█ ブラックソウル。
█ 黒の女王にして魔法少女プリンセスナイト・シルバーピーチの白銀 桃花シロガネ トウカなのですぅ~。
█ サウザンドバレット様の登場だ!
█ 黒の女王・ノイジィです。毎回賑やかな女王が同席する決まりでもあるんでしょうか。
█ かつては黒の女王、末路は何者でもない。
ドキュメント・ダイモーンより通達: 本文書の編集人数は推奨値を超過しています。
█ ノイジィ: おや、これはいったいどういうことでしょうか?ここには自分たちしかいませんし、リモート参加者もいないはずですが。
█ サウザンドバレット様: オレらが気付いてないだけで、マジで5人目がいたりしてな!
█ トウカ: もぉ~怖いこと言わないでください~!
█ ブラックソウル: 今回のカタログ作成には従来と異なる方式の記録媒体を使っている。まだまだ試験運転中の代物ゆえ、こういった不具合もあるのだろう。
█ : 驚かせてごめんね。
ベースライン
█ ブラックソウル: ザグレウス・ギルドは「失われたモノをより良い形で蘇らせる」を理念に掲げる同業組合だ。
█ トウカ: 日本語でお話する人向けの「西行堂」という支部もあるのですよぉ~。
█ ノイジィ: 同業と言いつつ構成員の職業は多種多様です。例を挙げればネクロマンサー、美術品修復家、金継ぎ師、玩具修理屋、イラストレーター、小説家、建築術師、合成生物学者、アルケミスト、魔導工学者、漫画家──。
█ : 準存在論者あるいは記号使い。
█ サウザンドバレット様: アンタに喋らせ続けたら日が暮れちまうなあ!詳しく知りたきゃ添付のリストを読みやがれ!
█ ノイジィ: 1日2日では終わらないので暇つぶしに丁度いいですよ。それと、ずいぶん愉快なコードネームをお持ちですね。
█ ブラックソウル: 彼らは失われたものや壊れたものを蘇らせるために超常的な技術・技法を用いている。活動の対象は先ほど紹介した業種と同じくらい節操がない。
█ ノイジィ: もっともイメージしやすいのは死者蘇生ですね。これはほとんどの次元における同団体への依頼の48%を占めていて、死者が発生しない一部の例外を除けば最も少ない次元ですら31%を下回ることはありませんでした。このようなデータが得られた理由について考察すると、人間を含めた多くの知的活動を行う生命体は親しい間柄の存在や思い出深い物品が失われることに対し脆弱であるため、そのような問題を解決する手段の需要が高くなることと関連しているのでしょう。
█ サウザンドバレット様: どうやったかは知らねえけどよお、ぶっ壊されたバベルの塔を再建しやがったって噂もあるぜ!マジの話ならシビれるよなぁ!
█ ブラックソウル: 彼らの言葉を借りれば、取り戻せないものはない。
█ ブラックソウル: 彼らは独自のクラウドソーシングサイトを運営していて、蘇らせてほしいモノがある依頼人と登録業者を繋ぐ仲介業もやっている。
█ ノイジィ: しかしながら、依頼がない期間も自主的に活動している登録業者はどのタイムラインでも88%を超えています。活動に必ずしも依頼が必要なわけではないようです。
█ : 呼んでもいないのにやって来ることさえある。
必須条件
█ ノイジィ: 最も重要なのは生物学的な死の存在です。死の存在しないタイムラインの大半でこの団体は発生しません。結成されたとしても、死の存在するタイムラインと比較して大幅に弱体化する傾向にあります。
実用性+注意点
█ ブラックソウル: このカタログを読んでいる一部の妹たちにとって最も気になる項目はここだろう。だからこそ最初に言っておく。彼らは亡くなった父を取り戻す手段にはなり得ない。
█ ノイジィ: 被害者の尊厳を守るため名前は伏せますが、過去、何人かの女王が忠告にも関わらず彼らに依頼を行いました。彼女たちは己の過ちを今でも後悔しているそうです。
█ ブラックソウル: 彼らは失われたモノを蘇らせてくれるが、元のまま返してくれるわけじゃない。より良い形に"アレンジ"してしまう。
█ サウザンドバレット様: どんだけクレイジーに改造されても文句は言えねえぞ!そういう契約だからな!
█ トウカ: どんな風に変えられるかは業者次第なのです。
█ : ……。
█ ノイジィ: 自分が見た中で最悪のケースは、その有り様を包み隠さず語るだけでカタログの編集権限を剥奪されるような惨い状態でした。
█ ブラックソウル: どんな形でも構わないからチャールズ・ギアーズを蘇らせたいという妹以外にはおすすめできない。他のモノを取り戻すのに使うとしても、これ以外のやり方を全部試して駄目だった時の最終手段として考えるべきだろう。
█ ノイジィ: 例外として、通常の何倍も掛かる指名料を払えるのであれば信頼を置く業者を指名して依頼できます。ただし、大手の取引先との契約で予約が埋まっていたり、指名料として許容し難い代償を要求されたり、そもそも信頼の置ける業者を見つける難易度の高さがあったりするため、現実的ではありません。
█ : それでも選ばなければならない時はある。その時どうするかは自分次第。どうか悔いの少ない選択を。
傷つきやすさ
█ ブラックソウル: 構成員は皆、確実に1種類以上の超常的な技術・技法、能力を有している。能力の程度には振れ幅があり、宇宙全体に影響を及ぼす極めて強力な神格から、ゾンビ1体作るのが精々の下級ネクロマンサーまで様々だ。
█ トウカ: ある意味ではトウカたちと似ているのですぅ~。人間以外の種族が所属している点も一緒ですねぇ~。
█ ノイジィ: 彼らが蘇らせたモノも厄介です。超常社会の真っ当な職人や研究者としてやっていく道を捨ててこのような団体に所属する者の作品ですから、修復者の性根と同じようにひねくれた性質を持っていることが多いんですよ。
█ サウザンドバレット様: 頭のネジが外れちまったヤツばっかりだ!
█ ブラックソウル: 他に注意すべき点として、死後に肉体と魂を弄ばれる可能性がある。
█ ノイジィ: それについては回避する方法があります。確実ではありませんが。
█ サウザンドバレット様: おいおいマジかよ!
█ トウカ: そうなのですね……。
█ ノイジィ: 死後の尊厳を保障する契約を販売している保険会社があります。何社かツテがあるので、ご連絡いただければ紹介して差し上げますよ。
█ ブラックソウル: これを片付けたら教えてもらうとしよう。
実例:タイムラインB-101
█ ブラックソウル: ここは私のタイムラインだ。この宇宙のエディンバラ全体に、ベースラインの地球における19世紀ヴィクトリア時代をモチーフにしたゴシックホラーのテクスチャが張り付けられている。そのせいで22世紀に入っても未だに石畳の街並みが現役だし、主な交通手段は馬車という体たらくだ。濃霧が地域一帯を覆いつくし、霧を吸い過ぎた人間は怪物に変貌する。黒の女王になる前、私はそいつらを狩るのが仕事であり、生き甲斐だった。今はただ1体の獲物を追って宇宙を渡り歩いている。
█ トウカ: どうしてそんなことに?
█ ブラックソウル: この世界における彼らの活動が原因だ。スコットランドに住む老人から依頼を受け、超高層ビルの乱立と電子化によって失われた在りし日の街並みを蘇らせた。老人の依頼にはゴシックホラーも怪物も含まれていなかったが、依頼を受けた業者による"アレンジ"なんだろう。
█ ノイジィ: 正常性維持機関は対処していないのでしょうか?
█ ブラックソウル: 財団は連合と協力して影響を受けた範囲を物理的にも電子的にも封鎖した。都市に侵入してきた部隊は最新式の銃器やホワイトスーツで武装していたが、テクスチャの影響で骨董品の単発銃や剣、古めかしい服装に変わってしまい、全滅した。空爆や指向性核エネルギー兵器は使われていない。
█ ノイジィ: 爆撃しようにも霧のせいで標的が定まらないのでしょうね。指向性核エネルギー兵器の方は、具体的な目標がなければ普通の核兵器を投入するのと変わりません。都市全体を吹き飛ばすことになります。
█ ブラックソウル: 霧を晴らす方法や霧を出現させている原因は見つかっていない。下手人は最期まで解決法を吐かなかったよ。
█ サウザンドバレット様: 元凶のジジイはどうなった?まあ、十中八九くたばったんだろうが。
█ ブラックソウル: 分からない。依頼を受けた業者を尋問して老人の住居を聞き出したが、彼の自室には謝罪と怒りと後悔の言葉で埋め尽くされた書き置き、変化する前は生命維持装置だったのであろう古い医療器具、それ以外は最低限の家具が残っているだけだった。もしかすると、書き置きを拾った時に聞こえた遠吠えが彼の叫びだったのかもしれないな。
実例:タイムラインJ-173
█ ノイジィ: このタイムラインの財団は確保したアノマリーが死ぬまで様々な実験を行い、死後は防腐措置を施した上で冷凍保存します。追加で実験やインタビューが必要になればギルドに依頼し、用が済んだら再度殺して保存することで収容プロトコルを簡略化しているようです。どうして破綻していないのか不思議な運用ですね。
█ サウザンドバレット様: 何やってんの?マジで。
█ トウカ: あまりの酷さにバレットちゃんもドン引きしているのです。
█ ブラックソウル: 財団は確信さえあれば"酷いやり方"を躊躇なく実行するが、ここまで愚かな実例は珍しいな。
実例:タイムラインZ-380
█ サウザンドバレット様: オレの地元だ!お子様にはちょっと刺激が強いかもしれねえぞ!心して聞きやがれ!
█ ノイジィ: 耳が遠いから声も大きくなるんでしょうか?少しは静かに話してほしいものです。
█ サウザンドバレット様: うるせえ!行くぞ!アイツらはあの日、いきなり現れて世界中に脳をファックする映像か何かを流しやがった。どんな内容だったかなんて覚えちゃいねえ。なんてったってそのすぐ後、オレたちの地球はゾンビアポカリプス状態になっちまったからな!最初は一緒にテレビを見てたママがオレに噛みつこうとしてきやがった。パパが注意を引いてくれてる隙に逃げ出したオレは、地獄絵図を見た。数分前まで家族だった奴らが互いに殺し合って、パニックになった奴が人間もゾンビも構わず撃ちまくり、愛犬家のババアはゾンビ犬のエサになった。あんときからオレは変わっちまったよ。怒号と悲鳴と銃声が、硝煙と肉の焦げる臭いが、茜色の空の下で燃え盛る町が頭から消えねえ。時々思うんだ。オレは今でもあの場所にいるんじゃねえかって。
█ トウカ: そんな……。
█ サウザンドバレット様: 暗い顔してんじゃねえ!確かに最初は落ち込んじまったが、慣れちまえば悪くねえもんだ。ゾンビどもは幾ら撃っても文句を言わねえし、ガキが銃を持ってても取り締まる奴はいねえ!パパがくれた分厚い本よりも、ママがくれた可愛いお人形よりも、今はこいつが手に馴染むぜ!
█ ノイジィ: そんな危ないモノは早くしまってください。暴発して蔵書に傷をつけたら困るのは貴方です。それとも罰を受けるのが好きなヘキでもお持ちですか?
█ サウザンドバレット様: わぁったよ!仕舞えばいいんだろ仕舞えば!
█ トウカ: バレットちゃん。ちょっといいですか?
█ サウザンドバレット様: サウザンドバレット様だ!で、どうした?急にしおらしくしやがって。お前らしくもない。
█ トウカ: トウカは魔法少女なのです。困っている妹の悩みを解決して、それができなくても寄り添ってあげたいのです。だから、バレットちゃんが大変な時はいつでもトウカの所に来てほしいのですよ。
█ サウザンドバレット様: 何を言ってやがる!オレはそんなヤワじゃねえ!
█ トウカ: 強がってもダメなのです。トウカにはお見通しなのですよ。
█ サウザンドバレット様: 強がってなんかねえよ!まあでも、そうだな。タダ飯と美味い飲みモンがあるってんなら行ってやってもいいぜ!
█ トウカ: たっぷり用意しておくのです!
█ ノイジィ: 何なんですか?この流れ。
実例:タイムラインI-579
█ ノイジィ: 奇妙な実例です。生物学的な死の存在にも関わらず、このタイムラインの当該団体は他の宇宙より遥かに貧弱でした。原因を探ったところ、死後の世界に存在するらしいナニカの影響で死霊術に大きな制限が掛けられていることまでは掴めたのですが、それ以上は何も。財団の秘密主義はいつものことですが、これに関しては力の入れ具合が明らかに違います。藪をつついて面倒なモノが出てきても困るので、本実例については調査を打ち切りました。
█ ノイジィ: 次の実例が最後ですね。お願いします……どうしました?トウカ、顔色が優れないようですが。
█ トウカ: そうですかぁ?えっと、えへへ、もしかしたら寝不足かもぉ~なんて。
█ ブラックソウル: 疲れているなら後で追記してくれても構わない。今日はここまでで終えようか。
█ トウカ: それはダメなのです!ここで言わなかったら、きっといつまでも話せないままになってしまうのです。
█ サウザンドバレット様: 無理するつもりならやめとけ。ガチの正念場で気張れなくなるぞ。
█ トウカ: 心配してくれてありがとうなのです。心の準備ができました。
█ : ツカサちゃん……。
█ トウカ: ごめんなさい。嘘を吐きました。ワタシ、本当は黒の女王じゃありません。
█ サウザンドバレット様: おい、どういうことだよ。オレたちを騙してたのか!?
█ トウカ: そういうことになる、と思うのです。
█ サウザンドバレット様: ふざけやがって!
█ ブラックソウル: 落ち着け。こやつの処遇を決めるのは話を聞いてからでも遅くない。
█ ノイジィ: ここで暴れたら司書に狙われるのは貴方だけではありません。それについても考慮してくださいます?
█ サウザンドバレット様: チッ……とっとと話しやがれ。
█ トウカ: ありがとうございます。
█ トウカ: それでは聞いてください。トウカの……いいえ、ワタシたちの話を。
実例:タイムラインM-078
█ トウカ: 姫咲 桃花ひめさき とうかはワタシの幼馴染で、親友で、パートナーでした。魔法少女プリンセス・ピーチとナイト・シルバー、ワタシたちは2人組の魔法少女として歯車博士が率いる悪の組織"ブロークンフォウンデーション"から町の平和を守っていたのです。
█ ノイジィ: M-078ですか。聞き覚えがあります。確か、VK-クラスの再構築事象が発生したタイムラインだと。
█ ブラックソウル: 観測記録によれば、変身ヒーロー・ヒロイン作品をモチーフにした世界観がそれまでの現実に取って代わったようだ。
█ サウザンドバレット様: じゃあなんだ?そのブロークン何とかってのも財団の成れの果てか何かなのかよ。
█ トウカ: 恐らくは。ワタシたちは魔法少女に変身して、彼らが送り込んでくる怪物と戦っていたのです。
█ トウカ: ワタシは他の町の魔法少女と比べて落ちこぼれでした。大勢の敵を相手できるわけでもなく、かといって単体で大物を仕留められるほど1対1に秀でるわけでもない。得意なことと言えば、盾の魔法で攻撃を防ぐくらいだったのです。彼女はそんなワタシをいつも励ましてくれました。ワタシはあの子の足を引っ張るだけだったのに。
█ : そんなことない!私が安心して前を向けたのは、ツカサちゃんが背中を守ってくれてたからだよ。そうじゃなかったら、私だってあんなに頑張れなかった。
█ トウカ: 思えば魔法少女としての戦い以外でも同じなのです。優柔不断なワタシに代わって、桃花はいつも選択してくれました。放課後に勉強するか遊ぶか、夏休みにどこへ遊びに行くか、お祭りでどの屋台に寄るか、何事もあの子の決断に従っていれば不思議と上手くいったのです。ワタシはいつも彼女の背中を追うだけでした。それでも、あの子と過ごした日々はかけがえのない思い出なのです。
█ : 考える前に突っ走る私をツカサちゃんが上手にフォローしてくれたんだよ。話してないだけで、1人で選んだ時は大失敗しちゃうこともたくさんあった。
█ トウカ: そんなある日、ワタシたちの前に奇妙な敵が現れました。ソイツは記号使いを名乗ったのです。初めて耳にする肩書きに驚きましたが、ワタシたちの魔法一発で消し飛びかける弱さだったので興味はすぐに薄れました。
█ トウカ: あの時殺しておくべきだったのです。そうすれば、あんなことにはならなかったのに。
█ トウカ: 目が覚めた時、ワタシは黒の女王にして魔法少女・トウカになっていました。誰に教えられるでもなく気付いたのです。
█ トウカ: 意識を取り戻したワタシに向かって、アレは事の経緯を得意気に語ったのです。アイツは蘇らせた怪物たちを使って1人で下校していたワタシを襲い、それから桃花を呼び出して自分の属するギルドについて話しました。
█ : 変わり果てた姿のツカサちゃんを見せられた時、生まれて初めて人を殺したいと思った。でも、アイツを殺したら彼女を取り戻す術がなくなる。だから、我慢するしかなかった。
█ トウカ: 桃花は……ワタシを蘇らせてほしいとアイツに頼んだのです……。大切な友達を殺した相手に……頭を下げて頼み込んだあの子の気持ちを思うと……!あの日、桃花を守る騎士になると誓ったのに……ワタシのせいであの子は……!
█ サウザンドバレット様: そこまでにしとけ。今この場でテメエがすべきなのはオレたちに事実を語ることであって、自責に耽ることじゃねえよ。
█ トウカ: バレットちゃん……ありがとうございます……。それからアイツは言いました。ワタシを蘇らせる代償として桃花の命と名前、黒の女王という記号を奪い、ワタシに埋め込んだと。そうしてワタシは息を吹き返したのです。
█ : ツカサちゃんは勘違いしてるけど、私から奪われたのは「ヒメサキ トウカ」という記号そのもので、他の要素はおまけみたいなもの。ツカサちゃんが生き返ったのは存在を奪われた時点で生きていた「ヒメサキ トウカ」という記号を埋め込まれたから。アイツ、ツカサちゃんには説明を省いたな。
█ トウカ: ワタシは……あの子が笑顔でいてくれれば命だって惜しくなかったのです……。それなのに、あの子はワタシを置いてとても遠くにいってしまった。
█ : ワタシも同じ気持ちだったの。それに、まだ遠くには行ってないよ。
█ トウカ: 全てを知って絶望するワタシの前で高笑いするアイツを見ていたら、胸の奥からこれまでにない力が沸き上がってくるのを感じました。衝動のままに拘束を引きちぎって、背中を向けていたアイツの体をズタズタに引き裂き、命を粉々に砕いたのです。赤黒の汚らしい体液が飛び散って、カッコよくて可愛いコスチュームを台無しにしてしまいました。
█ : あまりにも一瞬の出来事だったから、何が起きたのかも分からないまま死んだんだろうね。ざまあみろ。
█ トウカ: 勢いのままに悪の組織を滅ぼしてからは何もする気が起きなくて、町のあちこちをふらついていたのです。本当はすぐにでも桃花の元に行きたかった。でもそうしたら、あの子が命懸けで叶えた願いを無駄にしてしまう。
█ : 今の私ではあなたのことを止められないから、あなたが命を絶とうとする度に心臓が張り裂けそうだった。
█ トウカ: ジレンマに悩むワタシの元に黒の女王の1人がやってきました。その子は桃花と顔見知りで、ワタシのことを桃花だと思ったようでした。出会い頭に悩みを打ち明けられたワタシはどうすればいいのか迷って、咄嗟に記憶喪失を装ったのです。そうしたら色々なことを教えてくれました。黒の女王とは何か、桃花がどんな活動をしていたか。その子の語った桃花の姿は、ワタシの知っている彼女とちっとも変わりませんでした。
█ トウカ: その時、ワタシは桃花がどんな魔法少女だったのか思い出したのです。彼女は困っている人の悩みを解決してあげるのが好きな優しい子でした。
█ トウカ: だから、名前を引き継いだワタシも同じことをするって決めたのです。そうすれば桃花がまだ生きているような、そんな気がして。
█ トウカ: その子が帰る時、一緒に"道"を通って初めて図書館に入ったのです。それからは黒の女王・トウカとして生きていくことになったのですが、他の女王たちに真実を告げることができませんでした。
█ ノイジィ: 正体を明かすことで糾弾され、黒の女王から追放されることを恐れたのでしょうか?きちんと事情を話せば他の女王たちも理解してくれたと思いますが。
█ トウカ: 違うのです。真実を話さなければ、あの子の死を知っているのはワタシだけ。あなたたちの中で黒の女王・桃花は生きているのです。でも、もしも真実を告げたなら、桃花のふりを続けることはできません。その時こそ、ワタシは本当の意味でトウカとして生きる現実に向き合わなければならなくなります。当時のワタシにはそうするだけの勇気がなかったのです。ごめんなさい。
█ ブラックソウル: では、どうして今になって私たちに真実を話す?決断を下すには相応の理由があったはずだ。それを教えてくれ。
█ トウカ: 限界だったのです。
█ トウカ: ワタシのことを桃花だと思って接してくれる他の女王たちを見ている内に、何も知らない彼女たちを騙している現状に耐えられず、心が折れてしまいました。でも、1人1人に直接会って打ち明ける決心もつかず、どうしようかと迷っていたら……。
█ ノイジィ: 自分とブラックソウルの有識者募集を見掛けた……その認識で間違いありませんか?
█ トウカ: はい。真実を打ち明ける場としてこれ以上に相応しいものはないと思い、覚悟を決めて参加したのです。でも、実際に話そうとすると決心が揺らいでしまって、逃げ出そうとする心を抑えるのが大変でした。
█ トウカ: さて、ずいぶん長く話し込んでしまいました。では改めて、本当は黒の女王でもないトウカですが、仲良くして貰えたらとっても嬉しいのです!
█ トウカ: ……ダメ、ですか?
█ サウザンドバレット様: 悪意があってオレたちを騙してたわけじゃねえんだろ。それだけ分かりゃあ十分だ。よろしくな!
█ ブラックソウル: 嘘を吐いている素振りはなく、真実を話すのに躊躇する理由も納得できた。負い目を感じる必要はない。今の君は正真正銘、黒の女王だ。よろしく頼む。
█ ノイジィ: 自分も同じ意見です。出自を異にするとしても今の貴方は同じ黒の女王なのですから、拒む理由はありません。興味深い実例を教えていただきありがとうございます。よろしくお願いしますね。
█ トウカ: みんな……!こちらこそ、これからよろしくなのです!
█ : 私の大切な友達を受け入れてくれてありがとう。
ドキュメント・ダイモーンより通達: ブラックソウル、トウカ、サウザンドバレット様、ノイジィが本文書の編集を停止しました
█ : みんな行っちゃった。追いかける前に、もう少しだけ書き残しとこ。誰にも見えないだろうけど。
█ : 本当に何者でもなくなる前にあなたの幸せそうな姿が見れてよかった。あとはお話しできれば満足なんだけど、それは贅沢な願いかな。
█ : あなたへの想いだけで辛うじて残った自我が擦り切れて自分が誰だったのかも分からなくなった時こそ、私という存在の最期。そうしたら私は本当の意味で何者でもなくなる。
█ : でも、それまではずうっと一緒だよ。ツカサちゃん。
ドキュメント・ダイモーンより通達: [該当なし]が本文書の編集を停止しました


