SCP-CN-2003
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異常言語・社会現象センター

(Center of Abnormal Languages and Social Phenomena, CALSP)による注記

本報告書の“特別収容プロトコル”項は最近改定が行われました。

現在のオブジェクト主任研究員が追加した内容は青色で強調表示されています。

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2020年に全世界で記録されたSCP-CN-2003事例のヒートマップ。色が明るい地点ほどSCP-CN-2003の発生件数が多いことを表す。

アイテム番号: SCP-CN-2003

オブジェクトクラス: Keter

特別収容プロトコル: 現時点で財団はSCP-CN-2003の本質を十分に理解できていないため、その実効的な収容には未だ成功していません。SCP-CN-2003の発生が深刻な結果を招きうることから、進行中の事例には原則として介入を行うことが求められます。しかしながら、SCP-CN-2003の発生時期/地点/対象のランダム性を原因として、その発生を正確に予測することは極めて困難となっています。SCP-CN-2003の発生現場が青少年の知能の発育および人格形成において重要な場たる“学校”である1ことから、倫理委員会は財団が関係者に対してクラスA~D記憶処理を頻繁に施すことを推奨していません。同じ理由により、財団はSCP-CN-2003-A個体に対してはいかなる関与も行わず、代替策として各国のいじめ問題関連の法整備を推進するよう政府の関係機関に働きかけることを決定しました。

財団は、各国政府への資金援助・技術提供を通して、学校内いじめ問題対処のための特設ホットライン、ウェブサイト、携帯電話アプリケーションの開発を促進する“プロトコル-下校チャイム(Protocol School’s-over)”を発動しました。これらのルートから寄せられた報告は、潜在的なSCP-CN-2003-B個体が発信した音声や文字を検知するため、全て財団の奇跡術フィルタおよび自然言語処理アルゴリズムにかけられます。

SCP-CN-2003-Bに対する収容措置には、以下の一連の手順が含まれます。

  1. 財団は“プロトコル-下校チャイム”もしくは各校区に常駐するエージェントを通じて、SCP-CN-2003-Bに変化した人物を発見し、その所在地を特定する。
  2. SCP-CN-2003-B個体が学校から帰宅する途中に、指定されたエージェントが超小型カント計数機を個体の後頸部の皮下に埋め込む。これによって-B個体周辺半径1 m以内のヒューム値のモニタリングが開始される。モニタリングは対象が卒業、中退、死亡などの原因によって現在通っている学校を永久的に離れることになるか、あるいはSCP-CN-2003-Γへの変異が発生するまで継続される。
  3. モニタリング期間中は、対象周辺のヒューム値によって異なる措置が取られる。
    1. ヒューム値がいずれも正常値の範囲内2'3であれば、特別な措置を取る必要はない。
    2. ヒューム値がクラスI現実改変者の水準4に達した場合、機動部隊-庚辰-23 (“風紀委員/Campus Judgers”)を派遣し、対象が無意識に行使する現実改変能力に対して善後処置を講じる必要がある。
    3. ヒューム値がクラスI現実改変者の水準を著しく超過した5場合、機動部隊-庚辰-23 (“風紀委員”)が速やかに対象を捕縛し、サイト-CN-92の標準ヒト型実体収容室に収容する必要がある。この際、対象による自身の現実改変能力の制御への習熟を支援するため、対象と積極的に交流を行うべきである。もしくはクラスF記憶処理薬を注射した上で、ヒト向け汎用標準教育課程を施すことで対象のアイデンティティ再建を補助してもよい。
    4. 収容の過程で対象が制御不能となりSCP-CN-2003-Γに変異した場合、SCP-CN-2003発生の法則に関し可能な限り情報を収集するため、交流の継続を試みるべきである。交流に失敗した場合、対象を可及的速やかに終了する必要がある。また、(存在する場合)その両親あるいはその他保護者には、カバーストーリー“神隠し(Lost Child)”の派生152種6から状況に応じたものを選んで伝達する。
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SCP-CN-2003-B個体およびその周辺のヒューム値変化。

説明: SCP-CN-2003は全世界の学校施設で起きるいじめ行為の現場において、約0.0394%の確率でランダムに発生する社会的異常事案です7。

SCP-CN-2003発生時、一部の生徒(・児童)がSCP-CN-2003-A個体(いわゆる“加害者”)に、別の1名もしくは数名の生徒がSCP-CN-2003-B個体(いわゆる“被害者”)に選出されます。SCP-CN-2003の異常性は、これら2集団による社会的行為の傾向ならびに精神状態に一連の異常な変容を発生させ、かつSCP-CN-2003-B個体に一時的な現実改変能力を付与するというものです。

SCP-CN-2003-A個体の人数は通常5~20名であり、また通常はそのうち1名もしくは2名を中心として集団が形成されます。SCP-CN-2003-A個体群は多種多様な手段を用いて、長期にわたりSCP-CN-2003-Bに対する嫌がらせや攻撃を繰り返します。 これにより、SCP-CN-2003-Bは肉体、精神の両面に負の影響を被ることとなります。用いられる手段には以下が挙げられますが、これらに限られません。

  • 四肢による殴打、あるいは武器や道具による身体への攻撃
  • 標的本人、あるいはその家族への言葉による侮辱
  • 標的の金銭や所有物の窃取、強奪、損壊
  • 標的に対する何らかの危険な行為の強要
  • 標的および標的と接触した他の生徒8の疎外
  • SNS上での標的に関する虚偽の情報の流布
  • インターネット上における標的の私的な写真・動画等の公開、拡散、売買

SCP-CN-2003の発生期間中にSCP-CN-2003-Aが受ける異常な影響として、現在までに以下などが確認されています9。

  • 暴力的傾向が約12.74倍に増加
  • 思いやり、共感の意を表明する傾向が約0.015倍まで低下
  • 他のSCP-CN-2003-Aの行動を模倣する傾向が945.2倍に増加
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プルチックの感情の輪において、SCP-CN-2003-Aは暖色の部分の感情に、SCP-CN-2003-Bは寒色の部分の感情に異常影響を受けやすい。

SCP-CN-2003-B個体は極めて大多数の状況において1名のみですが、稀に2名、あるいは3名となることもあります。SCP-CN-2003-Aによるいじめ行為に対して反撃に出る、あるいはその内容を他者と共有するといったことはごく稀です。また、複数の個体が存在する場合、いずれかの個体が自発的にSCP-CN-2003-Aとなり被害者の立場を脱することで、残りが1名のみになるまで個体数を減らす傾向があります。SCP-CN-2003-Bがいじめ行為を受ける理由としては以下が挙げられますが、これらに限られません10。

  • 人種や民族が現地の多数派と異なる
  • 体格、容貌、肌の色などが一般的なものと異なる
  • 性格が過度に内向的、あるいは過度に外向的である
  • 学業成績、運動能力、言語能力が極めて劣悪、あるいは極めて良好である
  • 家庭の経済状況が極めて劣悪、あるいは極めて良好である
  • 特定の異性との関係が過度に親密、あるいは過度に疎遠である

SCP-CN-2003の発生期間中にSCP-CN-2003-Bが受ける異常な影響として、現在までに以下などが確認されています

  • 他者と交流することに対する欲求が0.097倍まで低下
  • 苦痛、羞恥、困惑、恐怖、鬱、不安など、負の感情に対する感受性が約83.6倍に上昇
  • 重度の強迫行為を発症する割合が約1022倍に上昇、強迫性障害と診断される割合が5.98倍に上昇

SCP-CN-2003発生の数日から数週間後、SCP-CN-2003-B個体のヒューム値は基準値を逸脱し、実質的にクラスI、あるいはそれ以下の現実改変能力を発現するようになります。しかし、対象は往々にして能力を上手く制御することができず、時折制御できない状況下で能力が発揮されたことに疑念を抱く、あるいは不思議に思うことがあります。SCP-CN-2003-B個体のヒューム値が異常値を示す状態が長期にわたって維持された場合、一定の確率でSCP-CN-2003-Γに変異します。

SCP-CN-2003-Γは“タイプ・グリーン”に分類される、クラスII、あるいはそれ以上の現実改変者です。その能力の類型は、SCP-CN-2003-Bの段階で受けたいじめの手段との関連性を有します。SCP-CN-2003-ΓはSCP-CN-2003-A個体を積極的に捜索し、発見した際は極めて残虐な方法により襲撃します。また、この際SCP-CN-2003-B個体から自発的に変化して生じたSCP-CN-2003-A個体を優先します。同SCP-CN-2003事案に関連するSCP-CN-2003-A個体が全て死亡すると、当該SCP-CN-2003-Γは他の生徒、教師、学校職員などを無差別に襲撃します。

通常、財団がSCP-CN-2003-Γと言語による有意義な意思疎通を行うことは不可能です。

SCP-CN-2003がもたらした現実改変能力は、SCP-CN-2003-B個体が事案発生時に通っていた学校を永久的に離れると同時に消失します。しかし、SCP-CN-2003がSCP-CN-2003-Bにもたらした肉体的・精神的損傷は全て不可逆です。

異なる国家で発生したSCP-CN-2003事例のうち、注目すべき4例を以下に掲載します。

日時: 1997年10月2日 - 2003年6月19日

現場: 中華人民共和国 ██省 █████小学校

結果: SCP-CN-2003-Bが学校を卒業

SCP-CN-2003-B概要: 范 ██。小学4年時に軽度の失読症ディスレクシア11と診断され、国語や英語の授業の筆記、音読、暗誦などの分野で成績が悪化する、反応が遅れるといった問題が発生していた。失読症が完治することはないが、教材の字体を変更する、音声教材を用いる、図像を多数導入するなどといった母親の支援により同等レベルの教育を受けられる環境が保証されていた。成績は平均的な水準となったが、いじめ行為が止むことはなかった。

SCP-CN-2003-A概要: 范██と同学年の児童計10名。

主要ないじめの手段: 被害者が教科書を音読できなくなったときに、故意に虚偽の助言を与える。被害者が提出する予定であった宿題を窃取し、無断で塗りつぶして侮辱語に書き換える。被害者が時折発症する、軽度の吃音や発話速度が遅くなる症状を模倣する。侮蔑語を書いたトイレットペーパーを裂き、被害者の症状を治療できると偽って嚥下するよう強要する。

事態の経過:
1999年11月3日、范 ██が自身の手の甲を5秒ほど注視した直後、手の甲に漢字からなる黒色の図案が出現したという旨の報告を范 ██の母親が行った。内容は当日の授業内容の一部であったとされる。なお、范 ██本人は気付いていない様子であったが、図案は視線を逸らすと速やかに薄れ始め、10秒以内に消失した。
その後1ヶ月の間に、范 ██の母親はさらに4度類似の事件を目撃した。財団が介入を決定し、機動部隊-庚辰-23を派遣して范 ██をクラスI現実改変者として収容あるいは終了することとなった。
1999年12月5日、機動部隊-庚辰-23が任務を実行に移した。范 ██の母親の強行的な介入により任務目標は達成できず12。財団は即座に范 ██のヒューム値変動の監視継続を決定した。
これ以降、范 ██は次第に現実改変能力の制御に習熟していった。能力の再査定の結果、クラスIの域に達しておらず、収容の必要性を有さないと判定された。
2003年6月19日、范 ██は小学校を卒業した。直後、現実改変能力が消失したこと、およびヒューム値が正常な水準に回復したことが観察された。





あなたがノートを閉じると、そのかすかな風に流されて、机の隅に何年も置きっ放しになっていた古い写真が飛んでいった。
積み重なった写真の一番下には、十数年前に書かれたメモがあった。
あなたはメモを手に取った。

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