企画案2024-013: "合祀の再誕"
評価: +36+–x
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名前: 飼月 (カガチ)

タイトル: 合祀の再誕

必要素材:

  • 飼月の製作による供養塔 
  • 葬儀用のデジタル・サイネージ
  • 日本で撮影されたモキュメンタリー・ホラー作品群をダビングしたブルーレイディスク
  • タケイ・ヨウコの遺骨
  • ササグチ・ミレイの遺骨
  • オクヤマ・ハルの遺骨
  • チェン・ティエンの遺骨

要旨: “合祀の再誕” は自主制作のモキュメンタリー・ホラーに犠牲者役で出演していながら、作品の没入感を削ぐという尤もらしい理由のせいでクレジットされることのなかった俳優たち、その知られざる死を再定義するコラボレーション・アートです。共に埋葬する遺骨同士の馴染みやすさを考慮し、本作の必要素材には女性俳優の遺骨のみを指定します。

また、彼女たちを転生させる諸条件に “実存性の部分的な喪失”が含まれているため、生前のあらゆる個人情報は秘匿されています。便宜上の特例により、本来の氏名だけはカタカナ表記を用いて記載しています。

パフォーマンスの内容は題名の通り、合祀された遺骨の塊を供養塔に施した術式によって転生させます。そうして産まれた個体は、遺骨の誰に似るでもない幼気な少女の姿を取ることになります。しかしながら確かに、会場の観覧者は傍らのサイネージに映し出される演者の面影をそこに認めるでしょう。

何故なら転生した少女は “擬似的な死”によって形成された “擬似的な生”の結果であり、核となった女性俳優の演技を視聴した人物に取り、該当する怪奇譚に対して肯定的な反応を誘引するミームベクターの役割を果たすからです。

つまり、僕の愛しきホムンクルスは彼女たちの生きた証を引き継いだ、より良い語り部になります。

意図: レオナルド・ダ・ヴィンチによる名画『モナ・リザ』の正体すらも未だに特定できていない世界に、僕たちは生きています。だからこそ、僕はこの作品を通して、日頃から芸術家の影に埋もれているアート・モデルや俳優たちの背中に光を当てたいと思いました。願わくば “銀幕の妖精”のように、或いは “モンパルナスのキキ”のように。せめてもの手向けとして、さっさと舞台袖に追いやられてしまうだけの人生だった彼女たちを、僕のために輝いていたミューズとして後生に遺したいと考えたのです。

ですが、その代償は決して小さなものではないでしょう。

彼女たちは皆、転生術式が完了した時点で自身の実存性を完全に失うことになります。カタカナ表記の本名すらも奪われて、これまでに演じた作品の役どころだけがノンフィクションの痕跡になるかもしれません。 “タケイ・ヨウコ”の存在は、彼女の代表作である短編ホラー作品『深夜の来訪』にて演じた “江原 令依子”のアイコンに置き換わってしまう……といった風に。

そして、それらの代償は裏を返すと、また違った見方もできます。今になって思い返せば “モンパルナスのキキ”の生き様は恋焦がれる程に魅力的だったけれど、“アリス・プラン”としての彼女は最期まで人生の暗闇に囚われたまま逝ってしまったな、と。

そうやって実存性の喪失を前向きに捉えるなら、本作の彼女たちはミューズに昇華されながらも、原点となるアイデンティティを失うことで背後に迫る落日の恐怖からも解放されるということ。その先に待っている色褪せない名声は、あまりに得がたいものでしょう。

結局のところ、芸術家としての僕の立場からではこの問題に対して何らかの結論を出す資格は持っていません。だから、本作が彼女たちの望むべくした幸福の形で合っていたのかどうかは、すべてのパフォーマンスが終わった後に確かめてみますよ。

まあ、彼女が初めての反抗期を迎えていなければ、ね。

























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