SCP-5735-EX
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アイテム番号: SCP-5735

オブジェクトクラス: Safe Explained(部分的)

特別収容プロトコル: SCP-5735はサイト-19の標準異常物品ロッカーに保管されます。オブジェクトに対する実験は、サイト管理官に承認された全ての職員に許可されます。

2104年7月4日現在、収容プロトコルは無意味です。補遺を参照してください。

説明: SCP-5735は"ミステリー32"という名の映画と見られるDVDです。ディスクには付箋紙が付着しており、「不可能の証、そう願っている - シャンク」と黒色の油性マーカーで書かれています。"ミステリー32"という名の映画が存在した記録はありません。このDVDが再生された場合、対象者は五感全てで映画を体感すると報告します。非異常の映画と同様の形態で体感する視覚を除き、主役に加えられる感覚がそのまま視聴者の体を刺激します。

映画の筋書きは、超自然的で不可解な事象を自身の周りに引き起こすという制御不能な能力を持った盲目の男性の生き様を中心に展開されます。この映画は視聴者に2度、そのうち1度目は目を閉じて、そして2度目は目を開けて鑑賞させることを促します。そうすることで、男性の死に際に起きた彼の視力が回復するという題名通りの"ミステリー3232番目の神秘"を除く、彼によって齎された31の「奇跡」を彼は目撃できなかった、という作品の意図を深めさせます。

機動部隊員の訓練の補助となる期待の下、SCP-5735の特性の調査は進行中です。タデウス・シャンク博士は現在調査下に置かれていますが、ディスクに関する知識や起源について否認しています。

発見: SCP-5735は2018年3月8日にサイト-19にて発見され、何も無い空間から出現するところを複数の衛兵や研究者によって目撃されました。目撃者は高頻度で「旋回渦……3次元孔」あるいはそれに類する旨の言葉で描写しました。ディスクが黒色の不安定な球状塊から現れていたことから、財団の監視カメラ映像は目撃者の証言を裏付けました。

補遺1 - 2072年11月6日: 近年の技術進歩により、最初の完全有感覚作品、またの名を「フィーリー」が映画館で公開されました。SCP-5735の異常な性質はこの方式の媒体に採用された技術と同一であることが判明し、従ってSCP-5735はExplained(部分的)に割り当てられました。SCP-5735がどのようにして2018年3月8日にサイト-19にて現出したのかは依然として不明です。

補遺2 - 2104年6月30日: 時間異常部門長からサイト-19管理官へのEメール:

差出人: pcs.noitadnuof.tenpics|ht4ehtknayXD#pcs.noitadnuof.tenpics|ht4ehtknayXD
宛先: pcs.noitadnuof.tenpics|91rotceriD#pcs.noitadnuof.tenpics|91rotceriD
件名: SCP-5735
日付: 2104年6月30日


それで、あなたは我らが謎の小作品こと5735を覚えていると思うけど、そうよね?まぁ、先日それが映画館で世に出たから、最近そのことについて私と残りの時間異常部門のメンバーで頭を悩ませていたの。単刀直入に言うと、私達はそれを過去に送り返すかもしれないと考えているわ。
あなたはきっと、因果のループ、あるいはブートストラップパラドックスとか、未来からのビリヤードボールがタイムトラベルによって過去の自身をタイムトンネルに突き飛ばす云々とか、シェイクスピアの作品集を若き日の吟遊詩人その人に与えるとか、そういったパラドックス、または親殺しのパラドックスのアンチテーゼの類を聞いたことがあるでしょう。まぁ、私達は同じシナリオにあると考えているわ。私達は丁度最近小規模なタイムトンネルプロジェクトを完了させたので、このシナリオの原初の順序において、私あるいは別の誰かが出かけてミステリー32を1部購入し、過去に送ったという仮説を立てたわ。財団はそれをアノマリーと判断して所蔵し、私達はこの90年間にわたって宇宙に起きた事象を同じ順序で辿り、それに伴ってこの映画は私達がタイムトラベル技術に従事する動機を与えたのよ。今、あなたが何を考えているのか分かるわ。「ただループを壊すのはどうなのか?」でしょう。まぁ、物凄く簡潔に言えば、私達がそうできないのはループが既に成立しているからよ。小ループの想像上の始点は最早無くなっていて、私達が9次元を移動しない限り、ループを始めた現実には永久に到達できないでしょうね。私達にはこの映画を送り返して過去の財団を動機付ける義務があって、さもないと私達のタイムトンネルは永久に存在しなくなり、つまるところ映画を送り返せず、要するに「過去を壊す」ことになるわ。
つまり、それが意味するのは遅かれ早かれこのちびっ子を送り返さなければならなくなることだと私は推測しているわ。だから、私達のタイムマシンに処女航海させるのはどうかしら?なんか不思議ね。父さんはよく、曾祖父さんのことと、彼がかつて財団の為にやったことについて話したの。彼は財団で最高の時間研究者で、私は彼に時を超えてメッセージを送るのよ!それが意味する、タイムトラベルは可能だっていうこと、過去へのタイムトラベルは可能だっていうことに彼が気付くのを願っているわ。正しくタイムトラベルにおける聖杯であり、私の曾祖父さんが確証を得るのよ!彼がどれほど私を動機付けたのかを伝えたり、いやいや、もっと言うとただ単にこのタイムループを丸ごと説明したり、付箋の元々の内容以上に書けたら良かったのだけれど、このループを完全に保たないとね。後、そうするためにもタイムトンネルをサイト-19の中庭に運ぶ必要があるから、屈強な人に手伝って欲しいわ。最初の私がどうして怠けられなかったのか理解に苦しむわね。
それに併せて、あんた等がムービーナイトを所望するなら返す前にこいつを観られるわよ。ポップコーンは用意するからさ。後、トレブルにも来させるよう説得できるわ。たとえ彼女が少し手に負えなかったとしてもね。多分実にいい映画よ。あの低技術に見えるけど実にいい低予算アートシアター系作品の内の1つだもの。楽しくなるわよ!
追伸: シャーピー11本と古風な付箋1枚欲しいんだけど、骨董品好きを誰か知らないかしら?


ダリア・シャンク上席研究員
サイト-19、時間異常部門長

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