クレジット
タイトル: SCP-3633-JP - 【最新】印刷済1_修正版_昨日の夢 2025-05-24 (2).mp4のコピー (1).1.05_14_2025_ .mp4 (0519改訂稿)rev.35 .zip のコピー.mp4
著者: Snowy-Yukinko
作成年: 2025
アイテム番号: SCP-3633-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-3633-JPはサイト-81██の低脅威度物品保管庫に、通常時は密封された状態で収容されます。想定されるレム睡眠の時間が12時間を超える使用実験にはサイト管理官の許可が必要です。
説明: SCP-3633-JPは、43×63cmのウール製枕カバーです。表面には羊を模した刺繍が複数存在し、内部にはクッション材として羊毛が詰められています。
SCP-3633-JPを入眠時に使用した場合、対象者は長くとも5分以内に入眠し、およそ7~8時間の睡眠の後自然に起床します。この間のレム睡眠において対象者は、SCP-3633-JPによるレム睡眠の時間──通常実験では、1回の使用につき1.5時間を目安の値として換算しています1──に応じた一定の内容の視覚・聴覚を伴う夢を経験します。
対象者の夢見の概説(角括弧内はレム睡眠の時間)
[0:00] 白く高い柵で区切られた牧草地。空には2~3塊の雲と太陽が存在する。対象者は白い木製ベンチに着席しており、左隣には対象者と親しい人物が1名座っている。柵の向こうには丘が存在し、地面にはイネ科らしき牧草飼料が自生している。対象者は着座したまま友人と簡単な世間話を行う。静かな空間であり、対象者らの声以外に知覚できる音声はない。
[0:30~1:30] 会話の最中、友人は丘を指差す。指した方面を観察すると、1匹の白いめん羊が丘から降りる様子が確認できる。羊は柵の近くで停止し、牧草の摂食を始める。
[1:30~3:00] 上記と同様、複数匹の羊が丘から出現し、柵付近の草を食べる。友人は最初こそ羊が出現する毎に指を向けていたが、その件数が多くなるにつれて1匹1匹の出現には反応を示さなくなる。
…
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[3:30~4:30] 出現した羊の1匹(多くの場合、最初に出現した羊)が摂食を止めて丘方向を向き、鳴き声を上げる。それに呼応するように残りの羊が鳴き合う。
[4:30~5:00] 羊の鳴き声が一定のリズムを形成する。対象者は軽微な振動を覚え、友人は丘側から何らかの存在群が来る予兆と解釈する。
…
[5:00] 数十匹ほどの羊の群れが丘の向こうから移動し、視点側へと小走りで向かってくる。柵近くの羊に合流すると、群れの羊は周囲の牧草を食べ始める。ここで、対象者は羊の移動が完了した後も丘からの振動は収まらず、むしろ以前よりやや強まっていることに気づく。
[5:00~5:30] 上記同様、羊の群れが丘から現れ、柵前の集団に合流し続けている。新たな群れが出現する度に、群れ一団を構成する個体数は次第に増加する。合流以前に鳴いていた羊集団の一部は依然鳴き続けている。その声量は鳴いている個体数と比べて不自然に大きくなり、対象者は「羊の声が段々近づいてきている」と形容されるような違和感を覚える。
[5:30~6:00] 視認できる羊の頭数は合計で100匹を超え、対象者は柵内に密集した羊に軽い圧迫感を感じる。対照的に、友人は羊に対して好意的な印象を示し、制止を振り切ってベンチから立ち上がり柵へと近づく。友人は柵付近から羊の群れを観察し、柵からはみ出た羊の体毛を触る、付近の羊の頭を撫でるなど羊との接触行為を積極的に行う。この時点以降、すべての羊の顔面・視線が常に視点方面へ固定される。
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[6:30~7:30] 柵向こうは地表面が確認できないほど羊で密集し、視覚上では対象者を見続ける羊の首が羊毛の地面から複数突き出しているように見える。友人は再びベンチに戻り、対象者の隣に着座する。帰還以降、友人は対象者との会話において羊に関する物事を熱心に扱おうとするものの、次第に発言自体が支離滅裂なものに変化し会話が成立しない。
[7:30~9:00] 柵内の密集率はさらに上昇し、一部の羊は地面に足が付かず他個体に乗り上げる。乗り上げた羊は牧草の代わりに下の羊の体組織を千切って食べ始める。友人はもはや意味のある文を話さず、「羊」という単語のみを繰り返し呟いている。
…
[9:30~9:45] 増加を続ける羊の鳴き声の中に、何かが軋むような音が発生する。対象者は音の出処について調べるため、可能な限り羊との接触を避けながら柵へ接近する。結果、対象者は羊の圧力で柵が立てる軋みが異音の原因だと理解し、また柵がかなり劣化しており、衝撃によって容易に崩壊しうるものであるという事実を知覚する。
[9:45~10:00] 観察を続ける過程で、対象者は柵に何度も衝突する、柵を齧るなどして柵外への脱出を明確に試みる羊が複数体存在することに気が付く。常に羊の視線に晒される・羊に体組織を齧られかけるなどしたためその場に留まることに恐怖心を覚えた対象者は急いで元のベンチへ戻る。
[10:45~11:00] 全ての羊が数十秒にわたる長い鳴き声を一斉に上げる。左隣の友人はそれと同調し、羊の鳴き声に類似した叫び声を上げる。視界全体が大きく揺れ、丘の奥から大きな土煙が上がる。
…
[11:00~11:59] 丘から無数の羊が現れる。走りながら丘を駆け下り、柵付近の群れと衝突する。衝突によって一部の羊は押しつぶされ、また一部の羊は空中に飛び上がる。衝突した後も羊の群れは途切れることなく、さらに多くの羊が柵に向かってもがき続ける。柵内の密集率はほとんど限界に達しており、1匹1匹の羊が柵に押しつけられるたびに柵の軋みが一層大きくなる。
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[12:00] 視点側と丘側を隔てていた柵が崩壊する。
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[12:00~12:30] 羊は柵の破損部分に群がり、大量の羊が押し出される。柵から解放された羊は一斉に対象者目掛けて走り出す。ほぼ全ての例において対象者はベンチから起立し、羊と反対側に逃げようとするが、身体が急激に重くなり、いくら走っても前に進まないような感覚を覚える。羊は柵やベンチ、対象者の友人を下敷きにしながら距離を次第に縮め、最終的に先頭の1匹が対象者の衣服を捉えて仰向けに転倒させる。大音量の鳴き声と無数の視線に囲まれ、視界が暗転する。
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[12:30~] 視界の完全な暗転。意識が鮮明である点、対象者が絶え間ない羊の鳴き声を知覚している点でノンレム睡眠とは明確に区別される。
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[15:00~] 視界が回復する。眼前の光景はSCP-3633-JPの使用初期での光景と類似しているが、注意深く観察すると柵や雲、太陽、ベンチ、丘、牧草など風景を構成している物体は全て視点方向を見つめる羊であることが判明する。左隣には対象者の友人の衣服を着用した羊が1匹着席している。以降、任意の時間において対象者は友人が変化したと思われる羊に話しかけようとするが、その声は付近で発生した大音量の羊の鳴き声にかき消される。同様の出来事が複数回繰り返された後、対象者は自分の四肢が羊のそれに変形していること、羊の鳴き声が自身の声帯から発生していること、友人の眼球に反射した自身の姿が羊と酷似していることなど複数の状況証拠から、自身が羊に変化したことを知覚する。
夢中の対象者が羊に変化したことを知覚した瞬間、現実世界の対象者の頭部は内圧によって破裂します。頭蓋の破裂に伴う出血や脳髄の飛散などは発生せず、代わりにそれと同質量の羊毛が頭蓋内から周囲へと飛び散ります。この時、飛散した羊毛の断片を一定量吸入した人物(2世代目対象者)も、SCP-3633-JPと同様の夢見が進行する事例が確認されています。
追記: クッション材内の羊毛の遺伝子を検査した結果、通常の羊のそれとは別に、既存の生物種のいずれとも合致しない未知の遺伝子が一定の割合で混入していることがわかりました。以降当該の遺伝子をSCP-3633-JP-αと呼称します。
夢見によって破裂した対象者頭部由来の羊毛に含まれるSCP-3633-JP-αの割合はSCP-3633-JP内のそれより多く、その羊毛の吸入により2世代目対象者となった人物が頭部の破裂を起こした場合、羊毛中にはSCP-3633-JPそのものの対象者よりも多くのSCP-3633-JP-αが検出されます。現在、n世代目対象者の頭部から検出されるSCP-3633-JP-αはnの数に従って増加する、つまりSCP-3633-JPから経由した人間の数が多いほど対象者の頭部由来の羊毛に含まれるSCP-3633-JP-αの割合が大きくなることが判明しています。
また、SCP-3633-JP-αの割合が増加していた羊毛において、SCP-3633-JP-αの他に、ヒツジ遺伝子とSCP-3633-JP-αとの中間の配列を示す遺伝子が検出されることがあります。このため、ヒツジの羊毛に含まれる遺伝子が、SCP-3633-JPによる夢見が繰り返される過程において、いくつかのノイズが生じた結果SCP-3633-JP-αに変異している可能性が指摘されています。
これに加えて、世代の増加に伴い、影響者の夢中に出現する「羊」の姿が、しばしば一般的な羊の外見から逸脱するものへと変化する事例が複数確認されています。現在、これらの形質の逸脱と頭部から検出されるSCP-3633-JP-α遺伝子の割合の増加について関連性が調べられています。
「羊」の変化例の1つ、異常器官増殖型の典型例を示したもの。


