アプロプリエイションAppropriation──すなわち「流用」とは、
既存物品を使用して創られるアートの手法を指す。
込められていた意図・価値・文脈らを切り離して、
新しい意義の創出をするため礎石として利用する。
大量生産品レディメイドの陶器を『泉』として展示するように、
彫刻の写真に不気味な説明文を付け加えるように。
本日もサイト-81UTは開館しています。
『晴れの休みは上野巡りへ』は、上野公園の複製である異常空間・SCP-3173-JPと、その中に建てられている財団施設・サイト-81UTを主な舞台とするカノン-JPです。ENにおけるロケーション型カノン (例: On Guard 43) などに近いものがあるでしょうか。
このカノンには「かつて財団は、首都圏に十分な収容体制を備えた財団施設が無い、という問題を抱えていた」という設定があります。この点において特に、当カノンは既存記事の設定と衝突しえます。
舞台設定を理解するためには先述の記事、特に前者を読めば十分です。後者のサイト記事はSCP-3173-JPに描かれた物語以後の変化を描いた、設定資料集のようなものです。興味があれば読んでおくと良いでしょう。
更にこのカノンの雰囲気を掴みたいなら、シリーズに所属する作品群を読むのが唯一にして最も近い道です。お勧めは投稿順に読むことですが、気になったものを摘み食いしても問題ありません。
最後に、2つの用語について解説しておきましょう。といってもいずれもSCP-3173-JP中によく書かれてあるので、もう少し砕けた、あるいは補足的な方法で。
パッシブ・アノマリー。そう当てはめられた中に、危険なものは殆ど存在しないと考えて良いでしょう──普段のそれはあくまで僅かな揺らぎ、広義のAnomalousアイテムに含まれる一分類です。
アプロプリエイション。SCPはそのルーツから、まさに現代におけるアプロプリエイションの実践の最たる例と言って良いでしょう。元々あった芸術作品の写真を脱文脈化し、ホラー風味のSFに仕立てあげる。我々の礎にはまさに、アプロプリエイションがあります。ひとつ注意していただきたいのは、ここで語られているアプロプリエイションは、美術用語としてのそれよりももう少し広いものである、ということです。すなわち70年代後半以後の文脈のみならず、それよりも半世紀前の「泉」にまでその語彙を使用しています。「アプロプリエイション」という語を、まさに広義にアプロプリエイトしているとも言えるでしょう (この言は多少、卑怯なものでしょうか? より適切なものがございましたら、ぜひご教示ください)。


