SCP-8984
評価: +6+–x

SCP2.jpg

最初に宇宙望遠鏡で撮影されたSCP-8984の画像。逆円錐型の形状が確認できる。

アイテム番号: SCP-8984

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: その規模、組成、および地球からの距離に起因して、SCP-8984の物理的収容は不可能です。財団外のプロジェクトによるSCP-8984の研究や撮影に対しては、MTF ガンマ-5(“燻製ニシンの虚偽”)により活動の阻止/方針転換/信頼性の毀損が実施されます。財団が管理する宇宙望遠鏡、およびその他の天文学研究設備により、星間雲や暗黒星雲においてSCP-8984に類似する現象の痕跡が見られないか監視が行われます。

説明: SCP-8984は太陽系から約140パーセク(456光年)離れたへびつかい座ρ分子雲領域の辺縁部に存在する、異常に高密度な大量の暗黒物質の集塊です。SCP-8984の密度はバリオン物質の固体に匹敵し、他に発見されているあらゆる暗黒物質と比較して1025倍程度の密度を持ちます。.暗黒物質、あるいはダークマターとは、(バリオン物質とは対照的に)電磁放射線と相互作用しないという点によって特徴付けられる物質の一形態です。通常のバリオン物質と異なり、暗黒物質は四つの基本相互作用のうち重力を介してのみ他の物質と相互作用し、残る強い力、弱い力、電磁気力の影響を受けません。このように他の物質との相互作用が限定的である都合上、非異常の暗黒物質はバリオン物質に見られるような一定以上の密度や複雑性を有する構造を形成することができません。

財団宇宙望遠鏡(FST)“第三の目サード・アイ”の観測データを利用した、重力マイクロレンズ法.訳注: 恒星の重力によって光が歪む際、その恒星に惑星が存在すれば歪み方が非対称的になることを利用して系外惑星を発見する方法。による解析結果から、SCP-8984を構成する暗黒物質は連続的な形状を取っていることが明らかになっています。当アノマリーの巨視的構造は、“ねじれた長い斜円錐”と形容できます。SCP-8984は長さにしておよそ3,000,000kmであり、最大半径(錐の底面で測定)はおよそ500,000kmです。

各種分光法による測定結果から、SCP-8984は周辺の星間空間の状態に異常な影響を及ぼしていることが判明しています。SCP-8984の錐の底面に近づくにつれ、ダークエネルギーの濃度は上昇していきます。一方で錐の頂点(底面の反対側)からは、主に水素分子と宇宙塵で構成される高密度のバリオン物質流が放出されています。このバリオン物質雲の流れは一定の軌跡を描きながらSCP-8984の頂点から遠ざかっていきます。このことから、SCP-8984は周辺の星間空間からダークエネルギーを引き寄せ、未特定のプロセスを通じてバリオン物質に変換しているものと推測されています。

SCP-8984は2023年12月10日、財団所有の宇宙望遠鏡群による銀河サーベイ.訳注: サーベイとは、ある一定の天域に対し網羅的に行う観測のこと。において最初に観測されました。財団AICが潜在的異常存在としてこれを検出したのち、サイト-19天体物理学部門所属のエイドリアン・タン博士がSCP-8984の主任研究員に任命されました。

プロジェクトログ - SCP-8984:

日付: できごと: 注記:
2024年3月17日 データベース掲載要請 タン博士がSCP分類を要請。分類を承認 - オブジェクトクラス: Safe。
2024年4月11日 研究ノート提出 タン博士が研究仮説『SCP-8984の機能に関する一仮説』を提出。
Cloud.jpg

へびつかい座ρ分子雲領域の宇宙望遠鏡画像。

SCP-8984の機能に関する一仮説

著者: エイドリアン・タン博士(サイト-19 天体物理学部門)

SCP-8984はへびつかい座ρ分子雲領域の近傍に位置する。同分子雲領域内部の星雲は、宇宙塵、ガス、プラズマなどといったバリオン物質の密度が星間空間の平均より高い領域である。

このように高密度に集合した物質は、凝集して重力により結合した核を形成し、さらに周囲から物質を引き寄せ続け、最終的に重力崩壊を起こして原始星に至る。重力崩壊は近辺での超新星爆発などといった外部の事象によって誘発されるため、新たに形成された星がさらなる超新星を作り出すという星形成の連鎖反応が発生しうる。

通常、星間分子雲領域に存在する物質は、多数の星の同時多発的な形成を引き起こす。この際同時に形成される星の数は、少ない場合で数十、多い場合には数万にも及ぶ。このような原理により内部で活発に星が形成される星雲のことを、口語的に“スター・ナーサリー”、すなわち「星々の育児室」と呼び習わす。へびつかい座ρ分子雲領域は太陽系に最も近いスター・ナーサリーの一つである。

へびつかい座ρ分子雲領域が、SCP-8984から放出された高密度のバリオン物質によって形成されたというのは十分に考えられる可能性である。天文学的スケールの時間をかけて、SCP-8984は極めて高密度に物質が集合したエリアを多数形成し、天の川銀河・オリオン腕に属する星の多くが生み出される起源となった可能性がある。仮にSCP-8984に類似した構造物が宇宙空間に広く分布するのであれば、それらはやはり星やその他の物質の生成に宇宙規模で関与したことが疑われる。この効果はかつてのビッグバンの発生に必要とされる、極めて高密度に物質が集中した状態をも説明しうる。これはすなわち、SCP-8984がこの宇宙の誕生に際して極めて重要な役割を果たした可能性を示唆する。

なお、現時点で未解明の事項として、SCP-8984がダークエネルギーをバリオン物質に変換する機構の詳細が挙げられる。


日付: できごと: 注記:
2024年4月14日 人員配置要請 素粒子物理研究室所属 シモン・ポワデバン博士のSCP-8984研究チームへの出向をタン博士が要請。要請を承認。
2024年4月21日 研究ノート提出 ポワデバン博士が研究仮説: 『衝突型加速器として見たSCP-8984』を提出。
Pairs.png

ブライト-ホイーラー過程の簡易的な図解

衝突型加速器として見たSCP-8984

著者: シモン・ポワデバン博士(サイト-19 素粒子物理研究室)

筆者はタン博士のご厚意により、SCP-8984がダークエネルギーからバリオン物質を生成する過程の解明に携わる機会を頂いた。周辺状況を考慮すれば当然のことではあるが、当初の解析はエネルギーから物質を生成する過程の例としてより一般的なものを調べることから始まった。

物質がエネルギーから生成される物理学的過程として最も単純なものが、ブライト-ホイーラー対生成である。1934年にその存在が予言され、2021年に初めて実証されたこの機構は、粒子加速器内で2つの高エネルギーガンマ光子を衝突させることで、電子と陽電子.電子に対応する反粒子。が1つずつ生成されるというものである。

実験によって生成された自由電子・陽電子の寿命は非常に短く、通常は0.1ナノ秒以内に対消滅する。エネルギー衝突によって生成された物質が消滅せずに存在し続けるためには、対応する反物質が隔離あるいは除去される必要がある。現在の物理学において、このようなことを達成するメカニズムが未発見であるのは言うまでもない。

加えて、衝突によって物質が生成するためには、衝突する光子のエネルギーが生成する粒子の質量・エネルギー.E=mc2の式により算出可能。よりも高い必要がある。事実、今日までに行われているブライト-ホイーラー過程の実験では、質量が極めて微小である電子や陽電子しか生成できていない。より重い陽子や中性子を生成するには、財団ですら開発に至っていない、文字通り桁違いのエネルギーを付与できる加速器を用いる必要がある。ましてさらに複雑な原子や分子を生成するとなれば尚更である。

もしもSCP-8984がダークエネルギーから複雑なバリオン物質を生成できるのならば — これはおそらく事実であるが — SCP-8984は並外れて強力な加速器の一種と言える。この仮説に則れば、SCP-8984はダークエネルギーを持つ“光子”を、バリオンからなる原子や分子の生成に必要となる途轍もない衝突速度まで加速し、しかも同時に対消滅を避けるため対生成で生じた反物質を除去していることになる。.もしもこれが正しければ、SCP-8984はバリオン数生成の起源、すなわち初期宇宙における反物質の密度が素粒子物理学から予測されるものより著しく低いという未解決問題をも説明できることとなる。この点について筆者にご指摘いただいたタン博士に深く感謝申し上げる。

必要な速さに至るまでダークエネルギーが加速されるという現象は、SCP-8984内部に存在する、それ相応に強力な磁場の産物である可能性がある(この磁場は、少なくとも一時的に反物質を隔離し、物質との対消滅から保護する働きをしている可能性もある)。この磁場はSCP-8984表面の円錐面上に複数の平行な螺旋軌道を描いており、その終点である円錐の頂点において物質生成反応が発生していると考えられる。.螺旋形は、サイクロトロンや空洞マグネトロンなどといった実際の加速器においても軌道の形状として採用されている。 しかしながらこの仮説を採用したとしても、そのような磁場を生み出すエネルギー源が何なのか、そしてそもそもSCP-8984はどのようにして自身にダークエネルギーを引き寄せているのかといった疑問は残る。

寛大な精神に基づき、筆者はこの過程を「暗黒光合成」と命名したい。とはいえ、仮に筆者の名を冠し「ポワデバン過程」と名付けたとて異論のある方はいないであろう!


日付: できごと: 注記:
2024年5月15日-16日 観測実験 財団宇宙望遠鏡“サード・アイ”が、へびつかい座ρ分子雲領域において多数の暗黒星雲の予期せぬ重力崩壊を観測。おそらくは分子雲領域内で確率論的な自己伝搬性星形成反応が発生したものとみられ、新たな褐色矮星が多数形成された。
2024年5月21日 観測実験 財団の通例サーベイ観測により、SCP-8984と同様の組成を持つ可能性のある構造物の候補を複数、より太陽系から離れた位置に発見。
2024年5月23日 人員配置要請 生物学的プロセスを経てエネルギーを物質へ変換する手法に関し、サイト-19異種生物学課所属のエリザベス・ウェクスラー博士による意見提供をタン博士が要請。要請を承認。
2024年5月27日 観測実験 SCP-8984に対するゼーマン-ドップラーイメージング.訳注: 天体表面における温度分布のデータと偏光分光観測の結果を組み合わせることで、天体表面の磁場強度を分析する手法。により、アノマリー近傍に極めて強力な磁場が生じていることを確認。この磁場は円錐の頂点に向かう螺旋形を描いているように観察される。
2024年6月18日 研究ノート提出 ウェクスラー博士が研究仮説: 『らせん — SCP-8984と新たな生命の形態』を提出。
Shell.jpg

円錐らせん形状をとる腹足綱の殻

らせん — SCP-8984と新たな生命の形態

著者: エリザベス・ウェクスラー博士(異種生物学課)

「暗黒光合成」。ポワデバン博士がSCP-8984の活動に対し、ともすれば駄洒落のようにも聞こえるこの可能性を提示したことで、私はタン博士から意見提供のお願いを頂くこととなりました。そして、この名前は議論を展開する上で非常に魅力的なスタート地点にもなりました。アノマリーが有するらせん状の構造は、確かに光合成を思い起こさせるものです。植物の葉緑体の内部では、らせん状に並んだ間質チラコイドによって光が代謝プロセスに必要な化学エネルギーに変換されます。SCP-8984のらせんも同じように、エネルギー-物質変換に必要な磁場のエネルギーをダークエネルギーから作り出しているのでしょうか。

SCP-8984を生物学の観点から捉える利点は他にもあります。らせん、特に円錐らせんは陸生生物によく現れる図形です。先の間質チラコイドの他にも、花びらが落ちて種ができた後の花殻など、植物の器官にはらせんがしばしば見られます(斜列といいます)。もしやSCP-8984はダークマターでできた巨大な“松ぼっくり”で、自分の種を銀河中に撒き散らさんと待機しているでもいうのでしょうか。

これまでに得られている物証に基づいて、私が最も有力だと考える可能性は、ある種の“付加成長”によりらせん構造が生み出されたというものです。付加成長とは、硬い表面の上に時間をかけて物質の層が積み重なることで、ゆっくりと層が厚くなり、形ができてゆくタイプの成長です。物理学によれば、この種の力学的成長が起こる際に最もエネルギーの低い立体構造が円錐らせんなのです。

ふつうの人にとっていちばん身近な付加成長の例は、巻貝の殻でしょう。腹足類や頭足類の殻はふつうらせん形を取ります。特に、キリガイダマシ属(Turitella、「やぐら状」や「バベルの塔状」と形容される殻をもつ)やタケノコガイ属(Terebra、削岩機のビットに似ていることから「ドリル貝」と呼ばれる)、イモガイ属(Conus、有毒の肉食性巻貝)、オオイトカケ属(Epitonium、肉食もしくは外部寄生性の巻貝)といった腹足類の殻には円錐対数らせんが現れることが知られています。殻以外では、哺乳類の骨、歯、角などもこの種の成長を示す例があります。

初期段階の物証はいかに良く言っても断片的の域を出ないものですが、その上で私はSCP-8984がこれまで知られていなかった何らかの生命体の一部ではないかと推測します。本アノマリーはダークエネルギーを消費して物質を排出しています。バリオン物質が頂点から噴射され、ダークマターが円錐に貯蔵されることで、付加成長が起こっているのではないかということです。この仮説に基づくなら、今までに私たちが観測してきた円錐らせん形のダークマターはSCP-8984の“殻”にすぎないことになります。中に隠れている生命体の性質は何もわかっていないままなのです。これより面白いことなんて、他にあるでしょうか。


日付: できごと: 注記:
2024年6月23日 研究ノート提出 タン博士が研究補遺: 『ダークエネルギーに関する注釈』を提出。
Turritele.jpg

キリガイダマシの殻のX線画像

ダークエネルギーに関する注釈

著者: エイドリアン・タン博士(サイト-19 天体物理学部門)

ウェクスラー博士の仮説の方向性に少々落胆なさったポワデバン博士から、「今後の共同研究者の理解を助ける」ためダークエネルギーについて簡単な解説を書いてくれないかとのお願いを頂いた。喜んでお引き受けしたいと思う。

そもそもダークエネルギーとは、この宇宙の質量・エネルギーの過半を構成するとされる仮説上のエネルギーである。多くの場合ダークエネルギーは宇宙の質量・エネルギーの70%程度を占めるものと推定され、残りのうち25%程度が暗黒物質で、標準的なバリオン物質はわずか5%ほどとされる。電磁放射線と異なり、ダークエネルギーは重力としか相互作用しないため直接観測することはできない。しかし、ダークエネルギーが存在すると仮定することによって、宇宙の形状や大きさに関するいくつかの既知の現象を説明できるようになる。特に重要なこととして、ダークエネルギーが存在するとすれば現時点で観測されている宇宙の膨張速度を説明できるようになる点が挙げられる。ダークエネルギーが重力相互作用によって自己反発することで宇宙が膨張しているというのがその内容である。

ダークエネルギーの正確な性質は、主流科学、財団内のいずれにおいても明らかになっていない。宇宙空間に存在するダークエネルギーの密度は非常に低いはずであり、また宇宙全体で遍く一様であると考えられていた。これはダークエネルギーが宇宙の本質的かつ基本的なエネルギー(宇宙定数)である可能性を示唆する内容であった。

一方SCP-8984近傍で発見された高密度のダークエネルギーは、別の理論にとって有利な物証である。もしもダークエネルギーの密度が時空間上の位置によって変化しうるとするならば、ダークエネルギーは単なる不変の定数ではなく何らかの力場を形成している可能性がある。この理論は「第5の力」あるいは「クインテッセンスモデル」と称される。クインテッセンスモデルはダークエネルギーと暗黒物質が相互作用するとするもので、SCP-8984が暗黒物質によって構成されることはこれを支持する。

ただ、よしんばクインテッセンス理論が正しいとしても、今のところクインテッセンスの詳しいふるまいは明らかになっていない。一つの可能性として、反発効果によって宇宙が際限なく拡大し続け、今から数百億年後には冷たく疎な宇宙が形成されるというものがある。あるいは、ダークエネルギーが時間の経過とともに崩壊し、新たな形態のバリオン物質や電磁放射線となって宇宙の構造を一新するとも考えられる。ダークエネルギーを物質に変換するというSCP-8984のふるまいは、宇宙一新説を支持するものなのかもしれない。


日付: できごと: 注記:
2024年7月12日 観測実験 FST“サード・アイ”によるSCP-8984の週例撮影において、アノマリーの円錐底面からこれまでに観測されたことのない物体が突出していることが確認された。放射線の痕跡から、この物体は暗黒物質で構成されており、形状はジグザグ形状あるいは螺旋形、長さは300,000km程度とみられた。SCP-8984の頂点から噴出していた物質流が停止した。
2024年7月19日 観測実験 FST“サード・アイ”によるSCP-8984の週例撮影において、問題の未特定の暗黒物体から複数の付属物が分岐していることが判明。
2024年7月20日 設備要求 SCP-8984の恒常的な監視を可能とするため、FST”サード・アイ”に対する他のタスクの割り当てを取り止めるようタン博士が要請。要請を承認し、7月22日から割り当て停止を実施。
2024年7月26日 観測実験 FST”サード・アイ”が撮影したSCP-8984の画像において、以前に観測されていた放射線の痕跡が確認されなかった。周辺の宇宙空間のスキャンにより、突出物と同一の物体の可能性がある複数のオブジェクト(SCP-8984-A-1~-A-23に指定)を発見。オブジェクト群はいずれもジグザグ形状あるいは螺旋形であったが、SCP-8984と比較して顕著に小さく、また周囲の星雲の影響で一部不明瞭となっていた。SCP-8984本体の観測により、円錐頂点からの物質雲の噴出が再開したことを確認した。
2024年7月27日 データベース修正要請 7月8日-22日に観測された変化(通称“ウェクスラー・イベント”)を考慮し、タン博士が“Euclid”へのオブジェクトクラス修正を要請。要請を承認。
2024年7月29日 参加申請 古典歴史学部門所属のモーガン・ロバートソン博士がSCP-8984研究チームへの加入を申請。タン博士が申請を承認(ポワデバン博士は反対)。
2024年8月4日 研究ノート提出 ウェクスラー博士が研究補遺: 『分裂と横分体形成』を提出。
Strobilation.jpg

クラゲの生活環における横分体形成

分裂と横分体形成

著者: エリザベス・ウェクスラー博士(異種生物学課)

「分裂」という言葉を科学的文脈で使うのは物理学者の特権ではありません。生物学の世界でも、「分裂」はりっぱな科学用語です。生物学の文脈での「分裂」は、単一の生物が2つの部分に分かれ、それぞれの部分が成長して五体満足な元の生物に戻るという生殖形式を指します。分裂が最も一般的に見られるのは単純な単細胞生物ですが、より複雑な生命体でも見られることがあります。特に、海綿動物やヒトデ、扁形動物などといった生物は、2つ以上に分かれた身体のそれぞれが失った臓器を再生して完全な1個体に戻ることができます。

サンゴやクラゲ、サナダムシの中には、これに似た無性生殖の方式である横分体形成(ストロビレーション)を行うものがあります。この過程では、生物の上端が等間隔にくびれて節となり、そのくびれの部分が体の下方へと伸びてゆきます。くびれは次第に深くなり、最終的に体は多数の節に分割されます。節は生物の上端側から順に切り離されてゆき、最後に残った小さな部分から身体が再生されます。一方の切り離された節も成長して元の個体のコピーとなり、やがて再び横分体形成を行うこととなります。横分体形成を行う生物の特徴として、1個体が生み出す子孫の数が多いという点が挙げられます。サナダムシの中には、一生を通してこのプロセスを繰り返す種も存在します。

いわゆる「ウェクスラー・イベント」で収集された証拠からは、分裂や横分体形成といったプロセスとのまぎれもない類似性が読み取れます。この見方に基づけば、SCP-8984-AはSCP-8984の子孫であるということになります。「SCP-8984が生殖を行っているのではないか」という憶測は前々から流れていたものではありますが、とはいえその直接的な証拠をこの目で見ることができた感慨はひとしおでした。今日まで数十年間、SCP-8984ほどのスケールの、あるいはSCP-8984ほど特異な組成の地球外生命体が財団の研究によって発見された例はありません。この宇宙にどんな形態の生命体が存在しうるのかという問題を議論する上で、SCP-8984の存在は非常に魅力的なものであると言えます。

当初SCP-8984が単なる機械であるという説を信じていた方々は、SCP-8984が生命体だと判明したことで落胆なさるかもしれません。しかし、生命を持ったアノマリーというのは、単なる物体よりもはるかに多くの利益を科学全般にもたらすものです。その構成物質や構造、果ては老廃物として排出する物質に至るまで、あらゆるものに利用価値が見出せるかもしれないのです。それらが持つ新奇な化学的性質には、十中八九医療・創薬分野での応用可能性が存在するでしょう。次に財団が創り出す特効薬の素は、分析され複製されるその時をへびつかい座ρ分子雲領域の中で今か今かと待ちわびているのかもしれません。


日付: できごと: 注記:
2024年8月12日-8月28日 観測実験 この期間中、研究チームによりさらに3度の“ウェクスラー・イベント”が記録された。以後、“ウェクスラー・イベント”は4-7日毎に発生し続ける。
2024年8月25日 人員配置要請 ポワデバン博士がSCP-8984研究チームからの配置換えを要請。要請を却下。
2024年8月27日 研究ノート提出 ロバートソン博士が研究補遺: 『古代の第五元素説』を提出。
Cornucopia.jpg

古代ローマの彫像の残骸に認められるコルヌコピアの意匠。

古代の第五元素クインテッセンス説

著者: モーガン・ロバートソン博士(サイト-12 古典歴史学部門)

サイト-12歴史学部門がSCP-8984を認知したきっかけは、Safeクラスアノマリーの分野横断的研究を促進する目的で設計された財団AIC “Alexandria”でした。同AICは「へびつかい座」、「バベルの塔」、「クインテッセンス」といったキーワードを潜在的要注意語としてピックアップしました。SCP-8984の再分類が許可される直前に問題のアラートを受け取れたのは僥倖でした — チームのこれまでの研究内容の背景を理解するにあたっては、歴史的な観点に基づく考察が有用たりえます。

ダークエネルギーの「クインテッセンスモデル」についてのタン博士の文章は、自然科学に明るくない読者がダークエネルギーの概要を理解する上で非常に分かりやすく書かれていました。ただし、一点だけ不十分な箇所がありました。用語の語源についての解説が省かれていた点です。20世紀の物理学者が「クインテッセンス」という語を好んで用いたのは、古典的な四元素説に加えて第五元素(クィンタ・エッセンチア)が存在すると説いたアリストテレスの理論を意図的に仄めかそうとしたためです。

アリストテレスの説によれば、第五元素クインテッセンス、またの名をエーテルとは恒星や惑星を包み込む物質であり、神の吐く息はすべてこれによって構成されているとされていました(対照的に、人間や動物の吐く息は空気からなるとされました)。この概念は中世の錬金術師にも受け継がれ、この「元素」を単離して他の物質へ変換しようとする、あるいは医薬として用いようとする試みが行われるようになりました。

古代の医薬とSCP-8984との繋がりを示唆する要素は他にもあります。それは銀河の中でのSCP-8984の位置です。へびつかい座ρ分子雲領域の中心部は、へびつかい座のρ星から1°南側に位置します。ローマ神話において、へびつかい座は医神アスクレーピオスの姿を表しているとされています。神話において、彼は蛇が運んで来た薬草から不死の秘術を見出してしまい、ユーピテルの雷霆で撃ち殺されました。

SCP-8984が複数の医薬に係わる古代神話と関連性を有することは、その異常性がダークエネルギー即ちエーテルの吸収であることと辻褄が合います。クインテッセンスからバリオン物質への変換については、安直に素粒子物理学の枠組みを採用するのではなく錬金術的な性質の現象だと考えればよいのではないでしょうか。私は、SCP-8984の産物に薬効があるというウェクスラー博士の推測はいずれ立証されると、そう言い切ってしまっても構わないと考えています。以前タン博士がご説明なさったように、SCP-8984は「スター・ナーサリー」を生み出す役割を果たしていました — 少なくとも、星を創造し宇宙に生命を吹き込むこと以上に「神の息吹」に相応しい役割がないことは確かでしょう。

この観点に立てば、SCP-8984の「ねじれた円錐」という形状からは、古典古代に豊穣と繁栄の象徴として用いられた“豊饒の角”、コルヌコピアが連想されます。多くの場合コルヌコピアは、魔術の力で無尽蔵の飲食料品を生み出すことが可能な、曲がったもしくはねじれた形状の動物の角として描写されます(SCP-8984の螺旋形の成長パターンが動物の角のそれと一致していることは、既にウェクスラー博士がご指摘なさっている通りです)。ギリシア神話において、豊饒の角はゼウスが父である巨神ティーターンクロノスに危うく食べられかけたところを救われた後、彼の養母アマルテイア(ニュンペー。ヤギとして描写される場合もある)が幼いゼウスに滋養を与えるのに使っていたとされています。同様に、私たちはSCP-8984を豊穣をもたらしうるものとして捉え、星々の彼方においてさらなる繁栄と豊饒の兆しが見出せるものと期待してきました。

サイト-19の皆様と共に働けたことを光栄に思うとともに、皆様の今後のご発見を楽しみにしています。また、古典宗教におけるSCP-8984の扱いとの比較研究を行うべく、皆様にさらなる視点を求めることになるかもしれません。


日付: できごと: 注記:
2024年8月28日 人員配置要請 サイト-43 財団アブラハム信仰プロジェクト所属 ハンナ・メカル博士の出向をロバートソン博士が要請。要請を承認。
2024年8月29日 休暇申請 メカル博士が2024年10月3日・4日(ローシュ・ハッシャーナー)の休暇取得を申請。タン博士が申請を承認。
2024年8月31日 懲戒報告 ロバートソン・ウェクスラー両博士と口論を行った件に関し、タン博士がポワデバン博士に対する懲戒報告書を提出。公式に譴責処分が科される。
2024年9月6日 技術支援要請 メカル博士が技術支援を要請: 「サイト-43のファイルフォーマットで研究紀要を作成してしまったため、サイト-19のシステムが提出を受け付けてくれません。手助けをお願いします。」
2024年9月7日 技術支援要請の取り下げ メカル博士が技術支援要請を取り下げる: 「タン博士のご支援により問題は解決しました。私の初歩的なミスの解消方法を丁寧に教えていただきました!お手数をお掛けして申し訳ありません。」
2024年9月7日 観測実験 へびつかい座ρ分子雲領域に対するさらに広範囲の望遠鏡サーベイにより、領域内の恒星のハビタブルゾーンに存在する系外惑星の密度が統計学的に高い値であることを確認。今後分析を行うよう異種生物学課に通知が行われる。

インシデント報告書

日付: 2024年9月8日

場所: サイト-19

詳細: 異種生物学課所属のエリザベス・ウェクスラー博士が実験器具の故障により重傷を負った。ウェクスラー博士は同課の研究室にて業務時間前に単独で、SCP-████が含有するタンパク質のゲル電気泳動による分離実験を行っていた。7時30分頃、電気泳動用のパワーパックが短絡を起こしたことによりウェクスラー博士は感電した。直後、現場に到着した同僚らにより意識不明の状態で倒れているウェクスラー博士が発見された。

ウェクスラー博士は速やかにサイト-19の医療棟に搬送され、感電、III度熱傷、呼吸器機能障害の治療を受けた。彼女は現在も昏睡状態であり、神経系の損傷に対する検査が行われている。

現在進行中のプロジェクトでウェクスラー博士と共同研究を行っていた職員に対しては、本インシデントの発生が通達される。


日付: できごと: 注記:
2024年9月8日 研究ノート提出 メカル博士が研究補遺: 『角笛の形』を提出。
Shofar3.jpg

博物館に展示されたショファル

角笛ショファルの形

著者: ハンナ・メカル博士(財団アブラハム信仰プロジェクト)

筆者を本プロジェクトにご招待いただいたロバートソン博士、そしてとりわけ、SCP-8984に関する幅広い視点からの議論を快く受け入れていただいたタン博士に対して、ここに感謝を表したい。ロバートソン博士はSCP-8984を「豊饒の角」と捉える自身の説に関する議論に非常に意欲的であり、その議論への著者の寄与を要約するものとして本覚書の執筆を要請なさった。

曲がった円錐というものは、見る者の心に極めて強く訴えかける形状である。見る者を引き込み、その渦巻を目や指先で追わせる。円錐螺旋はある一点に収束するように退行し、視覚からも、見る者の理解の範疇からも消え去っていく。後に残された我々は、ただ考えを巡らすことしかできない。そう考えてみれば、研究チームの面々がSCP-8984と自身の専門知識の間に類似性を見出したのも頷ける。SCP-8984に目を向けた著者がショファルを連想したのは尚更である。

ショファルとは、ユダヤ教の祝賀や儀式で用いられる角笛の一種である。雄羊やクーズーの捻じれた角から作られることが多い。演奏はビューグルと同様に、奏者がアンブシュアを調節しつつ管を吹き、内部の気柱を振動させることで行われる。伝統的に、ショファルはローシュ・ハッシャーナー(ユダヤ暦の新年祭)において吹き鳴らされる。この祭典は同日に起こったとされる世界の創造を祝うものであり、ショファルの音は信心深き者への“モーニングコール”、および改悛の必要性を思い起こさせるリマインダーとしての役割を有している。実際に儀礼が行われる際には、ショファルは特定の形式、すなわち神.訳注: 日本語訳には特に反映していないが、原文では“God”が“G-d”と伏せ字になっている(一部ユダヤ教徒の間でみられる慣習)。以降のメカル博士による文も同様。の威光を再確認する長い音を1回(テキアー)、悔恨に呻く声を象徴する短い音を立て続けに3回(シェヴァリム)、そして極度の苦痛に止めどなく溢れるすすり泣きを表す短く崩れた音を何度も(テルアー)といった一定のパターンに沿って演奏される。

ショファルは聖書の中でも複数回言及されている。ヨシュア記には、契約の箱がエリコの街の周りを回る際、箱を先導する者が7本のショファルを携えていたと記されている。7度にわたる周回ののち、ショファルが吹き鳴らされ、イスラエルの兵が勝鬨の声を上げるとともにエリコの城壁は崩れた。聖書の他の箇所にも、ショファルの音が兵に戦の始まりを告げるのに使われた、あるいは天使によってショファルが吹き鳴らされたという記述が幾つか見られる。

ただ当然のことながら、共鳴する空気はショファルの螺旋の中を細い方から太い方に向かって通過するのであり、SCP-8984が形成する底面から頂点への流れとは向きが正反対である。ともすれば、我々はこのプロセスを“息を吸い込む”過程だと、すなわち現時点では未解明の何らかの理由で”神の息吹”が収集されているのだと、そう捉えるべきなのかもしれない。


日付: できごと: 注記:
2024年9月10日 ローカルファイル修正 研究補遺: 『SCP-8984とウェクスラー博士の悲劇』がロバートソン博士によって作成されるが、提出前にSCP-8984研究フォルダから削除される。
2024年9月11日 関係性の報告 タン博士とメカル博士が交際を開始する心積もりである旨を人事部門に通知。両人がSCP-8984研究チームに在籍し続けることに対する許可を申請する。申請を承認。
2024年9月12日 休暇申請 ロバートソン博士が2日間の病気休暇を申請。タン博士が申請を承認。
2024年9月13日 観測実験 7日間にわたり“ウェクスラー・イベント”が記録されていないことを研究チームが指摘。以後、“ウェクスラー・イベント”の発生は記録されていない。
2024年9月14日 懲戒報告 病気休暇中のロバートソン博士にポワデバン博士が接触したとされる。この件に関しロバートソン博士は懲戒処分の手続きを行うよう求めたものの、彼はポワデバン博士との会話の内容を提供しなかった。懲戒処分の是非に関して現在審議中。
2024年9月15日 ローカルファイル修正 研究補遺: 『神の目から逃れることなどできない』がロバートソン博士によって作成されるが、提出前にSCP-8984研究フォルダから削除される。
2024年9月16日 休暇申請 ロバートソン博士が2日間のストレス休暇を申請。タン博士が申請を承認。
2024年9月18日 観測実験 FST“サード・アイ”の測定結果より、SCP-8984の頂点から放出される物質の速度・体積が最初の観測以降低下していることが示唆される。現在の減少速度に基づけば、SCP-8984が放出する物質流はおよそ500万年後に停止するものと予測される。

インシデント報告書

日付: 2024年9月21日

場所: サイト-19

詳細: サイト-19 素粒子物理研究室所属のシモン・ポワデバン博士が行方不明となっていることが報告された。同僚らの証言によれば、ポワデバン博士は最低でも1週間にわたり欠勤していた。博士の私物はサイト内の居室から持ち去られており、部屋のくずかごからは焼けた紙が発見された。焼け残った文章を参照する限りでは、この紙は『SCP-8984: 反物質の除去機構に関する仮説』と題された、未完成の手書きの研究紀要であったようである。

なお2024年9月15日にはサイト-19医務室からクラスB記憶処理薬が窃取されており、サイト保安部門はこの事件が本件と関連する可能性も視野に捜査を行っている。サイト外での捜索に備え、機動部隊が待機中である。


2024年9月26日 観測実験 SCP-8984のゼーマン-ドップラーイメージングにおいて、アノマリー表面に存在していた磁場が検出されなかった。
2024年9月27日 研究ノート提出 ロバートソン博士が研究補遺: 『アンティゴネー』を提出。提出されたファイルの内容は、「アンティゴネー」という単語が623回にわたり繰り返されるというものだった。
2024年9月28日 データベース修正要請 タン博士が研究補遺『アンティゴネー』をSCP-8984データベースエントリから削除するよう要請。RAISAが要請を承認。
2024年9月28日 人事要請 ロバートソン博士が経過観察のためサイト-19精神科病棟に入院。
2024年9月28日 研究ノート提出 メカル博士が研究補遺: 『使者』を提出。
Angel.jpg

伝令天使の像

使者

著者: ハンナ・メカル博士(財団アブラハム信仰プロジェクト)

天使の性質に関する議論 — 予定と異なり少々プロジェクトの内容から脱線した箇所もあったが(!) — を経て、タン博士のご意向により、最もよく知られた天の音楽家・大天使ガブリエル/ジブリールについて情報を幾つか追記することと相成った。

ガブリエルはユダヤ教、キリスト教、イスラーム教の全てにおいて、「神の守護天使にして使者の元型」として言及される天使である。新約・旧約聖書の両方に名前が現れる数少ない天使のひとりであり、またイスラム教においては神の言葉クルアーン(コーラン)をムハンマドに伝えた者であるともされる。

ユダヤ教の神話において、ガブリエルは発生した胚が命を授かる過程で重要な役割を担っているとされる。エデンの園の生命の樹が花開くとき、新たな魂が生み出され、魂の集うところであるガフの部屋へと降りてゆく。そしてガブリエルがガフの部屋へと手を伸ばし、魂を取り出して胚へと流し込む。これにより胚に生命が与えられるのである。「SCP-8984も魂の集うところとして機能しており、そこに流れ込むクインテッセンスが新たな生命を生み出している」とすれば、タン博士が提唱したオブジェクトの目的に関する幾つかの説とも符合する。

ユダヤ教における「生命の使者」としてのガブリエルのイメージこそが、ルカによる福音書の物語の源流となった可能性がある。物語の中で、ガブリエルはまず洗礼者ヨハネの父ザカリアの下に、次いでイエスの母マリアの下に現れ、どちらに対してもイエスの誕生を告知している。

イスラームの伝承においても、ガブリエルはやはり新たなる生命の使者として捉えられている。こちらでは、アブラハムへのイサク誕生の告知もガブリエルのもたらした吉報の一つとされる。ガブリエルはムハンマドと幾度も対面してアッラーの言葉を伝え、戦においては彼を支援した。また別の記述によれば、ガブリエルはソドムとゴモラの街にアッラーの怒りを下し、翼の先端だけで二つの都市を滅ぼしたとされる。

旧約聖書のダニエル書においては、ダニエルの見る幻視の意味するところを解説するためにたびたびガブリエルが現れる。その中にはダニエルの最後の幻視である、死者のよみがえる「終わりのとき」も含まれている。中世を通じて、この記述は「世界の終わりを告げる喇叭の音」に関する他の聖書の記述と混同され、その結果として今日広く知られる「世紀末を告げるガブリエルの喇叭」の概念が生まれたと思われる。


日付: できごと: 注記:
2024年10月1日 観測実験 FST”サード・アイ”が、SCP-8894がその場で回転したことを記録。円錐の頂点が観測位置から遠ざかるように90°回転し、SCP-8984の底面がFST”サード・アイ”の方向を向いた状態となった。
2024年10月2日 観測実験 FST”サード・アイ”が、SCP-8984の近傍から複数回にわたり発せられた高エネルギーの放射線を検知。この間に望遠鏡が撮影した画像は、全面が白一色となっていた。
2024年10月2日 観測実験 タン博士がFST”サード・アイ”の観測位置を、SCP-8984から恒星エアレンデル.エアレンデルは地球から129億光年離れており、現時点で観測されている中で最も遠い恒星です。の座標に変更。
2024年10月2日 データベース修正要請 タン博士がSCP-8984データベースエントリの削除を申請。RAISAが申請を却下。却下事由: 明確な理由の未提示。
2024年10月2日 ローカルファイル修正 タン博士が2024年10月2日付のローカルファイル2件をSCP-8984研究フォルダから削除。
2024年10月2日 サイト-19医務室への申請 タン博士がクラスB記憶処理薬(2回分)の支給を申請。サイト-19医務室が申請を却下。却下事由: 明確な理由の未提示。

インシデント報告書

日付: 2024年10月3日

場所: サイト-19 SCP-8984研究室内 静音室

詳細: 7時43分に財団の研究職員2名の遺体が発見された。遺体の身元はアブラハム信仰プロジェクト所属のハンナ・メカル博士および天体物理学部門所属のエイドリアン・タン博士と特定された。

死亡推定時刻: 発見のおよそ8-12時間前。

メカル博士は喉を、おそらくは鋭利な刃物によって複数回深く切り裂かれていた。タン博士の手首と前腕には複数の切創が存在した。

凶器の包丁はタン博士の遺体とともに現場で発見された。異常活動の形跡は確認されていない。無理心中とみて捜査が進められている。







特に指定がない限り、このサイトのすべてのコンテンツはクリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス の元で利用可能です。