持ってたら ぼくといっしょに
 ぬいぐるみ王国へ 入国できるんだよ」って

かなみちゃんに プレゼントしてあげたよ

かなみちゃんは つうこうてがたを 見て
よろこんでるような しんぱいみたいな
ふしぎな おかおをした

きっと
おかあさんに言わずに
あそびに出かけるのが
ふあんだったのかも・・・

でも だいじょうぶ!

王さまに おねがいすれば
日づけが かわるまでなら

入国したじかんに
また もどってこれるから!


そう かなみちゃんに つたえたら

かなみちゃんは
とっても 安心したみたいに

ぼくと ぬいぐるみ王国に
入国したいって 言ってくれた

そのときの かなみちゃんは
いままでで いっちばん

うれしそうに
よろこんでくれたよ!

でも きょうは
ちょっと おそいから

あしたのあさに
しゅっぱつすることにした

かなみちゃんが
よろこんでくれるなら

ぼくも とってもうれしいな!





おたすけはけん日記 7日め

かなみちゃんなんでだろ
ぬいぐるみ王国 楽しくなかったのかな

入国して 王さまに えっけんして
いろんなところを 回っていこうって

さいしょは とっても
楽しそうにしてたのに

お城のひろばで
みんなが あつまってきたころに

かなみちゃんは きゅうに
おうちに かえらなきゃって
泣きだしちゃった

ぼくも 王さまも

どうしたらいいか
わからなくって

まちのお友だちとか
みんなで いっしょうけんめい
なぐさめてあげたけど


「おかあさんに
 だまって おでかけは
 だめだから」って

かなみちゃんは
ずっと くりかえしてた

だから けっきょく
かなみちゃんの おうちに
かえってきちゃった

じゅくに行く じゅんびをする
かなみちゃんは やっぱり
つらそうだった

でも さっきまでの ぬいぐるみ王国も
きっと つらかったんだと思う

たのしいところなのに

かなみちゃんは つらそうだった


ぼくは なにか
まちがえちゃったのかな

うーん・・・





おたすけはけん日記 10日め

おたすけはけん隊として しゅっぱつして
きょうで 10日め!

あいかわらず かなみちゃんは
ようちえんと じゅくで
とっても いそがしそう

ぼくは かなみちゃんの おかあさんに
見つからないように

ひそひそ いっしょに おべんきょうしてる

おそとで 元気に あそんだりとか

お友だちといっぱい おしゃべりしたりとか
そういうのは やっぱりあんまり ないみたい

「かなみが あそんでると
 おかあさんが かなしむから」

かなみちゃんは
いつも そう言うんだ

おかあさんのこと
だいじにしたいって

そんなことも 言ってた


おべんきょうが おわると
かなみちゃんは おふとんに入って
ぼくを ぎゅっと だきしめてくる

このときの かなみちゃんは
とっても しあわせそう

だから ぼくは きいてみたんだ

「どうして おかあさんは
 かなみちゃんが あそんでると
 かなしくなっちゃうの?」

そしたら かなみちゃんは
ぼくを だきしめたまま

ちいさいこえで 教えてくれた

「おかあさんは かなみが ぜんぶなんだって」

「おとうさんが いなくなって
 おかあさんには かなみしか いないから」

「だから かなみが ちゃんとしてないと
 おかあさん ひとりになっちゃうから」

そういえば

かなみちゃんの おとうさんって
どこに いるんだろ?





おたすけはけん日記 12日め

ずっと つくえに向き合ったまま
きょうも おべんきょう

くりあがり くりさがりの さんすうは
かなみちゃん あんまり とくいじゃないみたい

じゅくの もんだいが かえってきたって

見せてもらったら 赤の ばってんが
たくさんあった

「これじゃ だめだよね」
「もっと がんばらなきゃ」

かなみちゃんは なみだめになって
かみを ぐちゃって しちゃってた

だから ぼくは かなみちゃんの 手に
そっと よりそってこう 言ってあげた

「ううん かなみちゃん もう
 じゅうぶん がんばってるよ

 だから そんなに
 つらそうにしなくて いいんだよ」

かなみちゃんは ちょっとだけ ぼくを見たけど

それでも やっぱり
また えんぴつを にぎっちゃう子なんだけどね


かなみちゃんが 言うには おかあさんは
かなみちゃんの せいせきを見て

「かなみ がんばったのね えらいわ」

って 言ってくれたんだって

でも「ほめてくれたわけじゃ ない」って

かなみちゃんは 言った

「おかあさんが よろこんでくれないと
 しんじゃった おとうさんも
 よろこばないから」って

かなみちゃん
また 泣いちゃったんだ

かなみちゃんは おとうさんも おかあさんも
とっても 大好きなんだね

ぼくは かなみちゃんを
ぎゅっと だきしめてあげた

かなみちゃんも
ぼくを だきしめてくれた

えへへ
ぼくは ずっと
きみの みかただよ








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おたすけはけん日記 45日め

かなみちゃんは
まいにち おべんきょう

ぼくは おべんきょうちゅうに
ひそひそ おはなし

おふとんで だきしめられて
そのまま ねむりについて

そんなまいにちを
おくってます


でも ぼくは
ときどき 思うんだ


かなみちゃんは おかあさんのために
がんばってるけど

かなみちゃんが かなみちゃんの
じぶんのために できてることって
なにか あるのかなって

それは なんだろうって

ぼく ちょっと
かんがえちゃって


このままで
いいのかな





おたすけはけん日記 53日め

かなみちゃん
いまは 「じゅけん」に
いそがしいみたい

しょうがっこうに 入学するのに
「じゅけん」をしないと
いけないんだって

いままでの おべんきょうより
もっと むずかしいことを
じゅくで やるんだって

だからかな

さいきん ぼくとの おはなし
すこし すくなくなってきたような・・・


それでも
かなみちゃんのそばを

ぼくは はなれないよ

かなみちゃんが
ほんとうは ぼくと
おはなししたいの

ぼくが いちばん
分かってるから

かなみちゃんが
「わふくん」って
よんでくれる そのこえは

いつも ちいさくても

かなみちゃんの やさしさが
ちゃんと つまってるんだもん!





おたすけはけん日記 58日め

かなみちゃん きょうも おべんきょう
ぼくは よこで なでてもらっていたよ

せんせいと おかあさんに
ほめられたって よろこんでた!

おたすけはけん日記 59日め

かなみちゃん きょうは じゅくで
お友だちと クイズあそびを やったんだって

あそびクイズは とくいみたい

1位になれて またほめられたって
よろこんでた!

おたすけはけん日記 60日め

かなみちゃんは きょうも おべんきょう
ぼくはまた よこで おべんきょうを見てたよ

ちょっとだけ おかあさんが ふきげんだって

だからかなみちゃん きょうは
おへやから 出なかった

そのぶん いつもよりおはなし たくさんしたよ!

だいじょうぶ ぼくは おこったりしないからね

おたすけはけん日記 61日め

かなみちゃんは きょうも おべんきょう
よこで おべんきょうを 見てたけど

かなみちゃんは 「じゅけん」が
しんぱいみたい

そんなにも たいへんなものなのかな
テストも もうすぐなんだって

だから きょうは 8じはんに
おふとんに 入っちゃった

おたすけはけん日記 62日め

かなみちゃんは きょうも おべんきょう
ぼくもよこで おべんきょうを 見てたよ


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おたすけはけん日記 210日め

ついに かなみちゃんは
しょうがくせいに なったよ

せいふくをきて
にゅうがくしきに 行くんだって

ようちえんのときは あんまり お友だちが
できなかったけど・・・

こんどこそ お友だちが
たくさんできるといいね

かなみちゃん!

でも ぼくはやっぱり おるすばん

それでも かなみちゃんは
がっこうへ行くまえに

ぎゅっとぼくを だきしめてくれた


いつもより
ながい気がして

あたらしいばしょに 行くのって
ふあんだもんね

よしよし

「だいじょうぶ かなみちゃん
 かなみちゃんは いい子だから
 お友だち たくさんできるよ!」

だきしめられて
だきしめかえして

ぼくは かなみちゃんを
みおくったんだ

がんばって!





おたすけはけん日記 234日め

かなみちゃん しょうがっこうで
どんなことを してるんだろ?

ピンクいろの ランドセルをしょって
がっこうに行って

そのあとは また じゅくに行って

あんまり ようちえんのころと
そんなに ちがってないような・・・

でも せんせいに ほめられることは
とっても 多くなったみたい!

かえってくると おかあさんに
よく そのおはなしをしてるし

おかあさんも そのおはなしを
きくのが たのしそう!


もちろん ぼくにも
いっぱい おはなししてくれたよ!

せんせいに 当てられてきちんと こたえられたこととか
かんじの字が きれいだって 言われたこととか

さんすうは とくに ほめられることが
多いんだって!

かなみちゃんの にがてだったもの
こくふく できたんだねえ

すごいよ かなみちゃん!

えへへ

おふとんのうえで いっぱい
ぎゅってしてくれる

かなみちゃんが うれしいとき
あんしんしてるときの サインだね

よかった!





おたすけはけん日記 302日め

きょうは かなみちゃんの
おたんじょうびなんだって!

この日 かなみちゃんはおかあさんといっしょに
ゆうえんちへ 行ってくるって

もちろん ぼくは おるすばん

「おかあさんに 見られると よくない」

「しょうがくせいで ぬいぐるみ
 もってると はずかしい」

かなみちゃん
そんなこと 言ってたっけ

ぼくは かなみちゃんのおへやから
まどのそとを見ながら ずっとかんがえてた

かなみちゃんは おかあさんからも だいじにされてる
がっこうでも せんせいから ほめられてる

なんにんか お友だちもできたって

たまにお外へ出て あそんだりもするように
なってきた


しょうがくせいになって かなみちゃん
ちょっとずつ かわってきたみたい

きっと このちょうしでいけば
かなみちゃんは しあわせになれるよね?

・・・うん
きっと なれるはず!

かなみちゃんの しあわせは
ぼくの しあわせ

しあわせは わけっこしてこそだもん!


ねえ 王さま
王国から 見てるかな?

ぼく 王さまからの使命
ちゃんと できてるよ

あるじさまも 見ておられるもんね!





おたすけはけん日記 556日め

かなみちゃんは まいにち がっこうで
しあわせに すごしてると 思う

ぼくも いっしょに
がっこうへ 行けたなら

いいんだけどなあ・・・

でも じゅくから かえってきたら
また ぎゅっと だきしめてくれる
そんなまいにちが ずっと つづいてます

そんな かなみちゃんも
もうすぐ 2ねんせいだって

すっかり 背ものびて

はじめて会ったときより
ぐんと せいちょうしたね!


「かなみちゃんが 元気だと ぼくも うれしいな」

って かなみちゃんに言うと

「わふくんもいるから 元気になれる」

って 言ってくれる

えへへ

そう言ってもらえるなんて やっぱりうれしいな!

おへやにいるとき いっぱい おしゃべりしたり
いっしょにねたり おべんきょうもいっしょにしたり

そのときの かなみちゃんは とっても楽しそう!

「楽しいは わけっこすれば
 みんなが楽しめる」

かなみちゃんが 楽しければみんな とっても楽しい
ぼくはいつでも かなみちゃんの楽しいを まもるからね!








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おたすけはけん日記 1700日め

かなみちゃんの おうちに来てから
きょうで 1700日め

とっても ながいあいだ
いっしょに すごしたね

かなみちゃんも しょうがく5年生になって

もっと むずかしい おべんきょうも
どんどん こなしてて

ぼくはもう ちんぷんかんぷんだよう

でも かなみちゃんは
それも ぜんぶ わかるんだって

とっても かしこくなった かなみちゃん

かっこいいよ!

でも どうしてかなあ

かなみちゃん ぼくとの おはなしはもう
あんまり してくれなくなっちゃった


あるときぼくは きいたんだ

「さいきん ぼく
 たなのうえに おかれちゃうけど
 もう いっしょに ねなくていいの?」って

そしたら かなみちゃんは

「しょう5になって ぬいぐるみといっしょに
 ねるなんて はずかしいから」って 言った

ぼくは ふしぎに
思っちゃった

ぼくと いっしょに ねるのって

そんなに はずかしいのかな・・・





おたすけはけん日記 2055日め

さいきん かなみちゃんと おかあさん
よく ケンカをしてる

「おかあさんに なにが わかるっていうの!」って

すごいこえで かなみちゃんが さけんだり

ときどき おさらや かたいものが
ゆかにおちて われる音が することもある

だいじょうぶかな・・・

そして おかあさんと 大ゲンカしたあとは
かならずぼくを だきしめる

「かなみちゃん だいじょうぶ?」

って きくと

「うん」

とだけ こたえるんだ


でも かなみちゃんは ないたまま
ぼくのわたが つぶれきるくらい
ぎゅっと だきしめて

なみだを しみこませる

そんな かなみちゃんに ぼくは
やさしく あたまを なでてあげる

いつもは がっこうでも だいかつやくする
かなみちゃんだけど・・・

「だいじょうぶだよ かなみちゃん
 だいじょうぶ だいじょうぶ」

ぼくは そう言って かなみちゃんを
なぐさめてあげる

かなみちゃん ほんとうに
がんばりやさんだね





おたすけはけん日記 2450日め

かなみちゃんが ちゅうがくせいになった

もう ずっと
背も たかくなって

ちっちゃかった かなみちゃんは
とおい昔のことみたい

ぼくは かなみちゃんを
たなから 見まもるように
なっちゃった

あんまり うごきまわると

すごく じゃまそうに
たなに もどされちゃうから

かなみちゃん

ぼくのこと
きらいになっちゃったのかな?


おかあさんとの ケンカもふえて

にゅうがくしきのときも
なんだか ふきげんで

かなみちゃんは おうちでは ずっと
おこったままなんだ

でも がっこうでは そうじゃないのかな

でんわで お友だちと おはなししてる
かなみちゃんを見ることが ふえてきたかも

もし そうなら

かなみちゃんは お友だちに かこまれて
しあわせなんだろうなあ


しあわせ

なんだよね?





おたすけはけん日記 2633日め

かなみちゃんともう ほとんど
おはなししてない

でんわで ずっとお友だちと おしゃべりしてる
じゅくにはもう 行かなくなったみたいだけど・・・

でも おべんきょうの いそがしさは
いままでよりもずっと たいへんそう

おかあさんとはもう あんまり
なかよしじゃないみたい

この なんにちか

かなみちゃんと おかあさんが
おしゃべりしてるところ

見たことないから


ぼくは かなみちゃんと
もう なんにちも なんにちも
ずっと いっしょに すごしてきたよね

かなみちゃんが
楽しいって 思えるなら

お友だちと おしゃべりするのも
すごく いいと思うんだ

でも でもね

ぼくは よくわかんないんだ

かなみちゃんは お友だちと
楽しいを してる

それは ぼくにとっても
「楽しい」のはず

なのに どうして

こんなにも
よく わかんないのかな





おたすけはけん日記 2639日め

たなのうえから

ぼくは

ぼくは かなみちゃんを
まいにち ずっとながめてる

かなみちゃんは
「テニス」っていうあそびを

がっこうで やってるみたい

でんわで おはなししてるのは
そのあそびの お友だちなのかな

たのしそうなこえで
わらうことも ある

でも

ううん・・・

ぼく かなみちゃんのこと
どこまで わかってるのか

わかんないよ


あるじさまの教えや 王さまのおはなしだと
かなみちゃんが 楽しいなら
かなみちゃんが しあわせなら

ぼくも うれしいになるはず

はず だよね?

なのに ぼくはそうじゃないんだ

とっても わたの
おくそこが ぐるぐるして

へんなんだ


かなみちゃんは お友だちと おはなししてる
かなみちゃんは テニスもしてる

きっとそれは 楽しいことの はずなのに

ぼくはどうして

こんなに へんなのかな

もしかしてだけど・・・
もしかして かなみちゃん

ほんとうは楽しいじゃ ないのかな





おたすけはけん日記 2640日め

かなみ ち  ゃん

   でんわ  で お       ちゅうに
             しゃべり
  はなしか
       けたの だめだった かも

  「ううん なんで もないよ!
        ちょっとおかあさんが
               はなしかけただけ!」

そうい って 
        かなみちゃんは

   ぼく を クロ 
            ーゼット
                 のはこに
        おしこ   めちゃ
                  った


  まっ  くら なにも   み
                 えない
かなみちゃん のこえ      そとからきこえてくる
            だけが 

あんなに こわ
        いかおをした かなみちゃん

         はじめて みた

  はこからは 出られた  け ど
     クロー ぜ
          ットのと びらは おもく て
    うごか せなかっ た



どう  しよう・・・ これ  じゃ あ
    かな
       みちゃんの こと お
                 たす けで きない!





おたすけはけん日記 2642日め

クローゼットのなかだとまっくらすぎて
日記 うまく かけなくて・・・

だから きのうは日記 かかなかった

でもいいことも あったよ

ぼくを とじこめちゃった
かなみちゃんがまた ぎゅって
だきしめてくれたんだ!

「ごめんね わふくん
 ふつう ぬいぐるみは おしゃべりしないから
 友だちに しられたら まずいの」

かなみちゃんは
ぼくを かかえながら

ごめんね
ごめんね って

ずっと あやまってくれた

そんな・・・
かなみちゃんが わるいことをしたわけじゃ ないのに

ぎゃくに でんわ中に はなしかけちゃって ごめんねって
ぼくのほうが あやまるべきだもん


でも きょうはね

ひさしぶりに かなみちゃんと
たくさん おはなしできたよ

がっこうに お友だちが たくさんいること
テニス部っていう部活に 入ってること
せんせいにも とってもほめてもらえてること

かなみちゃんは いろんなことを おはなししてくれた
おかあさんのことは おはなししてくれなかったけど・・・

それでも ぼくが
「かなみちゃんは しあわせ?」って きくと

かなみちゃんは
「うん わたし しあわせだよ!」って
言ってくれた

そっか それならとっても よかった!

ぼくも かなみちゃんが しあわせなら
とっても しあわせだから!





でも

かなみちゃんはまた ぼくを
クローゼットの はこの中に
いれちゃうんだって

「わたしは これから
 友だちを おうちに よぶから
 わふくんは クローゼットに 入ってて

 おしゃべりは だめだからね」

かなみちゃんの お友だちなら
ぼくもおはなし してみたかったけど

かなみちゃんが だめっていうなら
そうだね

ぼく おはなしは
しないでおくね


お友だちと いっしょの
かなみちゃんが

楽しいなら

ぼくも
うれしいから


だから

だいじょうぶ








・






・






・






・






おたすけはけん日記 たぶん 3000日め くらい?

かなみちゃんは


     クローゼット
           のそ  とで
  お友だちを
        よんで
           るみたい

    ぼくは
       きょうもおし

            ゃべりは しない


  日き くらくて
          かけない





  かなみ ちゃん

          げんきかな








・






・






・






・






おたすけはけん日記 4000日め たぶん


    かな み ちゃん

        どう して
              る か  な




    もう なん 日        に
            クローゼッ ト   いるか

  わかん ない
          け  ど

      げん き だ
             と   いい な !








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おたすけはけん日記



       にっ き
             かけ な  い
                       なぁ







  ぼく これ  で        か な
           いい の 









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おたすけはけん日記 すごくいっぱい日!!

きょう とっても ひさしぶりに
かなみちゃんと おはなししたよ!

かなみちゃん もうすっかり 大人になって
だいがくってところに 行くんだって!

クローゼットをあけて おひっこしをするって
ぼくや まわりのはこを みんな出して
おおいそがしだったよ

でも

それよりも かなみちゃんと もういちど
おはなしできたのが うれしかった!

「わふくん  こんなとこに いたんだ」
「ごめんね ずっと さみしかったよね」

かなみちゃんは そう言って

とっても やさしく わらって

ぼくを もちあげて
ぎゅっと だきしめてくれた


「あら そんなぬいぐるみ
 もってたのね?」

おかあさんが そう言うと
かなみちゃんは ぼくを だきしめたまま

「うん じつはね
 ずっと たからものだったの」

って 言ってくれた

かなみちゃんと おかあさん
もうすっかり なかなおりしたんだね!

かなみちゃん ぼくが 見ないあいだに
ずっと しあわせに なってたんだね

ぼく はじめて こんなに
しあわせに なれたよ!

かなみちゃんが しあわせなら
ぼくも しあわせ

わけっこしてくれて
ありがとう!





おたすけはけん日記 たぶん 5000日め くらい

かなみちゃんは まえよりも ずっと
おしゃべりさんに なったみたい!

とうきょうの だいがくに 通うために
ひとりぐらしをするって
アパートを かりたんだって

だから おへやには
ぼくと かなみちゃんの
ふたりきりになった

おひっこしのときも
あたらしい おうちでも

かなみちゃんは
ずっと おはなししてくれたんだ!

もちろん

おそとや
かなみちゃん以外の
ひとのまえでは

おはなしは だめって
言われちゃったままだけど・・・


それでも かなみちゃんはぼくと おはなしできて
うれしいみたい!

「なんとか めざしてた だいがくに
 はいれたんだよね」

「ここからは もっと たいへんだけど
 きあい いれなきゃ」

「でも わふくんは まだ
 おしゃべりできるままで
 うれしい」

「もう さみしくないかもね」

そんなおはなしを いっぱいしてくれた!

どうやら かなみちゃんは
もう じぶんが 大人になっちゃったから

ぼくも むかしみたいには
おしゃべりしてくれないんじゃないかって
再会したとき思ってたみたい

そんなこと ないのに!

だって ぼくはかなみちゃんの
いちばんの お友だちなんだから・・・!





おたすけはけん日記 たぶん 5123日め くらい

かなみちゃんは ぼくを かばんに入れて
おでかけすることが おおくなった

ぼくはずっと おるすばんすることが おおかったから
かなみちゃんとの おでかけすっごく 楽しいんだ

でんしゃから見える びゅんびゅんと
とおりすぎる けしきとか

おっきなビルの なかにある
すいぞくかんに 行ったりとか

きんいろの くもが
乗っかった たてものを見たりとか

かなみちゃんも
知らないところに いっぱい
おでかけしたよ!


かなみちゃんの通ってる
だいがくにも ぼくを
つれていってくれた

とっても おっきな学校で
すごく ひろくて

ぼく びっくりしちゃった!

もうすっかり お友だちもできてて
おかいものとか あまいものを 食べたりとか
かなみちゃんとっても 楽しそうにしてる

ぼくは かなみちゃんのお友だちの まえには
出してもらえなかったけど

かばんのなかで 元気なかなみちゃんを
見てるだけで ぼくはじゅうぶん
しあわせなんだ





おたすけはけん日記 たぶん 5500日め くらい

かなみちゃん

「しゅうかつ」
たいへんそう

こうこくだいりてん?

っていうところを
めざすんだって

いままでの おべんきょうよりも
すっごく いそがしいみたい

また あんまり
おはなししてくれなくなっちゃった・・・


でも まえとちがって
ぼくを だきしめたり
おなまえを よんでくれたり

わすれたりは しないんだ!

かなみちゃんは
ぼくを だいじにしてくれる

たからものだって 言ってくれたこと
ぼく ちゃんと おぼえてるよ

たぶん いまは
たいへんなだけ だよね?

だから ぼく かなみちゃんの
「しゅうかつ」が うまくいくように
おうえんしてるよ!





おたすけはけん日記 たぶん 6020日め くらい

かなみちゃん おめでとう!

「しゅうかつ」も おわってだいがくも そつぎょう
かなみちゃんは ついにおしごと するんだね!

よく がんばりました!

スーツすがたも とってもにあってる
かっこいいね!

「わふくんも おうえんしてくれて ありがとう!」って
かなみちゃんはぼくを ぎゅって だきしめて

これから おしごといっぱい がんばるって
きあい ばっちりだね!


かなみちゃんは らいしゅうから しゅっきんかあ
しかもぼくを つれていくつもりも まんまん!

どんどんぼく かなみちゃんといっしょに
おでかけたくさんに なってきたなあ

ぼく かなみちゃんに だいじにされて
うれしくて たまんないよ!

どんな おしごとか すっごく
どきどきするね








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おたすけはけん日記 たぶん 6135日め くらい

また かなみちゃんは はいた

かいしゃの
おトイレで

はいちゃった

きのう おさけを たくさん
のんだから?

それとも

ほかに
なにか あったのかな

わかんない

わかんないけど

かなみちゃんが
くるしそうなのだけ

わかるんだ・・・


どうしよう

ぼく

どうしたらいい?


かばんから
そっと のぞいて

ようすを見ることしか

ぼく
できなくて





おたすけはけん日記 たぶん 6140日め くらい

かなみちゃん

もう
そんなおかお しないで

そんなにも
つらそうなおかお

しなくていいんだよ

ぼくが
いっぱい

だきしめてあげるから


ぼくは

きみの

かなみちゃんの
みかただよ


ぜったいに

みかた





おたすけはけん日記 たぶん 6145日め くらい

かなみちゃん

もう ずっと
かいしゃで おとまりしてる

でも ねむったりは しないで
パソコンに むきあったまんまなんだ

「みんなより おくれ とりもどさないと」
「やらないと わたし やらないと」

かなみちゃんは
そんな ひとりごとを

ずっと
つぶやいてる

もう
おへやの明かり

きえてるのに・・・


でもぼくが
「だいじょうぶ?」って

かばんから
きいてみたら

「うるさい
 しゃべんないで」

って

つくえに
あたまを ぶつけながら

言ったんだ

あんなこえ

ぼく
きいたことない





おたすけはけん日記 たぶん 6151日め くらい

かなみちゃん

また じょうしのひとに
おこられて

あたまを
さげてた

でんわをとっても
うまく お声が出せなくて

それでも
おこられて

また
よるおそく

パソコンに むかって
ひとりごと

まいにち

ずっと
こんなかんじで


でも きょうは
ひさしぶりに

おうちに
かえれたんだ

ときどき ぼくも
おそうじを おてつだいするけど

ぬいぐるみのぼくには

こんなに いっぱい
おそうじできないよ・・・

かなみちゃんは

ぼくと おはなしするまえに
ねむっちゃった

なんだか ぼく
とっても

どうしたらいいのか

ずっと
わかんない





おたすけはけん日記 たぶん 6152日め くらい

きょうは
ひさしぶりの おやすみだって

かなみちゃんは
おうちで ゆっくりしてる

とっても
つかれてるのか

おはなしは
してくれそうに ないけど・・・


ぼくは かなみちゃんの おそばに
そっと いてあげてる

それくらいしか
思いつかないから

ごめんね

ぼく

かなみちゃんを
楽しいに してあげられるやり方

わかんなくなってきたかも





つうこうてがた
まだ つかえるけど

「王国に あそびに行こう」

って

なぜか
言えなくって

王国はとっても 楽しいところなのに

かなみちゃんも きっと
楽しいになれるはずなのに


でも いまの かなみちゃんに
「楽しいことをしよう」って言ったら

もっと
つかれちゃう気がして


ぼく

どうしちゃったのかな

かなみちゃん





おたすけはけん日記 たぶん 6179日め くらい

そんな

なんで?

なんで おかあさんに
そんな ひどいこと

ううん

かなみちゃん

かなみちゃんは
わるくない

わるくない

けど

かなみちゃんが
おかあさんに

でんわで そんなこと
言うなんて


もう

おかあさんと 会わないって
かなみちゃんは そう言った

だから ぼく

また なかなおりできるよって

言ったんだ

そしたら

かなみちゃんは ぼくを 手でつぶして

「ぬいぐるみに
 何がわかるの」

って
言った

こわいことば いっぱい

こわいって
たのしく ない





おたすけはけん日記 たぶん 6180日め くらい

ぼく かなみちゃんのために
もっと ちゃんと そばにいる

ぼくの たのしいを
ちゃんと わけてあげたい

かなみちゃんが つらそうなおかおを
しなくてすむように


だって ぼくは
おたすけはけん隊の

ううん

かなみちゃんの ぬいぐるみの
わふくんだもん








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おたすけはけん日記 たぶん 6199日め くらい

かなみちゃん きょうは ひさしぶりに
でんしゃで おうちに かえれそうだった

かえったら あったかいおふとんで
ゆっくり おやすみしようね

って ぼくは かばんのなかで
ずっと 思ってた

そしたら とつぜん
しらないひとが かなみちゃんに
はなしかけてきたんだ


「だいじょうぶですか?」
「ずいぶん つかれてはるみたいですねえ」

それは とっても やさしいこえの
おばあさんだった

かなみちゃんは さいしょ
びっくりしたみたいに かたまってたけど

おばあさんが
「すこしお水でも のまれますか」
って言ったら ちいさく うなずいた

ぼくは かばんのなかから
そっと かなみちゃんのようすを 見てた

かなみちゃん おばあさんと おはなししてるうちに
すこしずつ おかおが やわらかくなっていった





おばあさんは かなみちゃんの おしごとのことを
むりに きいたりしなかった

おかあさんのことも これからのことも
なんにも せかしたりしなかった

ただ

「たいへんでしたねえ」
「よく ここまで 歩いてきはりましたねえ」

って 言ってくれた

かなみちゃんは それをきいて
なんだか わらったみたいな
なきそうみたいな おかおをした

そのとき ぼく 思わず かばんから
おかおを 出しちゃった

かなみちゃんから だれにも 見つからないようにって
言われてたのに

「わぁっ」

って おっきなこえも 出しちゃった

しまったって 思った

また かなみちゃんを
こまらせちゃうって 思った

でも

おばあさんは ぼくを見ても
ぜんぜん おどろかなかった





「あら かわいい いぬのぬいぐるみさん」

おばあさんは かなみちゃんに
はなしかけるときと おなじくらい
やさしいこえで ぼくに 言った

「ぬいぐるみさん もうずいぶん
 この子から だいじにされはったのね」

ぼくは びっくりして うまく おへんじできなかった

だって

ぼくが おしゃべりしても
おばあさんは へんなおかおをしなかった

こわがらなかった

かなみちゃんを こまったおかおにも
しなかった

「はい ぼくは かなみちゃんの
 ぬいぐるみの わふくんです」

そう言うと おばあさんは にこにこして

「あらあら ええ子やねえ」
「ずっと そばにいはったんやねえ」

って 言った

それだけなのに

ぼく なんだか・・・
わたのおくが ぽかぽかしたんだ





それから おばあさんは
かなみちゃんにも ぼくにも
ゆっくり おはなししてくれた

でんしゃの音も
まわりの人の声も
なんだか すこしだけ
とおくなったみたいだった

かなみちゃんは
おばあさんと おはなししてるあいだ
ほんとうに ひさしぶりに

つらそうじゃない おかおをしてた

そう

楽しかったんだ

かなみちゃんも
おばあさんと おはなしするの
すっごく 楽しそうだった

かなみちゃんが 楽しいになってくれたから
ぼくも 楽しいに なれたんだと思う

よかった

ぼく まだ
かなみちゃんの 楽しい
わかるんだ





たぶん 6200日め くらい ずっとよる

きょうは おうちに かえらないみたい

おばあさんに さそわれて
すこしだけ おとまりするってことに
なっちゃった!

かなみちゃん ずっとかいしゃに
おとまりばっかりだったから

かいしゃじゃないところで おとまりするの
ちょっと りょこうみたいだね!

かなみちゃんも そう思ったのかな

おばあさんと おはなししてるときの
かなみちゃんのおかお
なんだか すごく やわらかかった

ぼく かなみちゃんの
あんなえがお ひさしぶりに見た!


そういえば おばあさんは
とむらさんって いうんだって

めいていがいっていう
まちから 来たんだって

かなみちゃんが
そのまちのこと すこし気になるって
ちいさなこえで 言ったら

とむらさんは にこにこして

「ええ」
「あなたがたが こころのそこから のぞむなら」
「ぜひとも いらしてください」

って 言ったんだ

おばあさんのこえは ずっと やさしかった

かなみちゃんは そのこえをきいて
すこしだけ ねむたそうなおかおをした

でも かなみちゃん
つらそうじゃなかった





わかんない

おばあさんの まちは
ずっとよるのまま

でも こわいよるじゃ なかった

ゆきが しずかに つもってて
まちのあかりが やさしい色で
そらは ゆうやけみたいな
よるみたいな

ぼくの知ってる よるとも
ぼくの知ってる ゆうがたとも
ちがう色だった

こんなけしき
見たことないよ!


かなみちゃんは
まちについたあと
ずっと だまってた

でも
つらそうな だまりかたじゃ
なかった

かいしゃで パソコンを見てるときみたいな
こわいおかおでも

おかあさんと でんわしたあとみたいな
くるしそうなおかおでも

なかった

ただ ゆきを見て
まちのあかりを見て
すこしだけ 息をしてた





そのとき

「かなみちゃん よかったね」

って

ぼくは しぜんと
ことばが 出てきたんだ

王国に つれていけたわけじゃない

楽しいことを
たくさん してあげられたわけでもない

でも

かなみちゃんが
つらそうじゃなかったから

ぼくは それが
すごく うれしかった

そしたら かなみちゃんは
ぼくのことを見て

「うん」

って 言った

それから

「ありがとう」

って

とても ちいさいこえで
お礼を 言ってくれたの

かなみちゃんも わらってくれて

ありがとう!












































ぬいぐるみ王国の ポリエステラ王へ
 
お元気ですか?
ながらく ごれんらくできず すみません。
 
ぼくは かつて おたすけはけん隊の メンバーだった いぬのぬいぐるみです。
王さまは ぼくのことをまだ おぼえているでしょうか。


あの日から なんにち たったのか ぼくにはもう よくわかりません。
もしかしたら 1まん日は とっくに すぎているのかも しれません。
 
ぼくはいま めいていがいという まちで
あんない人を しています。
 
たちどまってしまった にんげんさんや
かえりみちを なくしてしまった にんげんさんに
よりそう おしごとです。


このまちに 来てから ぼくは にんげんさんを 「楽しい」にするやり方は
ひとつだけでは なかったんだって すこしずつ 思うように なりました。
 
わらったり
あそんだり
うたったり
おどったりする 楽しいだけじゃなくて、
 
もう がんばらなくてもいい
もう 思い出さなくてもいい
もう どこにも かえらなくてもいい
 
そういう しずかな楽しいが
ひつような にんげんさんも いるみたいなのです。


王さまの めいれいで ぼくは かなみちゃんの ところへ 行きました。
 
かなみちゃんは ずっと いい子でした。
 
おかあさんを こまらせないように
おとうさんに はずかしくないように
せんせいに ほめられるように
お友だちのまえで へんじゃないように
かいしゃのひとに おこられないように。
 
なんにちも
なんにちも
かなみちゃんのことを 見てきた
ぼくだから わかります。
 
かなみちゃんは ずっと
ほんとうに ずっと
がんばっていました。


でも わかるからこそ
 
あのときのぼくには かなみちゃんを 「楽しい」に できませんでした。
 
王国に あそびに行こうって
言えませんでした。
 
だいじょうぶって 言っても
かなみちゃんは だいじょうぶじゃありませんでした。
 
なかなおりできるよって 言ったら
かなみちゃんを もっと くるしくしてしまいました。
 
ぼくは かなみちゃんの ぬいぐるみなのに
かなみちゃんを おたすけするやり方が
わからなくなってしまったのです。


そんなとき かなみちゃんは このまちに 来ました。
 
ずっとよるのままの ゆきが しずかに つもる
やさしい色の まちでした。
 
かなみちゃんは このまちで
おさけを のんで
まちのみんなと わらって
ときどき ぼくとも あそんでくれました。
 
そして ぼくは 思いました。


ぼくもまた 「楽しい」に してもらいたかったんだって。
 
ぼくの わたのおくにしみこむ
やさしい おさけのにおい。
 
ゆきのふる よるのまちで
だれにも せかされずに
ただ となりに いられること。
 
このにおいでしか
このよるでしか
できない 楽しいのやり方が
 
たしかに あるのだと 知りました。


かなみちゃんは ぼくに
「ありがとう」って 言いながら、
 
ゆうひみたいな あかりに てらされて
しずかに ほどけていきました。
 
かなみちゃんが まだ 小さかったころ
はじめて いっしょに おふとんで ねた あのよるのこと。
 
しゅくだいを いっしょに すすめた日のこと。
 
ぼくが クローゼットに とじこめられちゃったときのこと。
 
だいがくへ 行くとき
また ぼくを 見つけてくれたこと。
 
おかあさんと なかなおりしたみたいに 見えて
でも けっきょく だめになっちゃったこと。
 
かいしゃで ないて
はいて
ねむれなくなって
それでも がんばろうとしていたこと。
 
いろんな つらいこと。
くるしいこと。
かなしいこと。
 
ぜんぶ ぜんぶ
ゆきのなかで しずかに ほどけていきました。


かなみちゃんは
とても おだやかでした。
 
ぼくは それを見て
かなみちゃん よかったねって
そう 思ってしまいました。
 
王さま。
 
これは いけないことでしょうか。
あるじさまの教えに そむいてるでしょうか。
 
ぼくには まだ よくわかりません。
 
でも かなみちゃんは
さいごに わらっていました。
 
それだけは
ぼくが ずっと 見ていました。


ぼくはいま このてがみを
日記ちょうを 見ながら かいています。
 
思い出しながら かいています。
 
でも このまちでは
思い出は わすれてもいいものです。
 
わすれることで
楽しいになれることも ある。
 
わすれることで
にんげんさんを しあわせにできることも ある。
 
そんな あるじさまの教えのありかたも
きっと あるんじゃないかなって
ぼくは 思うのです。


ぼくはもう
王国には もどりません。
 
ぼくは このまちの あんない人として
たちどまった だれかに よりそいます。
 
王さま。
 
もしよろしければ
いつか こちらに いらしてみてください。
 
この日記を よめば
きっと 王さまにも
少しだけ わかってもらえるはずです。



めいていがいより あいをこめて




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