SCP-1868-JP
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アイテム番号: SCP-1868-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-1868-JPの影響区域から完全に頭部のない猫の死体を排除する試みは失敗しているため、財団は該当区域周辺の過疎化を促進する区域手順5A-B71によって全住民を退避させました。該当区域への侵入の試みは巡回している私服警備員によって阻止されなくてはならず、区域内の頭部のない猫の死体は無人ドローンによって観測を保ちます。有人的な探査は現在中止されています。

SCP-1868-JPの収容に関わる全職員には一週間ごとにクラスY記憶補強薬2が処方されます。

説明: SCP-1868-JPは大阪府██市██-██-██付近を中心としたおよそ2.3km2の区域で発生する、あらゆる頭部のない猫の死体に関連する異常な現象を指します。

SCP-1868-JPに含まれる主な物理的異常現象は以下の通りです。

  • 区域内では通常より遥かに多い量(少なくとも35体以上)の頭部のない猫の死体が存在し、また不明な原理によって新たに発生します。これらの頭部のない猫の死体を撤去する試みは、いずれも撤去したものと同様の頭部のない猫の死体が元の場所に発生するために無意味となります。
  • 頭部のない猫の死体は道路の端、公園、飲食店付近の裏口、██線高架下、家屋の空き部屋に発生しやすい傾向にあります。ビニールシート、ダンボール、リヤカー、ガラス瓶、空き缶は頭部のない猫の死体と共に発見されやすいアイテムです。
  • 異常な活性を有さないにも関わらず、該当区域内で頭部のない猫の死体はしばしば位置を変更します。位置変更の瞬間は確認できていません。位置変更は主に住人のいる家屋を中心として行われ、そうした家屋の多くには扉や窓の破壊、保管された食料の消費や各種インフラ設備の利用の痕跡が見られます。
  • 区域内の頭部のない猫の死体の大半は腐敗の傾向が見られず、ハエなどの分解者の集合もありません。ただし一部の頭部のない猫の死体には通常通りの腐敗や分解作用の働きが確認され、そうしたものは数日内に区域内の██川へ位置を変更し、以後位置を変更しない傾向にあります。このような"死んでいる"頭部のない猫の死体の多くは未成熟な子猫の頭部のない死体であり、身体には多様な激しい損壊が確認できます。
  • 頭部のない猫の死体の血が乱雑に付着した紙や本、あるいはただ頭部のない猫の死体を撮影した写真や映像、頭部のない猫の死体らしき鳴き声で構成される音声記録や通話の発信が該当区域内より発見されます。記録で使用された用紙やカメラ、あるいは音声の発信元の携帯電話の持ち主は不明であるか、こうした行為に覚えがありません。こういったアイテムは頭部のない猫の死体が位置したことがあり、侵入の形跡がある家屋から主に発見されます。
  • 頭部のない猫の死体への接近は、しばしば不明な原因で負傷する結果となります。負傷はほとんどの場合、硬質で重量のある物体か鋭利な刃物によるものと酷似しています。

認識災害性として、該当区域内で発生している頭部のない猫の死体、あるいはそれに関する情報に向けられる関心は著しく薄弱となります。この異常性のために、住民へのインタビューによる調査は成果を上げていません。財団はクラスY記憶補強剤によってこの影響を低減させ、収容を保っています。

SCP-1868-JPは該当区域での不自然かつ急激な人口の減少3と未検挙犯罪率の増加によって1999年に注目され、頭部のない猫の死体の大量発見によって調査は本格化されました。若年層を中心とした人口の減少について住民は認識していたものの、具体的に区域を去った個人名は特定できませんでした。未検挙犯罪について財団が記憶補強手段を用いた調査を実施した所、大半の現場には頭部のない猫の死体の痕跡が認められました。現在でもこれらの現象と頭部のない猫の死体との関係性は解明されていないものの、何らかの因果関係の存在は示唆されています。

補遺: 該当区域内の警察署内で記録された4映像の一部。記録日時は財団によるSCP-1868-JPへの着目以前であり、映像の警察官はこのような聴取について記憶がないと回答しました。映像内で警察官が対話しているように見えるのは椅子に配置された比較的幼い頭部のない猫の死体であり、同一個体とみられるものが██川で激しい損傷を負った状態で発見されました。

警察官: それで、どうしたのかな。

警察官: はい、はい。

警察官: はい。いや、それは保健所に連絡してくださいね、後で。それで?

警察官: それだけではわかりませんね。殴られたりは?

警察官: そうですか。では、その人達が関わったという、何か……証拠はありますか。

警察官: ですからね、証拠がなくては対応のしようがないんですよ。決めつけで捜査はできません。

警察官: どんな人でもね、集会の自由ってものがあるんですよ。学校で習わなかった? お宅に猫の死骸を置くと、宣言があってやったことなんですか? 視線って、要は外見だけで判断したんじゃないんですか。

警察官: いや、できませんから。だからね、とにかくまた何かあるようであれば、動画か写真か……何か証拠となるようなものを持ってきてください。いいね。

補遺-2: 財団による区域住民の退避後、頭部のない猫の死体は頻繁に該当区域の境界付近へ位置を移動するようになりました。続いて数週間後、川に位置する"死んだ"頭部のない猫の死体が急速に増加。この頃から、頭部のない猫の死体の血が付着した紙類が該当区域との境界付近の外部で発見されたり、頻繁に区域内の公衆電話からの発信が行われるようになりました。財団は対応として監視を強化し、区域外部で発見された紙類と区域内の公衆電話の回収を行いました。

手順5A-B7の完了から103日後、全ての頭部のない猫の死体は通常の腐敗と分解作用に晒されることとなりました。該当区域内に残されていた食料のほとんどは、この事案の終了までに消費されていました。

これ以降、頭部のない猫の死体の発生、位置の転移、頭部のない猫の死体に関するメディアの新たな発見は確認されていません。頭部のない猫の死体の移動不可性と関心を薄弱にさせるSCP-1868-JP全体の認識災害性は健在であるため、収容手順とオブジェクトクラスに変更はありません。

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