クレジット
タイトル: 内面の美
翻訳責任者: DeepBlueUnion
翻訳年: 2026
原題: Wewnętrzne piękno
著作権者: Charonides
作成年: 2025
元記事: Wewnętrzne piękno rev. 3
保護エリアPL-22の集中治療室に所属しているカミンスキー教授について、誰もがその存在を認識していた。彼の姿は頻繁には見られなかったものの、その存在感と監督力は集中治療室全体の隅々まで、当直室の冷めたコーヒーの一杯一杯に至るまで及んでいた。普段は誰も彼の居場所を把握していなかったが、ひとたび特に難しい症例が発生するや否や、教授はどこからともなく現れ、未熟な医師達からカルテを奪い取るようにして問題に向かうのだった。
彼は人生の半分を医学に、そしてもう半分を超常の分野に捧げた。財団への加入を承認された後、この真に傑出した天才はすぐに部門長にまで昇進した。彼は超常の世界に恐れることなく、むしろそれに魅了された。そしてその結果、彼は超常の祝福を彼自身の信じがたい手腕によって活用し、強力な呪いを治療してきたのである。彼が内科専門医から世界初の超常疾患専門医へと変貌を遂げたのは、その非凡な才能によるものであったと言っても過言ではないだろう。
しかしある日、問題に遭遇した医師を発見したのは彼ではなく、不運にもその医師自身の方が彼を見つけてしまったのだった。カミンスキー教授が一日をかけて作成した医療文書を静かにシステムに入力していると、一人の医師がまるで火傷をしたかのように慌てて彼のオフィスに勢いよく飛び込んできた。若く、か弱く、青白いその医師は、偉大な権威の前に立っているということを考えただけで震え慄きながら素早く眼鏡を直すと、持っていたブリーフケースをまるで熱いポテトを扱うかのようにして机の上に放り投げた。教授が文書からゆっくりと目を上げ、その疲れた目で不気味に彼自身に視線を向けると、彼は恐怖した。
「か……患者です。あ、いや、新患です」
その哀れな医師は要点を伝えたつもりだったが、カミンスキー教授はわずかに鼻を鳴らした。
「落ち着きなさい。君は……」
「ロテクです。け、研修医の」
老教授は満足そうに頷いた。研修医がここに? 珍しいことだ。彼は可能性の芽には大いに敬意を払っていた。
「そんなに緊張する必要はない。私は取って食ったりはしないさ」
老教授の目は一気に柔らかくなった。
「ただね、実は少し仕事があって、正直あまり──」
「ど、どうしてもお願いします!」
研修医は可能な限りきっぱりと教授の声を遮った。
「誰かにここに来るよう言われたのかな。それとも──」
「誰も知りません。じ、自分がここの当番をしていて、み、み、見たんです。そ、それで、その……」
「私を探し始めた?」
カミンスキーが言葉を続けた。
「はい」
研修医が羞恥心や無力感に覆われた下に強い決意を覗かせていることに気が付き、教授はますます感心した。一方で同時に、事態に対する好奇心も指数関数的に膨れ上がっていた。研修医がこれほどの恐怖を乗り越え、誰にも知らせずに自分の所に来るほどの深刻で異常なこととはいったい何なのだろうか? 興奮が彼を魅了し、脳を刺激した。同時に、今から取り掛かろうとしていた書類はそれに比べてどれほどつまらないものだろうと思い始めていた。彼は事の全てを聞きたかった。
「よし、話してみてくれ」
教授は椅子に深く腰掛け、両手を腹の上に置いた。
「私は全て聞いているから。プレゼンテーションのやり方は学んでいるね。深呼吸をするんだ。吸って……吐いて……。私が君の話をちゃんと理解できるように」
ロテクは一瞬目を閉じ、深呼吸をしてから何度か眼鏡を直すと、教授の視線から避けるようにしつつ、ためらいがちに話し始めた。
「患者は37歳、サイトPL-55所属の研究者で、40分前に、は、搬送されました。救急隊の説明によれば『重篤で、説明は難しいが、安定している』状態とのことでした。バイタルサインは測定不能、じ、自宅からは市販されていない未知の『薬剤』が入った箱が回収されています。患者は過去にその、しゅ、醜形恐怖症の治療歴が、その、す、すみません」
「問診で何か他に情報は?」
カミンスキーは不満げに、額に小さくシワを寄せた。
「得られませんでした」
「ふむ、ロテク君……」
教授は穏やかだが毅然とした口調で話し始めた。
「ここの環境が特殊だということも、君が今まさにストレスを感じていることも、感情が高ぶっていることも私は十分に理解している。だが、その報告ではダメだ。今の報告では何も分からないよ。それで、君は彼女を診察したのか?」
「できませんでした。そ、それで教授を呼びに来たんです」
若い医師は悲しげに答えた。
「診察できなかった?」
「できなかったんです!」
若い医師は絶望して声を張り上げた。教授は怒るだろう、自分を嫌うだろう、もうチャンスはないかもしれない、彼はそう考えていた。しかし老教授は怒るどころか立ち上がり、ますます興味深そうな目で彼を見つめ始めた。
「君は彼女のことを説明できるか? それも無理かね」
「い、言おうとすれば彼女のそ、尊厳を傷つけてしまいます。冗談にしか聞こえないと思うので」
「構わないさ。誰が録音しているわけでもないし、患者が聞いているわけでもない。話したまえ。君は彼女をどう表現する?」
教授は書類とペンをそっと脇に抱えると研修医に数歩歩み寄った。書類仕事などいつでもできるのだ。
「か……角ばってました」
きまずい沈黙が空間を支配した。カミンスキーはわずかに嘲るような視線でロテクを見つめたが、何も言わず、ただ同行を促して静かにオフィスを出た。教授の年老いた身体はいまや活力で満たされていた。若いロテクの足ですら、付いていくのが精一杯だった。そして、偉大な権威に道を示すのが彼の責務だった。
「『薬剤』。君は確かにそう言ったな。それ以上のことは何か分かっているかね。今それを持っているのか?」
教授は銃弾のように質問を浴びせた。
「患者のそばに置いておくように頼んでおきました」
「愚かな! だがもしかすると、今回に限っては良い選択だったのかもな」
年老いた医師は活力に満ちた声で叫んだ。
「ロテク! お前何考えてるんだ!」
彼らの背後から怒鳴り声が上がった。
「簡単な仕事を任せただけだというのに、姿を消し、患者をほったらかして部門長の手を煩わせるとは! クビになりたいのか!?」
「クビにされたいわけではないと思うよ、ダレク。君は自分の患者の面倒を見ていてくれ。新患は数分くらいなら待たせておいても大丈夫なんだろう?」
教授はぴしゃりと言い返すと、その視線でダレクの動きを止めた。
「は、はい……」
「だろう? 私はロテク君を信用しているよ。せいぜい、後で私から叱責される程度だ」
恐怖に打ちのめされた指導医を置き去りにし、二人はそのまま歩みを進めた。
ロテクは指導医と教授の両方に怯えながら、パニック状態で部屋に飛び込み、あらゆるキャビネット、そして──明らかに倫理違反ではあるが──患者のバッグまで漁った。彼はようやく探していたもの、すなわち小さな、丸い、血のように赤い箱を見つけた。中には錠剤が入っており、隅には文字の記された金色の装飾がなされていた。教授が部屋に現れるや否やロテクはその箱を彼に手渡し、教授は記された文字を声に出して読み上げ始めた。
「『自身を解放せよ』……『真に憧れる自己を達成し、自らを曝け出し、内面の美を解放せよ。奇跡の実現者、超常の療法士ドミニクによる確かな医薬品』こんなものが……一体彼女に何を……」
ロテクは何が起きているのか理解するとすぐに、神経質に踏み鳴らしていた足を止めた。教授は何と続ければ良いのかすらわからず立ち尽くしていた。それは全く見たこともない異常な光景だった。彼は数歩進み、手袋を嵌めて目にしたものに慎重に触れた。
彼は数分間に渡り静かに観察を行った後、ようやく言葉を発した。
「彼女は……これは明らかに、生きている。そして確かに、角ばっている」
老医師は少し身を引き、鋭い視線でそれを観察していた。それは前面が開いた灰色の箱のような物体で、中には薄い皮膚で覆われた内臓と、女性の顔が埋め込まれていた。縁はカミソリのように鋭く、側面は刺すような突起で不規則に覆われていた。それは全体として不安を掻き立てるものでありながら、しかし同時に魅惑的な美しさを内に秘めていた。内部には一つとして偶然や失敗は含まれていないように思われ、ただ一つの調和の取れた箱として成立していた。
彼女はまるで見事に構成された一つのインスタレーション芸術のようで、詐欺師によって記された皮肉なポエムと完璧に調和していた。部分的に開かれた全く受け入れ難い彼女の胸部は、文字通りその内部を完全に露出しており、内部にはその象徴が──すなわち、彼女の顔が──添えられていた。彼女は目を固く閉じ、まるで理屈では説明できないような深さで眠りに落ちたかのように、夢の神モルフェウスの腕の中で横たわっていた。
彼女は穏やかに眠っていた。それだけが、せめてもの救いと言えた。


